なぜ子どものものを手放せないのか? 親が捨てられない7つの理由

ミニマルな日常

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以前、読者の方から、こんなお便りをいただいたことがあります。

子どもが小学校を卒業するときに、子どもから、ランドセルを捨てないでね、と言われて大事に取ってあった。

先日、これ、どうする?と本人に聞いてみたら、もういらない、とあっさり言われた。

何年も大事に置いておいたのは、いったい誰のためだったのだろう。

実は、子どものものを手放せないのは、本人ではなく、親の側にブレーキがあります。

今日は、そのブレーキになっている7つの心理を、私の体験談も交えてお伝えします。

自分のブレーキがわかると、執着がゆるんで手放せるようになります。

1.思い出の喪失感:かわいかったあの頃まで消えてしまう気がする

子どもの作品やランドセルを見ると、当時の情景や声、表情までがよみがえります。

ものを処分すると、その時代まで一緒に消えてしまうような気がして、捨てられません。

私は、娘の小学校で配られていたアジェンダを6年分、ずっと取ってありました。

アジェンダは連絡帳のようなもので、毎日の宿題やイベントを書き込んでいきます。

低学年のころの娘の字は、ひとマスからはみ出すくらい大きくて、まるみがあって、ほんとうにかわいかったのです。

この字を見られなくなるのかと思うと、なかなか処分できませんでした。

最終的に、お気に入りのページだけを写真に残して、本体は処分しました。実は、撮った写真は全然見ていません。

大事な思い出品だと思っていても、あとで見ることは少ないのです。

⇒なぜ思い出の品は特別に感じるのか?価値を過大評価する7つの心理

2.子育てのトロフィー:がんばった自分の証(あかし)を守りたい

アルバム、賞状、子どもが手作りしてくれた贈り物は、自分は一生懸命やってきたという記録やトロフィーのように感じられます。

処分すると、自分の子育てまで否定されるようで、踏ん切りがつきません。

私は、娘が幼稚園のころに、Tooth Fairy(トゥースフェアリー、歯の妖精:抜けた乳歯を枕の下に置くと、夜のあいだに硬貨と取り替えてくれるという言い伝えあり)に書いた手紙を1枚残しています。

つたない文字で、Tooth Fairyへのお願いが書かれています。

この手紙を見ると、まだ若かった自分が、そっと枕の下に手をすべりこませていた、あのころの時間そのものです。

つまり、私が残しているのは、娘の作品ではなく、母親をしていた自分の時間なのかもしれません。

ものを残す本当の理由が、子どものためではなく自分のためだ、と気づけると、執着がゆるみ、抱え込む量を減らせます。

3.捨てる=悪い親?:勝手な罪悪感に縛られている

子どもが手作りして持ち帰ってきたものを処分するのは、申し訳ない気持ちになります。

これを捨てる自分は、悪い親みたいではないか、と思うのです。

娘が幼稚園のころ、バレンタインの工作で、ハートを抱えたクマの置物を作って私にくれたことがあります。

茶色くて、よく見ると不思議な形のクマでした。

毎年バレンタインの頃、取り出して飾っていましたが、引っ越し前に、「これ、どうする?」と本人に聞いてみたら、いらない、と即答されました。

私がずっと抱えていた、捨てたら悪い親みたい、という後ろめたさは、本人には関係のない感情でした。

手作りの作品をどうしようと悩むのは、たいていは親のほうです。

⇒子どもの作品が捨てられないあなたへ。罪悪感と片づけ疲れから自由になるヒント

4.サンクコストへの執着:高かったのだから無駄にしたくない

ランドセル、ブランドの子ども服、習い事の道具に対しては、もったいない、と思います。

その奥には、当時これを選んだ自分の判断は無駄ではなかった、と思いたい気持ちがまざっています。

国産のランドセルなら6万、7万円。

スイミングのバッグ、書道セット、ピアノの楽譜、英語教材一式と並べていけば、かなりの金額になりますよね。

買った当時の自分は、これで子どもが伸びていくと信じてお金を出しました。

みすみす全部捨てるのはあまりにもったいない。

読者のランドセルも、もしかしたらここに引っかかっていたかもしれません。

ただ、6年使い切ったランドセルは、すでに十分に役目を果たしています。

その後、ずっと持ち続ければ保管スペースの家賃を、家計から払い続けているようなもの。

6年間しっかり使い切ったのだから、その買い物が無駄ではなかったことは、十分に証明されています。

せっかくこんなに集めたから:サンクコスト効果~捨てない言い訳その5

5.未来への幻想:「いつか子どもや孫が喜ぶかも」という思い込み

取っておけば、大人になった本人がいつか喜んでくれる、孫が使うかもしれない、と思いがちです。

けれど、わが子のライフスタイルや好みは、こちらが思うより早く、大きく変わります。

私が子どものころに作った絵や、作文を、母は長い間、取っていました。

あるとき、実家に帰ったときに、これどうしようか?と見せられたのですが、気恥ずかしくて、全部、ドラム缶で焼却してもらいました(昔の日本の家庭では、庭で焼却炉を使っていい時代がありました)。

母は、娘が喜ぶだろうと残してくれたのでしょう。

私にしてみれば、過去の自分の未熟な作品を見るのは、懐かしい思い出というより、軽い拷問でした。

親が抱えているほどの思い入れを、子どもの側は持っていないものです。

この体験は、娘のものを扱うとき、いつも思い出すようにしています。

⇒子どもや孫のために残したもの、たいていはいらない

6.思考停止:あまりに量が多くて、向き合うエネルギーがない

長年ためこんだ結果、棚や押し入れが満杯になると、ひとつずつ向き合うのがおっくうになります。

もう年だし無理、と放置モードに入ってしまうのも、量に圧倒されているからです。

保育園のお便り、運動会の写真、絵、賞状、文集、卒業アルバム、小学校から高校までの教科書、習い事の楽譜。

これが箱に入って、5つも6つも積み上がっていると、ふたを開ける気にすらなりません。

まあ、いいか。いつか子どもに整理してもらう。そんな気になるでしょう。

この場合、少しずつ整理するようにしましょう。

今日は箱をひとつ、明日は棚をひと段、こんなふうに、取り組む範囲を区切ります。

山のようにあっても、コツコツ捨てればいつか終わります。

⇒毎日少しずつ片づける、15のアクションプラン。誰でもできます。

7.判断の先送り:勝手に捨てていいのか迷い、とりあえず保留している

作品や学用品は、もとは子どものものです。

本人に確認しないまま処分するのは気が引ける、という気持ちで作業ができず、そのまま何年も保留になっているケースも多いです。

子どもが独立したあとも、当時のまま部屋を残している家庭はよくあります。

いつか本人に聞いてから、と思っているうちに、5年、10年と時間は思いのほか速く過ぎます。

判断を保留しているあいだ、家のなかで一番広いスペースを、そこにいない人のものが占め続けることになります。

⇒子どものものを減らすには?無理なくできる片づけ習慣の作り方

本人に聞けば、たいていあっさり片づく

紹介した7つのブレーキは、ほとんどの場合、親だけが抱えています。

私の経験では当の本人は、当時のものに執着していません。

聞いてみるのが、いちばん簡単で、いちばん早い解決策です。

実は、私の家にも、まだそのままになっている娘のものがあります。

娘が高校の卒業パーティー(プロム:北米で行われる、正装のダンス会)で着たロングドレスは、10年経ったいまも、箱に入ったまま置いてあります。

このドレスに関しては、何度か捨ててもいいか聞きました。

しかしそのたびに捨てるなと答えました。ただ、書きながら気づきましたが、おそらく本人は、そんなことを言ったことも、ドレスの存在も覚えていないでしょう。

18歳の夜のドレスのことが、いまも娘の頭にあるとは思えません。

今度、娘に会ったときに、聞いてみるつもりです。

たぶん、ああ、もういらない、で終わるはずです(と期待しています)。

子どもの気持ちも、時とともに変わります。

いまの本人にひと言たずねるだけで、何年もため息をついてきた箱の中身をゴミ袋に入れることができます。

******

ものを手放すたびに、親は自分のなかにある執着と、少しずつお別れしているように思います。

子どもの気持ちはとっくに次へ進んでいるのに、引き止めているのは、たいてい親たちです。

手放しにくいのは悪いことではありません。

それだけ、わが子のことを大事にしてきた、という証拠です。

ただ、その大事に思う気持ちは、自分の心のなかにあれば十分ではないでしょうか?

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カナダ在住の60代。ミニマリストです。

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