服を断捨離

実家の片付け

洋服が捨てられない母をこんなふうに説得した~実録・親の家を片付ける(16)

昨年の夏、母と一緒に実家断捨離した様子を綴っています。今回は母の洋服を捨てた話です。

この時、母は81歳。高齢です。この世代の人は、たいてい物をたくさん持っていますが、特に多いのが食器と洋服です。

生きている年数が長いため所持品が多いのと、高度経済成長期を経ているので、やたら買ってしまったあげく、始末に困って家の中にためこんでいるのです。



使わない物を捨てるという考え方をしない母

何より問題なのは、「使わないものは処分する」という発想が全くないことです。

そのため、母も、古い服から、新し目の服、子供の服まで、着ない服ををすべて押入れにつっこんでいました。

この押入れ、筆子的には、「ゴミ箱?」と呼んだほうがいい代物でした。もちろんそんなことは言いませんでしたが。

もういらないものは、本来なら家の外に出すべきなのに、ゴミ箱に捨てる代わりに、押入れに入れている、という状態です。

確かに「押し入れ」は物を押し入れる場所ですが、ゴミまで押し入れてはいけません。

母はきれい好きですから、一応、なんとなく分類して、たたんで収納してはいました。

なぜもう着なくなった服を捨てられないのか?

着ないのに、捨てない理由を母はいろいろ言いました。それに対して私は以下のように説得しました。

いつか着るかもしれない
いえ、母は81歳ですし、こんな若いデザインの服はもう着ません。

まだ着られるし
たとえ、洋服の機能を備えているものでも、着る人がいなかったら、それは洋服としての使命を発揮することができません。

押入れやたんすの中で死蔵されている衣類の本質は、「着るもの」から「ガラクタ」に変質しています。

娘が着るかもしれないし
着ません(キッパリ)。

嫁が着るかもしれないし
お嫁さんは作り笑いを浮かべながら、受け取ってはくれるでしょう。しかし絶対着ません。「ありがた迷惑」という言葉を思い出すべきです。

お嫁さんが物をためこむ人だったら、別の機会に、「先日、お義母さんに、いただいたので。これ、私にはちょっと地味なので」と、お返しに、何か別の変な服を持ってくるかもしれません。

孫や姪が着るかもしれないし
押しつけてはいけません。

友だちの◯◯さんにあげると着てくれるかも
◯◯さんの家のタンスにも着ない服がびっしり入っています。

これ高かったから
この服に支払ったお金は、ここに何十年と押し込んでいても、決して回収することはできません。

回収したいなら、リサイクルショップ、ヤフオク、フリマなどで売るしかないのです。

しかし、そうすることは手間と時間がかかります。残り少ない貴重な人生をそんなことに費やしたいのですか?

買ったとき高くても捨てないとますます損をします⇒「値段が高かったから」といって捨てないとガラクタは増える一方~断捨離マインドを鍛える

ゴミにするのはもったいないし
すでに家の中でゴミになっています。家の中のゴミと化している物でも、いったん外に出せば、その服はまた服としてのライフを取り戻す可能性が生まれます。

寄付すれば、誰かが袖を通したり、雑巾にするかもしれません。

このまま押入れに入れておいて何になるのでしょうか?虫に喰われてちょっぴりカサが減ることはあっても、ずっと放置され、母が亡くなったあとに、誰かがまとめて捨てるだけです。

これ、昔好きでよく着ていたから
今は21世紀で、もう「昔」ではないのです。昔は「好き」だったかもしれませんが、今は好きでないことは、押入れにつっこんでふだんは全く顧みないことからもよくわかります。






いつからやせたら着るんだ
私が若いころからそう言っていましたね。30年やせなかったら、いい加減、あきらめたらどうでしょうか。

万が一、やせることがあったとしても、その時は店で新しい服を変えばいいのです。洋服の流行は繰り返すといいますが、それはデザインだけで、素材やカッティング、縫製は、昔に比べるとずいぶん違います。

やせたごほうびに買う服は、新品にしたほうが、自分を大事にすることにつながります。

1度も着てないけど、◯◯さんにもらったから捨てるのは悪い
ありがたくもらったときに、◯◯さんへ感謝の気持ちは伝わっています。着ないまま、ずっと押入れに突っ込んでいるのを知ったら、◯◯さんは、どう思うでしょうか?

それ以前に、贈り物をしたことを、たぶん本人は忘れています。

これ、すごく物がいいの
確かに素材は上等なウールで縫製も丁寧なコートですが、重すぎます。80過ぎたら(というよりどの世代でも)、こんな重い服を着て歩くと疲れる一方です。

これ、きれいな柄だから、何かにリメイクしようと思って
母は手芸や裁縫が好きなので、こういう発想があるようです。

リメイクすれば、古着に新しい命を吹き込むことになりますが、いったいいくつリメイクするつもりなのでしょうか?

自分の人生の残り時間と本当にやりたいことを考えるべきです。

人生の最後に、カビ臭い服をばらして、ティッシュケースや小袋を作ることに時間を費やしたいのかどうか、自分に問うてみるべきです。

☆このシリーズを最初から読む方はこちらから⇒実録:親の家を片付ける(1)~まずは自分のものをどんどん捨てる

いろいろ説得して、なんとか捨てたのが以下の服です。

断捨離した母の服のごく一部

服を断捨離

左上の黒いベストは私が、DCブランドが流行っていた80年代に買ったもの。ニコルのです。右上の黒いのも私の服です。私は捨てたつもりでしたが、母は自分で着ようと思って、拾ったのかもしれません。

服を断捨離

紺色のパンツ(わかりにくいけど左上)は大昔、私がはいていたもの。裁縫の得意な母は、ベルト部分に別の布を継ぎ足して、自分ではいていました。

手前の3つのニットは、母が義理の娘(弟のお嫁さん)にもらったものです。彼女は誕生日や敬老の日に母に衣類をプレゼントすることが多いです。よいお嫁さんなのですが、大半は母の趣味に合わずお蔵入りに。

義理の娘なので、母は「趣味じゃない」と言えないのです。私も贈り物にケチをつけるのはよくないと思います。

ただ、もらったあと、自分が着ないなら即処分すべきです。捨てるタイミングを逃すと、どんどん捨てにくくなります

プレゼントを捨てることは悪いことではありません。その理由はこちら⇒罪悪感を感じる必要なし、人からもらった贈り物を捨てる3つのコツ

服を断捨離

すべてもらいもの。母は黒い服は冠婚葬祭以外ではあまり着ません。もっと早くに処分しておくべきでした。

服を断捨離

マフラーは私が子供の頃、母が編んでくれたもの。モチーフをつないだ、いかにも昭和なアイテムです。

水着は母が23、4歳の頃、買ったもの。昭和30年代はじめの商品です。つまり57年前の水着です。

なぜ捨てない?

子供のころ、内海(うつみ)に海水浴に行ったとき、母が着ていました。海水浴には1回しか行った記憶がないので、そんなに使ってなかったと思います。

母は「あんた、着る?」とこの黄色い水着を差し出しました。冗談ではないようです。もちろん断りました。

母の生前整理の話、続きます。





郵便受けシンプルライフは人の数だけある~読者のお便りご紹介前のページ

金子由紀子「引き算する暮らし」の感想次のページテーブル

ピックアップ記事

  1. ムック本・第2弾『8割捨てれば、お金が貯まる』発売のお知らせ:11月15日です。…
  2. 筆子の新刊『書いて、捨てる! 』3月11日発売。著者による内容紹介。
  3. ムック・8割捨てて二度と散らからない部屋を手に入れる、発売しました。
  4. 新刊「50歳からのミニマリスト宣言!」3月14日発売のお知らせ(現在予約受け付け…
  5. いつか使うかもしれない、と思うものを本当に使う方法、あるいは見切りをつける方法。…

関連記事

  1. おじいさんとおばあさん

    実家の片付け

    まだ元気で生きている親の家を片付ける4つの理由とは?

    母が1人で住んでいる実家に里帰りするたびに、自分の物や、母のものを捨て…

  2. 古い物の片付け

    実家の片付け

    家族の物(遺品)の片付けが拷問のように感じられるときの対処法。

    きょうはペロさんのリクエストに答えて記事を書きます。片付けられ…

  3. 古い物

    実家の片付け

    何10年も誰も使っていないものを捨てられない母~実録・親の家を片付ける(19)

    長年一人暮らしをしている81歳の母の物を一緒に断捨離した体験を書いてい…

  4. ダンボール箱をもつ高齢女性

    ミニマルな日常

    高齢の親に断捨離する理由を聞かれたときの答え方~生活編。

    物だらけの実家に住む両親に、多少は物を捨ててほしいから、「一緒に片付け…

  5. 老朽化した実家

    ミニマルな日常

    捨てない世代の母の遺品整理をする前は、悲壮な気持ちでいっぱいだった。

    しばらく、皆さんの今年の目標をシェアしていましたが、今回のお便り紹介コ…

  6. 食器がありすぎる食器棚

    実家の片付け

    実家の断捨離に関する記事のまとめ、その2

    実家を片付ける話を読みたいから、どこにあるのか教えてほしい、というお便…

新刊「50歳からのミニマリスト宣言!」

ムック:8割り捨てて二度と散らからない

ムック・8割捨てればお金が貯まる

書店かセブンイレブンで買ってね。

 

8割捨てればお金が貯まる・バナー

ムック本・8割捨てればお金が貯まる、発売のお知らせ

「本当に心地いい部屋」

「買わない暮らし。」売れてます(第7刷)

筆子のムック(第5刷)

筆子の本、『書いて、捨てる!』

更新をメールで受け取る

メールアドレスを記入して購読すれば、更新をメールで受信できます。

1,811人の購読者に加わりましょう

新しく書いた記事を読む

  1. 電子書籍を読む女性
  2. 1つ
  3. ガラクタの中にいる女性
  4. 通帳を見ている女性。
  5. 片付けている人
  6. 引っ越し荷物の梱包
  7. 服のチェックをしている人
  8. 車のハンドルを握る手
  9. 田舎を歩く女性

筆子の本・10刷決定です

オーディオブック(Audible版)も出ました♪ 捨てられない人は要チェック

 

1週間で8割捨てる技術
 
⇒筆子の本が出ます!「1週間で8割捨てる技術」本日より予約開始

 

実物の写真つき紹介はこちら⇒「1週間で8割捨てる技術」筆子著、本日発売です(写真あり)

大好評・特集記事

小舟バナー

 

お金を貯める・バナー

 

実家の片付けバナー

 

ファッションバナー

 

フライレディバナー

 

湯シャンバナー

 

ブックレビューバナー

 

TEDバナー

 

歯の治療バナー

今日のおすすめ記事

  1. ラバーダック
  2. バックパッカー
  3. 不安な人
  4. 食器でいっぱいの食器棚
  5. 靴がほしい女性
  6. 忙しいお母さん
  7. つぶした段ボール箱をまとめてしばる
  8. 骨折
  9. きれいな目
  10. アルバム

過去記事、たくさんあります♪

PAGE TOP