シニア目前、主婦でミニマリストなブロガー筆子が、断捨離と節約をして「老い支度」に励む日々をつづっています。

バリー・シュワルツに学ぶ『選択のパラドックス』(TED)~所持品をミニマムにすると生きやすくなる理由とは?



TEDトークスから、心理学者、バリー・シュワルツの『選択のパラドックス』というプレゼンテーションをご紹介します。

以前、筆子は着たきり主婦だけど、そのせいでかえって生産性があがっているという記事を書きました。こちら⇒ミニマリスト主婦の普段着とよそ行き~少ない服はストレスフリーで生産性があげる

というのも、服が少なければ着るものにいちいち迷う必要がないので、時間もエネルギーも大幅に節約できるからです。

着たきりの記事の下のほうで紹介している「The habits of highly boring people(ひじょうに退屈な人の習慣)」というプレゼンテーションで、シュワルツ先生の話が出てきます。

「選択肢が多すぎるとかえって人は不幸になる」という理論です。今回とりあげるのは、この理論をシュワルツ先生自身が話しているもの。

なぜ選択肢が多いと人は不幸になってしまうのか、わかりやすくユーモアを交えて説明しています。

長さは19分ほど。日本語の字幕が出ます。

この動画の撮影は2005年の7月で、今から10年前。まだスマホがなかったので、携帯電話の話が出てきます。10年たって、選択肢の多さが人を不幸にしている状態はますます顕著になっている気がします。

動画の下に要約を書きますので、お時間のない方は、そちらへ飛んでください。


☆字幕なし、ほかの言語の字幕、トランスクリプトを見たい場合はこちらへ⇒Barry Schwartz: The paradox of choice | Talk Video | TED.com
☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

選択のパラドックス:要約

「選択肢が多ければ多いほど人は自由であり、幸せである」というのは間違い

工業化が進んだ西欧の国々では、人は自由になればなるほど幸せである、と考えられています(official dogma)。

また、いろいろな局面で選択肢が増えれば増えるほど、人は自由であると考えられています。

つまり、選択肢が増えれば増えるほど、人は自由である、と思われているわけですが、私はこれは違うと思います。それには以下の2つの理由があります。

選択肢が増えると人はかえって不幸になる理由

理由1:多すぎる選択肢は、人を自由にするというより、麻痺させてしまう(paralysis 字幕では無力感と訳されているところ)。

選択肢が多ければ多いほど、選ぶのが難しくなってしまうのです。

理由2:仮に選ぶことができたとしても、選択肢がより少ないときに比べると、その選んだ結果に満足しにくい

これにはいくつかの理由があります。

1)選んだものが期待どおりでなかったとき、ほかの選択肢を思い浮かべ、あっちにしておけばよかったと後悔してしまう。(例としてサラダドレッシングをあげています)。

2)オポチュニティーコスト
選択肢が多いと、それを選択したことによって、失ったたくさんのものについて考えてしまい、選んだ結果に対する満足度がさがる。たとえ、素晴らしい選択をしていたとしても。

(☆オポチュニティーコストとは、ある行動を選択したことによって失われるほかの行動が生み出したであろう利益です。

たとえば、日曜日にフリマで断捨離した古着を売るつもりで準備していたけど、友だちにピクニックに誘われたので、そっちに行ってしまった場合、フリマで古着を売ったら得られたであろうお金のこと。)

3)期待する気持ちが高まる
ジーンスを買いに行き、だった1種類しか選択肢がなくて、それを買ったときより、いろいろ履き比べて選んだときのほうがは、ジーンズそのものに対する期待がより高まってしまう。

選択肢が増えると、人は、それらの選択がよりいいものだと期待してしまう。

4)選択をあやまってしまったとき自分を責める
ジーンズが1種類しかなく、それが今いちだったら、それは世間(この世界)のせいである。しかし、さまざまなジーンズの中から選んだ1本が期待どおりでなかった場合、それは「適切な選択をできなかった自分のせいだ」と人は思う。


最近のうつや自殺の原因は、人々のいろいろなものへの期待や、これが標準だと思っているもの(スタンダード)の基準が高すぎるからです。

「選択肢が増えれば増えるほど、人は幸福である」というのは、違うのです。私たちは、幸福になれるちょうどいいぐらいの選択肢以上のものを持ってしまっています。

先進国で選択肢が多いのは、物が豊富にある(material affluence)せいです。世界には物がなさすぎて困っている場所もあります。

もし、選択肢を増やして我々を不幸にしている物を、物のない国に移動させることができたら、物のない国での生活はもちろん向上しますが、我々の暮しもよくなるのではないでしょうか?

・・・・・要約ここまで・・・・

選択肢が多いのはいいことなのか、悪いことなのか

確かに選択肢が多いと、より自分らしい人生を送ることができ、幸せになれると言えます。

たとえば、昔の女性は、学校を卒業したら、数年会社に勤めて、結婚適齢期(死語でしょうか)のあいだに結婚して、家庭に入ったら、仕事はやめて、ずっと家事と子育てに専念、という道がスタンダードでした。

今は、必ずしも結婚する必要はないし、早く結婚してもいいし、遅く結婚してもいい、仕事をずっと続けてもいいし、やめてもいい、数年で職場復帰してもいいし、パートで働いてもいい、といろいろな道があります。

これは女性にとってはうれしいことですね。

しかしその分、人生の局面でいろいろ迷います。動画に出てきた「人は毎朝自分のアイデンティティを選びながら生きている」というのはこういうことだと思います。

ただでさえ、こうした選択で、日々、エネルギーを取られているのに、瑣末な物質的なものをいちいち選んでいるとますます疲れてしまいます。

いろいろありすぎて、迷って、「もうどうでもいいや」と選択を放棄してしまうのです。せっかくいろいろなチョイスがあるのにもかかわらず。

こちらのプレゼンでも同様のことが話されています⇒ミニマリズム~何もしない時間、何もないスペースを作ってより充実した人生を

去年の夏、里帰りしたとき、東京で友人とお昼を食べるために入った店が、選択肢の多いメニューを提供していました。

ランチは主食、メイン、副食、デザート、ドリンクのセットもので、それぞれについて3つぐらい選択肢があったのです。

よって組み合わせを考えると、けっこうな種類になります。

メニューをじっくり見て、主食をAにすると、副菜はBがいいだろうけど、そうすると、デザートCは主食には合うけど、副菜には合わないし、ドリンクは冷たいほうのDになるけど、冷房が効きすぎてるから冷たい飲み物はいやだし、なんて迷います。

私は、おまかせで頼めたほうが楽です。

組み合わせメニューはよりお客さんの好みにあったものを食べてもらいたいという気持ちからかもしれませんが、筆子はこういうのはかえってめんどうで嫌いなのです。

さんざん迷ったあげく選択しても、その結果に満足できないというのも体験としてよくわかります。選択が1つだったら、それで突き進むしかないのですから。

関連⇒断捨離中にいちいち迷わない3つの方法

「選択肢が多すぎると、そのものに対する期待値があがる」というのは考えたことがなかったのですが、そうかもしれませんね。

ランチメニューが1つしかない店より、いろいろ取り揃えている店のほうがよさそうに感じてしまいますから。

☆たくさんある選択肢の中からよりうまく選ぶ方法はこちら⇒選択をしやすくするには~シーナ・アイエンガー(TED)。選択肢の海の中で生きる技術。

選択肢の少ないミニマルライフのススメ

私たちはこういう無数の選択を日々繰り返しています。そして自分でも知らないうちに、気力(メンタルエナジー)を使ってしまい、ストレスをかかえることになるのです。

暮しをシンプルにすると、いろいろと生きやすくなるのは、このようにあれこれ迷う機会が減るからです。

洋服はもちろん、ガジェットなども多すぎると、使い分けを考えたりしなければなりません。持ち物は必要な分だけ持ち、自分の定番を決めて生活を簡単にしておくほうがいいのです。

ずっとシンプルライフや断捨離が流行っていますが、一方で、100円均一ショップや、アウトレットショップ、ファストファッションを扱う店で、毎日大量の物が販売されています。

何も意識せずに暮していると、日々、たくさんの選択をするはめになります。

私が持たない暮しをめざしているの理由の1つは、「多すぎる選択肢の罠」に、囚われたくないからです。

これからは、できるだけ、物とやることを減らして、ミニマルな暮しに持っていったほうが、より心穏やかで幸せな人生を送れるのではないでしょうか?


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