家族円満

TEDの動画

幸せな人生を送る秘訣とは?(TED)お金より大事なものがある。

今週のTEDは幸せな人生の秘密を解き明かしている動画を選びました。

精神科医のロバート・ウォールディンガー(Robert Waldinger)先生の、What makes a good life? Lessons from the longest study on happiness というちょっと長いタイトルのプレゼンです。

和訳すると、「よい人生をもたらすものとは?幸せに関する最長の研究の結果からの学び」となります。

邦題は、「人生を幸せにするのは何? 最も長期に渡る幸福の研究から」となっています。



「人生を幸せにするのは何?」TEDの説明

What keeps us happy and healthy as we go through life?

If you think it’s fame and money, you’re not alone – but, according to psychiatrist Robert Waldinger, you’re mistaken.

As the director of a 75-year-old study on adult development, Waldinger has unprecedented access to data on true happiness and satisfaction.

In this talk, he shares three important lessons learned from the study as well as some practical, old-as-the-hills wisdom on how to build a fulfilling, long life.

人生を送るとき、何があれば、人は幸せを感じるのでしょうか?

「富と名声だ」そう考える人は少なくありません。しかし、精神分析医のロバート・ウォールディンガーによれば、それは間違っています。

75年に渡る、成人発達の研究の責任者であるウォールディンガーは、真の幸福と満足に関するかけがえのないデータを持っています。

このプレゼンで、彼は、研究からわかった、充実して長生きするための、3つの、重要で実践的であり、かつ古くからある知恵を授けてくれます。

収録は2015年の11月。プレゼンの長さは12分46秒。日本語字幕つきです。字幕なしや英語字幕がよい方はプレイヤーで調節可能です。

英語も構成もシンプルなのでわかりやすいと思います。

☆トランスクリプションはこちらから⇒Robert Waldinger: What makes a good life? Lessons from the longest study on happiness | TED Talk | TED.com

☆TEDの説明はこちらです⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

どうしたら健康で幸せな人生を送れるのか?(導入)

どうしたら健康で幸せに生きられるのでしょう? 幸せな未来のために、今自分の時間とエネルギーを何に投資しますか?

最近ミレニアル対象に行われた調査によると、80%以上の人が、人生の一番の目的は金持ちになることだと答えています。

50%の人は、もう1つの目的として有名になることをあげていました。

私たちは、もっと業績をあげるために、常に、働け、がんばれ、と教えられています。

よい人生を送るためにそういうもの追い求めなければならないようです。

何をどうしたら人生がどうなるのか予測することはできません。

人生に関する洞察は、すでに生きてきた人の過去の話を聞くことから得られますが、人の記憶はあてになりませんよね。

忘れてしまうし、創作することもあります。

けれども、ある人の生涯全部を調べるのはどうでしょうか?ティーンエイジャーから年老いるまで、何がその人を幸せで健康にしているのか調べてみるというのは。

私たちはそんな研究をしました。

75年に渡る成人発達研究をした

ハーバード成人発達研究はこれまで行われた成人を追う研究では最長のものです。

75年に渡って724人の男性の生活を毎年調べました。仕事、私生活、健康など。もちろん、被験者がどんな人生を送るのか、最初は誰にもわかりませんでした。

こうしたプロジェクトはとてもめずらしいのです。時間がたつうちに被験者がドロップアウトしたり、資金が枯渇したり、研究が横道にそれたりして、たいていうまくいきません。

運にも恵まれ、根気強く何世代にも渡って、私たちはこの研究を続けました。724人のうち60人は今も健在で、研究に参加しています。ほとんどの人が90代です。

今は被験者の子供たち、2000人以上についても調査しています。私はこの研究の4代目の責任者です。

ハーバード成人発達研究はこんなリサーチ

1938年以来、2つの男性のグループを調査しています。

1つ目のグループは、リサーチを開始したときハーバード大学の2年生。第二次世界大戦中に大学を卒業し、ほとんどが戦争に行きました。

もう1つのグループは、ボストンの極貧の地域に育った少年たち。1930年代、もっとも問題のある恵まれない場所、水道もないような場所に育った子供たちです。

開始したとき、インタビューし、健康診断もしました。自宅を訪れ、両親にも話を聞きました。

彼らは成長し、さまざまな仕事につきました。社会の底辺からトップまで上りつめた人もいれば、その逆の人もいます。

調査を始めた人は、75年後、私がここでプレゼンをしてるなんて夢にも思わなかったでしょう。

被験者の生活を知るために、質問表を送っているだけではありません。

住んでいる場所で面接をし、医者から医療の記録をとっています。血液検査や、脳の画像検査もします。

子供たちからも話を聞き、被験者が奥さんと心配ごとに関して話している場面を録画することもあります。

10年前からは奥さんたちにも研究に参加してもらっています。





よい人間関係を持てば健康で幸せに生きられる

この研究の膨大なデータからわかったことは? 

お金や富、一生懸命働くことが幸せに関与するわけではないのです。

幸せで健康な人は、よい人間関係を持っているのです。

人間関係について研究から3つの教訓が得られました。

1.社会的につながっている人は健康である

第一に言えるのは、周囲とつながっている人は元気である、ということ。孤独な人は、その逆です。

家族、友達、地域の人とつながっている人ほど、幸せで健康。つながっていない人より長生きをしています。

孤独な人は、幸せではなく、中年以降、健康や脳の機能が衰え、孤独でない人に比べて、短命です。

2.人間関係の質が大切

大勢の中にいても、結婚していても、孤独を感じることはあります。友だちが多ければよい、パートナーがいればよい、というわけではありません。

重要なのは、親しい人との人間関係の質です。

身近な人と敵対しながら暮らすのはひじょうに健康によくありません。

愛情のない、争いの多い結婚生活はとても健康に悪く、離婚するより、害があります。

温かい関係の中で暮らすことは、健康を守ります。

50代のとき、もっとも満足できる人間関係にいた人は、80代でもっとも健康でした。

よい人間関係にいる人は、年をとるにつれて出てくる問題にもうまく対処できます。幸せなカップルは、肉体的に痛みがあっても、気持ちは幸せなままだと答えています。

人間関係のよくない人は、身体の痛みがある日は、精神的にもより苦痛を感じていました。

3.よい人間関係は脳にもよい

よい人間関係を持つことは、身体だけでなく脳も守ってくれます。

80代で、困った時に頼れる誰かとしっかりつながっている人の記憶は、よりはっきりしています。

頼れる人が誰もいないと感じている人は、早く記憶が衰えてしまいます。

よい人間関係とは、いつも穏やかであるとは限りません。ふだん小さなケンカが多くても、何かあったら、相手に頼れると思っているのなら、日頃のケンカは脳に影響を及ぼしません。

人間関係が無視されてしまう理由

周囲の人とよい関係を持つことが、健康や充実した生活によい、とは、ずっと昔から言われていることです。

それでは、なぜ、このことが重要視されないのでしょうか?

わたしたちは人間で、簡単な解決策を求めてしまうからです。人は生活をよくしてくれそうなもので、すぐに手に入るものが好きなのです。

よい人間関係はそんなに簡単に手に入りません。家族や友達とよい関係を作っていくことは時間がかかるし、時に大変だし、地味なことです。

終わりもありません。

もっとも幸せな老後を送っている人達は、老後、仕事上でつきあいのあった友達にかわる、新しい友だちを作った人たちです。

この研究が始まったとき、若かった被験者の多くは、ミレニアル世代の人のように、よい人生を送るためには、富や名声、業績が必要だと考えていました。

しかし、75年後、よい人生を送っている人は、家族、友だち、地域の人とよい関係をもっている人たちなのです。

人間関係をよくするには?

では、人間関係をよくするにはどうしたらいいのでしょうか?

方法はいくらでもあります。

モニターを見る代わりに、リアルに人とかかわったり、パートナーと何か新しいことを一緒に始めたり、何年も話をしていない家族に連絡をとったり。

家族間のいさかいは、こころに大きな傷を残してしまいます。

このプレゼンをマーク・トゥエインの言葉でしめくくります。1世紀以上前、自分の人生を振り返り、彼はこう書き残しました。

“There isn’t time, so brief is life, for bickerings, apologies, heartburnings, callings to account. There is only time for loving, and but an instant, so to speak, for that.

そんな時間はない。人生は短いよ。争ったり、あやまったり、悩んだり、責任を追求したりする時間は。

愛し合う時間しかない。ほんの一瞬でも。それが人生だ。

よい人生はよい人間関係で築かれます。

//// 抄訳ここまで ////

語彙の補足

millennials ミレニアル Millennial Generation 
2000年代に社会人(大人)になる(なった0世代の人のこと。通常1980年代から2000年代はじめまでに生まれた人のことをさします。

well-being 健康で安心なこと、満足できる生活をしている状態
この言葉、実によく出てきますが、訳しにくいです。「身体的、精神的、社会的に良好な状態」と説明されることが多いです。

単に「病気じゃない」「とりあえず生きている」という状態ではなく、心楽しくい、充実している、幸せな状態です。

最近はウエルビーイングというカタカナ語にもなっています。

幸せに関するほかのTEDのプレゼンの一部

人と自分は違う。マルコム・グラッドウェルのパスタソースと幸せについて(TED)

人を幸せにするのはお金ではなくフロー状態。ミハイ・チクセントミハイ(TED)

幸せは自分の心の中にある、幸せをアウトソーシングしてはいけない(TED)

幸せになる秘訣は目の前のことに集中すること(TED)

最高の人生を送るのに必要な3つのAとは?ニール・パスリチャ(TED)

ミニマリスト流、よい人間関係の作り方

動画の内容を一言で言うと、

「長い目で見ると、人を健康で幸せにするのはよい人間関係です。これは400人以上の人を75年追跡調査した結果です」

となります。

幸せな人は心が満たされています。周囲の人とよい関係を築けているからこそ、満たされているのでしょうね。

孤独にならないために、積極的に外に出て、いろいろな人とかかわりましょう、友だちを作りましょう、とよく言われます。

ですが、これは根本的な解決ではないと思います。

なぜなら、自分が孤独かどうかは、主観にすぎないからです。

そもそも、性格的に、人とかかわるのが苦手な人というのもいます。私もどちらかというと、マイペースで暮らしたいほうです。

このような、あまりアウトゴーイング(社交性に富むこと)でない人が、周囲の人とよい人間関係を築くにはどうしたらいいのでしょうか?

ミニマリストとしておすすめしたいことが3つあります。

1.他人をコントロールしようとしない

2.何でもお金や物で解決しようとしない

3.他人に対する恨みつらみを捨てる

順番に説明します。

1.他人をコントロールしようとしない

他人を自分の思い通りにしようとする人は、よい人間関係を築くことができません。

子供の将来を自分勝手に決めて、幸せになった親なんていないはずです。そんなことをしても子供に恨まれるだけ。

片付けられない家族に無理やり片付けさせようとしてもケンカになるだけです(痛い体験から語っています)。

他人の意見や生活を尊重する態度を持たないと、人間関係が壊れます。

譲り合いの精神が必要なのです。

2.何でもお金や物で解決しようとしない

ウォールディンガーさんが、人間は即効性のある解決策が好きと言ってましたがその通りですね。

すぐに簡単に幸せになりたいから、多くの人が、家にたくさんあるのに、また服や雑貨を買ってしまいます。

これは物による解決法です。即効的な解決法ですが、長い目でみると解決になっていません。

物を買うかわりに、興味のあることを学びに、カルチャーセンターに行けば、出会いがあります。

出会いは人間関係を築く出発点。

物を買うかわりに、人に借りようとすれば、当然他人と交渉しなければなりません。すると新しい人間関係が生まれたり、古い関係が活性化されたりします。

貧しい国を援助するために募金するのは、簡単な方法です。お金を出すかわりに、ボランティア活動などの直接援助をすると、現地で人間関係が生まれます。

3.他人に対する恨みつらみを捨てる

親しい人をいつまでも恨んでいると、よい人間関係を持つことはできません。

相手を許したほうがいいです。

以前も書きましたが、許すのは、自分のためなのです⇒親離れできない人が多少なりとも自立心を持つ7つの方法。 「2.(できるだけ)親を許す」のところをお読みください。

そんなに簡単に許す気になれないかもしれませんが、許さないその気持ちが関係を悪化させる、ということは知っておいてください。

========

ウォールディンガーは禅のお坊さん(Zen priest)でもあるそうで、話し方がとても穏やかです。

それとも精神分析医だから、やさしそうな、何でも受け入れてくれそうな話し方なのでしょうか?

こんな話し方ができたらいいなあ、と思いました。





気分がうつうつする人。この先どうしたらいいのかわからないと悩んだらこれを読んでください。前のページ

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