汚部屋な台所

実家の片付け

親と一緒に断捨離するとき、もっとも重要なこと。

義理のお母さんの台所の片付けに関する読者の質問にこたえます。

自分のやり方でよかったのか? という内容です。

ご質問に答えつつ、親のものを一緒に捨てるときに、一番大切なことをお伝えします。

もっとも重要なこと。

それはコミュニケーションです。

親は、自分ではないのですから、話し合いをしながら捨てないと、人の物を勝手に捨てることになってしまいます。

これは、よくありません。では、まずメールを紹介しますね。ぴよこさんからです。



義理母に頼まれて片付けていたが、もう来なくてよいと言われた

件名:また教えてください。

以前に古新聞でも家族のものは捨ててはいけないのかご相談したぴよこです。

すぐに的確にお答えいただいてありがとうございました。

夫の古新聞は増える一方ですが、ラスボスではなかったので、コツコツと自分の不用品の処分を続けています。

おかげ様で押し入れの半分が空きましたが、まだまだ捨てきれない過去の趣味の手芸用品が残っています。

義理の両親が、昨年から体調を崩して1年近く入退院を繰り返していましたので、その間に食べ物の賞味期限が過ぎてしまい、処分を頼まれました。

冷蔵庫の中を頼まれて、パンパンだった冷蔵庫がほぼ空の状態になり、今までは使いかけの同じマヨネーズやわさびのチューブが3本ずつあるような状態でしたので、これで取りたいものがすぐに出せる、と義母も喜んでいました。

それで、台所のシンク下なども頼まれて、ここ数ヶ月、毎週末に掃除に通っていました。

そこで発見したのは、大量のゴキブリのふんです。

そこに保管されていたのは、たくさんの段ボールに詰め込まれた、わりばし、ビニール袋、ひも、スーパーで買ったお総菜などの入っていたプラスチックトレーなどです。

今まで腐った食べ物に関しては捨てても文句をいわなかった義母ですが、ビニール袋や割りばし、トレー、ひもなどは置いておくように言います。

ですが、ふんまみれですし、実際に虫もいました。

衛生上悪いから、必要なら買ってきますから、と言って捨てました。

そうしたところ、翌週は、毎週片付けるのは疲れたから来なくてよい、と連絡がありました。

片付けると言っても、実際に動いているのは私です。義母は椅子に座って見ているだけです。

高齢の義母にはゴミ出しも大変だろうと思って、ゴミも私が持ち帰っています。

やはり、虫や虫のふんまみれのものでも無理に処分するべきではなかったのでしょうか。

義母の気持ちを推測しても仕方ないので、疲れたのか、そうか、私も疲れたから休ませてもらおう、と考えるようにしていますが、もっと義母のおいておきたい理由を聞くべきだったのか、と考えてしまいます。

気持ち悪い話で本当にすみません。





筆子の返事

このお便りに対して、私は、こう返答しました。

■トレーなどの入った箱に関して

お義母さんの意見を無視して、無理やり処分したんですか?

お義母さんが、捨てることに同意されたのなら、問題ないと思います。

お便りには、「 衛生上悪いから、必要なら買ってきますから、と言って捨てました」とあり、その時のお母さんの反応が書かれていません。よって、このあたり、私にはわかりませんが。

■お義母さんの気持ちについて

おっしゃるとおり、他人の気持ちはわからないので、気になるなら、お母さんに、面と向かって聞いてみてはどうでしょうか。

本当に疲れたのかもしれませんよ。

肉体的な疲れではなく、嫁と一緒にいて気疲れした、という可能性もあります。

このメールに対して、ぴよこさんから返信をいただきました。

意見を聞く前に捨ててしまった

早速にお返事いただきありがとうございました。

少し補足させていただきます。

虫を見つけて動揺したこともあり、義母の様子見たり意見を聞く余裕もなく捨てました。

捨てる前にちょっと見せて、と言っていたけれど、義母のいる場所まで虫がいるかもしれない段ボールを持っていくのが嫌なのと、ちょっとでも見せると、今までのパターンからすると間違いなく置いておく、と言うのでそのまま捨ててしまいました。

(今までちょっと見せたものはすべて置いておくと言って、賞味期限が2~3年程度過ぎた乾物、缶詰は置いています。いつか元気になったら、お客さんが来た時に使うそうです。

食べ物だけでなく、昔ペットボトル入りのお茶がなかった頃に、駅弁なんかと一緒にあった水筒のようなプラスチック容器のお茶の入れ物が懐かしくて見せたら、置いておくとなりました。)

先日、義母に捨てすぎたか聞いたら、「私なら捨てられない物でもばさばさ捨ててしまうから、何にもなくなってしまった。でも、自分では何年かかってもこんなにたくさん捨てられないから、これでよかったって考えるようにしているの」と言っていました。

最後の「これでよかった」を受け取っておこうと思いますが、本当によかったのかな、とつい考えてしまいます。

人の物を勝手に捨ててはいけない

ぴよこさん、補足のメール、ありがとうございます。

以前、古新聞に関する質問の返答にも同じことを書きましたが、人の物は勝手に捨てるべきではありません。

古新聞の記事をもう一度読んでください⇒夫がためこんだ古新聞を捨ててはいけないの?←質問の回答

虫を見て、気が動転したのはわかります。ですが、今度、似たようなことがあった必ずお義母さんに見せて、どうしたいのか聞いてください。

虫がわいていようと、悪臭がしていようと、血まみれだろうと、見せて命にかかわらない物なら、見せてお義母さんの意見を聞くべきです。

しかも、この時、お義母さんは「ちょっと見せて」とぴよこさんに頼んでいます。見せてあげるべきでした。

お義母さんのところに箱を持っていかず、スマホで写真を取り、それを見せて、指示をあおげばよかったですね。

お義母さんに「捨てようと思う物」を見せると、いつも「捨てないで」と言う、というのは見せない理由にはなりません。

その虫だらけのトレーの入った箱、ぴよこさんの物じゃないのですよ。

それに、いくら物をため込むのが好きなお義母さんでも、さすがに、ごきぶりのふんまみれの割り箸を見せれば、「わあ~捨てて、捨てて!」という反応をするんじゃないですか?

見せるとき、「ふんがこんなにあるということは、今後、ゴキブリが大量発生する可能性があります」とか、「ふんを放置すると、ふんに付着した細菌に感染するかもしれません。お義母さんは、病気療養中だから要注意です。とくに、今のような夏場は」と教えてあげたら、尚よかったです。

するとお義母さんは、「ああ、物をいつまでも持ってると、こんなことになってしまうんだ。もう、こんなにたくさん台所に古い物を置いておくのはやめよう」と、考えを改め、断捨離が加速したかもしれません。

ぴよこさんは、その機会を逃してしまいましたね。

自分と他人は違う考え方をする

人間はみな、自分の都合のよいように考えています。1人ひとり住んでいる世界が違うのです。

「虫がわいています」と言葉で言われたとき、すごく小さい虫(古本の間にはさまっているような)のドライな死骸が、2~3匹転がっているところを想像する人もいれば、大量のウジ虫が、くさりかけた食べ物の上を、うようよとうごめいているさまをイメージする人もいます。

私は小さいときうじ虫を見たことがあるので、「虫がわいています」と聞くと、必ずその光景を思い浮かべます。

裏山でジャムのびんを見つけ、何気なくふたを開けてみたら、うどんのように太ったウジ虫がうようよ。「ぎゃーっ!」となり、そのままそのビンを放り投げました。

この時のことは、いまでもよく覚えています。裏山でジャムのビンを持って突っ立っている自分の姿や、ビンの中身の様子を。

このような体験のある人は、強烈な反応をするかもしれませんが、ウジ虫をしっかり見たことがない人は、そうでもないでしょう。

言葉だけで伝えたので、お義母さんは、「たいしたことない。ちょっと洗えばまだ使える。捨てるなんてもったいない」と思っていたかもしれません。

いくら、「新しい物を買ってきます」と言われても、お義母さんにとっては、これまでためこんだ物の代用にはなりません。

家にガラクタをためている人は、皆そのガラクタ(本人はガラクタとは思っていない)に、感情的なつながりを持っています。

このつながりを、理由もなく、いきなり他人にばさっと切断されたら、ショックで傷つくのです。

コミュニケーションを取りながら捨てる

親のものを一緒に捨てるときは、捨てる前も、捨てている時も、まめに話し合いをしてください。

捨て始める前に、なぜ断捨離をするのか、断捨離をするとどんなメリットがあるのか、しっかりお義母さんに伝えて、本人に納得してもらわなければなりません。

お義母さん自身が、断捨離したあとの、今よりちょっとよい世界について、ちゃんとイメージを持てていれば、「捨てられて迷惑」とは思いません。

片付けている最中は、面倒でもひとつずつ、「これは捨てていいですか?」と聞いたほうがいいです。

もしかしたら、「ああ、これは昔若かったときに、酒屋さんにおまけでもらった器なのよ。あの頃はね、こんなことがあってね…」と思い出話が始まるかもしれません。そんなときは、とことん、語らせるべきです。

語るだけ語ったお義母さんは、「もう50年も前の話よ。もういいわ、これ捨てても」となるのです。

私の経験では、思い出の品が喚起する思い出をしっかり思い出して、言葉にすると、その「思い出の品」を捨てやすくなります。

多くの人は、「これは思い出の品だから」と何も考えず、箱の中に押し込むだけです。しまいこまれたままだと、思い出の品としてすら機能しません。

そうした物をひっぱりだして、実際に、思い出す作業をすると、つきものが落ちたように、「もういいか」となります。

物を捨てない人は、ふだん物と向きあって考えるなんてことは、全然しません。だから、1つひとつ対峙させて、考えてもらうべきなのです。

人の断捨離を手伝うときは、「とにかく捨てたい」という自分の気持ちより、その人がより暮らしやすくなるよう、手助けする、という気持ちを優先したほうがいいです。

その結果、大量の物が残ったとしても、それはお義母さんの選択です。ぴよこさんはその結果を受け入れるべきです。

そうすれば、「本当によかったのかな?」とあとで悩むこともないでしょう。

親の家の断捨離について、たくさん記事を書いています⇒「実録・親の家を片付ける」のまとめ

余談ですが、ぴよこさんのお義母さんのお宅の台所は、ゴキブリにとって快適な環境になっていそうなので、一度徹底的に掃除して、エタノールなどで消毒したほうがいいですよ。

*****

このブログの読者の多くは、物を捨てることに抵抗がない人、もっと捨てたいと願っている人、捨てたいけど、捨てられないから捨ててもいいという許可(捨てるメリットとか)を探している人です。

そのような人たちにとって、ごきぶりが集まっている形跡のある割り箸やトレーは、明らかにガラクタです。

けれども、世の中にはそうではない人もたくさんいます。

親の断捨離を手伝うときは、この点を忘れるべきではないのです。





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