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All Aboutでシンプルライフのガイドをしている金子由紀子さんの現在のところ1番新しい著書、「引き算する暮らし」から、物も持たない暮らしのメリットをお伝えします。
この本の文庫本は2014年1月8日に、キンドル版は2015年の8月7日に出ました。
足し算する暮らしの問題点
私のブログにアクセスする方の大半は「物は少ないほうがいいのではないか」とうすうす気づいていると思います。
しかし、まだまだ世間一般の人は、「物は多いほうがいい」「家は大きいほうがいい」「顔にはできるだけたくさん化粧品をつけたほうがいい」「洋服もたくさんあったほうがいい」「おいしいものをおなかいっぱい食べたほうが幸せだ」と、足し算する暮らしを追求しています。
問題が起きたら、すぐに何か「物」を買って解決しようとします。半ば自動的にいつもプラスしてしまうのです。
しかし、足し算を続けた結果、家の中に物があふれ、その物の管理に追われ、常に新商品を買うために貯金はたまらず、コンビニで便利な加工食品を買って食べ過ぎ、中性脂肪が増え、どちらかというと、不幸なほうへ向かっている、というのが私の意見です。
どんどん足したら、不幸になったのですから、これからは少しマイナスすることを試みるといいのではないだろうか、と思うのです。
まだまだ「持たない暮らし」を志向する人は少数派です。
断捨離している人はわりといるのですが、その一方でけっこう物を買っていますからね。
断捨離したあと、リバウンドしないためにも、金子由紀子さんが本に書いているメリットに耳を傾けてみることにしましょう。
金子さんは「引き算する暮らし」のメリットを2つ書いています。
1.心のゆとりを育てる
2.自分の意志で生き方を選ぶようになる
1つずつ私の体験を交えて説明しますね。
1.心のゆとりを育てる
物を減らすとなぜ心のゆとりが生まれるのでしょうか?
物を引き算すると、こんなことが起きるからです:
・身の回りの物へのアクセスが簡単になる
・空間がひろびろとする
・手持ちの物を大事に使うようになる
・毎日使う物の質があがるので、満足感が増える
こんな暮らしが実現するので、それまでより、おだやかで落ち着いた気持ちになります。「家の中はゆったりとした時間が流れ、心のゆとりが生まれる」というのが金子さんの意見です。
引き算する暮らしは時間の余裕を生む
確かに時間はできます。物がいっぱいある人はそれが普通だと思っていて気づかないのですが、たくさんある物の管理にずいぶん時間や気力、体力を使っているはずです。
82歳の私の母は、5つの部屋と台所と、トイレにお風呂、庭と小さな家庭菜園のスペースのある一軒家を1人で管理しています。
対して、56歳の私は、部屋3つとキッチンととバスルームだけ管理しています。夫は自分で自分の部屋を掃除するので、厳密に言うと、キッチンと居間と娘の部屋とちょっぴりある廊下と玄関のスペースしか掃除機をかけません。
庭の手入れはメインフロアに住んでいるアンディがアルバイトとしてやっているので、庭仕事もなし。
母の場合は、庭仕事が好きですし、自分で家事をしないとぼけると思うので、多少はやったほうがいいでしょう。とは言え1人であんな広い家の掃除をすることもないと思います。相当時間を使っているのではないでしょうか?
けれども母は、今さらどこか小さなスペースに引っ越したいとは全く思っていないようです。物がいっぱいあるし、40年以上住んだ家だから愛着があるのでしょうね。
引き算する暮らしはストレスが減る
空間がひろびろとすると、ストレスが減ります。それにガラクタを管理しなくてすめば、さらにストレスレベルがぐんと下がります。
以前も記事にしましたが、家にいる時間が長く、家の中にあるガラクタを常に目にしていたり、それを片付ける必要のある主婦は、ストレスホルモンであるコルチゾールのレベルがとても高いそうです。
私はこのことを動画で知りました。
UCLAの研究者が1冊の本を出しました。アメリカのごくふつうの中流のDINKSの家庭を32件選び、家の中に入って物質主義がどんなふうに生活に影響を与えているのか、社会学、人類学などの見地から調べた本です。
その本が出た時に作られた動画でストレスホルモンの話をしていました。
動画の2分27秒以降で話しています。すべて英語ですが、興味のある方はごらんください。長さは6分ほどです。
物の量が半端ではないのですが、特に持ち物の多い家を選んだのでしょうか?インタビューに答えていた人の家なんて、なかなかよさそうですね。物がなかったらさぞかし快適でしょう。
日本の場合、家が狭いですから、ここまで物は増えないと思います。それでも、狭い場所にいろいろあると、やはり神経が疲れてしまいます。
小津安二郎の映画に出てくるような家のほうが掃除は楽だし、住み心地もいいでしょうね。
2.自分の意志で生き方を選ぶようになる
引き算する暮らしは、物が家に入って来そうなとき、いろいろと考えなければなりません。
「これは必要?それとも捨てたほうがいい?」
「これはもらうべき?それとも断るべき?それとももらってすぐに捨てるべき?」
「これは買ったほうがいい?それとももう少し待ったほうがいい?」
「これ欲しいけど、置き場所あったっけ?」
こんなふうに、家の中に不用な物が増えないように、自問自答する機会が増えるのです。
足し算する暮らしをしていた時も、買い物するときは、それなりに考えていたと思います。ただそれは、
「こっちを買うか?あっちを買うか?」
「この店で買うか?あの店で買うか?」
というように、買うこと前提の選択が多かったのではないでしょうか?
物をもらうときも「何となく習慣で」とか「もらっといたほうが楽だから」という理由でもらっていたと思います。
くれると言うものを断るのはめんどくさいですから。
こんなふうに⇒モノをもらわないのも一苦労~不用品を「もらわない」ためのミニマリストの努力と工夫
そこをぐっとこらえて、常に「なるべく持たない」選択をするのが引き算する暮らしです。
暮らし全般において、惰性ではなく、自分の意志で家の中に入れるものを選ぶ機会が増えます。それがすなわち、自分の意志で生き方を選ぶことなのです。
「そんな大げさな」と思うかもしれませんね。
ですが、物をたくさん持っている、ということは多かれ少なかれ時勢に流された結果ではないでしょうか?
テレビや雑誌の広告を見て、何も考えず買い物をして汚部屋になってしまった人は、1度「引き算する暮らし」に挑戦してみてください。
意外とメンタルなエネルギーが必要なことに気づくと思います。しかし自分の頭で考えることこそが、自分の暮らしを作る喜びの源なのです。
このように引き算する暮らしは、始めはメンタルパワーが必要です。しかし、いったん「なるべく持たないこと」が習慣になってしまえば、そんなに大変ではありません。
現在の「なるべく持つ暮らし」や「いろいろ買う生活」も、結局、長年慣れ親しんだ生活習慣ですから。
モノを持たないことで、自分の好きなモノに出会える可能性も高くなります。大好きなものが100個あると、1つ1つの「好きさ加減」は100分の1になりますから。
☆「引き算する暮らし」の概要はこちら⇒金子由紀子「引き算する暮らし」の感想
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物の多さに疲れていて、なおかつ、ミニマリストみたいなのはいやな人には、「引き算する暮らし」がおすすめです。
よく人は「お気に入りのものだけに囲まれて暮らしたい」と言います。本当にこういう暮らしをしたいなら、どんどん買うのはやめるべきです。
物にこだわることで有名な石黒智子さんなんて、本当に気に入る物が見つかるまで、調べに調べて、しっかり見て、何年も買い物しません。
私にはそんな根性はないので、もっと楽な、何も考えなくていいミニマリストになりました。
ミニマリストと言えば、金子さんは「物を極限まで減らす人たち」には、わりと否定的です。
やっぱりモノはあれば便利だし、自分らしい暮らしを作っていくために、モノは大切な存在です。それに、モノを一切否定するというのは、無欲に見えて、実はモノと向き合うことから逃げている、という意味では、もしかしたら一層モノに執着していることの裏返しのようにも思えるのです。
こんなふうに書いています。
モノと向き合うのが面倒で、ミニマリストになった私は、もしかしたらモノに執着しているのでしょうか?
いつも「物」について記事を書いていますから、そういう意味ではしっかり執着しています。ですが、物をいっぱい持っていた時より、ずっと自由な心を手に入れました。