タオルを畳んでいる女性

ミニマルな日常

片付けが進まないのは普通のこと。感情と向き合うと、もっと手放せる

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片付けがうまくいかないとき、感情の整理に意識を向けるともっとうまくいきます。

片付けたい気持ちはあるけど、進んだり、止まったりの繰り返しでなかなか片付かないと悩む人はたくさんいます。

家事や仕事、子育てに追われるなか、まとまった時間や気力を確保するのは簡単ではありませんよね。

でも、多くの人が見落としていることがあります。片付けは単なる作業ではなく、感情の整理なんです。

ものを手に取ったときに湧いてくる思い出、後悔、罪悪感、もったいない気持ち。こうした感情が引っかかったままだと、片付けが思うように進みません。

感情の整理を心がけると、もっと捨てやすくなります。

ものに結びついた感情のせいで捨てられない

不用品を捨てることは、「もういらないもの」を見つけて家の外に出すだけのシンプルな作業です。

でも、実際やってみると、判断するのに驚くほど時間がかかり、何も前に進まないことがよくあります。一度取り出しても、また元の場所にしまったり。

それはものに結びついている感情がとても重いからです。

たとえば、手に取っただけで昔の記憶がよみがえるもの。

買ったときの気分や、使わなかったことへの後悔を思い出させるもの。

義理や気まずい人間関係がからむもの。

ものの背後にある感情は、想像以上に、捨てることをためらわせます。

ものには、それぞれ物語があります。

それは「いつ買ったか」「どんなふうに使ったか」といった物語だけでなく、

・自分の理想像

・誰かからの評価

・過去の思い出

・「失敗したくない」という気持ち

・「ちゃんとしなきゃ」というプレッシャー

こんな、もっと心の深い部分にある物語です。

だから、捨てる・捨てないの判断は、心のエネルギーを消耗します。

判断に迷ってしまうのは、ひとつひとつのものがあなたの気持ちを大きく揺さぶるからです。





こんなものが捨てにくい

なかなか捨てられないのは、目の前にあるのが「ただの不用品」ではないからです。

たとえば、以下のようなものは背後に強い感情があるので、とても捨てにくいです。

子どもの作品や写真

子どもが描いた絵、工作、幼稚園や学校で使ったノート。

ひとつひとつに「あの頃はかわいかった」「このときはこんなふうに作っていたな」という思い出が詰まっています。

捨てることは大切な思い出を否定するように感じるので、なかなか手放せません。

友人、家族、同僚からの贈り物

昔、仲がよかった友達からもらった置き時計、母親がくれたアクセサリー、義母からもらった食器。

使わないとわかっていても、「申し訳ない」「せっかくいただいたものだし」と、感謝、義理、罪悪感、気まずさなど複雑な感情がからんで、処分に踏み切れません。

高かったのに使っていないキッチングッズ

ホームベーカリー、ジューサー、たこ焼き器など。あまり使わなくても、「お金をムダにしたくない」「いつか使える日が来るはず」という、もったいない気持ちが強く働きます。

理想の自分を象徴している服やバッグ

「いつかこれが似合う自分になる」「やせたら着る」。こんなふうになりたい自分を投影した服。

あるいは、「これを持っていれば仕事ができる女性に見える」と考えて買ったバッグ。

使わなくても、捨ててしまうと「理想をあきらめるようで悲しい」と感じるので、そのまま持ち続けます。

ストック品や「いつか使うかも」と思うもの

ラップ、洗剤、タッパー、紙袋、空き瓶、文房具、化粧品サンプル。

日用品の量がどんどん増えてしまうのは、「なくなったら困る」という不安があるからです。

感情をスルーしてつまずくパターン

気持ちに目を向けないまま、ものだけ減らそうとすると片付けはうまくいきません。

多くの人が体験するつまずくパターンを紹介します。

一気に片付けようとして挫折

休日にまとめて片付けようと張り切り、引き出しを全部ひっくり返す。ところが、途中で捨てる判断ができなくなり、疲れてやめてしまう。

感情と向き合わず、ただ捨てようとするだけだと、高い確率で途中で止まります。

捨てられない自分を責める

もっと簡単に断捨離できるはずだと思ったのに、なかなか捨てられないとき、自分を責める人がいます。

「なんで私はこんな簡単なこともできないんだろう」「また片付けに失敗した」「どうして私は片付けられないのだろう?」

自分を追い詰めると、罪悪感で先に進めなくなります。

心のエネルギーが、責めることに使われてしまいます。

見た目だけ整える

捨てにくいので、収納で解決しようとするパターンです。

棚に押し込む、ケースを買って詰め替える。

確かに収納すれば、一時的にきれいになりますが、感情の問題を無視しているので根本は変わりません。

不用品は家の中にとどまったまま。時間が経つと、また散らかります。

本当に捨てるべきものを放置する

思い出の品、贈り物、昔の作品など、感情がからみついて捨てにくいものを後回しにします。

その結果、片付ければ一番スッキリする、鍵となる不用品が手つかずのまま残ります。

こうした品物を捨てないと、なかなかシンプルに暮らせません。

気持ちを整理するためにできること

片付けを進めるためには、ものにからみついた気持ちをていねいに扱う必要があります。

以下に、感情を整理する方法を4つ紹介します。

感情と向き合ってみると、ものを捨てることは、その感情を否定することではないと気づけます。

捨てにくい理由を言葉にする

なぜ、それを手放せないのか「捨てられない」という感情のもう一つ奥にある気持ちを言葉にしてみましょう。

・くれた人との絆(きずな)を失いたくない:贈ってくれた人との関係や、過去の人間関係が大事

・がんばった自分を忘れたくない:自分が努力した、愛された証拠を残したい

・自分の価値を守りたい:これを持っている自分は有能だ、センスのいい人だと思わせてくれるものが必要

・過去に戻りたい、時間の流れを止めたい:楽しかった過去の中で生きたい、いつでも戻れるように手元に置いておきたい

・未来への不安をなくしたい、安心したい

言葉にして、自分が一番ひっかかっているものと向き合ってください。

手放せない自分を否定しない

捨てられないのは、片付けが苦手だからでも、自分がだめだからでもありません。

ただ、ものに思い入れが強いだけです。逆に言うと、ものや自分を大事にしているせいかもしれません。

自分を責めるのではなく、「大事だったんだな」「いまはまだ手放せないんだな」と、今ここにある感情をそのまま受け入れましょう。

それが果たしている役割を考える

捨てにくいものには、何かしら自分にとって、役に立つ部分、つまり役割があります。

・安心させてくれる

・自信のなさを隠してくれる

・理想の自分になれる気がする

・誰かとのつながりが感じられる

捨てられないアイテムが果たしている役割を考えると、その役割を別のものに託せないか考えることができます。

感情と事実を分ける

感情と事実を切り離して考えてみると、ものに対する思い入れが和らぎます。

感情を持つのは悪いことではありません。ただ、事実と混ざると捨てる判断をしにくくなります。

感情:高かったから捨てられない
事実:いまは使っていない。役割を終えている。置いておいてもお金は返ってこない

感情:捨てたら失礼な気がする
事実:相手はその後の使い道まで気にしていない、贈ったことなどすっかり忘れている

感情:思い出を手放すみたいでこわい
事実:ものはなくても、思い出は記憶として残る。思い出すきっかけが欲しいなら写真で十分

感情と事実を分けてみると、罪悪感が和らぎ、冷静に判断できるようになります。

◆関連記事もどうぞ:

ものに感情移入しすぎる5つの理由~ものと少し距離を取るすすめ。

捨てられない思い出の品を手放す7つの小さな儀式

ガラクタに紐づいている感情を切り離して、今度こそ汚部屋をきれいにする。

おわりに:片付けを通して自分と向き合う

なかなか捨てられないのは、自分が片付けに向いていないからではありません。

少しだけ、ものに思い入れが強いからです。

捨てにくいものが出てきたら、ものを通して自分と向き合うタイミングが来た、と考えましょう。

ものには、過去の価値観や、自分でも知らずに背負ってきた期待がひもづいています。

ひとつひとつ捨てながら、いまの自分が大切にしたいことを見つけていきましょう。





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