鏡を見る女性

ミニマルな日常

ものを手放せないのは、「なりたかった私」をまだ捨てきれていないから

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部屋をきれいにしたいのに、なかなかものを減らせない。本当はいらないとわかっているのに、捨てるのはもったいなく思ってしまう。

こんなとき、ものに執着しているのではなく、「なりたかった自分」にこだわっているのかもしれません。

おしゃれな私、節約する私、勉強熱心な私、若く輝いていた私。

そうした理想の姿を手ばなしたくないから、今の暮らしにはもういらないとわかっているものを、完全に捨てきれないのです。

この記事では、不用品を捨てられない本当の理由が、「手放せない自分像」にあることと、そうした自分像に見切りをつける方法をお伝えします。

1. 「高かったから捨てられない」~失敗を認めたくない私

「高かったから」「ほとんど使っていないから」そんな理由で、使っていないものをずっと持ち続けていることってよくありますよね?

持っていても使わないとわかっているのに、なぜか手放せない。

たぶん「この買い物は失敗だった」と自分で認めるのがいやなのかもしれません。

高いお金を払って買ったのに使わなかったという事実に向き合うのは、意外とつらいものです。

自分の決断を間違いだと思いたくない、無駄遣いをした自分を認めたくない。そんな思いのせいで、もういらない「高価なもの」を捨てられないのです。

けれど、そのアイテムをずっと持っていたからといって、失敗がなかったことになるわけではありません。確かに、持ち続けていれば、いつか使うときが来て、失敗を挽回できる可能性がありますが、「失敗した」と認めない限り、挽回のチャンスはないのです。

不用品を持ち続けることは、管理にスペース、時間、心のエネルギーを奪われることです。

もし今、「これは高かったから…」と思って捨てられないものがあるなら、その買い物に支払ったお金はレッスン料だと思ってください。

そして、その買い物から学びましょう。

私も、過去、文房具や本、衣類をたくさん買って捨てた失敗があったからこそ、ミニマルライフに舵を切ることができました。

人は失敗からしか学ぶことができません。

不用品を手放しながら今後のものとの付き合い方やお金の使い方を考えてください。

高かったから断捨離できない? 埋没費用はどのみち回収できません

2. 「いつか使うかも」~なりたかった自分をあきらめきれない私

買ったまましまい込んでいる英語教材、未使用のヨガマット、いつか着るつもりのワンピース。

「いつか使うかも」と思って取ってあるものには、かつてなりたかった「理想の私」が投影されていることがあります。

時間に余裕があって、日々を丁寧に過ごしている私。

英語を学び、体を鍛え、充実した生活をしている私。

きれいな服を着て、友達に囲まれて笑顔でいる私。

けれど現実には、忙しくてそのアイテムを使う機会がない。以前とは、好みや暮らしのスタイルが変わってまったく出番がない。メディアやSNSの影響で、そんな自分になりたいと錯覚しただけかもしれません。

なりたい私になるためにためこんでしまうものを、私は野望ガラクタと呼んでいます。

なかなか捨てられない「なりたい自分になるために買った物」を断捨離する方法

野望ガラクタを手放しにくいのは、捨てるのは、理想の自分になる夢をあきらめることだと感じてしまうからです。

でも、現実の今の自分を考えたとき、その理想像は本当に追い求める必要があるでしょうか?

以前も書きましたが、私は、昔、なんとなく「ミス・マープルみたいな編み物上手のおばあさんになれたらいいな」と思って、通販で編み棒のセットを買いました。

でも、よく考えると、その「なれたらいいな」は、そこまで切実ではありませんでした。

べつに編み物ができなくても、ミス・マープルみたいにならなくても、幸せに暮らすことはできます。

「なれたらいいな」は、店で、「あ、これかわいいな」と思うぐらいの軽い「いいな」でした。

私は今66歳で、たぶんミス・マープルより年上です。編み物ができなくても、ミス・マープルみたいじゃなくても、私はちゃんと日々を楽しめています。むしろ、野望ガラクタがないせいで、毎日が快適です。

野望ガラクタを捨てることは夢や目標をあきらめることじゃない。逆に夢を叶えることつながる。

3. 「思い出があって捨てられない」~過去の自分を捨てたくない私

子どもの作品、学生時代の日記、昔読んでいた雑誌やお気に入りだった服。

こうした思い出のあるものをたくさん持っている人も多いでしょう。

たぶん、それは、そのころの自分を大切にしていたいから。できれば、そのころに戻りたいから。

あのときの私は、もっと元気だった。夢があった。キラキラしていた。

今の自分が少し疲れて、自信喪失気味だと、そう感じることがあります。

思い出のあるものを手放せないのは、過去の自分を失ってしまいそうで怖いからでしょう。

でも、昔の自分は、もう役目を終えた誰かではありません。

それは、今の自分をここまで連れてきた誰か。

ものを捨てても、昔の自分は残っています。

昔使ったノートやプリントがたくさんあったら、「ああ、このころ、私はすごい頑張っていたな」と思えば、それで十分ではないでしょうか?

大事なものは心やスキルとして残っているので、ものは持ち続ける必要はないんです。

4. 「あればいつか使うから」~不安と付き合うのが苦手な私

「いまは使っていないけれど、いつか必要になるかも」と思って細々とした雑貨を取っておくことがあります。たとえば、空き箱、紙袋、ボタン、ラップ、スポンジ、試供品。

「あれば安心だ」「腐るもんじゃないし」と雑貨をたくさんためこんでしまうのは、不安を埋めるための行動です。いざというときに備えたい、困りたくない。こんな気持ちで、一生かかっても使い切れないほど量があっても、捨てたくありません。

ですが、どれだけものをストックしても、未来に対する不安が消えることはありません。

というのも、未来が不確かなものであることは変わらないし、不安は、ものではコントロールできない感情だからです。

ストック品が多いと、管理や探しものに時間がかかり、別のストレスが生まれてしまうこともあります。

幸せで安心な日々を過ごすために揃えたはずが、疲れる毎日を引き起こしてしまうのです。

実家の片付けをしたことがあるなら、持ち主が生きているあいだに使いきれなかったストック品を見たことがあると思います。

どんなにものがたくさんあっても不安はなくならない。それなら、まずその不安とうまく付き合うことから始めるべきでしょう。

5. 「もらいものだから捨てられない」~人の気持ちを優先しすぎる私

誕生日にもらったけれど趣味に合わない雑貨、実家から届いたけれど食べきれない食料品、会社の人がくれた奇妙なおみやげ、販促でもらったノベルティ。

こうしたもらいものは、お金を出して買ったものではありませんが、捨てにくいものです。

せっかくもらったのに捨てるなんて、申し訳ない。

贈ってくれた人の気持ちを無駄にしたくない。

そんなふうに考えて、使わないのに棚の奥にしまい込んでいます。

ですが、あなたにそれをくれた人は、自分が誰に何をあげたかなんて覚えていません。

たまに、贈答記録をつける人もいます。たとえば、私の10年日記には巻末に『おつきあいリスト』というものがあり、冠婚葬祭や贈答品の控えを書く欄があります。

人がこういうものを書く目的は、お返しをするためだと私は考えています。「もらったら返さなきゃ」と思っているわけです。

つまり、自分があげたもののことより、お返しをすることに意識が向いています。

だから、相手がくれたもののことをいつまでも覚えているとは思わなくても大丈夫です。

そもそも、もらったものをずっと持ち続けることが、その人の気持ちを大切にすることではありません。

プレゼントをくれる人は、「相手に喜んでほしい」「好意を伝えたい」という気持ちで贈るのであり、使わないのに義理で執着してほしいとは思っていません。

プレゼントはもらったことに感謝するだけで十分ではないでしょうか?

愛用できればそれに越したことはありませんが、物余りの今、なかなかそうもいきません。

「ありがたかったけど、私にはもう必要ない」。そう、自分の気持ちを優先して手放しましょう。

おわりに:捨てられない理由の奥にいる自分と向き合う

「高かったから」「いつか使うかも」「思い出があるから」「安心だから」「もらったから」。こう思うとき、その奥には

・失敗を認めたくない

・理想の自分をあきらめたくない

・昔の自分を忘れたくない

・不安を感じたくない

・他人の期待に応えたい

こんな感情があります。

このように思うことは悪いことではありませんが、あまりガチガチに追い求めないようにしましょう。

5つの感情は、どれも人として自然なものです。

けれど、その欲望をすべて「もの」で埋めようとすると、部屋も心もすぐにいっぱいになります。

少しずつ、自分の本音と今の暮らしに合った考え方をするようにしましょう。そうやって納得して不用品を手放せば、もっとスッキリ暮らすことができます。





宝石箱母の遺品をどう整理するか~遠方の実家での進め方前のページ

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