カトラリー

ミニマリストへの道

集めたカイ・ボイスンへのこだわりを捨てて得られた境地:ミニマリストへの道(60)

物を断捨離することは、自分の変なこだわりも捨てること。今回は、そんなお話をします。

2012年になる頃には、断捨離がずいぶん進み、かなり物が減っていました。ところがなかなか捨てられないものがありました。カイ・ボイスンのカトラリーです。

なぜ捨てられなかったのか?

私があるこだわりを持っていたからです。



カイ・ボイスンのカトラリーを集めすぎた人

カイ・ボイスンとは、デンマークのデザイナーの名前です。カトラリーは、ナイフ、フォーク、スプーンなどの総称。

カイ・ボイスンのカトラリーは、デンマーク王室で使われているほか、世界中で愛用されているそうです。

とは言え、私はそんなものがあることは全く知りませんでした。以前も書いたように、石黒智子さんの本で、このカトラリーのことを知り、興味を持ったのです。

石黒智子さんの本について⇒石黒智子さんの台所にあこがれたが:ミニマリストへの道(52)

石黒さんは、ここのベビースプーンを出産のお祝いによく使う、と書いていたと思います。

本を読んだあと、早速、楽天のお店でソーダスプーンを1本買ってみました。

ソーダスプーンとは、パフェなどを食べるときに使う柄の長いスプーンです。貧乏筆子には、ぜいたくな買い物で、1本500円ぐらいしました。

届いたものは、さすがに高いだけあり、よいお品でした。つや消しでとても美しくすっかり気に入りました。

それから、機会があるごとに、1本、また1本と買っていきました。1つの種類を3本買いました。3人家族なので。

カトラリーですから、いろいろな種類があります。

スプーンは、ティースプーン、コーヒースプーン、デザートスプーンの3種類、フォークも3種類、ナイフも3種類ありました。

これ以外にも、サービススプーンやサービスフォーク(サラダなどを取る大きなもの)、ジャムスプーン、バターナイフ、レードルやケーキサーバーまで購入。

2005年の5月の今ごろから、2007年にかけて1年7ヶ月のあいだに35本も買い集めてしまったのです。

2012年当時は、自分がカトラリーを持ちすぎていることを充分自覚していました。しかも、ほとんど使っていないのです。

カイ・ボイスンのカトラリー

カイ・ボイスンのカトラリーの一部

夫は夫の好きなカトラリーしか使わない

私は、石黒智子さんの本を読み、家族全員でカイ・ボイスンのカトラリーを使うことを夢見ていました。

しかし、夫には夫の好きなカトラリーがあったため、カイ・ボイスンを使うことができませんでした。

食卓にカーラの皿と、カイ・ボイスンのカトラリーを並べても、夫は自分の好きなお皿とカトラリーに取り替えてしまうのです。

うちはもともと食器やカトラリーがフルセットあったわけではありません。ふつうの家(というのも変ですが)の人は、たいていフルセット買って、家族全員で、同じのを使うと思います。

ところが、我が家は貧乏だったので、夫が職場でもらったもの、若い頃からなんとなく使っているもの、実家から持ってきたものなど、バラバラの品揃えでした。

それがいやでカイ・ボイスンを買ったのに、夫は自分がいつも使っているものがいいのです。

そのうち、夫の席には夫の好きな皿とカトラリーを並べ、自分と娘には、カイ・ボイスンをセットするようになりました。

娘には大きいフォークではなく、デザートフォークをあてがいました。しかし、娘はナイフは使いません。「これじゃあ切れない」と文句をいいます。そこで、そのへんのスーパーで買ってきた刃にギザギザが入っているステーキナイフを使わせました。

では、私は、きっちりカイ・ボイスンを使っていたか、というとこれもまた違います。

デンマーク人向けのカトラリーなので、手や口の小さい私には大きすぎるのです。

特にディナー用のナイフやフォークは大きくて重い。スープをいただくスプーンも大きいです。

どれも、私には身に余る感じ。とりわけフォークは大きく感じたので、一回り小さいデザートフォークをよく使っていました。カレーを食べるときは、ティースプーン(と言ってもけっこう大きい)を使いました。

そもそも私はナイフやフォークを使うよりお箸を使うほうが好きなのです。私は肉は食べないし、たいていのものは、お箸を使ったほうがずっと食べやすいです。特にご飯ものは。

西洋人がナイフとフォークを使って食べるものでも、私はお箸を使うことが多く、夫に嫌な顔をされます。

夫は使わないし、娘も特定の物しか使わない、自分も結局さほど使わない。そんなカイ・ボイスンのカトラリーがキッチンの引き出しにみっしり入っていました。

今なら、「使わないものは断捨離だ!」とさくっと捨てられるところ。しかし、2012年当時は、そうはいきませんでした。

なぜか?

カイ・ボイスンのカトラリーが高かったからではありません。私が自分のこだわりを捨てられなかったからです。





自分の好きなものを家族に使わせようとするエゴ

私は、石黒智子さんのキッチンのように、食器は白で統一したいと思っていました。

その他にもキッチンで使いたいものがありました。ディッシュクロスはフォグのリネン、カトラリーはカイ・ボイスン、グラスはデュラレックス、というように。

タオルもすべて白にしたいと思っていたことがあります。ミニマリストになって、バスタオルを断捨離したあとは、どうでもよくなりましたが⇒バスタオルを使わないシンプルライフ~バスタオルがないとこんな問題は一挙に解決

よく考えると、ふきん以外はみんなヨーロッパのメーカーのものです。日本ではこういう商品、楽天やデパートで簡単に手に入りますが、北米では、あまり売っていません。

たまたま私がヨーロッパの食器のデザインが好きだったのか、日本で流行っているから、自分も持ちたかったのか?

たぶんその両方です。いずれにしろ、近所で売っているものではなく、遠くにあるものを欲しがっていたのです。

これはかなり不自然なことです。地産地消と真逆の行為です。

私には、こういう変なこだわりがあり、さらに、それを家族に押し付けようとしていました。

断捨離がかなり進んだあとも、自分のエゴが捨てられなかったのです。「なぜみんな、カイ・ボイスンを使わないの?カーラの皿を使わないの?」とむっとしていたのです。

しかし、引き出しが使わない食器でいっぱいなのは、自分でもよくわかっていました。取りあえず、本当に使っているカイ・ボイスンだけ残し、残りは全部階下に持っていきました。

本当に使っていたのは、娘と私が使うデザートフォーク。私がたまに使うナイフとティースプーン。柄の長いソーダスプーン。おかずやサラダを取るのに使うサービススプーンとフォークだけでした。

それ以外は、すべて箱に入れてしまいこみました。

使わないカイ・ボイスンをすべて捨てたのは、2015年、つまり去年の初めになってからです。

ずいぶん長々と持っていたものです。

☆このシリーズを最初から読む方はこちらから⇒何度も失敗したけど、今も前を見て進んでいます~「ミニマリストへの道」のまとめ(1)

☆次の「ミニマリストへの道」はこちら⇒デジタルなガラクタをためこむ恐ろしさとは?:ミニマリストへの道(61)

物は捨てられてもエゴを捨てるには時間がかかった

食器やカトラリー以外でも、使う洗剤、洗濯の仕方、掃除の仕方、肉の焼き方、ありとあらゆることで、夫と軋轢(あつれき)がありました。

人が聞いたら、何でそんなことでぶつかるの、という細かいことです。夫も、自分のやり方にこだわりがあり、私もこだわりがある。ですが、どちらかが譲らなければ、先に進めません。

これは物を減らすか、減らさないか、ということでも同じこと。

私は、誰でも持ち物を減らして、シンプルにすれば、今より暮らしやすくなると信じています。

その一方で、「いや、自分は物をいっぱい持っているほうがいい」「机の上は適度にくしゃくしゃなほうがいい」「やっぱり、ベッドに枕を3つぐらい並べて寝たい」と思う人もいるでしょう。

あまりにもいろいろなことで夫とぶつかったので、いつしか、私は自分のこだわりを捨てる道を選びました。もう、自分のエゴを家族に押しつけるのはやめたのです。

今は1人だけ森修焼のマグなんかを使っています。
現在の食器のラインナップはこちら⇒ミニマリストの食器の数は?~50代節約系かつ粗食系の主婦の場合 かなりバラバラの品揃えです。ですが、もう食器を揃えようという気持ちもなくなりました。

こだわりを捨てたら、ずっと楽になりました。

今ではこんなふうに考えられるように⇒きれい好きな人が片付けない家族と円満に暮らす4つの秘訣

すんなりカーラやカイ・ボイスンを食卓に並べることができたら、こんな境地には立てなかったかもしれません。

物を捨てながら、自分が本当に好きなものを見つけるのはいいことです。しかし、自分の好きな物が、家族の好きな物と同じだとは限りません。

「持たない暮らし」を目指していいても、物に対するこだわりや執着心にあまりとらわれないほうが幸せになれます。

この点に気づくまで、私はずいぶん時間がかかりました。





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