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不安や心配ごとは人生に付きもの。
漠然とした不安に振り回されず、行動に変える方法を教えてくれるTEDトークを紹介します。
タイトルは How to manage life’s risks like an engineer(人生のリスクを、エンジニアのようにマネジメントする方法)。
テクノロジーの専門家として35年以上のキャリアを持つ、キャサリン・カルバー(Kathleen Culver)さんのトークです。
不安をリスクとしてとらえ直し、現実的に対処するためのリスクマネジメントの考え方を教えてくれます。
心配ごとをエンジニアのように扱う
収録は2025年6月、TEDxMontclairにて。動画の長さは13分51秒です。
■TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
カルバーさんの話し方はとてもゆっくりで、英語が得意でない方にも聞き取りやすいトークです。
不安なことはリスクと考える
カルバーさんが14歳のとき、父親が突然亡くなりました。
家庭環境が大きく変わり、高校時代を通じて、いろいろな不安をひとりで抱えながら過ごしました。
雪道でも自転車をこぐなど、不安と折り合いをつける方法を自然と身につけていったそうです。
後にBell Labs(アメリカの有名な技術研究所)に就職し、リスクマネジメントという分野に出会います。
自分が感覚でやってきたことに名前があったと知ったのです。
不安や心配があるとき、それをリスクとして考えることが重要です。
リスクとして考えると、次の4つのステップを使って整理できます。
1. 心配を言葉にする(State the Worry)
まず、気になっていることを言葉にします。
ぼんやりした不安を、できるだけ具体的な言葉で表します。
2. 起こる可能性を見積もる(Assess its Likelihood)
次に、その心配ごとが実際に起きる可能性はどれくらいかを考えます。
高いか低いか、大まかでかまわないので見積もります。
3. 影響を思い描く(Visualize Impact)
もしそれが現実になったとしたら、日常にどんな影響が出るかを具体的に思い浮かべます。
最悪の場合、何がどうなるのか、できるだけ具体的に考えます。
4. だから何?と聞いてみる(Ask ”So What”)
もしこれが現実になったとして、それがどうした?と自分に問いかけてみます。
これは心配ごとを軽んじるための問いではありません。
自分の人生全体を考えたとき、この心配がどれほどの問題を秘めているか、冷静に見直すためのステップです。
人生という大きな枠で見てみると、思ったより大したことではなかった、と気づくことが多い、とカルバーさんは言います。
4つのステップを踏んだら、改めてそれが起きる可能性と影響の大きさを見直します。
どちらも低ければ、それは流してよいリスクです。深追いせず、成り行きに任せます。
可能性も影響も高いと感じたなら、次に必要なのは行動です。
リスクが大きいと感じたら、2つの行動を準備する
可能性も影響も高いリスクへの対処は、2種類あります。
1つ目は 予防策(Take Preventative Action)、そのリスクが起きる可能性を下げる行動です。
2つ目は、万一の備え(Plan a Fallback)。起きてしまったときのための準備です。
トークの中で、カルバーさんの妹の話が紹介されます。
妹は11月に大きな手術を受け、2週間後にはクリスマスディナーを自宅でホストする予定でした。
体力が戻っていないのに、料理や片づけをこなせるか不安でした。
カルバーさんと一緒に4つのステップで整理し、2つの行動を考えました。
・予防策:成人した息子たちに料理と片づけを頼む。
妹は疲れていることを打ち明けるのをためらっていたけれど、思い切って相談しました。
・万一の備え:事前に招待客に「途中で休憩が必要になるかもしれないけれど、その間は息子たちが対応するから心配しないでほしい」と伝えておきました。
当日、妹は途中で休憩しましたが、クリスマスの食事は無事に終わり、みんなが満足して帰っていきました。
いつものやり方は少し変わりました。それでも、家族と一緒にクリスマスを楽しむという、一番大切にしたかったことは守れたのです。
備えがあると、当日何かが起きても焦りや罪悪感が少なくなります。
//// 要約ここまで ////
不安と上手に付き合う:関連するトーク
同じテーマが気になる方は、以下の記事もごらんください。
人生の転換期に不安になったら:霧の中を進む3つのヒント(TED)
断捨離の不安もリスクのひとつ
このトークに出てくる心配ごとをリスクとして考えるやり方は、片づけにも使えます。
所有品を見直していると、いつか使うかもしれないという理由でなかなか手放せないものがありますよね。
私はそうしたものをたくさん捨ててきました。
時間ができたら読もうと思っていた本や文房具、趣味に関するもの。最近の例で言えば、塗り絵本、色鉛筆も捨てました。
どれも使えるかといったら、もちろん使えます。ただ、実際には何年も眠ったままでした。
こうしたものを捨てるとき、トークのやり方で整理するとこうなります。
前提となる心配は、使いたくなったときに手元にないことです。
ところが、それが起きる可能性は低いです。何年も手をつけていなかったのですから。
影響もたいしてありません。代わりになるものはあるし、本なら図書館を利用できるし、また買うことも可能です。
「だから何?」と聞いてみると、困らない、という答えが出ます。
これは流してよいリスクで、実際、私は何も困っていません。
たくさんの本や、使わない趣味用品がなくても、日常の楽しみは何も変わっていません。
捨てたら本当に困るものは、思っていたよりずっと少ないものです。
思い出の品はどう扱うか?
写真や手紙、子どもの頃から大事にしているものなど、一つしかない品を捨てる不安はもっと大きいですよね。
こうしたものを手放す不安をリスクと考えると、次のようになります。
管理したいリスクは、処分したら二度と見られなくて、あとで悲しくなるかもしれないことです。
起きる可能性は人によって違いますが、高いとしましょう。
影響も大きいと言えます。思い出の手がかりが消えてしまうのですから。
「だから何?」と聞いてみると、後悔するかもしれない、という答えが出ます。
可能性も影響も高いなら、行動が必要です。
私がおすすめする予防策は、いきなり全部捨てず厳選することです。
たとえばそれがアルバムに貼った写真なら、似たようなものの中から一番重要なものを残します。
備えとしては、形を変えて残す方法があります。
たとえば、スマホで写真を撮っておく、文章に記録しておく、家族や友人に渡すなど(必要になったら家族に見せてもらう)。
こうした対処をしておくと、うまく捨てられると思います。
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先が見えない不安はいくら考えてもなくならないし、人によっては増幅します。
不安をリスクとして整理すると、次に何をすればいいのか見えてきます。
結局、問題を解決したいときに必要なのは、頭の中だけで考え続けることではなく、何らかの行動なのです。
それは考え方を変えることかもしれないし、特定のアクションを取ることかもしれません。
いずれにしても、頭の中で考えているだけでは何も変わりません。不安に飲み込まれる前に、小さなリスクとして扱って、少しずつ手なずけていくことをおすすめします。














































