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自然には、人の心を和ませる力があります。
だから、部屋に緑や花を置きたくなりますよね。
でも、置いてみたら、枯らしたり、ものが増えたりしただけで、気持ちのほうはさほど落ち着いていない。
そんな人が多いと思います。
ものの管理が苦手なら、自然は、家に持ち込まなくていいです。
外にある自然に会いに行けば、それで足ります。
私は家に植物を置いていませんが、毎日、木や空を見てリフレッシュしています。
自然でリラックスするつもりが、ものと世話が増える
観葉植物を1鉢買うと、日当たりを考えなければならないし、水やりや植え替えも要ります。
虫もついてきます。
緑を眺めてくつろぐつもりが、毎朝、葉の様子を確かめる仕事が増えるのです。
植え替えの時期には、鉢と土を買いに行き、古い土の捨て方を調べることになります。
葉が黄色くなりかけたポトスを、日の当たる窓辺に移すべきか、多少は明るい日陰に置くべきか迷います。
置き場所が決まらず、そのまま放置。
鉢が目に入るたびに、気が重くなります。
切り花は、鉢植えほど手がかかりませんが、数日で枯れます。
枯れる前から、花びらがボタボタ落ちませんか?
その始末が意外と面倒だし、毎日水を入れ替えるのも、それはそれでちょっと手間です。
私がズボラすぎるのでしょうか。
しかも、花を飾る習慣ができると、花びんを揃えたくなります。
一輪挿し、背の高いガラスの花びん、口の広い陶器の花びん。
花は数日で消えますが、花びんは残ります。
アロマも同じ道をたどります。
ラベンダー、ユーカリ、オレンジ。
気分によって使い分けようと買い足しているうちに、小瓶が並びます。
1本を使い切る前に次を買うので、少しずつ残った精油が、いつまでも減りません。
木のインテリアも、気をつけないと増えていきます。
木のトレイ、木のフレーム、流木のオブジェ。
緑や木を身近に置きたい気持ちが、それらしいものを買う口実になります。
自然を感じたかっただけなのに、いつのまにかものが増えて、かえって目にうるさい状況になるのです。
⇒観葉植物や植木を断捨離してもいいの? だとしたら、捨て方を教えて。
心を和ませる自然は、公園や街路樹で足りる
ハーバード大学医学部が運営する健康情報サイト(Harvard Health Publishing)で紹介された研究によると、1日20分ほど自然の中で過ごすと、ストレスホルモン(コルチゾール)の量が下がったそうです。
こういう効果があるからこそ、家にも置きたくなるのでしょう。
でも、自然にふれる場所は、家の中でなくてもいいです。
もともと、木や花は外にあるもの。
近所の公園、駅までの道にある街路樹、川の土手。
先ほどの研究でも、参加者が過ごしたのは、木や草があって落ち着けると自分で思う場所でした。
気分がよくなるなら、まちなかの小さな公園でも、近所の道でもいいのです。
20分なら、駅までの往復や昼休みの散歩でも届きます。
外の緑に会いに行けば、買う、置く、世話をする、枯らして手放す。どれも要りません。
外に出れば、空があり、木が何本もあり、風が吹き、日が差しています。
家に置けるのは、外にあるもののほんの一部です。
私は家に植物を置いていません。
半地下に住んでいて虫が出やすいので、土を家に入れないようにしています。
その代わり、毎日外を歩いています。
近所に木があるので、家の中に植物を置く必要は感じません。
これは、図書館と同じ考え方です。
読みたい本を全部買って家に並べなくても、読みたいときに図書館へ行けば読めます。
木や花も、所有する必要はありません。
見たいなと思うときに、外へ見に行きます。
毎日歩く時間はない、という人もいるでしょう。
歩かなくても、外の緑が目に入れば足ります。
窓から木が見えるなら、コーヒーを飲む数分だけ、そちらを向いて座ってください。
朝、玄関から出て、数分、太陽の光を浴びるだけでもいいです。
お昼を外で食べるのもおすすめです。
私は昔、名古屋港のそばの会社に派遣社員として通っていたことがあり、毎日お昼は、海を見ながら食べていました。
海をぼんやり眺めているだけで、午後の仕事の前に、気持ちが切り替わりました。
20分には届かなくても、外の緑や水を見る習慣ができると、休みの日に公園に行ってみる気になります。
⇒外に出よう:自然にふれて、もっと楽しく健康に暮らすコツ(前編)
フェイクグリーンで見た目は整うが、気持ちは休まらない
それでも、部屋に緑があったほうがいいな、と私も思います。
そこで、フェイクグリーン(人工の観葉植物)を2つ、家に置いています。
どちらもキッチンです。
すごく小さいものを、L字型のカウンターの中央に1つ。
ここはふだん調理に使わず、奥まっていて手も伸ばさない場所なので、置きっぱなしにできます。
もう少し大きいものを、反対側の壁ぎわの床に1つ。
見た目のために置いているだけで、ストレスを減らす効果は期待していません。
作りものの植物では気持ちが休まらないことは、実験で確かめられています。
千葉大学の実験で、高校生40人に、本物のパンジーと造花のパンジーを3分ずつ見てもらったものがあります。
緊張しているときに働く神経(交感神経)の活動が下がったのは、本物を見たときだけでした。
心地よい、リラックスしている、という評価も、本物のほうが高くなりました。
韓国で小学生を対象に、本物の観葉植物、フェイクグリーン、植物の写真、何もなし、の4つを比べた研究でも、リラックスできた、集中力が戻った、という結果が出たのは、本物だけでした。
緑のインテリアと、自然にふれることは、ちょっと違うのです。
本物の植物を置いて、世話を楽しめる人は、それでいいと思います。
世話が大変なら、フェイクグリーンで見た目だけ整えて、心を休める分は外でもらってください。
私の場合は、毎日の散歩で足りています。
散歩では立ち止まって、見て、聞いて、肌で感じる
すでに散歩が日課の人もいるかもしれません。ただ、歩数や時間にこだわって歩くのは運動です。
自然に会いに行く散歩は、ゆっくり歩きましょう。ときどき立ち止まって、目と耳と肌で自然を受け取ります。
まず、目で見ます。
空、葉、花の色、木の幹の模様、川の水面。
同じ道でも、日によって色が違います。
秋は、同じ木の葉が、日ごとに色を変えていきますよね。
塗り絵を始めてから、散歩中に色をよく見るようになりました。
植物だけでなく、建物の色や、壁の色までチェックしています。
見た色を、塗るときに再現することもあります。いつもではないですが。
次に、耳で聞きます。
散歩のとき、ポッドキャストやオーディオブック、音楽を聞いている人は多いと思います。
自然に会いに行く日は、あえて何も聞かずに歩くのがおすすめです。
イヤホンを外すと、鳥の声、風で葉がこすれる音、川の流れる音が聞こえてきます。
家の中では、どれも聞こえない音です。
最後に、肌で感じます。
木の下で立ち止まって、風にあたってください。
日当たりのいい道を歩けば、日ざしを浴びられます。
風が冷たくなり、日ざしが低くなって、季節が進んだのがわかります。
朝、家を出るとまだ薄暗くて、日の出が遅くなったと気づく日もあります。
最近は、朝焼けを背に歩くことが多いです。
見るもの、聞くもの、肌にあたるもの。どれも、家の中では手に入りません。
こんなふうにのんびり歩いていると、とてもリラックスできます。
⇒考えすぎて疲れたら歩こう~ウォーキングで心を整える5つのコツ
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自然を家に飾るのも悪くないと思います。
でも、一番いいのは実際に自然にふれること。
飾るのは、ものを持つこと。ふれるのは、経験です。
経験のほうは、外に出れば毎日手に入り、家には何も残りません。
シンプルに暮らしたいなら、自然に会いに行くことをおすすめします。