考えている女性

TEDの動画

最終更新日: 2020.03.23

脳について知るべき、1つのこと。それは、あなたの人生を変えます(TED)

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自分の能力を最大限に発揮したい、と願う人の参考になるTEDの動画を紹介します。

タイトルは、One Thing to Know About Your Brain That Will Change Your Life (脳について知っておきたい1つのこと、そしてそれはあなたの人生を変える)。

講演者は、脳をより効果的に使うことを研究し、人に教えている Ann Herrmann-Nehdi(アン・ハーマン・ネディ)さんです。



脳について知っておくべき1つのこと、TEDの説明

Ann asks the question, “Do you manage your brain or does it manage you?” In order to reach your full potential and get the most out of your brain, you need to understand how it works and what you can do to better use it.

アンはこうたずねます。「あなたは、自分の脳を使っていますか、それとも、脳があなたをコントロールしていますか?」

自分の可能性を最大限に引き出し、脳をしっかり使うには、脳がどう機能するか、そして、いかにそれをうまく使うか、理解しなければなりません。





動画の長さは15分。今のところ字幕はありません。動画のあとに抄訳を書きます。

思考のほとんどが自動的なもの

私たちは、自分が脳をコントロールしていると思っています。しかし、ほとんどの時間、脳は自動運転(autopilot)しています。

脳が提供しているすばらしい能力を活用しているとは言えないのです。

ですが、いいニュースがあります。私たちは、脳をコントロールすることができます。

自分の脳のパターンや好みを知れば、脳をコントロールできるし、自分の可能性をものすごく引き出すことができますよ。

これを知って、私の人生も変わりました。

脳の研究をしていた父親

子どものとき、学校から帰ると、父が私の頭に電極をつけたものです。脳内のいろいろな部分の電気的活動を知るための器具です。

父は、科学者でしたが、当時、ゼネラル・エレクトリックの能力開発センターの所長でした。父は、従業員たちに、創造的思考を教えることができるか、科学的に解明しようとしていました。

父はご近所の人や友達などの頭に、手当り次第に電極をつけて実験していました。

彼の研究は、GEにとって重要でした。創造的思考は教えることができるとわかったのですから。

現在は、世界中のたくさんの人々が、自分の脳をコントロールすることによって、よりよい結果を得ています。

省エネで動く脳

なぜ、私たちは自動運転をするのでしょうか?

脳は、もともと、とても怠け者にできているのです。

いろいろなパターンを覚えていて、情報を処理するとき、適当なパターンを見つけます。そうすれば、省エネになりますから。

脳は、周囲の環境をいつもチェックしており、パターンを探している機械です。そのおかげで私たちは自動運転をしています。これは、とても実用的です。

いつも好みのパターンで行動し、深く考えなくてすみますから。

たとえば、いったん字の書き方を覚えたら、もうどちらの手を使って字を書こうか考えずに書き出せます。

いったん車の運転を習得したら、自動的に、そんなに注意を払うことなく、自宅まで運転できます。

パターンを使うデメリットは、状況が変わったときにあらわれます。

そして、状況が変わらないわけにはいきません。

いつもと状況が変わると、人は、びっくりします。

利き腕でないほうの手で、文字を書くはめになったら、かなり苦労するでしょう。

キーボードが変わって、キーの位置が変わるだけでも、イライラします。

パターンを認識する脳

言葉を使うと、脳のパターンを理解しやすいです。

何かが完全に見えなくても、これまでしっかり学習していれば、それが何なのか推測できます。

この看板は、

看板

“Quit stealing our letters”(文字を取るのをやめなさい)とわかるし、

こちらは、

半分隠れた文字列

“Good times are here”だと解読します

実際は、これですが。

意味のない文字列

こう考える現象をダニエル・カーネマンは、traps of fast thinking(速い思考の罠)と呼んでいます。

つまり、早とちりしてしまうのです。これまでに学んできたパターン、偏見、好み、経験をベースに、結論に飛びつくのです。

これを防ぐ方法は、slow thinking (遅い思考)です。遅い思考をすると、怠け者の脳を叩き起こすことができます。

遅い思考のステップを紹介します。

状況に気づく

最初のステップは、状況(コンテクスト)に気づくこと(awareness of context)です。

どんなときも、脳はまっさきに状況(前後関係)を探します。

これまでの体験から、似た状況を見つけるのです。そして、ある想定をします。

夫とベトナムにいたとき、ものすごい雨が降ってきました。そこで、店で、ポンチョを買いました。誰でもポンチョは知っています。

ポンチョを着たら、夫が、「その窓は何のためにあるの?」と聞きました。

ポンチョ

窓がついていることなんて、私は気づいていなかったのです。この窓を見たとき、それは自分の体に関係のあるものだと思いました。

しかし、周囲を見て、つまり、自分のコンテクストから出たら、何のためにあるのかわかりました。

オートバイに乗った人が、たくさん、ポンチョを着ていて、オートバイのライトのために、窓があるとわかったのです。

窓のあるポンチョ

マインドハックでパターンをこわす

脳がつかういつものパターンをこわすにはどうしたらいいのでしょうか?

マインドハック(mind hack)という方法を使います。

自動運転している脳をハッキングするのです。

これは、思い込みから抜け出て、視野を変えるのにとてもよい方法です。

大きなマインドハックは、想定の逆転(assumption reversal)です。

ポンチョの窓に関する私の想定は、自分の体に関係のあるものだ、というものでした。

これを逆にして、窓は自分の体とは何の関係もないものだ、と思えば、突然、脳は新しい視点を持ちます。

考え方を変えたいときは、いつもマインドハックを使えますよ。

いつものパターンを認識する

2つ目のステップは、自分がいつも使うパターンを知ることです。

私の父は脳科学者だから、多くの人は、私がこういうことをずっと前から知っていた、と思います。

しかし、私が、父のリサーチの意味するものを知ったのは、大人になって、ほかの人と共同作業をするようになってからです。

ボランティアで、あるコミュニティの資金集めをすることにしました。

そのチームのメンバーは、会計士、引退した軍曹、学校のカウンセラー、そして当時、起業家だった私です。

みな、資金集めの経験がありましたが、意見がバラバラで、最初のミーティングが終わったとき、ボランティアになったことを後悔しました。

会計士は数字にこだわり、どれぐらい資金が集まるか気にしており、引退した軍曹は、プロセス(やり方)にこだわり、

カウンセラーは、いろいろな人に電話して呼んで話を聞こうといい、私は、もっとほかのいろいろなアイデアや可能性について考えていました。

家に帰って、この状況は、父が数年前に行ったリサーチでわかったことと同じだと気づきました。

誰でも好みの思考パターンがある

父は、人は、脳のあらゆる部位にアクセスし、いろいろなパターンで物ごとを考えることができるが、自分の好みのパターンを作ってしまうことを発見しました。

会計士は結果、軍曹はプロセス、カウンセラーは人に話すこと、私は可能性にフォーカスしていたのです。

ハーマンモデル

人はみな、自分独自のレンズをかけて世界を見ています。それぞれに自動的な思考から抜けてもらわなければなりません。

そこで私は、いつものパターンから抜けて、グループをまとめようとしました

おもしろいことに、結果について考えることは、意義がありました。思っていた2倍の資金を集めることができました。

また、資金集めのプロセスで、チームの絆が強くなりました。

私たちのリサーチ結果によると、人は、違う思考パターンを持つ人と共同すると、成果が66%アップします。

では、もし、チームで仕事をできないときはどうしたらいいのでしょうか?

自分に聞きたい4つの質問

1人でもできるとてもシンプルなマインドハックがあります。

問題にぶつかったり、大きな決断を強いられたりしたら、、4つの質問を自問すればいいのです。

1.何が一番大事か?⇒ペイオフ(結果)モード

2.どうやってこれをするか?⇒プロセスモード

3.どんな人とかかわるべきか?⇒ピープル(対人関係)モード

4.こんなことやあんなことが起きたらどうなるか?⇒可能性モード

しかし、必ずしも自問する必要はありません。私たちのまわりには、いろいろな人がいますから。

家庭にも。

考え方が違う人の意見を聞く

家族の中には、自分と違う考え方をする人がいます。ときには、それが、かんにさわりますが、私たちには、毎日、自分の世界に違う視点を迎え入れ、それを大事にするチャンスがあるのです。

こういうチャンスを家庭で、積極的に探してください。

家族は、私たちが苦手なことや、全然気づいていない盲点を見つけるのが得意です。

誰でも、苦手な部分があります。私は、細かい手続きが苦手です。

ですが、自分が苦手なことを、いま、自分がやっていることにうまく組み込むことを学びました。

IHGというグローバルな会社と働いたときのことです。

プロジェクトマネジャーたちが、全体像を見ることができず、可能性について考えられなくて苦労していました。

この会社は、私たちのリサーチから、図に描くと、脳の別の部分を使うことができると知っていたので、マネジャーたちに絵を描かせるトレーニングをしました。

最初は、絵を描くのになじめなかったマネジャーたちも次第に慣れ、絵を描くことで、かんたんに思考が変わると気づきました。

技術面ばかりにフォーカスして、その製品を使う客のことを忘れていた技術者のグループとかかわったこともあります。

彼らは、ミーティングのたびに、顧客の誰かの話を必ずすることを義務付けました。ミーティングの前にその準備をするだけで、彼らの思考が変わりました。

期日までにレポートの宿題を仕上げるのに苦労していた知り合いの大学生がいました。

彼は、準備や時間管理を助けるアプリを使って、締め切りまでにできるようにし、成績もあがりました。

ある地元のビジネスは利益をあげたいのに、そうできないでいました。

彼らは、会議で、最終的な利益に関する話をしていないことに気づきました。

そこで、べつの人間を呼び、会議で必ずお金に意識をむけられるようにしてもらい、その結果、しだいに収益が出るようになりました。

頭を使うことに時間を使う

あなた次第です。

アメリカ人は、1日、平均444分、つまり7時間24分、モニター画面を見ています。テレビ、デバイス、ノートパソコンなど。

1年のうち、3ヶ月と20日あまりが、スクリーンを見るのに使われているのです。

自動運転でそうしている人も多いでしょう。インターネットを見はじめて、気づいたら、2,3時間たっていた経験をしたことがある人もいるでしょう。

そういうとき、この素晴らしい脳というシステムをしっかり利用していません。すごく大事なものを失っているのです。

この漫画のように。

船に乗り遅れた恐竜の漫画

すべてはあなた次第です。

みなさんは、自分の脳をコントロールできます。自分のいる状況に注意を向けて、自分の思考パターンや好みのパターンに気づき、違う視点を持ってください。

自分の苦手なポイントをうまく組み込み、思考すべき時間の使い方に気をつけ、怠け者の脳を起こしてください。

人生において、後部座席に座って、自動的に運ばれるままでいることもできます。

ですが、フロントシートに座って、ハンドルを握り、自分が持っているすばらしいリソース(脳)をコントロールをすることもできます。

最良の結果を得たいなら、脳について知るべき1つのことは、「毎日使え」です。

みなさんは、脳全体を持っています。しっかり使ってください。

//// 抄訳ここまで ////

単語の意味など

autopilot  自動運転、オートパイロット、人が無意識に考えたり行動すること。。

General Electric  ゼネラル・エレクトリック 世界最大のアメリカの総合電機メーカー、GE

get caught off guard  不意をつかれる、びっくりする

context  前後関係、文脈、状況、背景

blind spot  盲点、死角

ハーマンモデル

アンさんのお父さんは、ネッド・ハーマンという人です。講演で紹介されているように、彼は、大脳生理学の研究結果をもとに、人の「利き脳」を知る手法を開発しました。

「利き脳」とは、その人が、よく使う脳の部分で、思考のくせです。

それを知ると、自分の強みがわかり、能力が向上します。また、適材適所に人員を配置し、協力すれば、生産性が向上します。

日本でも本が出ています。

アンさんは、父親の研究に新しいリサーチ結果をプラスして、本を出しています。

ダニエル・カーネマン

ダニエル・カーネマンは心理学者であり行動経済学者。

以前紹介したカーネマンのプレゼン⇒実際の体験とその体験の記憶の幸福度は違う:ダニエル・カーネマン(TED)

脳に関するほかのプレゼン

幸せを感じる脳をつくる4つのステップ(TED)

腸はどのように脳をコントロールしているのか? 腸の状態が脳の病気を予防する(TED)

頭をよくするシンプルな5つの方法。脳を活性化して最大限に使うには?(TED)

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ワーキングメモリ(作業記憶)をうまく使って目の前のゴールを達成する(TED)

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毎日脳を使うことが重要

脳について知っておくべき1つのことは、

自分の思考パターンを知れば、もっと能力を向上させることができる、

です。

そうするために、マインドハックをすればいい、とアンさんは言っていますが、これは要するにメタ認知です。

自分が考えていることを、一段回、上のほうから見て、自分で検証します。

メタ認知の具体的な方法として、以下のことがあげられていました。

・コンテクスト(状況)を逆にして考えてみる(意識的に視点をごろっと逆さにする)

・4つの質問をする

・違う人の意見を聞く

さらに重要なのは、脳を毎日使うことです。

ぼーっと、テレビやスマホを見ているだけだと、自動運転のまま行動してしまいます。

つまり、毎日、自動的に同じことを繰り返すわけです。

自分で考えながら、行動を修正していけば、長年の買い物ぐせや、汚部屋にしてしまう生活習慣を変えられます。

まず、今の状況をチェックして、どうしたらそれを変えられるか考えるのです。

断捨離も、直感に頼るより、自分に合ったシステム(捨て習慣)を見つけて進んだほうが、うまくいきます。

ある日突然、ガーッと断捨離するより、1日15分でも、捨てるシステムを作って、毎日コンスタントにやるほうがいいと思います。

きっと、これは、私の脳の好みの思考パターンが考えたことです。

私とは全然違う考え方をする人(夫がその典型)は、その人なりの得意技を見つけて、進んでいくのでしょう。

ただし、自動的に生きていると、得意技を見つけることすらできません。

だから、毎日、考えることを意識するといいです。

-日記を書いて1日を振り返る

-考え方が違う人の言うことに耳をかたむけ(聞き流さない+決め込まない)、話をする

こんなことをすると脳を使うことができます。





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