シニア目前、主婦でミニマリストなブロガー筆子が、断捨離と節約をして「老い支度」に励む日々をつづっています。

捨てる生活が夢を叶える。ミニマリストに学ぶ手放す技術(TED)



アメリカのミニマリスト、ジョシュア・フィールズ・ミルバーンとライアン・ニコデマスの2人が2016年に行ったTEDの講演を紹介します。

タイトルは、The Art of Letting Go(手放す技術)です。

以前、2人の別のプレゼンを紹介しましたが、主旨はほぼ同じです。このトークでは、ジョシュアがミニマリストになったきっかけを詳しく語っています。

彼は、亡くなった母親の大量の遺品を前に、「こんなにたくさん物をもつ意味があるのか?」と疑問を持ったのです。

思い出の品を捨てることや、実家の断捨離に悩んでいる人の参考になると思います。

動画は18分。独立イベントのせいか日本語字幕は用意されていないので、動画のあとに抄訳を書きます。英語の字幕を表示させることはできます。

※YouTubeで見る方はこちらから⇒The Art of Letting Go | The Minimalists | TEDxFargo
※TEDの説明はこちらです⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

アメリカンドリームは自分の夢ではなかった

私はジョシュア・フィールズ・ミルバーン、こちらはライアン・ニコデマス。2人で the minimalists.comというサイトを運営しています。

7年前、私は28歳。アメリカンドリームを生きていました。

●年収1千万円以上(six figure salary シックスフィギアサラリー 6桁のサラリーということ 厳密にはUS$100,000~999,999 2016年10月24日の換算で、1ドル104円とすると、およそ1千40万円~1億400万円となりますが、要するにかなり高収入である、ということです)。
●高級車
●高い服でいっぱいのクローゼット
●住人の数よりトイレが多い郊外の大きな家
●家中にあるたくさんの物

こんなものを持っていたのです。

そして、母が亡くなりました。離婚もしました。同じ月にです。

このとき私は自分の部屋を見回して考えました。自分の人生ってなんだろうって。

これまで、あまりに「成功すること」や「達成すること」、特に「物を所有すること」にフォーカスしすぎていたことに気づいたのです。

私はアメリカンドリームを生きていたけど、それは自分の夢ではありませんでした。

欲しいと思って手にいれたものは、実は欲しくなんかなかったのです。

リタイアしてフロリダに引っ越した母が肺がんになった

母は65歳で亡くなる前の年、リタイアしてオハイオからフロリダに引っ越しました。

引っ越して数ヶ月後、肺がんが見つかりました。できるだけ母と時間を過ごすため、私は何度もフロリダに行きました。

母は化学療法や放射線治療を受けましたが亡くなりました。

亡くなったあと、最後にもう1度、フロリダに行きました。母の荷物を片付けるためです。

母の小さな1ベッドルームのアパートには、アパート3つ分の物があふれていました。母はべつにタメコミアン(hoarder ホーダー 病的に溜め込む人)ではありません。

だた単に物をたくさん持っていただけです。平均的なアメリカ人の家には、30万個、物があるそうです。でも、もちろん、みんなタメコミアンじゃないですよね?

みんな一生、思い出の物を持ち続けるだけです。母はそうしていました。アパートには65年かかって集めたものがあったのです。


大量の遺品の中にあった4つの箱

私はUホールのトラックと鍵付きの貸倉庫を手配しました。

とにかくものすごく物があったんです。

●リビングルームには、大きなアンティーク家具に何枚もの古い絵画、数え切れないほどのドイリー。

●台所には大量の皿やカップ、おわん、ちぐはぐのカトラリー。

●バスルームには、売るほどあるパーソナルケアグッズ。

●シーツ、タオル、毛布がいっぱいのリネンクローゼットはまるでホテルのよう。

母はフロリダにいたのに、14着もコートを持っていました。

こんなに大量の物をどうしたらいいのかわからず、貸倉庫に入れることにしたのです。

自分の家は大きかったけれど、すでに自分の物でいっぱいでした。

「とにかく捨てるわけにはいかない。いつかいるかもしれない(just in case ジュスト・イン・ケース)」。

そう考えました。

最後に4つの段ボール箱を発見しました。それぞれ1、2、3、4と数字が書いてあります。

ガムテープでしっかり封がしてありました。

「中身はなんだろう?」

中身は私の小学校のときのノートや作文、通知表などでした。箱の数字は学年だったのです。

古い本

思い出は物の中にはない、人の心の中にある

「なんでこんなものを?」

中を見ているうちに、さまざまな思い出がよみがえってきました。

母は私の作品を私の一部として取っておいたのです。

だけど、その箱はもう20年は開けていない感じでした。このとき、私はすごく大切なことに気づきました。

思い出は物の中にはない。思い出は私たちの中にある、と。

母は私の一部分を取っておくために、こんな物を持っている必要なんてなかった。私は、箱の中にはいないのだから。

こう思いながら、アパートを見回したら、自分も同じことをしようとしていると気づきました。

母の物を、母だと思ってすべて貸倉庫に入れようとしていたんです。

私はトラックと貸倉庫をキャンセルしました。

思い出は物の中にはないんです。私たちの中にあります。それに「本当の価値」にも気づきました。

私は身勝手にも、母の物をすべて倉庫にしまい込もうとしていました。そんなことをしても何の価値も生まれません。

もし手放せば、他の人の人生に価値を生み出すことができる。

そこで、12日かかって母の遺品を母の友だちにあげたり、地元の寄付センターに持ち込みました。それぞれの物に新しい家を見つけたのです。

売れそうなものは売って、お金をチャリティに寄付しました。

どう減らすか、ではなく、なぜ減らすのかが重要

オハイオには、思い出の品をほんの少しだけ持ち帰りました。古い絵1つと写真数枚とドイリーを1、2枚。

特に思い出のある物は、手放す前に写真を撮り、あとでデジタル化しました。

そのほうが、写真を見やすいですから。

たくさんの物を捨てましたが、思い出はなくなりませんでした。むしろ私は気持ちの負担を手放し、前に進むことができたのです。

この件がきっかけになり、自分の物も見直しました。自分の人生は、はためにはよかったかもしれません。でも、それは表面的なことにすぎませんでした。

もっとシンプルに生きよう。こうして私はミニマリズムを取り入れることにしました。

すべては、1つの質問から始まったのです。

少ない物を持つことでどれだけ人生がよくなるか?

この質問に答えることで、ミニマリズムの目的を明確にすることができました。

どうやるか、ではなく、なぜやるのか、が重要です。

暮らしをシンプルにしたら、自分の健康や、人間関係、家計、情熱を傾けたいことについて考える余裕が生まれると思いました。

そうすれば、もっと意味のある人生を生きられるだろう、と。

テーブル

捨てることが最終的な目的ではない

自分のクローゼットを片付ける前に、ミニマリズムのメリットがわかっていましたから、実際に自分の人生をシンプルにするときは、小さなことから始めました。

1日1つだけ捨てたらどうだろうか、と思い、30日間、1個ずつ捨てることにしました。

実際は1日1個どころではなく、実にたくさんの物を捨てました。

自分の人生に価値を与えるものだけを残したのです。

捨てれば捨てるほど、加速がつきました。物を減らせば減らすほど、より自由に、幸せに、身軽になります。

ミニマリズムを実践したら、暮らしは前よりよくなるべきです。

お伝えしたいのは、物を捨てることが最終的な目的ではない、ということです。それは最初のステップにすぎません。

何もかも捨てたあと、みじめになってしまうことだってあります。消費が問題なのではなく、過剰で強迫的な消費が問題なのです。

8ヶ月かかって所持品の99%以上捨てました。とは言え、私の家に来た人は、「ああ、ミニマリストの部屋だ」とは思わないでしょう。

「すごく片付いてる」と思うはずです。物が少ないから、片付けるのが簡単なのです。

喜びをもたらさない物は持たない

私はミニマリストなので、自分をうれしい気持ちにしてくれる物だけ持つようにしています。それ以外の物は手放します。

物が減るにつれて、自分にこんな問いかけをせずにはいられませんでした。

●なぜ私は物にこんなに意味づけをしていたんだろう?

●自分の人生にとって本当に大事なことは何なのだろう?

●いつ、自分は人生に不満を持つようになったのか?

●自分はどんな人間になりたいのだろう?

●自分にとって成功とは何なのか?

すべて答えるのが難しい質問ばかりです。しかし、こういうことを考えるのは、単に物を捨てることよりずっと重要なのです。

いつもこうした問いに丁寧に答えていけば、捨てたクローゼットの替わりに、本当に役立つ何かを買うことになるかもしれません。

捨てながら、こういう質問に答えていったら、物ごとはシンプルになっていきました。

そのうち周囲の人が私を見て「ストレスが減ったみたいだね」「前よりずっと落ち着いている、いったいどうしたの?前よりずっといい人みたいじゃない」こんなふうに聞くようになりました。

小学校5年のときから親友だったライアンもその1人。

ライアンは、幸せそうな私を見て、自分もミニマリズムを実践するようになったのです。

暮らしをシンプルにする過程で、彼は、無意識な大量消費は、個人だけではなく社会全体を損なっていることに気づきました。

空と海

借金をなくす唯一の方法は物を捨てること

[ここからライアンのトーク]

私たちが消費すればするほど、ゴミが出ます。消費を減らせば、ゴミも減ります。

もし、世界中がアメリカみたいに消費すると、地球が4つ必要です。

いったいどうやってアメリカ人はこんなに消費できるのか?

簡単です。すごく借金をしています。

平均的なアメリカ人は、クレジットカードを4枚持っています。10人に1人は、10枚以上持っています。。

クレジットカードによる借金は、1人あたり、16000ドル(約166万円)。全部合わせると、アメリカ全体で12兆ドル(約1245兆円)です。

毎秒1ドル使うことを3万1千年続ければ、12兆ドルになります。

ブッダが生まれたとき(紀元前5世紀頃)から、毎日100万ドル使っても、きょうまでかかって、まだ1兆ドル使うことができません。

それが12兆ドルも借金があるのです。

この問題を解決する唯一の方法は手放すことです。

みなさんが消費をやめれば、他の人もそうするかもしれません。6年前、ジョッシュと私は、物を捨て、自分の価値感に基づいた暮らしを始めました。

消費を減らし、より自分らしく生きるようにしたのです。

自分たちのライフスタイルをブログという形で発信しました。それから本を書き、ミニマリズムというドキュメンタリーも作りました。

すべて、他の人の暮らしに価値を与えたいからです。きょうこのステージに立ったのもそうするためです。

皆さんの人生に価値を与えることができたらこんなにうれしいことはありません。

—- 抄訳ここまで —–

アメリカのミニマリスト、ジョシュアとライアンについて

ジョシュア・フィールズ・ミルバーンとライアン・ニコデマスの本はこちらで紹介しています⇒『minimalism 〜30歳からはじめるミニマル・ライフ』の感想~50歳のおばさんにも使える方法

2人が行った別のプレゼンはこちら⇒物を持たないと、より豊かに生きられる。ミニマリストの体験(TED)

ジョシュアとライアンは、決してプレゼンはうまくありません。ですが、彼らのメッセージはとてもまっすぐです。

2人は昔から仲がよく、今も仲良しであるのも微笑ましくていいです。

2人がこの夏リリースした、ミニマリズムというドキュメンタリー映画の予告編を紹介します。


※YouTubeで見る方はこちらから⇒Minimalism: A Documentary About the Important Things | Official Trailer

私はまだ見ていませんが、いかに過剰な消費が人々の暮らしを損なっているのか、人間らしく生きるためには、物を捨て、消費を減らすしかない、というメッセージを伝える映画のようです。

レオ・バボータコートニー・カーバーなど、このブログでも紹介したアメリカの有名なミニマリスト達がインタビューに答えています。

予告編の和訳も、そのうち紹介しますね。

2人のブログはこちら⇒The Minimalists

終わりを意識すると優先順位がわかる

ジョシュアのお母さんが、ようやくリタイヤして、気候のいいフロリダに引っ越した矢先にがんが見つかった、という話、とても残念ですね。

彼はお母さんが亡くなる前、よく一緒にいたようだし、亡くなったお母さんが、ミニマリズムという生き方を教えてくれたようなものなので、その点はよかったと思います。

お母さんは65年かけて、物を集めるだけ集めて、あの世に行ってしまいました。

「こんなに物があっても仕方なかったのに」とジョシュアが気づいたのは、お母さんがいなくなったあとです。

先日、断捨離中に乳がんが見つかった、という人からメールをもらいました。

断捨離中に、過去の検診結果と検診をうながすお便りを発見したので、検診を受けたら、早期発見できたそうです。

今、がんになることなんてめずらしくありません。日本人の2人に1人はがんになり、3人に1人ががんで亡くなります。

がんにならなくても、私たちはいつか人生を終えます。

先日、鳥取で地震が起きました。今、650人あまりが避難生活をしています。

「明日も今日みたいに平穏無事だ」なんて思わないほうがいいのです。

終わりは思ったより早く来ます。それならば、物を集めたり、片付けることに血道をあげるのはやめて、自分にとってもっと優先順位の高いことをするべきではないでしょうか?

物をたくさん買ってためこみすぎると、今、この時を生きられなくなります。

今日紹介した動画をきっかけに、1人でも多くの人が、物にコントロールされる人生から抜け出してくれるとうれしい、そう思っています。


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こんにちは。昭和34年生まれの50代主婦、筆子(ふでこ)です。持たない暮しを心がけているミニマリストです。好きなものは、小豆とナッツ。さらにくわしい自己紹介はこちらからどうぞ⇒はじめまして。筆子です

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