ストレス

TEDの動画

ケリー・マクゴニガルに学ぶストレスと友だちになる方法(TED)

新しい環境でストレスにさらされても元気でいられる工夫を紹介しています。今週はTED動画もストレスがテーマのものを選びました。

スタンフォード大学の先生である、ケリー・マクゴニガル(Kelly McGonigal)の How to Make Stress Your Friend「ストレスを友だちにする方法」です。



「ストレスを友だちにする方法」TEDの説明

Stress. It makes your heart pound, your breathing quicken and your forehead sweat.

But while stress has been made into a public health enemy, new research suggests that stress may only be bad for you if you believe that to be the case.

Psychologist Kelly McGonigal urges us to see stress as a positive, and introduces us to an unsung mechanism for stress reduction: reaching out to others.

ストレスを感じると胸がドキドキして、呼吸が早くなり、額に汗をかきます。ストレスは公衆衛生の敵と考えられてきましたが、新しい研究結果によると、「ストレスは悪いものだ」と考えていることが、健康によくないのです。

心理学者のケリー・マクゴニガルはストレスは良い物だという見方をするように語ります。そして、意外なストレス軽減法を紹介します。それは他人とふれあうことです。

unsung は「歌われていない」つまり、「世に知られていない」という意味です。

ストレス解消法として、人と話をすることは、よく知られています。しかし、相談にのってもらうだけでなく、こちらから人に親切にすることも、ストレスを減らす効果があるそうです。

ストレスは悪者扱いされていますが、「ストレスがからだに悪い」と思っていると、本当にからだに害を及ぼす、だから、「自分を助けてくれるもの」だと思いなさいというプレゼンです。科学的な裏付けもあります。

マクゴニガル先生は、Will Power「スタンフォードの自分を変える教室 」というベストセラーを出している有名な先生です。

4月2日の「世界一受けたい授業 男性vs女性 3時間スペシャル」の6時間目に出演したと、本人のウエブサイトにのっていました。2週間ぐらい前に来日していたようですね。

動画は14分25秒。日本語字幕です。英語や字幕なしはプレーヤーで調節できます。とても聞き取りやすい英語です。動画のあとに抄訳を書きます。

☆トランスクリプトはこちらから⇒Kelly McGonigal: How to make stress your friend | TED Talk | TED.com
☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

ストレスを悪者だと思うから病気になる

私はヘルス心理学者です。人々がより幸せに健康になるように日夜研究しています。ところが、過去10年間、大きな過ちを犯していました。

何年も「ストレスを感じていると病気になりますよ」と人に言い続け、ストレスを敵とみなしていたけれど、この考え方を変えました。

こんなリサーチ結果を知ったからです。

30,000人のアメリカ人を8年追跡した研究です。ストレスを感じていて、なおかつ、「ストレスは健康によくない」と信じていた人のほうが、死亡率が高かったのです。

過度のストレスを感じていた人はそうでない人に比べて43%死亡率が高かったのですが、たとえ、ストレスを感じていても、それが悪いものだと考えていなかった人の死亡率は低かったのです。

現在、研究者たちは、早死した182,000人のアメリカの死因はストレスではなく、「ストレスが健康によくないと信じていたこと」によると考えています。

この結果を知って、私はびっくりしました。これまで「ストレスは健康によくない」と皆さんに伝えることに全力を注いできましたから。

そして、こんなふうに思いました。「ストレスに関する見方を変えれば、人はより健康になれるんじゃないかしら?」

そのとおりだと科学的に、証明されています。ストレスに対する考え方を変えれば、ストレスに対する体の反応も変えることができるのです。

[ここで、ストレステスト(人にわざとストレスを与えるテスト)の説明と、デモンストレーション]。





ストレスが体によい反応をおこすメカニズム

ストレスを感じると、心臓がドキドキし、呼吸も早くなり、汗がでてきます。ふつう、こうした肉体的変化は、不安(anxiety )や、プレッシャーにうまく対応できていないサインだと捉えられています。

でも、この反応を、「体がエネルギーをためて、チャレンジに立ち向かう準備をしている」と考えてみたらどうなるでしょうか?

考え方を変えると体はストレスにどう対応するのか、ハーバード大学である実験が行われました。

先に説明したような、社会的なストレステストをする被験者に、あらかじめ「ストレスは自分を助けてくれるありがたいものだ」と考えるように指示したのです。

心臓がドキドキするのは、行動をする準備をしているから、呼吸が早くなるのは、より多くの酸素を脳に送るため、というように。

ストレスをメリットだと考えるように言われた被験者は、より少ないストレスを感じ、より自信をもちました。そして身体的な反応も変わったのです。

通常、ストレスを感じると、心拍数があがり、血管が収縮します。いつもこの状態だと、心臓病になる可能性があります。

ところが、ストレスをポジティブなものとして考えるように言われた被験者は、血管がリラックスしていました。これは心臓にとってより健康な状態です。楽しいときや、勇気が出ているときと同じ状態です。

ストレスに関してどういうふうに考えるかが、健康に大きな違いを生み出すのです。そこで、私は、皆さんのストレスをなくすのではなく、ストレスとうまくつきあう方法をお伝えすることにしました。

ストレスは人を社交的にする

もう1つ、ストレスの反応について、あまり取り上げられない事実をお伝えします。ストレスは人を社交的にするのです。

オキシトシン(oxytocin)というホルモンがあります。これは「抱擁ホルモン(cuddle hormone)」というアダ名がついていて、すでに有名なホルモンです。人を抱きしめると、このホルモンが分泌されます。

オキシトシンは人の社会的な部分の本能を調整しているホルモンです。オキシトシンが出ると、友だちや家族と物理的にふれあいたいという気持ちになります。また、ほかの人を、より手助けしたいという気持ちにも。

多くの人が知らないのですが、オキシトシンはストレスホルモンの1つです。ストレスを感じると、脳下垂体から分泌され、援助を求めるように促します。

ストレスを感じたら1人でかかえこまず、誰かに話すように仕向けているのす。また、そばで困っている人を助けるように指示しています。

オキシトシンが引き起こす肉体的な反応

オキシトシンは感情の反応を引きおこすだけでなく、からだにも作用しています。ストレスによる心臓への負担や血管の収縮をおさえています。

さらに、心臓にはこのホルモンの受容体があり、オキシトシンが出ると、ストレスで傷づいた心臓がまた元気になるのです。

しかも、社会的に人と交わることによって、オキシトシンの働きは強化されます。ストレスを感じて、人に助けを求めたり、逆に、誰かを助けようとすると、オキシトシンの分泌はその分よけいに増えるのです。

オキシトシンのおかげで、ストレスに対する肉体的反応は、より健康なものになるし、ストレスのダメージからより早く回復できます。

ストレスを感じていても、身近な人を助けるために時間を使っていた人は、ストレスによって死亡率があがることは全くなかったのです。人にやさしくすることは、ストレスへの耐性を高めるわけです。

ストレスは人に勇気と愛を与える

ストレスが肉体に及ぼす害は避けようがありません。ですが、ストレスを「自分を助けてくれるものだ」と考えれば、勇気を与えてくれる反応となります。

ストレスのもとで、ほかの人とつながろうとすれば、ストレスに強くなるのです。

ストレスは、私たちが、ほかの人とつながれるやさしい気持ちをもたらしてくれるのです。

心臓がドキドキするのは、力とエネルギーを与えてくれるため。ストレスを良いものとして捉えると、ストレスをうまくつきあうことができます。

「自分はこの試練を何とか乗り越えることができる」という自信も生まれます。さらに、「1人で立ち向かう必要なんてない」ということも思い出させてくれるのです。

—– 抄訳ここまで —–
☆ケリー・マクゴニガルのホームページ⇒Kelly McGonigal

☆ストレスが人を病気にするメカニズム⇒ストレスのせいで頭痛がしたり太ってしまう理由とは?

ストレスのせいで病気にならない方法

「病は気から」といいますが、ストレスに対しても、「ああ、毎日ストレスばっかり。このままじゃ病気になる」と思っていると、本当に病気になってしまうようです。

この動画を見た後、心理学者ではないふつうの主婦の私が、ストレスに対する心の反応を5つに分類してみました。

1.特にストレスに気づかない(ストレスをストレスとして感じていない)。

2.嫌な気分になっているが、それがストレスだと気づかない(ストレスに関して、まったく何も知らない)。

3.ストレスに気づいているが、そのままがまんしている。

4.ストレスに気づいているが、「これは挑戦のチャンス」とポジティブに捉えている。

5.ストレスに気づいているが、人の手助けを熱心にしている。

このうち、ストレスが原因で病気になってしまう確率が高い人は、3番の人、ということになります。

1人で抱え込まないのが一番いいのだ、という結論に至るわけですが、これはわざわざ科学的に証明されるまでもなく、みんな知っていることですよね?

では、なぜ多くの人は、1人で抱え込んでしまうのでしょうか?

心を閉じないことが健康な暮らしにつながる

以前、砂糖に依存する状態を断ち切る一番いい方法は、日々の生活を充実させることだと書いています⇒砂糖への依存性はこうして起きる。甘いものをやめるために1番大切なこととは?

砂糖のみならず、いろいろなもの(買い物とか)に依存しすぎて、日常生活が立ちゆかなくなるのは、問題を1人で抱え込むからです。

要するに、自分の中に愛が足りないのです。きょうの動画によれば、人がストレスを感じると、オキシトシンが分泌されて、自然に、ほかの人と仲良くするようになっています。

「友がみな我よりえらく見ゆる日よ花を買い来て妻としたしむ」と短歌を詠んだ石川啄木は、オキシトシンにしたがって、素直に行動したと思われます。

ほかの人が出世して、心が折れそうになった啄木。貧乏なのに花を買って、奥さんに見せたのです。1人で気晴らしをせず、奥さんと見たところがポイントです。

啄木は、奥さんにやさしくしたのです。ストレスを感じているとき、人に相談することは、相手に対してやさしくすることにもなるわけです。

今の時代、同じ状況が起きたとき、そのまま1人でうつろな目をしながら、スマホでゲームをして、妻に背を向けるなんてことをしがちな人が多いのでは?

「さみしい」とか「誰かとお話したい」という、自分の心の声を素直に聞くことができないのは、なぜでしょうか?せっかくオキシトシンが出ているのに。

たぶん、自分の価値観ではなく、人のものさし(メディアとか)で、良し悪しをはかっているからでしょうね。傷つくのを必要以上に恐れて心を閉じてしまうのです。

また、核家族化や、価値観の多様化が進んで、個人個人ですごす時間が増えたのも、人とうまくふれあえない人が多い理由の1つだと思います。

学校は社会性を学ぶ場所のはずですが、大学の予備校化している部分もあります。

セロトニンを増やす記事でも書きましたが、心を閉じぎみの人が多いのも、文明の発達に人が追いついていないからではないでしょうか?
セロトニンを増やす方法⇒セロトニンを自然に増やす5つの方法。サプリは使わず幸せになる

本来、人間は、ほかの人と協力しながら、楽しく生きるようにできているのだと思います。

ところが、物質文明が発達しすぎて、多くのことを1人でやれるようになり、孤立するようになったのでしょう。あまりに孤立しすぎて、人とふれあう気持ちが極端なほうに向かってしまったのが、カルトではないかと思います。

いかに自分の心をオープンにするかが、健康な暮らしをするための1つの鍵ですね。





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