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明らかに使えないものを親が捨てないという悩み相談をいただきました。この記事で回答しますね。
まず、メールを紹介します。差出人はみなこさんです。
壊れているのに
件名:親が壊れた家電を処分させてくれない
70代の親が学生時代のラジカセや扇風機、30年以上前に買って今は壊れたホットカーペットなど処分費は私が払うからと感情的にならないように気を付けて話しても子供が口を出さなくていいのと取り合ってもらえません。
捨てたらもったいないでしょ。と。
どう説得すれば納得してもらえるでしょうか?
弟も修理すれば直るかもしれないし捨てたらもったいないよな、と私サイドの考えは通りません。
みなこさん、こんにちは。お便りありがとうございます。
みなこさんは、過去4度にわたって記事でアドバイスし、直接メールでも返信した方ですよね? 正直、私のアドバイスは以前書いたこととそこまで変わらないと思いますが、初めて相談に回答するというスタンスで返信します。
◆みなこさんの質問に回答した記事◆
クレジットカードで物を大量に購入し倉庫にため込む両親をどうにかしたいなら。 2023年11月。
両親のお金の使い方について子供が口出しするときの心得。 2023年12月。
心配ごととどう向き合うべきか?~たとえば、両親の浪費に関することとか。 2023年12月。
自分のお金ストーリーを書いて、お金を使うことに対する罪悪感を解消する。 2024年2月
実は、みなこさんの置かれている状況が多少なりともわかったほうが、回答しやすいです。
たとえば、
・親と同居しているのか、それともときどき実家の片付けに帰っているのか?
・親のものを捨てたい理由は何か?
・これまでの私の回答を読み、どんなことをしてみたか? それはうまくいったか、いかなかったか?
・みなこさんの属性(何歳ぐらいで、働いているのかなど)
属性を書くのは抵抗があるかもしれませんが、そういうことがわかったほうが、より、みなこさんの状況に合った回答が届くと思ってください。
ちなみに、ラジカセや扇風機は、みなこさんのものでしょうか? それともお母さんのものですか?
私は今66歳で、学生時代(といっても長いですが)に、ラジカセを使っていましたが、それは50年ほど前の話です。そのラジカセをいまだに持っているとは考えにくいので、みなこさんのものだと仮定して回答します。
ホットカーペットや扇風機は家族で所有していると想定します。
親の立場に立ってみる
最初に、なぜ壊れたものを捨てないのか、親の気持ちを想像してみると、交渉しやすいと思います。
私は、壊れたものはさっさと捨てるほうですが(実際、先日、壊れたデスクトップをすぐに捨てることにした)、そうでない人もたくさんいます。つまりお母さんはみなこさんと別の考え方をしているだけです。
今70代の人が育ったのは、ものが豊かではなかった時代です。
ラジカセも扇風機も、ホットカーペットも、簡単に手に入りませんでした。そもそも、親が子どもの頃は、そんなものはなかったでしょう。
こうした家電は、お金をため、じっくり考え、ようやく買ってきたのではないでしょうか? そんな背景があれば、「壊れていても捨てるなんてもったいない」と感じるのは当然かもしれません。
また、その家電に思い出が詰まっていることもあります。私には想像しにくいのですが、何年も冬の寒さをしのいだホットカーペットに深い愛着がある人もいるかもしれません。
さらに、年齢を重ねると、変化を避ける傾向が強くなります。自分の持ちものを他人にあれこれ言われることに、強い抵抗感を持つ人も多いです。「子どもが口を出すな」と言われるのは、そのせいかもしれません。
「修理すれば使えるかもしれない」という考えも、ものを大切にしたい世代の価値観としては自然なことです。昔は、壊れたら直して使うのが当たり前。捨てて買い直すという発想自体が贅沢でした。
こうした背景を踏まえると、「壊れているのになぜ捨てないの?」というイラだった気持ちも、少し収まるかもしれません。
説得を試みるまえに、親が手放さない理由を理解して、「その気持ちはわかるけど、でも~」という感じで対話をするといいでしょう。
自分の気持ちを伝える
みなこさんは、感情的にならないように気をつけて話をしているそうですが、みなこさんの意図がお母さんに全然伝わっていない可能性があります。
「これは壊れている。処分費用は私が出すから捨てて」と言われても、親は、「は? でも、これまだ直せば使えるし。そもそも、なぜいきなりそんなことを言い出すの?」と思うんです。
だから、どうして処分したいのか、親が納得できる理由を提示してください。
たとえば、
・使っていないものが場所を取っていて、掃除がしづらい
・古い故障中の家電があると、怪我や火災が心配だ
・一緒に過ごす空間を少しでも快適にしたい
・将来、親に代わって片付けを引き受ける立場として、不安がある
こんな感じです。ただ単に、邪魔だから捨てたいなら、捨てずに、物置などに置いておけばいいので、説得力のある理由を出してください。
このとき、「私にはこういう気持ちがある」と率直に話しましょう。
もし同居しているなら、家(特に共有スペース)に置くものについて、成人した子どもが意見を言うのは当然のことです。離れて暮らしていたとしても、親の生活が心配で、「こうしてほしい」と子どもが望みを言うのは、ごく普通のことです。
相手の気持ちと同じぐらい自分の気持ちも重要なので、互いが考えていることを率直に話し合える機会をもうけてください。
現実的な落とし所を見つける
親がみなこさんの意見にがんとして同意しないなら、妥協点を見つけるようにしましょう。
邪魔にならない場所に移す
処分を前提にせず、「とりあえず別の場所に移しておこう」と提案してみます。
「今すぐ捨てるわけじゃない」と伝えると、親の抵抗は和らぎます。
押入れや納戸、段ボール箱などに、処分したいものをまとめて、「年内にもう一度一緒に見よう」と保留期間を設けるといいでしょう。
そのまま1年たったとき、「使わない現実」に親も気づくかもしれません。
修理の見積もりを取る
親も弟も「直せば使える」と言っているのだから、実際に直して使えばいいでしょう。
すでに新しいものを使っているなら修理する意味がありませんが、修理代の見積もりを見せれば、捨てたほうが安上がりということに気づいてくれるかもしれません。
リサイクルや寄付に回す
捨てることに罪悪感がある親世代は、リサイクルや寄付といった言葉のほうが受け入れやすいです。
「〇〇の団体が引き取ってくれるそうだよ」「まだ使える部品があると助かるらしいよ」など、手放すことが無駄ではないという情報を伝えて、処分を促しましょう。
思い出の品は写真で残す
数十年前に使っていたものは、たとえ実用品でも、なつかしい思い出の品になっていることがあります。そんな時は、写真に撮って、記憶を引き出すきっかけを残すと、本体を捨てやすくなります。
古いものを見ると気持ちがなごみますが、実際問題として、私たちはすべての思い出の品を持ち続けて生きることはできません。というのも、ものはかさばって場所を取るし、管理の手間も生じるからです。
思い出も大事かもしれませんが、今と未来の生活だってそれと同じぐらいか、それ以上に重要です。思い出はこころの中にあるので、生活空間を圧迫するほど持たなくても大丈夫です。
第三者の力を借りる
家族の言うことは素直に聞けなくても、専門業者や行政職員の話には親は耳を傾けるでしょう。
たとえば、「この型番はもう修理ができないそうだよ」とか「粗大ごみとして月末に出せるらしい」といった客観的な情報を伝えると、親は処分する気になるかもしれません。
相手ががんとして受け付けないときは?
世の中には、「どんなに言っても聞いてくれない」「異常なほどものに執着している」家族もいます。
思い出が詰まっているとか、もったいないとか、そういった理屈抜きで、「ただ絶対に捨てたくない」もしくは「子どもの言うことは絶対に聞きたくない」と強い拒否感を示すケースです。
ここまでくると、家族という関係の中ではどうにもできないかもしれません。
そんなときは、「自分がすべて何とかしなければ」という思いを手放してください。
その人の持ちものは、その人の人生の一部であり、本人に選ぶ権利があると割り切りましょう。
親の持ち物のせいで、あまりストレスを感じないようにします。必要なら、少し距離を置く、同居している場合は生活スペースを明確に分ける、役所や福祉の相談窓口を頼る。こんな方法を取りましょう。
変えられない相手に執着して疲れるより、自分の暮らしを整えるほうにフォーカスしてください。
親も自分もだんだん年を取っていくので、状況が変わり、親が捨てる気になる日を待ってください。
それでは、みなこさん、これからもお元気でお過ごしください。
◆関連記事もどうぞ
⇒親がものを捨てないときどうやって説得するか~親世代と片付けを進めるコツ
⇒人を説得する方法はあるか?断捨離を邪魔する家族との対話の進め方。
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読者の質問に回答しました。
みなこさんのような悩みを抱えているとき、自分がシンプルに暮らしていると親を説得しやすいので、いつもシンプルライフを心がけてください。
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