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読者の質問に回答します。内容を簡単に書くと、
「老前整理をしようとしていたら、母が亡くなり、遺品整理まで始まった。低周波音被害のせいで体調が悪く、ほかにも問題があり、片付けがしんどい」。
こうなります。
メールがやや長く、全部で2913文字ありました。400字詰め、原稿用紙に7枚ちょっとです。
そこで、最初の方だけ引用します。dallasさんからのメールです。
遺品整理が大変です
件名:遺品整理、老前整理と低周波音被害
こんにちは。著書を拝読し、以降ブログも拝読しております。
独身50歳手前のdallasです。
老後や死後の始末で迷惑をかけないよう50歳を目処に老(生)前整理をしたいと数年前に思い立ちました。
思い始めてすぐ、母が入院し、整理どころではなく、他界しました。
家は親名義の持ち家で、40年以上住み続けています。私は諸事情で父の面倒を見られないため、兄弟が父と遠方で暮らしております。
母の遺品整理は実家の整理でもあります。
母はあらゆる所にバラバラにため込む性質でした。
本人もどこに何を置いたか把握しておらず、安い時に買い込むようでした。
生前、片づけるように言いましたが、母は何かと理由をつけ行動せず、(段々年老いて老、実際に行動もできなくなっていました)私が片づけ、空間を作るとそこに母が物を置く、の繰り返し。
他界後、ずいぶんマシになりましたが、まだまだ片づける所があります。
私も思い出の品が出てくると残しておいてくれた母のことを思うと、懐かしさもあり、捨てがたかったりします。思い出の品が多過ぎとも思いますが。
母は多趣味で洋裁などもできるため、作品や材料も莫大にあるのですが、私も洋裁ができるので、残しておきたい物もあり、あまり減りません。
でも思い切って捨てたものもあります。
筆子さんのブログにもあったように、余命をハギレの整理で小物作りをして、楽しいかどうか、自分のしたいことかどうかを考えたからです。
同じ時間を使うなら自分の気に入った布で洋服や小物を作りたいです。
母の人形コレクション(日本人形も作っていました)や食器のコレクションなども大量にあり、子供(私達)の婚礼道具として取っておいてくれたものもあり、片付けは大変です。
1人っ子ではないため独断で捨てられない物もあり、また兄弟の荷物や父の荷物も存在し、祖母の遺品や親類の生前整理で母が引取った物もあるため、1人で複数人分の整理をしています。
ただ、父や兄弟の承諾なく勝手に処分できず、帰省して来たとき(年1,2回で2泊ほど)に見てもらえるようまとめるのが精一杯な感じです。
筆子さんのご実家もそんな感じでしょうか?
ひんぱんに帰省されているわけではないでしょうし、片付けはなかなか進まないのではないでしょうか? 滞在期間が長いそうですから、いろいろ進むとは思いますが。お母様がご存命中はあきらめているとどこかで読んだ気もします。
母も父も遺品整理はしたことがなく、その苦労を全く知りません。
実は、近所のエコ給湯器と思われる低周波音被害に遭っております。
=== 以下、略します ===
dallasさん、メールありがとうございます。
ブログと著書を読んでいただき、重ねてお礼申し上げます。とてもうれしいです。
以下に、略した部分を含めて、お便りの内容を箇条書きしますね。
体調が悪いのに物がいっぱいあって片付けがすすまない
・dallasさんは、もうすぐ50歳になる独身(たぶん女性)、実家で1人暮し。
・1人で暮らすにはこの家は大きすぎるし庭の手入れも大変なので、両親が他界したら、ダウンサイズすることになるだろうと、生前整理を思い立った。
・その矢先、母親が亡くなり、先に遺品整理をすることになった。
・40年以上住む実家には、自分の物だけでなく、母親が残した物、祖母の遺品、親類の物、別の家に住む父親や兄弟の物もあり、その量はかなり多い。
・自分は低周波音被害のため体調が悪い。
・遠い親戚の家に避難することもあり、片付けが進まない。1年かけてようやく母親の洋服の整理が終わった。
・行政が規制をして、低周波音を出すものを撤去してくれないと、自宅に住み続けるのは困難だと思う。一番断捨離したいのは、低周波音被害だ。
・現実的には、暮らしをダウンサイズして、低周波音被害のない物件を探して引っ越すのがベストかもしれない。
・しかし、引越しをすると、家賃などすべて自己負担になるため、経済的に不安だし、引越し先で、また低周波音被害にあうかもしれないので、それも心配だ。
・自宅は、終の棲家のつもりで、リフォームもしている。できるなら、低周波音被害が解決し、少なくとも足腰が弱るまではいまの自宅で暮らしたい。思い出もたくさんある。
・引越しするにしても、好きなピアノは手放したくない。マンションは楽器NGのところが多く、物件探しが難航しそうだ。
・踏ん切りのつかないことがたくさんあるが、物を減らさないと進まないと思い、片付けをしている。
・思い出の品を手放すのが苦手だ。筆子さんは、捨てて後悔したもの、ありますか?
・私自身、洋裁をするので、洋服、小物、布地がたくさんあり、自作の物は捨てられない。たとえ、今使わなくても、老後の楽しみに、手芸品は置いておきたい。
・住みやすくするために、片付けているが、低周波音被害で暮らせなくなることもあると思うと、何のためにやっているのか、むなしくなることもある。
・自分の物を老前整理したいのに、人の物の片付けに時間をとられている。自分の物だって多いのに。
・低周波音被害の中で片付けるのは本当にしんどい。
・筆子さんのブログや本が片付けの参考になっている。ありがとう。
私への質問の回答
質問が2つ書いてあったので回答します。
私の実家の片付けについて
私の母はまだ元気で、実家で1人で暮しています。よって、基本的に片付けは母にまかせています。人の家ですからね。
私の目から見ると、実家は物がすごく多いのですが、母の持ち家ですし、隣近所の迷惑になっていなければ、ガラクタに埋もれて暮らそうと、何もない部屋で暮らそうと、そこに住む母の自由です。
もう、私が手出しできるところは、全部やりきった気がします。去年は、引き出しの中を片付けるぐらいで、ほかは片付けませんでした。
引き出しの中を片付けた話⇒物の多い実家で気づいた、お年寄りの住む家で物がどんどんたまる理由。
勝手に引き出しの中を片付けましたが、あとで母に「片付けてくれてありがとう」とお礼を言われました。
カタログを止めることをすすめたりもしました⇒カタログを止めることから始めるシンプルライフ。
実家を断捨離した話はこちらにまとめています⇒「実録・親の家を片付ける」のまとめ
思い出の品について
「思い出のある品はなかなか手放せないのですが…筆子さんは捨てて後悔されたものはありますか?」
この質問の答えは
ありません
です。
「あ、あれがあったら使えたかもな?」と思うことは数回ありました。
数年前に、大きなホーローの四角い浅い器を捨てました(フタ付き)。商品名で言うと、「野田琺瑯、レクタングル浅型L」です。
パンを焼く型などにも使える、白くて大きな長方形の器です。
全然使わないから捨てたのですが、去年、塗り絵を始めたとき、「あ、あの型があったら、水彩絵の具のパレットに使えたかも?」と思いました。
ですが、捨てたことを後悔はしませんでした。代わりに、日本に行ったとき、ダイソーで透明のA4の下敷きを買ってきました。
捨ててしまうと、その物のことは忘れるし、なければないでなんとかなります。
思い出の品は、人が言うほど大事でもないし、必要もない、というのが私の考えです。思い出は心の中に残っていますから。
先進国に住む人は、物をたくさん持っていて、物がいっぱいあったほうがいいと思い込んでいる人も多いのですが、本当にそうでしょうか?
思い出の品の捨て方⇒思い出の品を捨てるのが苦手な人は、こんなふうに考えてみては?
一番大事なことを大事にしてみては?
dallasさんが、あれこれ悩み、踏ん切りがつかないのは、一番大事なことを大事にしよう、としっかり腹をくくっていないからだと思います。
いくら、手作り品やピアノ、思い出品を残しても、体調が悪かったら、意味ないんじゃないですか?
一番大事なのは、自分の命、つまり健康だと思います。
低周波音被害の実情はよく知りません。ですが、ストレスが多いとひどくなると思います。
dallasさんのメールは、ああしたい、でもこういう事情でむずかしい、こうしたい、でもべつの事情でそれも無理そう、こんな語りの連続です。アクセルを踏みながらブレーキを引いている状態です。
こういう考え方をすると、ストレスが増えると思います。
家に愛着があるかもしれませんし、きっとそれが普通なのでしょうが、私なら、家もピアノも手作り品もすべて捨てて、引越すでしょう。一番大事なのは自分ですから。
もしくは、裁判で戦って、低周波音を出すものを撤去してもらいます。どちらかに決めてはどうでしょうか?
そうすれば、片付けているとき、「こんなふうにきれいに片付けても、出ていくことになるかもしれないわね」なんて思わなくなります。
一番大事なものを大事にする、とばしっと決めて、目標を定めてください。その目標の達成に貢献しないものは、どんどん捨てればいいのです。
dallasさんの実家は2階建てで庭もあり、大きいようです。きっとお金持ちなのでしょう。
お父さんとご兄弟は別の家に住んでいるから、一家族で2つ世帯があるわけです。お母さんもそれだけの物を買うお金がありました。
お金や物をたくさん持っている人は、「手放すのが惜しい、失うのはいや」と考えてしまうものです。けれども、一番大事なものはお金でも物でもないと思います。
お金や物に執着しすぎて、一番大事なものをないがしろにしないでほしいというのが私の正直な気持ちです。それでは、dallasさん、お身体、お大事に。