シニア目前、主婦でミニマリストなブロガー筆子が、断捨離と節約をして「老い支度」に励む日々をつづっています。

静かにたたずむことが幸せにつながる~ピコ・アイヤー(TED)


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充実した楽しい人生を送るためのインスピレーションを与えてくれるTEDの動画を紹介しています。今回は、ピコ・アイヤー(Pico Iyer)さんの The art of stillness(静寂の技術)。日本語のタイトルは「静かに佇むこと」です。

アイヤーさんはエッセイストで、トラベルライター。小さいときから旅行が大好きで、自分の夢の仕事に就きました。あちこちいろんなところを旅行している彼が、1番行きたい場所は、実はどこでもありません。「どこにも行かないで、静かにしていること」がベストなんだそうです。

それはいったいなぜでしょうか?

TEDの説明

The place that travel writer Pico Iyer would most like to go? Nowhere. In a counterintuitive and lyrical meditation, Iyer takes a look at the incredible insight that comes with taking time for stillness.

In our world of constant movement and distraction, he teases out strategies we all can use to take back a few minutes out of every day, or a few days out of every season. It’s the talk for anyone who feels overwhelmed by the demands for our world.

トラベルライターのピコ・アイヤーが1番行きたい所は?どこでもありません。この直感に反する考えをリリカルに披露しながら、アイヤーは静かにする時間を持つことによって、とても深い洞察ができることを伝えます。

常に動いていて、気が散ってしまう現代社会で、1日のうちで数分、季節ごとに数日のオフタイムをとってはどうかと彼は言います。日々の忙しさに疲れている人なら誰でも耳を傾けるべき話です。

日本語字幕版です。字幕なし英語字幕にしたいときはプレイヤーの右下で調節できます。動画のあとに抄訳を書きます。

Pico Iyer: The art of stillness | TED Talk | TED.com
※TEDの説明はこちらをどうぞ⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

子どもの頃からの旅行好き。だけど1番いいのはどこにも行かないこと

私は9歳のときイギリスの寄宿学校に入りました。カリフォルニアの両親の家から、街の1番いい学校に通うよりそのほうが安いと思ったのです。

だから年に何回か1人で北極圏の上を飛行していたんです。飛行機に乗れば乗るほど旅行が好きになりました。高校を卒業してから、テーブルにモップをかける仕事について、その年、いろいろな国に行き、その後トラベルライターになりました。

チベットやハバナは素晴らしく、そうしたところに行けるのは幸せですが、正しい目で旅先を見ないとどんな場所も魅惑的ではありません。

怒っている男性をヒマラヤに連れていっても、食べ物に文句をつけるだけです。

私は、注意深く、感謝を感じることのできる目を養う1番いい方法は「どこにも行かないこと」だと気づきました。

忙しい現代社会では、静かに座りたいと思っている人は多いですね。じっとしていることは、これまでの体験を振り返り、それを未来につなげる方法でもあります。

だから、どこにも行かないのは、チベットやキューバに行くのと同じぐらいエキサイティングなのです。

1日に数分間、季節ごとに数日、人生の数年間、静かな時間をとって、どんなことに1番自分は心を動かされるのか、どこに自分の幸せがあるのか振り返り、ほんとうは今やっていることと真逆の人生が幸せなんじゃないかと気づくのは怖いことでもありますが。


静かに佇むことは昔からの教え

静かに座ることは、何も新しいやり方ではなく何世紀も前から賢人たちがやってきたことです。2000年前にストイシズムは、人を作るものは経験ではなく、その経験をもとにどう行動するかにかかっていると教えてくれました。

たとえばハリケーンに襲われた街で、家も何かもなくしたとしましょう。ある人は一生悲しんですごすでしょうし、別の人は、むしろ自由な気持ちになり、人生をやり直すチャンスだと思います。

起こったことは全く同じなのに、それに対する反応は全然違うのです。

シェークスピアが「ハムレット」で書いたように、どちらがよくてどちらが悪いというわけではありません。ただ人間の思考が、さまざまな反応を引き起こすのです。

私も似たようなことを体験しました。24年前に北朝鮮に行き、衝撃を受けました。たった数日の滞在でしたが、今でもそこで体験したことを反すうしていますし、たぶんこれは生涯続きます。

このように旅行はすばらしい体験ですが、それについて洞察するためには、静かに座って考えることが必要なのです。

私たちの人生は頭の中で起こっているようなものです。頭の中には、記憶、想像、解釈、憶測などがうずまいています。だから、もし本当に自分の人生を変えたかったら、思考を変えることから始めるのが1番いいのではないでしょうか。

くりかえしますが、このようなことは新しい考えではありません。シェークスピアもストア学派の哲学者もそう言っています。

ですが、シェークスピアは毎日200通のeメールを受け取ってはいなかったですよね。ストア哲学者だってフェイスブックなんてやってませんでした。
静寂

忙しい現代だからこそ、静かな時間が必要

今はオンデマンドの社会ですが、1番要求されている(demand)のは私たち自身です。どこにいても1日中、上司や、ジャンクメール、両親にいろいろ要求されてます。

社会学者によると、最近のアメリカ人は50年前のアメリカ人より働いている時間は少ないのに、より忙しく感じているそうです。

時間を節約できるツールを持てば持つほど、時間がなくなってしまうんですね。ずいぶん遠くにいる人にコンタクトをとれるのに、そうなればなるほど、自分自身とコンタクトできなくなるんです。

驚いたことに、わたしたちにいろいろな場所に行くためのツールを開発している人たちこそが、どこにも行かないようにしているんですよ。

つまり、時や空間のさまざまな制限を越えるためのテクノロジーを開発している人たちが、実は制限をかけるべきだと知っているのです。

一度、グーグルの本社に行ったことがあります。うわさで聞いていたものがみんなありました。室内ログハウスとか、トランポリンとか。従業員たちは、給料が支払われている時間の2割は自由時間で、そのあいだに想像力を巡らせていました。

もっとびっくりしたのは、あるグーグルの人が、従業員のために、ヨガのインストラクターになれるプログラム始めようと思っていると語ったこと。

別のグーグルの人は、インナーサーチエンジンに関する本を執筆するところだと教えてくれました。本には、静かに座ったり、瞑想すると、より健康になり、思考もクリアになり、感情的な知能もあがるといったことを科学的に書くようです。

シリコンバレーに住む、Wired(ワイアード)マガジンの創設者の1人で、最新テクノロジーの支持者であるケヴィン・ケリーは私の友だちですが、彼も、フレッシュテクノロジー(fresh technologies)に関する本を書きました。彼の家にはスマホもノートパソコンもテレビもないんです。

シリコンバレーにいるIT系の仕事をする多くの人と同様に、ケヴィンも、「インターネット・サバス(internet sabbath インターネットの安息日)を取るのに熱心です。

インターネットサバスとは、毎週24時間~48時間全く、オフラインで過ごすこと。そうすることによって、再びオンラインになったとき、どちらの方向に進むべきか、どんなふうにバランスを取っていくべきか、よくわかるのです。

テクノロジーが私たちに教えてくれないことが1つありますね。それはテクノロジーの賢い使い方です。

からっぽのスペースを持つことはぜいたくなことですよね。音楽でも、休止(ポーズ)があるからこそ、美しい曲ができあがるわけです。

私も文章を書く時、余白を残すようにしています。そうすれば読者が自分なりに、私の考えや文章を埋めてくれ、自分自身の想像力を発揮することができますから。

積極的に余白を作って人生を変えた

多くの人は別荘を持ちたいと思っています。私は持っていませんが。ですが、1日でも休暇をとれば、別荘を持つのと同じような効果が得られます。

まあ、簡単ではありませんね。

仕事を休むと、翌日たまっている仕事のことを考えてしまうので。メールチェックを何よりも優先したりして。

シーズンごとに、3日休むと、妻を置いてきたことや、会社の仕事や、友だちの誕生日パーティに出られないことが気になってしまいます。

でも、いったん静かな場所に到達すれば、こうするからこそ、あとで新鮮で創造的で楽しいことを、妻や上司、友だちと分かち合えるとわかるわけです。

休暇をとらないと、かえって迷惑なんですね。

そこで29歳のとき、「どこにも行かないこと」の重要性にもとづいて、人生をすっかり変えました。

ある夜のことです。真夜中に仕事を終えて帰宅途中、タイムズスクエアをタクシーで走っていたのですが、突然気づいたのです。自分はずっと何かと競争しているけれど、決して追いつきはしないことに。

そのときの私の暮しは、子どものとき夢見ていたのと、ほぼ同じ生活だったのですが。

友だちや上司に恵まれ、立地のいいアパートに住み、世界中のできごとに関してものを書く、素晴らしい仕事をしていたんです。

ただ、自分自身の声を聞いたり、自分は本当に幸せなのかと考える心の余裕がありませんでした。

そこで自分が夢見ていた生活を捨てて、日本の京都に住むことにしました。この場所には子どものころからあこがれを持っていました。

京都には2000のお寺や神社があり、そこでは800年以上に渡って人々が静かに座っていました。

京都の何にもない場所の2部屋のアパートに住み始めました。今も妻と住んでいます。子どもたちは独立しましたが。自転車も車もなく、私が見てわかるテレビもありません。

そんな中でトラベルライターやジャーナリストとして家族を養っていかなければならなかったので、キャリアアップとか、より文化的に刺激的な暮しになったとか、そういうことはなかったのです。

しかし、ここで暮らすと、私が最も大事にしていたことが得られるのです。何時間も何日も静かな時間を過ごせます。携帯電話を使ったことは1度もなく、時間を見る必要もなく、朝起きるたびに、新しい1日がまるで高原のように広がっているのです。

人生で嫌なことがあっても、深刻な顔をした医者がやってきたり、自動車事故に巻き込まれても、どこでもない場所にいけば、自分自身を支えることができるんだと確信しています。

私はこれからも旅行を続けます。それで食べているのですから。旅の1つの楽しみは、ふだんの喧騒から離れて、静かな時間を見るけることができることです。

西ドイツのフランクフルト行きの機内で、若いドイツ人女性と隣り合わせました。30分ぐらい楽しくおしゃべりしましたが、そのあとの12時間、彼女は静かに座っていました。

ビデオのモニターもつけず、本も取り出さず、寝ることさえしなかったのです。ただ静かに座っていました。彼女の静けさや明晰さが、私にも移りましたね。

今は、自分自身の心を見つめようとしている人が増えていると思います。ブラックホールリゾートに行く人もいます。到着するとフロントにスマホやノートパソコンを預けるんです。何百ドルも払ってね。

また、寝る前にメッセージやYouTubeを見る代わりに、電気を消して音楽を聞く人もいます。このほうがぐっすり眠れて、翌朝スッキリ目覚めることができます。

一度、ロスアンジェルスの山の裏側で、マウント・ボールディ禅センターがある場所あたりを車で通りかかったことがあります。

ここは詩人で歌手のレナード・コーエンが、フルタイムの僧侶(monk)として住み、働いていた場所です。

レナード・コーエンが77歳でリリースしたレコード、「古い考え ”Old Ideas”」が世界17カ国でチャートのトップになったもの当然だ、という気がします。

人々は、わざわざ時間を取って静かに座っているレナード・コーエンのような人たちから得られる親しみや深さを求めているのではないでしょうか。

私たちは、うるさくてごちゃごちゃした、どんどん変化していく大きなスクリーンから5センチ先のところに立っています。このスクリーンは私たちの暮しを映し出していいます。

ここから一步さがれば、さらにもっと後ろにさがってじっとしていると、このスクリーンが写しだしている物の意味がわかります。画面全体を見ることができるのです。どこにも行かないことによって、これをやっている人たちが、わずかですがいますよ。

スピード時代の今、スローダウンすることほど、うきうきすることはないですね。気が散ることが多い時代に、注意深くしていることほどぜいたくなこともないです。

皆さんが、今度パリやハワイ、ニューオーリンズに旅行したら楽しいと思います。けれども、もし元気でリフレッシュして、この世界をもっと好きになって戻りたいのなら、どこにも行かないこともいいですよ。

****抄訳ここまで****

zen

ピコ・アイヤーさんとは?

ピコ・アイヤーさんは、1957年イギリスのオックスフォード生まれ。両親はインド人でともに大学の先生です。7才のとき、お父さんがアメリカの大学で仕事をするために家族でカリフォルニアに移住。

そのあと動画でも言っていたように、イギリスのイートン校に進学。オックスフォード大学を卒業し、ハーバード大学の大学院を卒業。

その後旅をしながら、さまざまな著作を書いています。

高校卒業後にやっていたというテーブルにモップをかける仕事とはいったい何なのか、よくわかりませんが、これはアルバイトでしょうね。

プレゼンで言っていたように、日本に引っ越し、今は奈良に住んでいるようです。奥さんは日本人です。

「The Art of Stillness 平静の技法」という本が最近日本でもキンドル版で発売されました。

これはTEDブックスというシリーズの1つで、TEDトークをもとにした本の日本語版の1冊めのようです。紙の本の長さは66ページだそうですから、そんなに長くないですね。

静かに立ち止まることで人生の目的が明らかになる

アイヤーさんは、ミニマリストではないと思いますが、たくさん旅をして、いろいろな文化を体験し、それを自分で咀嚼(そしゃく)した結果、人生を味わうためには、静かにじっとして、自分を見つめることが必要なんだ、とわかったのでしょうね。

旅慣れた人は荷物がどんどん軽くなるとも言いますし。

以前も書きましたが、人間は思考しながら生きているので、内と外のバランスを取ることが必要です。

以前の記事⇒年末年始のストレス解消に「音」の断捨離が効く

まわりの喧騒に巻き込まれず、静かに自分の心に向き合ってみると、やりたいことが見えてきます。好ましくない外的刺激があったとしても、自分の人生の目的を失うことなく、強く生きられるのだと思います。

つまり平静心でいられるということですね。

Googleなど最先端のテクノロジーを開発している人たちが、積極的に休みをとり、むしろインターネットから離れて、創造力を掘り起こしているという話も興味深いです。

情報の受け取り手はそれにふりまわされがちですが、いったん発信する側、何かを作り出す側にまわると、「ふりまわされとっちゃいかん」とわかるのでしょうね。

関連:デジタル・デトックス⇒スマホ疲れしてませんか?~簡単デジタルデトックスで心の余裕をとりもどす

瞑想について⇒『必要なのは10分間の瞑想だけ』~物より心が大切です(TED)

余白を大切に

自分の心の中に下りていくということは、ふだんの忙しい時間にあえて、休止、あるいは余白を作ることです。

美しい音楽はポーズがなければ、音楽足りえませんし、文章にも余白が必要。「在る」ということは「ない」の裏返しなので、両方必要なのです。

ところが、私たちは、物があればあるほどいいんだとばかり、余白を無視して、どんどん家の中や自分の人生を物や情報で埋めています。

そんなことをしてしまうと、人生の美しさもわからず、感謝の気持ちもわかず、ストレスいっぱいで疲れるだけです。

年末年始のひととき、ちょっと時間をとって「余白」について考えてみてはどうでしょうか?そうして2016年をよりよい年にしましょう。


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