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充実した人生を送る参考になるTEDの動画を紹介しています。今週は、マイケル・ノートン(Michael Norton)先生の、How to buy happiness (幸せを買う方法)というプレゼンです。
「幸せ」と「お金」は人の関心事のトップを争うトピック。そのせいで、とても人気のある動画です。ご存知の方も多いかもしれません。
「幸せを買う方法」のTEDの説明
At TEDxCambridge, Michael Norton shares fascinating research on how money can, indeed buy happiness — when you don’t spend it on yourself. Listen for surprising data on the many ways pro-social spending can benefit you, your work, and (of course) other people.
TEDxケンブリッジのプレゼンで、マイケル・ノートンは、どうやったらお金で幸せを買えるか調べた結果をシェアします。
自分のためにお金を使わなければ、幸せになれます。
より社会的なお金の使い方をした人は、自分自身も幸福になり、仕事もうまく行き、(もちろん)他の人のためにもなる、という驚くべきデータについてお聞きください。
ノートン先生は、ハーバード大学ビジネススクールの教授で、社会科学を研究しています。
動画は11分ほど。日本語字幕です。字幕なしや、英語字幕を出したい時は、プレーヤーで調節できます。動画のあとに要約を書きます。
☆トランスクリプトはこちら⇒Michael Norton: How to buy happiness | TED Talk | TED.com
☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
お金で幸せは買えないという通説は間違っている
多くの人が「お金」と「幸せ」についてよく考えています。みんな、よりお金を稼ぎたいと思い、一方で、より幸せになりたいと思っていますね。
一般に、「お金では幸せは買えない」と言いますが、それは間違っています。ただ、ふつうの使い方をしていては幸せになれません。いつもとはちょっと違う使い方をします。
人を幸せにするお金の使い方を説明する前に、不幸にする使い方を見てみましょう。
人を幸せにしないお金の使い方
CNNが、興味深い記事を掲載しました。
宝くじに当たった人の人生が、どんなふうに破滅するか、という記事です。それによると、宝くじに当たるとこんなことが起こります。
1.お金をすべて使ってしまい借金をかかえる。
2.友達や周囲の人全員にお金をねだられるので、人間関係がこわれる。
3.より自己的になる。
おもしろいのは、この記事へ人々がコメントした内容です。みんな、「お金があれば幸せになれるわけじゃない」と書くかわりに、「自分が宝くじに当たったらどうするか」を、書いています。たとえば、
●自分だけの山を買って、その上に小さな家を建てる。
●浴槽をお札で埋めて、そのお風呂に入り、葉巻を楽しみ、シャンペンを飲む。その写真を撮って、お金をせがむ人には、この写真だけをあげる。
このように、人はお金を得ると、反社会的になる傾向があります。
私たちは、「人は、お金を得ると、自分のために使うから、不幸せになるのではないか」と考え、こんな実験をしました。
人のためにお金を使ったほうが幸せになる
ヴァンクーバーで、大学生を使って実験
あるグループには、自分のためにお金を使わせ、別のグループには、自分以外の誰かのために使うように指示。金額は、5ドルか20ドルで、ランダムに設定。
結果:スターバックスのコーヒーのように、同じものを買っても、自分のために買った人より、人のために買った人のほうが幸せを感じている。
自分のために使った人は、より不幸せになったわけではないが、特に特別なことがおこったわけでもない。また、使った金額も幸福度に関係ない。
より貧しい国、ウガンダでの実験
ウガンダでも人のためにお金を使った人の幸福度があがった。
ウガンダの人は貧しいので、他人のために使うとき、ヴァンクーバーの学生に比べて、より生きることに直結したお金の使い方をした。
しかし、使い道はなんであれ、人のためにお金を使った人のほうが、より幸せを感じた。
世界中でも同様のリサーチをした
世論調査をやっている会社の協力を得て、チャリティ団体に寄付したことと、幸福度に関する調査をした。ほとんどの国で、慈善活動をした人の幸福度があがった、という結果が出た。
職場
ベルギーの医薬品を販売している営業チームで実験。1つのチームには自分のために使うように指示し、別のチームにはチームの誰かのために使うように指示。
その結果、チームのためにお金を使ったグループのほうが、営業成績があがった。
自分のためにお金も使っても何も変わらないが、チームのために使うと、より社会的な行動になり、その結果、お金が増える。
ドッジボールチーム
自分のためにお金を使ったチームは、チームのためにお金を使ったチームよりも、勝率があがった。
以上の実験からわかったことは、人のためにお金を使うと、より幸福度が増し、大きな見返りがあるということです。
—-要約ここまで—–
なぜ、人のためにお金を使うと幸せになるのか?
なぜ、自分のためにお金を使わず、人のために使うと、幸福度があがるのでしょうか?
たぶん、自分のことばかり考えるのを、一時的にせよ、やめることができるからだと思います。つまり利己的でなくなる、ということです。
利己的でないと2つのことがおこります。
1.周囲の人と仲良く生きられる
人のためにお金を使うことは、周囲の人とかかわりあういいチャンスになります。自分のためだけにお金を使うと、買い物した時は、幸せでも、そこで終わってしまいます。
やはり人間は社会的動物なので、まわりの人とうまくやらないと、どんなにお金があっても幸せにはなれないのでしょう。
お互い支えあって生きていいますからね。
2.お金を使った結果が長く続く
自分のためにスターバックスのコーヒーを買って飲んでも、飲んだらその喜びは終わります。
まあ、スタバのコーヒーは高いので、ふだん飲めない人が、たまに飲めば、感激が長く続くかもしれませんが。
ところが、人のためにコーヒーを買ってあげると、その結果はもっと長く続きます。相手から何らかのリアクションがあるだろうし、人によっては、数日後に、「コーヒーおごってもらったから」と、北海道旅行のおみやげの「白い恋人」をお裾わけしてくれるかもしれません。
人のためにお金を使えば、その結果、自分の予期しない、何かが起こります。違いを生みだすことができる、とも言えます。
職場での実験のように、会社の業績があがるといった、長期にわたる結果を享受することもあるのです。
体験を買うなら、自分のためでも物を買うより幸せに
ノートン先生は、ビジネススクールでマーケティングを教えています。基本は、投資したお金に対して、より多いリターンを求めることを研究しているのではないでしょうか?
そのリターンは別にお金でなくても、幸福度でもいいのです。
彼は、エリザベス・ダンというブリティッシュコロンビア大学の心理学の先生と共著で、『「幸せをお金で買う」5つの授業』という本を出しています。原題は、Happy Money: The Science of Happier Spending です。
この本には、物を買うより、体験にお金を使ったほうが人の幸福度があがると、書かれています。
物より体験にお金を使ったほうが楽しいよ、とショーン・ボナーも言っています⇒物にお金を使わず体験に使おう:ショーン・ボナー(TED)
ショーンは、「スキューバダイビングしたらめっちゃ楽しかった」と語っていますが、ノートン先生とダン先生は、その事実を科学的に証明したのです。
なぜ体験にお金を使ったほうが楽しいのか?
たぶん、体験に消費すると、ほかの人とかかわることになるからです。物を買うと、自分1人で消費してしまいがちですからね。
たとえば、シュークリームを買って自分1人で食べると、「おいしかったわ」だけで終わります。
一方、友達とシュークリームを食べに行ったり、店で買ってきたのを一緒に食べると、楽しい時間をともに過ごせ、絆が深まったりするのです。
また、最新のガジェットなど比較的高価なものを買う場合、買う前は、どれにするか、値段はどれぐらいなのか、さまざまなリサーチをして疲れ、買ったら買ったで、設定やらなんやらで、ストレスがたまります。
高額な商品なら、こわれたらどうしよう、盗まれたらどうしよう、なんて懸念も生まれます。
しかし、友達とどこかに出かける場合、それを待っている時間は実に楽しいもの。クリスマスやお正月も待っている時間が一番楽しいですよね。
たとえ実際の体験が最悪でも、人間は、いやなことはなるべく忘れるようにできているので、あとに残る思い出は、楽しいものなのです。
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こうしてみると、一時的に気持ちをなぐさめるために、さして欲しくもない物を買ってしまうのは、最も人を不幸にするお金の使い方と言えそうです。
やたらと買い物をしてしまう人は、できるだけ体験にお金を使うようにし、たまには人に何か買ってあげるといいかもしれません。
そうすれば、少なくとも、ガラクタは減ります。