親にスマホを教えるなら、基本だけ伝えてあとは任せる(TED)

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同じ操作を何度も聞かれて、もう自分でやったほうが早い、と思ったことはありませんか。

今回は、シニアにデジタル機器に親しんでもらうコツがわかるTEDトークを紹介します。

タイトルは Deconstructing stereotypes on seniors’ digital literacy skills(シニアのデジタル力への思い込みを解く)。

スピーカーはAmélie Lemieux(アメリー・ルミュー)さんです。

シニアはデジタル機器を使えない、というのは思い込みだとアメリーは言います。

年だから無理と決めてかかると、うまく教えられない

収録は2018年10月、長さは6分半です。日本語の字幕はありませんが、英語の自動字幕を利用できます。

■TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

アメリーは、カナダのノバスコシア州にあるマウント・セント・ビンセント大学の教授で、リテラシー(読み書きの力)を研究しています。

専門は、人が暮らしの中でデジタル機器とどうつきあっていくかです。

教えてもうまくいかないとき、説明のしかたを変える前に、確かめたいことがあります。

年だからどうせわからない、と先に線を引いていないかどうかです。

昔から機械を使ってきた経験は、ちゃんと残っている

アメリーの父親も大学教授で、生涯学習をずっと研究してきました。

インターネットが出はじめた1996年、彼は2時間離れた街にいる同僚にメールを送りました。

まだ電話回線でつなぐ時代です。

送ったあと、本当に届いたかどうか確かめるために、父親はその同僚に電話をかけました。

こういう時代を通ってきた世代が、今デジタル機器と無縁で暮らしているかというと、そうではありません。

2015年のカナダのデータでは、65歳以上がデジタル機器を使う時間は1日およそ2時間です。

いちばん長いテレビの半分ですが、ラジオを聞く時間や本を読む時間と変わりません。

それに、これまで機械を使ってきた経験が、新しい機器の前で効いてくることもあります。

アメリーが例にあげるのは巻き戻しボタンです。

あの記号の意味は、初めて見る子どもより、年配の人のほうが見当がつきます。

代わりにやるのではなく、一緒にやる

シニアにデジタル機器の使い方を教えるとき、代わりにやってあげてはいけません。

そばで一緒にやります。

相手が今どこで困っているのか聞いて、忍耐強くつきあってください。

2017年にアーカンソー大学が行った調査では、シニアの75%が、自分のスマホやタブレットについてもっと知りたいと答えています。

知りたいのに、聞ける相手がいないのです。

アメリーは天気予報の例を出します。

テレビの前に座って自分の地域の予報が流れるのを待つ代わりに、アプリで見る。

こういうちょっとした作業から始めます。

便利になりますよ、と伝えるだけでは足りません。

新しいものに触るときの不安を減らすことが、同じくらい大事だとアメリーは言います。

アメリーの父親は、一度教わっただけでiPadを使い出した

父親の話には続きがあります。

2013年、父親は「私はマックを使う人間じゃない。この先もならないよ」と言っていました。

アメリーは、「ではためしてみましょう」と言って、誕生日にiPadを贈りました。

使い方を見せたのは一度だけです。

父親は自分でできるようになり、今も週に2回、FaceTimeでアメリーと話しています。

年を取ると機械が使えない、という決めつけは事実ではない。アメリーはそう結びます。

とはいえ、父親は今でも、メールを送ったあとに、届いたかどうか電話で確認します。

1996年から変わっていないこともあるわけです。

年齢とデジタル機器に関するほかのプレゼン

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最初の基本さえ教われば、あとは自分でなんとかなる

私もパソコンの使い方でつまずいたことがあります。

初めてパソコンというものを見たのは、会社勤めをしていたころです。

冷え冷えとした専用の部屋に、大きな機械が置かれていました。

その後、英語を習っていたスクールでパソコンのクラスも取りました。

ただ、そこで習ったのはBASICというプログラミング言語と、Windows 95でグリーティングカードを作ることで、仕事に使えるものは身につきませんでした。

アメリーの父親がメールの到着を電話で確かめていた1996年、私はカナダのコミュニティカレッジに進むことになりました。

宿題はすべてパソコンで作るのだろうと考えて、1台買いました。

でも、Wordが使えず、書類を作れません。

結局、カレッジに行く前の夏休みに、パソコンの操作を教える教室に通いました。

1回2時間ぐらいで、Windowsを立ち上げるところから習いました。

2週間の予定でしたが、そんなに必要ありませんでした。

進んだカレッジには、コンピュータ101という基本を学ぶクラスもありました。

ひと夏、教室に通っただけなのに、周りからはパソコンが得意な人だと思われ、先生に頼まれて、自分より年下の学生に操作を教えたりしていました。

当時はYouTubeもありませんから、基本は人に教わるのがいちばん早かったのです。

今は事情が違います。

最初の操作さえできれば、あとは動画を見ながら自分で覚えていけます。

最近は、AIも隣にいますしね。

つまり、シニアにすべての使い方を教える必要はありません。

電源の入れ方、文字の打ち方、アプリの開き方。

こんな基本だけ伝えればいいと思います。

そこまで教えたら、あとは口を出さず、本人にやってもらいます。

母にLINEを教えたけれど、使えるようにはならなかった

ただ、基本さえ教われば必ず身につくかというと、そうでもありません。

私の母は、インターネットをまったくやらない人でした。

里帰りするたびに、スマホでLINEやFaceTimeができるように教えました。

母のスマホにはLINEが最初から入っていて、アイコンは画面の目立つところにあります。

メッセージが届くと赤い丸が点くので、これなら簡単だろうと思っていました。

けれども、国際電話をかけるより安くすむと何度説明しても、インターネットの概念すら母には伝わりませんでした。

私は辛抱強く教えました。

ただ、私には完璧主義なところがあるので、母にしてみればスパルタだったと思います。

忍耐と共感を、というアメリーの助言からは遠かったかもしれません。

母は、その場では覚えるのですが、私がカナダに戻ると、また使えなくなっていました。

結局、いまだに母はLINEを使えません。

写真を送っても開くことができません。

でも、携帯のメールなら使えます。

母は弟の家族と同じ携帯のプランに入っていて、弟や孫とはそれで連絡が取れています。

そもそも弟も、LINEはあまり使いません。

使えるけれど、こちらが送ってもすぐには返事が来ません。

つまり、母のまわりには、LINEでないと連絡できない相手がいないのです。

教える側がどれだけ熱心でも、本人が必要としていない機能は身につかない、ということだと思います。

これができたら助かる、と相手が思っている場面を見つけて、そこから一緒にやるのがよさそうです。

母に足りなかったのは練習ではなく、LINEを使う理由のほうでした。

年齢を理由に、線を引かない

アメリーの話は、教える側に向けたものです。

でも、シニアと呼ばれる年齢になった自分にも、同じことが言えると思いました。

使えないと決めているのが、周りではなく自分だ、ということがあるからです。

私は、新しい機器やサービスが出てきたら、必要かどうかだけで決めるようにしています。

必要なら覚えます。

年を取ったからこれは無理だ、と考えたことはありません。

今でいえばAIです。

AIを使わないと損をするといったインフルエンサーの言葉は、無視しています。

自分が面倒だと感じる作業を見つけて、AIができそうなところはやってもらいます。

たとえば経理で使っているExcelは、関数をAIに書いてもらっています。

****

新しい習いごと、住まいを変えること、働き方。

もう年だからと、やってみる前にあきらめてしまうことがあります。

でも、やり方を知らないだけのことを、年齢のせいにしていないでしょうか。

気になっていることが1つあるなら、詳しい人に最初の手順だけ教わってください。

そこから先は、自分のペースで進められます。

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カナダ在住の60代。ミニマリストです。

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