自分の中にある火

TEDの動画

自分の中にある火が、人生を動かす力になる(TED)

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今年は自分の中にある火を燃やし続けたい。

でも、どうやって火を燃やし続けたらいいのかわからない。

そんな人におすすめのTEDトークを紹介します。

タイトルは、Your Inner Fire Is Your Greatest Strength (あなたの内なる火があなたの一番の強み)。

気候運動家の Xiye Bastida (シエ・バスティダ)さんのトークです。

あなたの中で燃えている火

収録は2025年の4月、動画の長さは12分。英語を含む12か国語の字幕あり。動画のあとの抄訳を書きます。

◆トランスクリプションはこちら⇒Xiye Bastida: Your inner fire is your greatest strength | TED Talk
◆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

バスティダさんのまっすぐに気持ちが伝わるトークです。

両親から火を受け継いだ

私の両親は1992年に開催された最初の「地球サミット」で出会いました。二人はその後も、気候関連のイベントで会い続け、やがて恋に落ちました。

両親は世間で言うような「クールな親」ではありません。

気候変動について語っているのは両親だけでしたから。でもとても強い人たちで、私はその火を受け継ぎました。

誰も立ち上がらない時に、あえて立ち上がるための火です。

人生のさまざまな場面で、私は自分の中にある火の存在を感じました。

幼稚園の年中の時、水の見守り番をしました。5歳のクラスメートたちが手を洗うたびに、私が蛇口を閉めました。

大きな洪水を体験する

この火は、最悪の事態に備える力を与えてくれました。

13歳の時、メキシコ中央部にある私の故郷、サン・ペドロ・トゥルテペックという先住民のコミュニティが、洪水に見舞われました。水は私の膝のところまで来ました。

恐ろしかったのは、浸水の範囲や速さではなく、水の色と臭いでした。

南北アメリカで最も汚染された川の一つであるレルマ川が氾濫した水でした。メキシコシティを支える10の工業団地にある二千以上の工場から出た廃棄物であふれていたのです。

この瞬間、私は気候危機が単なる気候災害、つまり洪水や山火事、温暖化だけではないと気づきました。

実際は、土壌や私たちの肌が汚染されるといった、多くの不平等を拡大しています。

この洪水が転機となり、私は熱心な気候活動を開始しました。

世界中の若者とデモをする

15歳で初めて国連でスピーチをしたとき、若者が一人もいないことに気づきました。

「これは世代間で不公平なことなんだ」と認める姿勢が欠けていたのです。

その後、私は世界中の若者と、史上最大規模の気候を守る一斉行動を組織しました。

ニューヨーク市では、私と60人の子供たちで30万人規模の行動を組織し、私は光り輝いていました。

どんなときも可能性を見出す人々と一緒に歩む時、私の心はこれまでにないほど明るく燃えていました。

しかしパンデミックが起こり、運動は弱体化し、皆さんの、そして私のニュースフィードからも消えていきました。本当に辛い時期でした。

しかし、そのとき私は2つのことを学びました。

怒りや恐怖から運動しない

1つ目は、運動は怒りや恐怖に根ざしていては成功できないということです。

私たちは気候の不正に対して怒りを感じる権利があるし、気候科学のほとんどは大きな恐怖を生み出します。

あるデモをしていたとき、沿道にいた人にこう聞かれました。

「君たちは何かのために歩いているの? それとも何かに反対して歩いているの? 何かに反対して歩くのには、もう疲れたよ」。

この言葉に深く考えさせられました。生命への深い愛と思いやりから出発しなければならないと気づきました。

活動家は燃え尽きる

2つ目の学びは、多くの活動家や友人たちが、非常に早く燃え尽きてしまうことです。

不正を感じて運動に飛び込むと、私たちは、できるだけ多くのことを、できるだけ早くやろうとして、自分自身のケアをおろそかにしがちです。

17歳の時、巨大な一斉行動を組織していた最中、私は歴史の授業中に倒れてしまいました。

医師からは心悸亢進(しんきこうしん、心臓がいつも強く・速く打っている状態)だと言われ、ストレスがあるか、心臓の持病があるか聞かれました。

このとき、活動のために自分をこんな目に合わせないと誓いました。

なぜなら、活動とはそういうものではないからです。活動とは、創造性の実践であり、物事を見ながら、どうすればもっと良く、もっと公平になれるか問い続けることです。

こうした学びが、今の私につながっています。

活動を長く続けるために

大きな危機があると気づきながら、誰も気にかけていないという感覚。政府や機関が十分な対策を講じていないという焦燥感。その中で、どうやって活動を続け、関わり続けたらいいのでしょう?

私は希望のためのツールを開発しました。

実は、希望(Hope)という言葉はあまり好きではありません。

多くの若手活動家がそうであるように、私も何度も「あなたたちが人々に希望を与える」と言われてきました。でもそれは、言う側に「自分は立ち上がらなくていい」という免罪符を与えてしまいます。

希望は方向性を与える火

そこで私なりの「希望」の定義をお伝えします。

希望とは、皆さんの内側にある力、皆さんに方向性と野心を与える火のようなものです。

私の先住民コミュニティにとって、火は神聖なものです。

私たちは火を囲んで物語を語り、スウェットロッジ(浄化の儀式)を行い、そこには「火の番人」がいます。

それと同じものが、私たち一人一人の中にもあります。

長老たちは私に会うと、「お前の火はどうだい?」と尋ねます。それは「お前の信念はどうだい?」という意味です。彼らは私に、この火を明るく保つためのポイントをおしえてくれます。

捉え直す

1つ目のポイントは、リフレーミング(捉え直し)です。

私たちは何度も、気候の黙示録に向かっていると言われました。

でも私は問いたいのです。

すでに多くのコミュニティが黙示録(植民地化や強制移住による終わりの時)を経験してきたのではないか、と。

だから私は、人は黙示録に向かっているのではなく、多くの困難から、立ち上がっている(Rising)と言うことにしています。

このビジョンを持てば、私たちは真の再建に向けて学び、行動する力を得られます。私たちには回復する力があり、共有してきた歴史を活用できます。

経済システムも捉え直すことができます。

木のように、死んだり抽出されたりした時に初めて価値がつくという事実に、私はいつも衝撃を受けてきました。

私たちは、生きている状態(酸素・水の浄化・生態系の維持)が価値があるとする経済システムをまだ作り出せていません。

生態系サービスや炭素吸収源、酸素や水のろ過については語りますが、それらはバランスシート(貸借対照表)には載っていません。

生命そのものに価値を置くという挑戦をしていくべきです。

自然から洞察を得る

2つ目のポイントは、自然から洞察を得ることです。

私は、自然は非常に賢明で、人はお互いに助け合い、周りと調和しながら、バランスよく行動する必要があると教えられてきました。

しかし、自然をしっかり観察しない限り、そこから洞察を得ることはできません。

数年前、砂浜を歩いていた時、一歩ごとに足跡が砂に刻まれる様子を見ました。

強く踏みしめるほど、足跡は深くなります。

その時、私はいつも「この地球に足跡(印)を残しなさい」と言われていることを思い出しました。

でも、もし本当に深い印を残したいなら、私はじっと立ち止まって、沈み込まなければなりません。

私たちは、自分たちの印を残すことに集中しすぎて、全体像を見失い、本来行くべき場所に辿り着けていないのではないでしょうか?

自然から学ぶことで、自分と世界のつながりを感じられ、そのつながりが 「守りたい」という強い思いを支えてくれます。

想像力を持つ

3つ目のポイントは、意識して未来を想像することです。

気候の未来を語るとき、私たちはいつも「水がなくなる」「都市が凍りつく」といった暗い未来ばかり思い浮かべています。

自然と一緒に、豊かに生きる明るい未来を想像する力が足りません。

世紀末のような映画を座って見るのは簡単ですが、ポジティブな未来を想像するのはずっと難しいことです。

2050年の朝、目が覚めた時にどんな一日になるかを想像するのは大変な作業です。

私が仲間の活動家たちと過ごす最も美しい時間は、一緒に座って「もし私たちが勝ったら、未来はどう見えるだろう?」と考える時です。すると突然、未来はとても美しいものになります。

私は、孫娘を連れてサンゴ礁を見に行く自分を想像します。孫息子を連れて氷を見に行く自分を想像します。ハリケーンや山火事から逃げる必要のない世界を想像します。

私たちがつながり、私たちが今見ている素晴らしい世界を、子どもたちが同じように経験できる世界を想像します。

私は何度も「世間知らず(ナイーブ)」だと言われました。

でも、「今のやり方のままで大丈夫だ」と思い続けることが、本当の世間知らずではないでしょうか。

私はこの活動に人生を捧げてきたし、これからもそうし続けます。

私から皆さんへのお願いは、私の火を見て、それを皆さんの心に映してほしいということです。

未来が皆さんを見つけられるほど、明るく輝いてほしいのです。 人類を真に人類たらしめる火の器になってほしいのです。

最後に一つ、お伝えしたいことがあります。

私たちが何万人も集まって行進したのは、単に政府や企業を変えたかったからではありません。

エンパワーメントやコミュニティが欲しかったからでもありません。

その一歩一歩が、よりよい未来を手に入れられるという可能性を示していたからです。

皆さんも、日々の生活をしながら毎日歩んでください。

私たちが踏み出すその一歩一歩が、可能性へとつながっています。

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このトークは、気候アクティビストとしてのバスティダさんの火について語られていますが、彼女の希望に対する考え方は私たちの日常にも応用できます。

・愛をモチベーションの土台にする

バスティダさんは生命への愛から活動をしています。

シンプルライフを目指すなら、「節約しなきゃ、無駄を省かなきゃ」という否定的な義務感より、「このシンプルな空間が好きだから」「こんな暮らしが心地よいから」というポジティブな気持ちを原動力にすると、長続きし、幸福度も上がります。

・希望は能動的なもの

バスティダさんは、自分の中にある火、信念を希望と呼んでいます。それは、誰かが変えてくれるのを待つのを望むことではありません。

「今年はいい年になるといいな」とそんな状況がやってくるのを待つのではなく、「自分はどうありたいか」という小さな火を灯し続けると、人生をコントロールするきっかけになります。

状況に期待するより、自分の中にある火を確認し育てようと考えると、お正月の抱負も、より力強いものになります。

・うまくいった未来を想像する

最悪のシナリオではなく、理想の未来をありありと思い描くようにします。

失敗する、後悔すると悲観するより、「理想のシンプルライフが100%実現したら、どんな朝を迎えるだろう?」と臨場感を持って想像してみてください。

ワクワクする気持ちが、今日一日を明るく生きるエネルギーになります。

私も、シンプルライフの中にある希望を言葉にして、今年も皆さんに分かち合っていきたいと思っています。

皆さんは、どんな火を燃やしますか?

自分自身の火を守り育てて、すばらしい1年にしてください。

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