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阿部絢子(あべあやこ)さんの、「モノ・人・お金 自分整理のすすめ」という本をキンドル版で読みましたので感想をお伝えします。
50代、60代の、老後を見据えた暮しにシフトしなければならない人、すでに老後のさなかにいる人に向けて書かれた「人生の整理の仕方」を書いた本です。
阿部絢子さんのプロフィール
阿部絢子さんは1945年生まれ。長らくデパートの消費生活アドバイザーをしながら、家の中の整理整頓や収納、効率のよい家事、掃除の仕方といった生活術を雑誌などのメディアを中心に提案してきた方。シンプルライフ系のお片づけ本も出していて、持たない暮し、小さな暮し、スローライフげテーマの著書もあります。
筆子が片付けにこっていたころ、阿部さんのことを雑誌でちょくちょく見かけました。
こちらの記事にも彼女が登場した雑誌『クロワッサン』の「お片づけ特集号」を紹介しています⇒持たない暮しをめざすなら、ぜひマスターしておきたいボールペンを使い切るコツ
上記の『クロワッサン』では、物がいっぱいある家に阿部さんが出向き、どんどん片付けていく記事がのっていました。そのやり方は、ばっさばっさとたいへん男前な仕事ぶりでした。
阿部さんは家事全般のエキスパートで、環境問題にも精通しており、職業訓練校や、大学で講師もしていました。ズボラ主婦で、どんな家事が苦手な筆子に、「とにかくすごい人や~」という、キラキラしたイメージを放っていたものです。
そんなあこがれにも似た気持ちを持っていましたが、阿部さんの本を読むのが今回が始めて。内容にひかれたのと、キンドル版があったので買ってみました。
「モノ・人・お金 自分整理のすすめ」の内容
内容を一言で書くと、「豊かな老後を生きるために、自分整理をせよ」というお話です。
年を重ねてくると、体力、気力がなくなってくるから、これまでのような生活を続けるのは、現実的ではありません。老後に入るまえに、いったん自分の人生をリセットして、これまでの人生でたまった垢やオリを落として、残された人生に備えます。
これを阿部さんは「自分整理」と呼んでいます。つまりこれまでの人生で、余剰にためこんでしまったものを整理して、小さな暮しにシフトするのです。
私は50歳をすぎたら「縮小」と思っていますが、生活研究家の阿部さんもそう言っているのだから、やはり、幸せな老後を送る鍵は生活のダウンサイズなのでしょうね。
心の整理が1番大事
自分整理を阿部さんは5つのカテゴリーに分けて語っています。
●心の整理
●モノの整理
●暮らしの整理
●お金の整理
●人づきあいの整理
1番大事なのは心の整理です。自分がこれからどんな老後を送りたいのか、はっきりわからないことには、なんとなく流されるまま毎日を送って、気づいたときには、人生の幕切れです。
まずは残された人生で自分が本当にやりたいことを見つけることが肝心なのです。
3つの驚き
この本を読んで阿部さんの生活を知り、驚いたことが3つあります。
1.現在ドラッグストアで働いていること
2.阿部さんがどんぶり勘定だったこと
3.モノ、とくに洋服を山のように持っていたこと
1つずつ説明しますね。
1.現在ドラッグストアで働いていること
阿部さんは近所のドラッグストアに65歳のとき就職しました。
雑誌の連載が立て続けに打ち切りになったり、デパートでの消費生活アドバイザーの仕事も打ち切られそうになっていたところに、月額7万円の年金額の通知が届いて、将来に不安を感じたので就職することに。
大学で薬剤師の資格をとっていたので、新聞で見た求人広告に応募して採用されました。パート勤務のようですが、この仕事で月8万円の収入を得て、現在の定収入は15万円。「これなら、なんとか生活できる」と老後の不安が消えたそうです。
このくだりを読んで、「え~、あんなに大活躍していて、消費生活アドバイザーの仕事も30年以上していて、7万円?」とびっくりしました。
著書もたくさんあり、生活研究家としてはなばなしく仕事をしているように見えるのですが、やはりフリーの仕事は不安定なのでしょう。そうした仕事の収入は不定期で、生活費としてあてにできないのです。
年金が少ないのも、これが現実なのでしょうね。私の母(82歳)も月10万円ですから。
2.阿部さんがどんぶり勘定だったこと
阿部さんは自分のことを「お金があればあるだけ遣ってしまうタイプ」と書いています。これも驚きでした。
消費生活アドバイザーなのに、ご本人の家計はどんぶり勘定で、いいところを見せるために人にどんどんおごったり、お団子を食べたいときに1本だけ買うことができず、3本とか4本とか買っていたんだそうです。
収入が多かったので、あればあるだけ遣っていたのでしょう。しかし、今はお金にシビアになり、こんな工夫をしています。
●お財布に入れる上限額は3万5千円(節約主婦筆子的にはすごく多い額です。これまでいったいどれだけ入れていたのでしょうか?)
●1万円札をなるべくくずさない。小銭になるとあっという間に使い切ってしまうからです。
●いつも現金払い。これは筆子と同じ理由から⇒『フランス人は10着しか服を持たない』から学んだ節約術
●通帳を3冊にわけて管理。1つは年金が振り込まれ、生活費に使う、もう1つはドラッグストアの収入や不定期収入用で、毎月引き落とされる費用を支払うほか、月3万円の積立もする、3冊目は、完全に貯金用。
●500円玉貯金
これまでどんぶり勘定だったわりには、とてもしっかりした家計管理です。阿部さんは自分のやりたいことが明確なので、そのためにしっかりお金をためています。
月々3万円の貯金は、将来寝たきりになった場合や、老人ホームに入るときのことを考えてで目標は1000万円です。
3.モノ、とくに洋服を山のように持っていたこと
阿部さんは50代の初めまでは、家の中にあふれるモノに押しつぶされそうになりながら暮らしていました。
趣味の道具や、好きな洋服が山のようにあり、押入れもクローゼットもパンパン。しかし、53歳になって、賃貸から終の棲家である中古マンションを購入し、引っ越しのさいに、かなりのモノを処分しました。
それでも、モノ減らしを決意して、じっさいスッキリと暮らせるようになるまで10年ほどかかったそうです。
全部でたった189ページでとてもコンパクト。すぐに読めます。その点も気に入りましたよ。
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この本を読んで阿部さんのイメージが変わりました。考えてみれば、消費生活アドバイザーだからといって、必ずしもご本人がミニマリストだったり、シンプルライフを送ってるわけではないですよね。
なんと言っても、「モノを消費する」生活をアドバイスしているのですから。
どんぶり勘定だった阿部さんですが、今は賢くシビアにお金を管理しています。阿部さんは、好奇心やチャレンジ精神が旺盛で、ひじょうに前向きな方なので、自分と比べるのはおこがましいのですが、筆子にも家計管理ができるようになるかもしれない、という希望をもらいました。