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TEDの動画

完璧主義をデトックスする:ペトラ・コルバー(TED)

完璧主義に陥りやすい人におすすめのTEDトークを紹介します。

タイトルは、The perfection detox(完璧のデトックス)。

元フィットネストレーナーで、講演家やモティベーター、コンサルタントとして活躍している、Petra Kolber(ペトラ・コルバー)さんのプレゼンです。



完璧をデトックス・TEDの説明

Petra’s “The Perfection Detox” talks about eliminating the need to please people. This talk is about working through the need to be perfect and is explained with humor, empathy, her own story and what she did to be able to drop the weight of trying to be perfect off her shoulders.

ペトラの「パーフェクション・デトックス」は、人を喜ばせる必要を取り除く話です。

この講演は、パーフェクトであろうとすることについて、ユーモア、共感、ペトラがどうやって完璧になろうとする重荷を下ろしたのか、彼女自身のストーリーで説明するものです。

収録は2015年の4月、動画の長さは10分30分。英語字幕あり。動画のあとに抄訳を書きます。

コルバーさんは、昔カリスマ・フィットネストレーナーだったそうで、プレゼンがうまいですね。





完璧をめざし始めたきっかけ

「あなたはあばずれみたい」

「あなたには何もできないわ」

「おなたのお父さんは酔っ払いよ」

子供のとき、こんな言葉が頭の中で響き、自分がすごく不完全な気がして、外側では完璧に見えるようになりたいと思いました。

ずいぶん長い間、完璧であることはいいことだと思っていました。

16歳のとき、髪にレイヤーを入れて、跳ね返らせ、耳にピアスの穴をあけました。

70年代で、誰もがファラ・フォーセットのようになりたいと思っていたんです。

でも、私の姿を見た先生は、「あばずれみたいだ」と言いました。

このとき、きれいに見せようとがんばるのは、特に、目立ってしまうのは、あばずれのすることなんだと信じるようになりました。

別のロールモデルは、私に、「あなたには、何かを成し遂げることなんてできない」と言いました。

このとき、どんなことでも、成功しようと決めました。何をしてでも。

父がアルコール依存症であることを、皆に知られてしまったとき、何もかも自分の中にしまいこんで、完璧であろうとしました。自分の中のカオスをコントロールするために。

この3つのできごとが、完璧であらねばならないという強い気持ちのきっかけになりました。

その結果、喜びを失ったのです。

完璧主義の弊害

こんにちは。私は、ペトラ・コルバー。元完璧主義者です。

完璧であろうとがんばることは、成功や幸せを推進するものだと考えている人がいます。

まれにそういう人もいるかもしれません。

でも、ほとんどの人にとって、完璧主義は、今の生活や、夢の人生を作り上げる障害になります。

完璧主義のパラドックスは、徳のある生活とは違い、ベストになるのをめざすところです。

失敗は成功に続く道にある1つのステップなのに、完璧主義者は、失敗を「人格の傷」だと思います。

失敗しただけなのに、自分自身が失敗だと思うのです。

どこまで行っても、十分完璧だと思えないので、完璧な瞬間でも、喜びを感じられません。

私の好きな作家、アン・ラモット(Anne Lamott)は、「完璧主義は、抑圧された者の声で、生涯を、窮屈で気違いじみたものにしてしまう」という意味のことを言っています。

完璧主義は、精神のがんで、そのままにしておくと、症状が出てきます。

不安症、うつ、摂食障害、パニック、自殺願望など。

完璧主義は、いろいろな色で表れますが、黒と白の言葉で語ります。オール・オア・ナッシング、いいか悪いか、価値があるかないか。

完璧主義は、恥や、充分じゃない気持ちを養分にします。

充分よくない、充分賢くない、充分働いていない、充分金持ちじゃない、充分家にいない、充分完璧じゃない。

もうたくさんです。

パニック・アタックに襲われた

1994年、私は、ニューヨーク・タイムズで、「フィットネス界の新星」と紹介されました。

たくさんのビデオに登場し、フィットネスの番組にも出演し、著名なトレーナーと仕事をしました。

世界中を周り、何千もの人と話をし、ニューヨーク市で、満員の会場で講演もしました。

あらゆるフィットネスの大会で優勝し、シリアルの箱にも私の写真が載ったほどです。

自慢したいからこんな話をしているのではありません。この時ですら、私にとっては、まだ充分ではなかったということをお伝えしたいのです。

病気と同じように、完璧主義にはたくさんの症状があります。

私と同じような人は、手遅れになるまで、その症状に気づかないかもしれません。

振り返って、成功したと思っていた習慣が、まったく楽しくなかったと気づくのです。

写真に撮られるには、完璧ではないと思ったせいで、たくさんの写真に入りそこねたことに気づきます。

完璧であることに忙しすぎて、その瞬間を生きていなかったからこわれてしまった人間関係を振り返ります。

多くのタイプAの完璧主義者と同じように、私もたくさん症状がありました。

2回も摂食障害になりました。拒食症と過食症です。

30代には、不安症という症状に変わり、パニックアタックに襲われました。

症状をコントロールしようとした

多くの完璧主義者と同様に、私は症状を完璧にコントロールしようとしました。

パニックアタックが起きると、胃がしめつけられ、心臓がドキドキし、部屋から出ないではいられなくなりましたが、それをうまく隠すことができました。

ただ、最後の症状は隠せなかったのです。

突然全身に起こるパニックアタックで、汗がだらだら出ました。恥ずかしかったし、不快だったし、自分がいかに完璧から遠いか、また、人前にさらけ出すことになりました。

パニックアタックが起こるたびにうろたえ、混乱し、寂しくて、さらに完璧から遠ざかりました。

パニックアタックが増えていくにつれ、予定がなくなりました。2年間、大きな仕事は断りました。

完璧にやれない恐怖から、著名なテレビ番組に出演するのをやめたのです。

自分が完璧にやれる唯一のことは、パニックアタックを起こすだけでした。

ただ、それがいつどこで起こるかはわかりません。

私は皆がフィットネストレーナーに求めているのは、完璧さだと思っていました。

皆が望んでいることだと、私が思っていたものが、私を皆から遠ざけました。

オプティマリストのすすめ

牧師のスティーブ・ファーティックは、人々が、不安になり自信がなくなって、こんなに苦しむのは、自分の状況を、他人のベストなエピソードで比べてばかりいるからだ、と言っています。

考え方を進化させたらどうなるでしょう? 完璧主義者になろうとするのをやめたらどうなるでしょう?

私の師であり、思想家のタル・ベン・シャハーが言うように、代わりにオプティマリスト(optimalist、最適を目指す人)になるのです。

私が思うオプティマリストは、人生のグレーエリア(白と黒の間)で生きることを学ぶ人です。

失敗から学び、夢の人生に向けて成長する余地を残す人。

完璧になろうとするのをやめれば、人生のサイドラインから、もとの道に戻り、しっかりとした足取りとオープンな心を持って、暮らし始めることができると信じています。

完璧になろうとするのをやめれば、自分自身に対するネガティブな言葉も止められると信じています。

心の中の批判者や、ジャッジを黙らせ、完璧じゃない人生をしっかり歩み始められます。

完璧主義者は、「これからどれほど遠くまで行かなければならないのだろう」と考えますが、オプティマリストは、「こんなに遠くまで来たんだ」と思います。

完璧主義者は、「いや、しかし」と言いますが、オプティマリストは、「はい、それから」と言います。

完璧主義者はうまくいっていないことを探します。オプティマリストは、ありのままを見ます。

完璧主義者は、失敗することをとても恐れ、ほかの人の成功に脅威を感じます。

オプティマリストは、失敗は、挑戦した印だと考え、ほかの人の成功に触発され、勇気づけられます。

完璧でないことの素晴らしさ

完璧という見せかけを通しては、つながることができません。

今、私たちはかつてないほどつながりを求めているのに。

私たちの心が語り合い、大切なことを学ぶのは、完璧でない瞬間です。

愛する人を失ったとき、裏切られたとき、永遠に続くと思っていた関係が終わったとき、病気になったとき、失業したとき。

このような人生の完璧でない瞬間にこそ、人は手を出して助けを求めます。

自分の中に入って、自らの立ち直る力の深さを知り、勇気の筋肉を鍛えます。

自分にどれほどの力があるのか、思い直します。

さらに重要なのは、私たちは他の人にも同じことができると、インスピレーションを与え、励ますことができるのです。

完璧主義でいたら、私は決してTEDXに申し込みませんでした。拒絶されるリスクは、耐えられないほど大きなものだから。

このステージに立って、話をすることはできなかったでしょう。

今わかっているのは、私の完璧でない声や物語は、完璧な沈黙より、ずっとパワフルだということです。

この講演は完璧だったでしょうか? たぶん違います。

あとで振り返ると、こんな話も入れたかった、あんな話は入れるべきではなかった、何箇所か間違えたと思うはずです。

でも、恐怖に直面したときこそ、怖いものがなくなります。

エリザベス・ギルバートが、「完璧主義は、すごくいい靴をはいたときに感じる恐怖にすぎない」と言ったように。

//// 抄訳ここまで ////

単語の意味など

zero-to-sixty 時速0マイルから60マイルまで加速する、いきなり~になる

highlight reel ハイライト映像

エリザベス・ギルバートの講演⇒成功と失敗、そして創り続ける力:エリザベス・ギルバート(TED)

効果な毛皮や靴を身にまとってきらびやかななりをしていても、「自分はまだ不十分だ」感じるのが、完璧主義だと、ギルバートは説明しています。

コルバーさんの本です。

アン・ラモットの本。

タル・ベン・シャハーの本。

完璧主義に関する他のプレゼン

コントロールしようとするのをやめれば人生が豊かになる(TED)

もう完璧を追い求めるのはやめよう:イスクラ・ローレンス(TED)

完璧主義が人をしりごみさせる理由(TED)

健全な完璧主義というものはあるのか?(TED)

完璧であろうとする危険なこだわりがどんどん増えている(TED)

女の子に勇気を持つことを教えよう。完璧であることではなく(TED)

自分でできる不安障害に対処する方法(TED)

完璧主義は前に進む邪魔をする

TEDトークで完璧主義についてしゃべる人は、かつては、かなりコアな完璧主義者だったと思います。

病気になるほど、がっつり完璧を目指す人は少ないかもしれません。

ですが、完璧主義の大きな弊害である、失敗を恐れて、やりたいことに踏み出せないことは、多くの人によくあることです。

それは、断捨離をしようとするときにも起きます。

完璧主義すぎるといつまでたっても部屋が片付かない理由

完璧主義の人は、失敗するのが嫌だから、「こんなことが起きるんじゃないか」「あんなことも起きるんじゃないか」と何かをやる前に、大いに心配し、失敗を恐れて、前に進みません。

先日、本を捨てるデメリットについて質問された方も、その1人ではないでしょうか?

本は貴重な文化財だから捨てるべきではない、という意見に私が思うこと。

「本を捨てたいけれど、捨てるとこんな悪いことが起きるかもしれないから、捨てるのをやめておこう」と考えるのです。

このように考えてしまうと現状維持にとどまり、何も変わりません。

完璧主義の人は、断捨離をする前に、人一倍恐怖を感じるかもしれませんが、怖ければ怖いほど、やってみれば、今の生活が変わります。

*****

「やらない理由」を作りたい人にとって、完璧主義ほど役立つものはありません。

何かをやりたいなら、完璧主義はほどほどにしておきましょう。





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