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スマホを使うようになってから目が疲れやすくなった。そんな人の参考になるTEDトークを紹介します。
タイトルは、3 tips to preserve your vision (視力を維持するための3つのコツ)
眼科医で特にドライアイの治療が専門のパム・セリオさんのトークです。
視力をキープするには?
収録は2025年の1月、動画の長さは9分23秒。英語ほか7カ国語の字幕あり。動画のあとに抄訳を書きます。
◆TEDが初耳の人はこちらの記事に説明あり⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
目が大事だと思っているわりにはケアしない
歯と目、どちらを失うのが嫌ですか?
10人のうち7人は、聴覚や嗅覚、味覚を失うことより、視力を失うことのほうが怖いと答えます。
私たちはみな、歯を磨く習慣があります。
けれど、視力をとても大切に思っているにもかかわらず、目のケアはおろそかにしてしまいがちです。
私は眼科の専門家として、これまでに12万642回も、患者さんから「視力をよくするにはどうしたらいいですか?」と尋ねられました。
そこでシンプルで実践的な目のケアの方法を考え出しました。
今夜、最低ひとつは、視力改善に役立つ具体的なヒントをお持ち帰りいただけるはずです。
視力に関心を持った理由
私が視力に強い関心を持つようになったのは、高校時代のときです。
クロスカントリーのシーズンが終わる頃、コーチが私たちに「スタント・ロードの坂を走って登れ」と言いました。
頂上にたどり着いたとき、目の前に広がる景色に圧倒され、世界のてっぺんに立ったような気持ちになりました。
視界は果てしなく広がり、太平洋さえも見渡せました。
私はその景色に息を呑み、まるで時間が止まったかのように、その瞬間を心にとどめました。
その日、私はもう一つの気づきを得ました。
それは、「人々が生涯にわたってよい視力を保てるように、目のケアのサポートをする」という自分の使命です。
私たちは、目を通して人生のかけがえのない瞬間を体験します。
赤ちゃんの初めての笑顔、大切な人との視線の交わり、美しい夕焼け——
ものがはっきりと見えるということは、単に視覚情報を得るだけではありません。
それは、人生と真にかかわり合うことでもあるのです。
それにもかかわらず、成人の10人に1人は、過去5年間で一度も眼科検診を受けていません。
患者のマリアのこと
視力のケアに対する考え方を大きく変えるきっかけとなったのは、マリアという患者さんでした。
彼女はテクノロジー業界のリーダーで、スマートフォンと職場に並ぶ複数のモニターを使いながら、1日に14時間もデジタル機器を使っていました。
その結果、目は赤くただれて刺激に弱くなり、視力は不安定になり、締切にも間に合わなくなっていたのです。
屋外では目が赤くなって涙が出るため、濃い色のサングラスなしでは娘のサッカーの試合さえ楽しめず、マリアは恥ずかしいと思っていました。
彼女は大きなストレスを抱え、転職しなければならないという不安に怯えていました。
そんなマリアの悩みを聞いて、私は気づきました。
もっと早く、予防していれば、彼女の目を守ることができたのではないかと。
ほんの少し日常の習慣を変えるだけで、彼女のつらさを軽減できたかもしれません。
これがきっかけとなり、私は健康な視力を保つためのフレームワークとして「アイズメソッド」の開発を始めました。
増えるドライアイの問題
実は、こうした悩みを抱えていたのはマリアだけではありません。
私のクリニックには、同じような問題を抱える人が何人もいました。
多くの人が「少し目が疲れているだけ」と軽く考えていますが、実際にはこれらの症状は、目にダメージが生じているサインです。
私たちはデジタル機器を使っているとき、まばたきの回数が1分あたりたった7回にまで減ります。
リラックスしているときには、通常1分に22回まばたきしています。
まばたきは、目の表面に薄い涙の膜を均一に広げて、なめらかに保ち、クリアな視界を確保するためにとても重要です。
まばたきを十分にしないと、まぶたの中にある油分を分泌する腺が詰まり、目が乾燥し、視界がぼやける原因になります。
この問題がどのくらい広がっているのか気になって、私は文献を調べてみました。
その中で見つけたのが、2024年のビジョン・ヘルス・レポートです。
この報告では、フルタイムで働く800人を対象に調査が行われ、半数の人が少なくとも目の健康問題を一つは抱えていることがわかりました。
そしてその問題のうちの3分の2は、生産性に悪影響を及ぼしていました。
日常的に目をケアしよう
今こそ、目のケアを優先することが求められています。
私たちは、歯が抜けてから慌てて歯磨きを始めるなんてしませんよね?
それと同じで、深刻な目のトラブルが起きるまで待つのではなく、日頃から目にしっかり注意を向けるべきです。
すぐに実践できるテクニックをご紹介する前に、ひとつ簡単なエクササイズをしてみましょう。
これから皆さんにやっていただくのは、まばたきをせずに目を開け続けることです。
まずは目を2、3回しっかりまばたきして、準備してください。
では、目を開いたままにしますよ。
1、2、3、4、5、6、7、8、9、10。
どうでしたか?
目がヒリヒリしたり、焼けつくような感じがしませんでしたか?
もう少し我慢して、涙が出てきた人もいるかもしれませんね。
何秒まで我慢できたでしょうか?
正常な状態であれば、10秒間はまばたきせずに目を開けていられるはずです。
もしそれよりも早くまばたきが必要になったら、あなたの目はすでに乾燥しており、今すぐケアを始めるべきサインです。
目の健康を守るアイズメソッド
幸いなことに、目をサポートするための簡単な習慣がいくつかあります。
私は「アイズメソッド」と呼ばれる方法を、クリニックの患者さんにも、オンラインコミュニティのメンバーにも紹介しています。
このメソッドは、科学的根拠に基づいた目をケアするテクニックです。
ここでは特に、デジタル環境で目を守るための3つの方法に絞ってご紹介しますね。
1.準備(Prepare)
作業を始める前に、まず作業環境を整えましょう。
画面のまぶしさ(グレア)を減らすために、照明の位置を調整してください。
次に、画面の明るさを調整してコントラストを高めると、見やすくなります。
そして、デバイスの位置を少し下に向けて配置すると、自然な目線になり、目の負担が軽減されます。
2.実践(Perform)
作業中は、こまめに休憩を取り、意識的にまばたきをするようにしましょう。
まばたきをすると涙が目全体に行き渡り、潤いを保つことができます。
3.保護(Preserve)
作業が終わったら、目をしっかり休ませる時間を確保してください。
質の高い睡眠をとると、目が回復し、翌日のパフォーマンスに備えることができます。
この3つのステップを意識するだけでも、目への負担が大きく軽減されます。
現代のライフスタイルが目によくない
毎日私は、視力のパフォーマンスを奪っている最大の犯人を目の当たりにしています。
それは、スピード重視で画面に囲まれた、現代のライフスタイルそのものです。
現代の暮らしは、私たちの目に、これまで想像もしなかったような負担をかけています。
したがって、目のケアを日常の優先事項にするという、ほんの小さな決意が、未来の視力を守る大きな一歩になります。
まずは、眼科検診の予約を取ることから始めましょう。
デジタル機器で作業をするときには、先ほどの3ステップを思い出してください。
準備、実践、保護です。
たった数分のケアを毎日続けるだけで、赤く痛んでいた目が、澄んで心地よい状態へと回復した例を私は何度も見てきました。
ぼやけて不安定だった視力が、くっきりと安定するようになるのです。
たとえばマリア。
今では仕事で成功し、昇進も果たし、娘さんと一緒に夕日を見に出かけるなど、人生を心から楽しめるようになりました。
もし私たち全員が、目のケアを大切にするようになったら、どんなにはっきりした視界が広がることでしょうか。
視力の可能性を制限しているのは、あなた自身です。
今日から目を大切にしましょう。
そうすれば、あなたの視力は一生続いてくれるはずです。
//// 抄訳ここまで ////
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歯磨きは毎日ちゃんとするのに、目のケアはしているか?
こう聞かれると、意外にしていませんよね。
私は歯が悪いので、歯の健康には神経を使っています(治療にものすごいお金が出ていくため)。
でも、目も大事にするべきだと、このトークを見て改めて感じました。
単純に考えて、目は歯よりずっと数が少ないですから。
モニターを何時間も見る生活は、明らかに目によくありません。
私は職業がらパソコンの前にいることが多いので、人一倍気をつけなければ、と思います。
実際、先月、15年ぶりぐらいに眼科医に行きました。
幸いどこも悪くないと言われましたが、この状態を維持するために、目を働かせっぱなしにしないよう心がけています。
たとえば、仕事中はこまめに休憩を取ったり、寝る前、1時間はデジタル機器は見ないようにしたり。
私達は、見なくてもいいものを長時間見て、必要以上に目に負荷をかけているのではないでしょうか?
この記事が、目をいたわる生活のきっかけになればうれしいです。