スマホを見る人

TEDの動画

スマホなしで生きられるか?(TED)

スマホを使いすぎているので、ちょっとデジタルデトックスをしたい。そんな人の参考になるTEDトークを紹介します。

タイトルは、Could you live without a smartphone? (スマホなしで生きられるか?)。プレゼンターは、人々が健全なデジタルライフを送ることをサポートしている Anastasia Dedyukhina(アナスタシア・デデュキーナ)さんです。



スマホなしで生きられる? TEDの説明

Anastasia Dedyukhina ditched her smartphone, together with her senior international career in digital marketing, when she realized how dependent she had become on the gadget.

In her talk, Anastasia will explain why we feel the uncontrollable urge to check our smartphones all the time and share the valuable lessons she learned and the tips that helped her find the balance between her online and offline life.

スマホに依存しすぎていると感じたとき、アナスタシア・デデュキーナは、デジタルマーケティングでのキャリアもろとも、スマホを捨てました。

このトークで、アナスタシアは、人が、四六時中、スマホをチェックしたいと感じる理由を説明し、自分が学んだことや、オンラインとオフラインの生活のバランスをとるコツを説明します。

18分40秒。日本語の字幕はありませんが、英語の字幕はあります。

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に





スマホをチェックするのに忙しい私たち

英国にあるこの彫像は、撤去されました。スマホを使っている人が、何度もぶつかるからです。

Tecmarkの調査によれば、私たちは、1日に221回もスマホをチェックしています。起きている間の時間、4.3分ごとに。

私たちは、気をまぎらわす経済の中にいます。人がネットのページを見れば見るほど、インターネットの会社が広告を見せることができ、よりお金を稼げるからです。

私たちが、どれだけアプリを使ったか、どれだけウェブサイトに滞在するかで、ネットの会社が成功するかどうかが決まります。人がどれだけ生産的で、集中できるか、ではなく。

スマホを使うのをやめた

2年前の今頃、スマホを使うのをやめ、インターネットが使えないベーシックな電話を持つことにしました。

当時、デジタルマーケティングの会社の上級職についていたので、1週間7日、1日24時間、スマホを使っていました。

スマホと一緒に寝て、いつもチェックしていました。ポケットの中でスマホがバイブレートしていると感じたものです。ポケットのない服を着ていたときですら。

スマホを使うのをやめたことは、人生でも最良の決断の1つです。スマホをやめて、自分の時間と人生をコントロールする力をを取り戻しました。

きょうはこの体験から学んだことをお話しします。

学び1:想像以上にスマホに依存している

私たちは自分で思う以上にスマホに依存しています。同時に、自分自身で切り抜ける力ももっているとわかりました。

スマホとドーパミン

インターネットはスロットマシーンのようなものです。

ソーシャルメディアやメールに、何か新しいことがあること、つねに違うものが見つかること、そしてその発見への期待がドーパミンを放出させます。

ドーパミンを出しすぎると、依存が生まれます。薬物依存と同じです。

最初に感じた興奮は、すぐに薄れ、気分をよくするために、またスマホをチェックします。

何度もスマホを使う技術が開発されています。

ガジェットに仕事をさせすぎる

大事なことをたくさん、ガジェットにやらせているので、それに頼ってしまいます。

なんとなくわかっている場所に行くのに、Googleマップなどのオンラインのマップを、使うことはありませんか?

自分自身を信じるかわりに、スマホを使う習慣がつきます。いとも簡単に。

スマホをやめて、「ちょっとやそっとでは、ロンドンで迷わない」と気づきました。

そこら中に地図があるし、家を出る前に道を1回確認するだけで事足ります。困ったら、人に聞けばいいし。

自分にとって大事ことをたくさん、テクノロジーに、アウトーソーシングしていた、と気づきました。

方向感覚、場所やできごとの記憶など、自分を人間たらしめているものを取り戻すことができたのは、爽快な気分でした。

もう少し思考をクリアにしたい、圧倒されすぎないようにしたい、そう思ってスマホを使うのをやめましたが、思いがけず、どんなことがあろうとも、自分の道は自分で見つけることができるんだ、という気分になれたのです。

学び2:意志に頼ってはいけない

デジタルを使う習慣を変えたいなら、意志の力に頼らず、システムを変えましょう。

人の脳はとてもなまけものです。

同じことを何度も繰り返してやっていると、特定のニューロンをつなぐ鎖が生まれ、その行動が無意識の自動的な行動になります。

通知機能が、人を何度も、デバイス(スマホやタブレットなど)に呼び戻すうちに、人は自動的にそうするようになるのです。

Kahuna(モバイルマーケティングオートメーションを提供するプラットフォーム)のレポートによると、アンドロイドのユーザーの87%、iOSのユーザーの48%が、アプリの通知機能を利用しています。

この人たちは、デバイスに自分の行動を決めさせているのです。

いったんこの鎖ができあがると、自動的な行動をやめるには、時間と努力を要しますし、意志の力に頼るとうまくいきません。

このことを2度経験しました。

1度めは、スマホを使うのをやめると決めてから、実際にやめるまで5ヶ月もかかったとき。

2度めは、1年間、スマホを使わなかったあと、再び、スマホを使い始めたとき。

このとき、「スマホはあくまでも予備だ、ノートパソコンがこわれて、顧客とスカイプできないときのために持つ」と思っていたのに、すぐに、スマホを常用するようになりました。

私の脳内には、まだ鎖があったのです。

実はこのとき、すでに、デジタルデトックスを教える仕事をしていたので、ふがいない気持ちでした。

その一方で、「スマホを使うのを完全にやめたくない」と思う人の気持ちがよくわかりました。

そこで、時間と人生をコントロールする力を取り戻すために4つの原則を考えました。

タイムマネジメント、スペースマネジメント、人間関係のマネジメント、セルフマネジメントです。

4つの原則を意識すると、技術が取っ払ってしまった仕事とプライベートの境界線や、公的生活と私的生活の境界線を再び作ることができます。

時間管理:いつもつながる必要なし

常につながっていなければならない、という考えを捨てます。

技術の開発者は、みんな、とても重要だとあなたを説得しようとするでしょうが、実際は、重要なことなんてほんの少しです。

インフォメーション時代に、取り合いが起こっているのは、皆さんの注意(アテンション)です。

それは食べ物に似ています。

ほしい食べ物をみんな冷蔵庫に入れておいたとしても、それを全部食べる必要も、四六時中食べる必要もありません。

受信したいときに受信する

まず、通知機能を全部オフにしてください。メールの受信を遅らせる機能をつかって、メールにわずらわされるのを防ぎます。

特定のサイトには、特定の時間にアクセスするよう、ブロックする機能も使いましょう。

こうすれば、いつ情報を受け取るか、自分で決めることができます。

Googleの会社のAlphabetの顧問である、エリック・シュミットは、夕食の時間は、スマホのスイッチを切っています。

マルチタスクをしない

違うタブや、違うデバイスを同時に使わないでください。

マルチタスキングすればするほど、うまくできない、という研究があります。しかも、マルチタスクをするくせがつくと、なかなか、そのくせを改めることができません。

それでも、多少は、気が散るでしょう。でも、計画を立てることはできます。

仕事中に、ときどき、5分だけ気が散ってもいい時間を作ってください。ただ、仕事が一区切りついたときに、ごほうびとして、だけです。

場所の管理:静かな場所を確保

つながる場所と、静かにする場所を区別します。

街で最も高価な場所は閑静なところです。

空港のビジネスラウンジは、音、音楽、広告がありません。

静寂がとても価値があるものとみなされているのは、静かなところでのみ、人の脳が情報を処理することができるからです。

刺激がいっぱいの環境では、意識的な決断はできないし、創造性も発揮できません。

脳は、マルチタスキングをできないので、オンラインでは、いつも刺激に圧倒されています。

だから、情報を処理する場所や、休憩する場所には、デバイスを持ち込まないでください。

寝室、バスルーム、ダイニングテーブルなどには。

ベッドの隣にスマホを置くと、脳は、待ち構える状態になるし、朝一番にスマホをチェックしたくなります。

デバイスは道具にすぎません。みなさんの一部ではないのです。

のこぎりやハンマーを持ち歩くことはあっても、寝室には持ち込まないですよね。

どんな道具も、それがあるべき場所に置くものです。

私はデバイスを持ち歩かないようにしているし、使っていないときは、目に見えないところに置いています。

こうすると、チェックする気持ちにかられません。

人間関係の管理:連絡の方法をチェック

広告代理店に勤めていたとき、毎日、山のようにメールを送ってくるクライアントがいました。

彼は、私たちの仕事の進捗ぶりを知りたかったのです。

実際は、仕事をしたくても、メールを読んで返信することに時間をとられて、進みませんでした。

そこで、クライアントが、プロジェクトの進行を見ることができるダッシュボードを作りました。

作るのに1時間ほどかかりましたが、そのうち、メールが減って、ようやくまともに仕事をすることができるようになったのです。

いまだに、最適なコミュニケーションの仕方を定めるデジタルエチケットがないから、さまざまなアプリやサービスを介して、重要なメッセージが送られてきます。

だから、連絡の方法を管理する必要がありますね。

私が誰かに会うときは、予定が変わったら、テキストを送ってもらうことにしています。電話にネットがありませんから。

「いつもネットで連絡が取れるようにしておきなさい」という方針の会社に勤めていたらどうするか?

まずは、CCで大勢の人にメールを送信しないことから始めましょう。受け取るメールを減らしたかったら、送るほうも減らすべきです。

次に、こんな統計の話を上司や同僚にしてみましょう。

ハーバードビジネススクールの研究によれば、より質のよい仕事をし、生産性が高い従業員は、計画的に休憩や休みをとる人です。

上級職につく人に、メールのやりとりは、週に2時間まで、という規則をもうけた英国の会社があるし、シフトが終わったあと、30分を超えて、メールのやりとりをすることを禁止しているドイツの会社もあります。

こうした会社の話をしてもいいでしょう。

それでも、だめなときは、よその国に引っ越す手もあります。

フランスやブラジルでは、「つながらない権利」に関する法律があります。勤務時間外に、仕事に関係のあるメールを読まなくてもいい権利を守る法律です。

自己管理:本当の問題は何?

デジタルに関する行動を変える最後の鍵は自己管理です。これは、もっとも難しい部分です。

オンラインにつなぐのはやめよう、と禁止するのは役立ちません。脳は、刺激を得て、ドーパミンを出したいと思っていますから。

代わりに、べつのことでドーパミンを出す方法を考えてください。

スマホを使わないせいで、できた自由な時間に何をしたいか?

私が、なかなかスマホをやめられなかったのは、自分自身の問題と向き合いたくなかったからです。

気をまぎらすものがないと、自分が逃げていたものから逃げられなくなります。

オンラインにするのは、そうする必要があるからではありません。そうしないではいられない、内的なトリガーがあります。

自分は重要人物だと思いたいとか。うつうつとした気持ちだからとか。

ミズーリ大学の研究によれば、オンライン時間が長い人は、うつになりやすいそうです。

次に、スマホをチェックしたいと思ったら、何が、その行動を起こしているのか考えてください。

感じることや、考えることを避けている何かがあるのではないか?

人生を取り戻し、自然な形でドーパミンを得られるようになれば、自分自身から、気をそらせる必要はなくなります。

//// 抄訳ここまで ////

スマホに関するほかのプレゼン

スマホは人の思考をどんなふうに変えるか(TED)

スマホやYouTubeがクセになってしまう行動様式を知り、悪習慣を改める(TED)

スマホを使っても気が散らない技術を生み出そう(TED)

なぜスマホとの関係を見直すべきなのか?(TED)

ソーシャルメディアはやめなさい:カル・ニューポート(TED)

ソーシャルメディアはこころの健康によくないか?(TED)

「デジタルの今」をいかに生きるべきか?(TED)

買い物習慣の修正に応用するなら

スマホの利用を見直したい人に、参考になる動画ですが、4つの原則は、そまま、衝動買いや、なんとなく物を買う習慣を変えたいとき、使うことができます。

衝動買いも、それが欲しいから買っているのではなく、ドーパミンをだして、手っ取り早く、ハッピーな気分になりたいからです。

買い物で気分があがるのはドーパミンのせい。この仕組みを知って無駄遣いを防ぐ。

時間管理

チャンスがあるときはいつも買わなければいけない、という考えを捨てます。

店に入ったからといって必ず買う必要はないし、セールだからといって買う必要もありません。

年中、買い物モードでいる必要もなく、買うタイミングは自分が選べばいいのです。

場所の管理

買い物する場所と買い物をしない場所を区別します。

ちゃんと買い物をするときだけ、店に行く、ということです。

なんとなくショッピングモールで時間をつぶすのではなく、目的意識をもって、モールに行きます。

人間関係の管理

買い物好きの人のペースに巻き込まれないようにします。

買い物だけでつながっている関係は切るか、距離を置くといいでしょう。

自己管理

買い物する動機をどこまでも掘り下げます。

これについては、過去記事で何度かふれています。

たとえば、こちら⇒あなたが買い物する理由、この中にありますか? 浪費で消耗する生活からの抜け出すコツ。

・・・・ 無意識にスマホをかまうのも、なんとなく買い物してしまうのも、原始的な反応のまま行動しているからです。

知性や論理的な思考という、より人間らしい能力を発揮して、生活を管理すれば、スマホのやりすぎ、買い物のしすぎは防げます。

そういう能力をつかわないと、ますます退化して、ますます、無意識にスマホをチェックしたり、買い物をしたり、という生活をします。

ちょっと意識して自分の行動を振り返るだけで、生活は大きく変わります。

思考のくせや、自動的になっている行動パターンを変えるのは時間がかかるので、粘り強くやっていきたいですね。





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