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最終更新日: 2019.04.22

生産性をあげるためのより人間的なアプローチ:クリス・ベイリー(TED)

ページに広告が含まれる場合があります。

 

仕事が忙しくて、部屋を片付ける時間がない、という方の参考になるTEDの動画を紹介します。

タイトルは、A More Human Approach to Productivity(生産性をあげるための、より人間的なアプローチ)。

プレゼンターは、生産性のエキスパート、クリス・ベイリー(Chris Bailey)さんです。



生産性をあげる人間的なアプローチ:TEDの説明

Chris Bailey has been obsessed with the subject of productivity for more than a decade. In this talk, he argues that productivity doesn’t have to feel cold and corporate—and that it’s possible to get more done every day without hating the process.

Drawing from a decade’s worth of research, as well as his yearlong productivity project, Chris argues that the best way to become more productive is to manage our time, attention, and energy better.

In addition to sharing this more human approach to productivity, Chris concludes by providing 5 practical ways we can all get more done every day.

クリス・ベイリーは、10年以上生産性にこだわってきました。

生産性は、冷たくて、企業に関係あるものである必要はないし、そのプロセスを呪うことなく、日々、よりたくさんのことができる、とベイリーは言います。

彼は、10年かけたリサーチと、1年間の生産性プロジェクトから、生産性をあげるベストの方法は、時間、注意、エネルギーをうまく使うことだと伝えます。

生産性に対する、より人間的なアプローチに加え、毎日、もっとたくさんのことができる5つの現実的な方法を聞きましょう。

プレゼンの長さはおよそ17分です。字幕はありません。動画のあとに抄訳を書きます。

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

私のテーマは生産性をあげること

私にはおたくの気質があり、これまでいろいろなことに熱中してきました。宇宙論や瞑想とか。瞑想はもう6、7年やっています。

ですが、私がもっとも興味があることは、生産性です。生産性といっても、ビジネスシーンでの生産性ではありません。

日々、限られた時間を、どれだけ有効に使うか。これが、私のいう生産性です。

どうしたら、自分にとって意味のあることをする時間をもっととれるのか、ということです。

人生で、もっと深く追求したいのが生産性であり、大学を卒業してから、もう10年ほど生産性を研究しています。

卒業したとき、いくつか仕事のオファーがありましたが、自分がもっともやりたいことは生産性の研究だから、生産性をリサーチすることにしました。

さらに、これまで研究してきたことを、数字で表したいと思い、ある年、生産性について調べる生産性プロジェクトをやってみました。

生産性について書かれたあらゆる本を読み、専門家にインタビューをしました。





自分を実験台にして生産性を研究

この年、自分を実験台にして、どんなことをしたら、生産性にどんな影響があるか調べました。

TEDトークを70時間視聴

たくさん情報を得たらどうなるか考え、1週間にTEDトークを70時間見てみました。

296のTEDトークです。休憩しているときや昼寝しているとき、瞑想しているときに見てみました。

取り入れた情報を維持できるかどうか調べたのです。

スマホの使用は1日1時間

いまは、常につながっていて、気を散らすものが多いから集中するのは難しいと言われています。

そこで、スマホを使うのは1日に1時間だけ、というルールを決め、3ヶ月続けました。

最初の数週間はつらかったのですが、その後は、集中力、創造性、生産性、すべてがアップしました。

孤立して暮らしてみた

周囲の人々が生産性に影響を与えるかどうかも調べました。

10日間、完全に1人で暮らしました。人々との交流を遮断したのです。

その結果、仕事に打ち込んだり、やる気を出すには、人々の存在は不可欠だとわかりました。

そもそも生産性をあげたいと思うのは、ほかの人がいるからこそです。

週に90時間働いた

長時間働いたらどうなるか調べるため、1ヶ月間、週に90時間働く実験をしました。

ある週に90時間働き、翌週は20時間働き、その次は90時間、その翌週は20時間と、時間を変えてやってみました。

朝5時半に起きてみた

「早起きは三文の得」ということわざがあります。これが本当かしらべるために、3ヶ月間、朝5時半に起きました。

大嫌いな実験でしたね。無理やり、分を慣らすまでに3ヶ月かかったし、自分は5時半に起きると、むしろ生産性が落ちるとわかりました。

この体験から、別のリサーチをして、起きる時間よりも、起きたあと、何をどれだけするかで、生産性が決まるとわかりました。

筋肉の量を15ポンド(6.8キロ)増やした

心拍数があがると、より生産性があがるし、エネルギーもわきます。そこで、生産性プロジェクトをしているあいだに、筋肉の量を15ポンド増やしました。

24週間で本を1冊書いた

このプロジェクトが終わったとき、1冊の本にまとめ、大きな出版社から出版できるチャンスを得ました。

30週間で書いてくれ、と言われました。

出版社は、30週間は、かなり短い時間だと考えていましたが、あえて私は、24週間で書くという挑戦をしました。

1週間に35時間瞑想をした

忙しくリサーチをするあいまに、35時間瞑想をしました。

生産性と瞑想の深い関係

瞑想は生産性に影響を与えます。

この10年、生産性を研究してきましたが、そのうち6~7年は、瞑想もしてきました。

生産性と瞑想は、一見、対立しているもののようにも見えます。

できるだけたくさんのことをやるのが生産性だとしたら、瞑想は、何もやらないことですから。

認めたくないことですが、生産性プロジェクトを始めて、数ヶ月は、瞑想を全くやりませんでした。

生産性をあげることにフォーカスしたかったからです。

ですが、瞑想をやめたとき、いくつかのことに気づきました。

ストレスが増えた

まず、ストレスが増えました。特に、最初の数ヶ月、来た仕事を断って、誰も自分のサイトに訪れなかった時期は。

いまは、私のサイトに、もっとたくさんの人が訪れてくれますが、当時は、恋人と家族が見ていただけです。

ストレスが増え、それが生産性に影響を与えました。やる気やエネルギーがなくなって、仕事をやめて充電するタイミングが、わからなくなりました。

集中できなくなった

集中できず、気が散ることが増えました。そのため、時間を無駄にしました。集中できなかったので、同じことをやるのに、より時間がかかりました。

自動的にする仕事が増えた

仕事を自動的にすることが増えました。

私の生産性にもっとも影響があったのがこれです。

重要な仕事に、意識的に取り組まず、目の前の仕事に自動的に反応していました。一歩さがって、どうやったらもっと生産性があがるか、考えることができなかったのです。

太った

おまけに体重も増えました。

数年前、瞑想したり、意識的に食事をして、40ポンド(およそ18キロ)やせたのに。

こんなことがあったので、週に35時間、瞑想する実験をしたのです。

瞑想をしてみたら起きたこと

座って呼吸に意識を向ける瞑想をしたり、歩きながら足に意識を向ける瞑想をしたり、意識的に食事をしたり、意識的に用事をこなしていきました。

すると、最初は、生産性が落ちた気がしました。前より、忙しくなくなったからです。

しかし、同時に、瞑想をするときの落ち着きを仕事にも反映させました。自分が何をやっているのか考えながら仕事をするようにしたのです。

仕事をする時間は減ったのに、以前より仕事に意識をむけ、エネルギーを注ぐことができました。その結果、この週は、たくさん執筆することができ、瞑想するのに使った時間を取り戻せました。

これは、生産性をあげたいとき、重要なことです。

生産性に関する本を読むのに時間を使ったあと、実際に生産性をあげて、その時間を取り戻さなければなりませんから。

生産性に関係ある3つのもの

このプロジェクトをやってみてわかったことは、生産性をあげるために重要なのはタイムマネジメントだけではない、ということです。

時間(time)

もちろん、よく言われるように、時間管理も大切です。しかし、ほかにも重要なことがあります。

注意を向けること(attention)

ひとつは、注意を向けることです。集中すればするほど、短い時間で仕事を終えられます。

気がそがれなければ、そがれないほど、仕事に打ち込むことができ、フローのような状態に入って、没頭できます。

エネルギー(energy)

仕事にそそぐエネルギーも重要です。午後の1時や2時に疲れ切ってしまったら、生産性はあがりません。休憩をして、元気を取り戻すべきです。

おもしろいことに、プロジェクトをしているとき、インタビューした人が話したことは、時間、集中、エネルギーの3つのどれかにあてはまりました。

生産性はこの3つが合わさったものだと思います。

やりたいことをどれだけやれたかが、重要

どれだけ忙しいか、効率的であるかは、生産性には関係ない、ということが、瞑想の実験からわかりました。

重要なのは、どれだけなしとげたか、です。

さらに、最初に、自分がやろうと思ったことを、どれだけできたか、がポイントです。

海岸で横になって、のんびりリラックスする1日を送ろうと思って、そうできたら、それはとても生産性があった、と言えます。

仕事をしっかりする日にする、という意図があり、報告書を提出したり、面接をしたりすれば、それも生産性のあった1日です。

生産性の高い1日にするために、最良の方法は、時間、集中、エネルギーという3つの要素をうまく使うことです。

生産性をあげる5つのコツ

最後に、より人間的に生産性をあげるための、具体的なコツをお伝えします。いろいろな実験をした生産性プロジェクトから私が学んだことです。

1)3ルール (rule of 3)

1日の始まりに、その日が終わったとき、やり終えていたい3つのことを考えます。

ものすごくシンプルなことですが、この3つを考えると、何が大事で、何が大事でないか区別することができます。かかる時間はほんの数分です。

2)1度に1つのことをする

その瞬間、できるだけ少ないことに意識を向ければ、より生産性はあがります。意識があちこちに散らばらないからです。

やることが少なければ、レーザー光線のようにフォーカスできます。

1度に1つずつやれば、より意識的に取り組めます。

3)エネルギーを高める

その日、どれぐらいエネルギーがいるか考え、あらかじめ高めておきます。

ごく、あたりまえのことで、常識ですが、常識となっていることを、そのとおりにできることが少ない世の中です。

身体にいいものを食べたり、1日に数回、心拍数をあげたり、しっかり睡眠をとったりしてエネルギを培います。

4)インターネットを断つ

生産性プロジェクトの最中に出会った、パフォーマンスの高い経営幹部は、インターネットを必需品(necessity)ではなく、よいもの(nicety)と考えていました。

彼らはほかの部分に意識を向けていました。インターネットをすることが、もっとも重要な仕事ではないからです。

重要なのは、新製品を開発したり、世界を変えたりすることです。

インターネットをやっている時間の47%は、先延ばしをしている、という統計があります。ネットをやっていると、ものごとをやるのに2倍時間がかかる、ということです。

何かを行うとき、特に、その日やりたい3つのどれかをやるときは、インターネットを切ると、より生産性があがります。

5)ぼんやり夢想する

すばらしいことを思いつくときは、仕事をがりがりしているときではありません、

シャワーをあびていると、突然アイデアがわいたりします。電話を持たず、自然のなかをぼんやり散歩しているときに、面白いことを思いつくものです。

ぼんやりしているときに、頭の中の点がつながります。

頭の中には、つながるのを待っているたくさんの点があります。ぼんやりモードじゃないと、点がつながらないのです。

意図が大事

現代における生産性は、今日お話したようなものであるべきだと思います。

そこに意図があって、求めているものを手にするために、しゃかりきにがんばる必要がないもの。

そもそも、生産性が大事な理由は、時間に限界があるからです。

時間、集中、エネルギーをうまく管理できれば、もっといろいろなことができます。

特に、自分のやっていることに意図があるときには。

//// 抄訳ここまで ////

単語の意味など

shoehorn  狭いところに無理やり押し込む shoehorn は名詞だと、靴べらです。

tandem  連携(相互依存)関係にある物や人。

tandemは、縦につないだ2頭の馬のことや、馬が2頭、縦並びになっている二輪馬車のことです。2人乗りの自転車もtandemです。

hunker down  真剣に仕事に打ち込む

flow like states  フロー状態のような状態、没頭している状態

フローとは?⇒人を幸せにするのはお金ではなくフロー状態。ミハイ・チクセントミハイ(TED)

become toast  負ける、破滅する、だめになる

confluence  合流、流れ、集まり

nuggets of wisdom  知恵のかたまり

クリス・ベイリーさんの、The Productivity Project は翻訳本が出ています。邦題は「世界一の生産性バカが1年間、命がけで試してわかった25のこと」です。

生産性に関係のあるほかのプレゼン

時間がないんじゃなくてやる気がないだけ。大事なことに時間を使う方法(TED)

マルチタスキングはやめてモノタスキングをしよう(TED)

自分の時間を増やす方法:ロリー・バーデン(TED)

集中力は人生に不可欠な能力(TED)

集中できる人の脳とできない人の脳は何が違うのか?(TED)

気持ちの整理をするために、紙に書き出そう:ライダー・キャロル(TED)

ただ忙しいのと生産的であることの違い(TED)

毎朝、その日やりたいことを書き出してみる

仕事や家事、育児で忙しいから、部屋の片付けができない、という相談をときどきいただきます。

そういうときは、無意識のうちに、片付けじゃないことを優先しているわけです。

それが、自分の意図にあっているなら、ストレスも感じないでしょう。

そこで、まず、自分の意図を洗い出してはどうでしょうか?

いまの自分が本当にがやりたいことは何なのか、やりたいことを調べてみるのです。

ベイリーさんが言っていたように、その日のうちにやりたい3つのことを毎朝考えるといいと思います。

私も、毎朝、今日これだけはやりたいと思うことを3つだけ出しています。

ポイントは3つにしぼることです。あれこれ手を出して欲張ると、うまくいきません。

刺激を受けるのはほどほどにする

時間、注意、エネルギーの3つをうまく使うと生産性があがる、とベイリーさんは語っています。

この3つをうまく使うのにもっとも重要なのは、よけいな刺激を受けないことだと思います。

現代、問題になっているのは、インターネット(スマホ)によってもたらされる、絶え間のない刺激(情報)です。

刺激を受けるたびに、気が散りますし、ぼんやりする余地(余白)がありません。

デジタルデトックスなどをして⇒スマホ疲れしてませんか?~簡単デジタルデトックスで心の余裕をとりもどす

あえて、刺激の少ない生活をしてみてください。

きっと、前より、片付けに使う時間が増えます(片付けをする意図がある場合に限りますが)。

*****

生産性をあげる本を読むのに時間を使ったら、そのぶん生産性をあげて、その時間を取り戻すべき、とベイリーさんは言っていました。

断捨離もそうですが、情報を取ることにばか時間を使って、実際にやるべきことに着手できなければ、意味がないです。

情報があふれる今だからこそ、気をつけたいポイントです。





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