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ミニマルな日常

遺品整理が進まないときは、ものより親の生き方を残そう

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遺品の片付けで苦戦している人に、ものではなく故人の生き方や価値観を残すことを提案します。

親の残した品を前にすると、どれも意味があるように思えて、なかなか手放せません。

いつも使っていた食器や衣類、家族に代々伝わった着物や家具、写真や手紙といった思い出の品まで、あれもこれも残したくなりますよね。

こんなときは「ものを残す」と考えるのではなく、親の精神や家族に受け継がれてきた伝統を残す、と発想を変えてはどうでしょうか?

そのほうが、罪悪感にとらわれず、ものをスムーズに減らせます。

生き方を受け継ぐとは?

故人の生き方を受け継ぐとは、物理的な財産を引き継ぐことではなく、生活の哲学や価値観、日々の営みの中にある知恵や美意識を、自分と次世代へ伝えることです。

具体的には、親が大切にしてきた価値観や日々の習慣を自分の生活に取り入れます。

たとえば、食卓にいつも漬物が並んでいた、どんなに忙しくても正月飾りを欠かさなかった、夜は家族そろってテレビを見ながらお茶を飲んでいた。

こうした日常の営みを残すようにします。





ものを残すのは現実的ではない

スペースや時間に余裕があれば、親が残したものをそっくりそのまま持ち続けられるかもしれません。

でも、現実はなかなかそうはいきませんよね。

親世代が使っていたものでも、自分の生活には合わないことがあります。

たとえ高価な家具や代々伝わる着物でも、子どもたちにとっては、サイズが合わなかったり、使いにくかったり、そもそも使う機会がなかったりします。

そうしたものを思い出の品として残すと、自分も子どもにも負担がかかります。

生き方を残すメリット

ものではなく、生き方を残すことには以下のメリットがあります。

ものを減らす決断がしやすくなる

たくさんのものが遺品として残っていると、捨てるのが大変です。

でも、「親の生き方を残す」と考えれば、ものをたくさん持ち続けなくてもできるので、ものを手放しやすくなります。

罪悪感や義務感から解放される

暮らし方や親の価値観を残すと決めれば、「ものを捨てたら親を裏切るのでは」という罪悪感から解放されます。

たとえば、母親が着物をたくさん持っていたとします。

こんなとき、自分が着ないのに無理に着物を残すより、「着物やファッションが好きだった母の気持ちを残そう」と考えれば、母親をないがしろにしている気持ちにはなりません。

次の世代の負担にならない

大量に親のものを残してしまうと、やがて、子どもや孫がその整理に苦労することになります。

親の生き方を残そうと考えれば、使い道に困る家具や衣類を抱え込まずにすみます。

次の世代には、片付けの負担ではなく、親から学んだ暮らしの知恵といった精神的なものを遺産として渡せます。

思い出が生活に息づく

親がよくしていたことを暮らしの中に残すと、日常生活で親のことを思い出す機会が増えます。

親がしていたように、食卓に季節の野菜を並べると「母もこうしていたな」とほっこり考える時間ができます。

親がしていたように掃除をすれば、日々の暮らしを親が守ってくれるような気がするのではないでしょうか?

こんなふうに、親の生き方を受け継げば、親の思い出が、生活の中に自然に溶け込みます。

思い出は、心の中にあるので、負担になりません。親を偲ぶことは、ものを抱え込む以上に心を満たしてくれます。

価値観や暮らしを受け継ぐ方法

では、どうしたら親の生き方を受け継ぐことができるでしょうか? できそうなことを4つ紹介します。

1.記録を残す

すぐできるのは記録を残すことです。

遺品整理をしていると、写真や手紙、メモ帳、料理ノート、薬の処方箋など、親の暮らしぶりを伝える紙類がたくさん出てきます。

そうしたものをすべて取っておく必要はありません。

親の価値観や暮らし方がわかるもの数点を選んでデジタル化したり、ノートにまとめたりしましょう。

たとえば、母親が残したレシピノートの一部をスキャンして保存します。昔の手紙をいくつかピックアップしてファイルにまとめるのもいいかもしれません。そうすれば、親が大切にしていた価値観や習慣を残すことができます。

もしくは、実物は残さず、レシピノートを見て思ったことを自分で記録するのもいいです。このほうが、もっとものを減らすことができます。

実際、親が書いていた日記や手紙を読むかどうかは、迷うところです。

私自身は、人の日記は読みたくありません。でも、父親が亡くなったあと、父が毎日つけていた金銭出納帳は見ました。

金釘流の文字で、コーヒーやタバコ、まんじゅうなどを買っており、これを見ただけで、几帳面な父親のことが伝わってきました。

金銭出納帳は残していませんが、このときの気持ちは今も残っています。

2.故人の思い出を話す

家族や親族、親を知る友人と、親の思い出を語り合いましょう。

「母はこういう料理をよく作っていたよね」「父は毎朝必ず庭の掃除をしていたね」。こんなふうに振り返ると、親の価値観や習慣を確認できます。

実際にものを見ながら話すのもいいでしょう。

押し入れから出てきた食器を見ながら「母はこれでよく煮物を出していたね」と話したり、アルバムをめくりながら「この旅行は父が計画したんだよね」と振り返ったりします。

昔あったできごとを話すと、気持ちに区切りがついてものを手放しやすくなります。

3.日常生活に取り入れる

親がやっていたことを、自分の生活に取り入れてみましょう。

たとえば、本がたくさんあったら、本をそのまま保存するのではなく、読書を楽しむ習慣を受け継ぎます。

たくさん調理道具があったら、ものを残すのではなく、家族に手作りの料理をふるまうのが好きだった母親のやり方を真似します。

掃除の仕方や整理整頓のクセなど、自分の暮らしに役立つ部分を習慣として取り入れるのもいいでしょう。

4.自分なりにアレンジして受け継ぐ

親の暮らし方をそのまま真似するのが難しいときは、自分の生活に合うようにアレンジして取り入れましょう。

やり方より、その背後にある思いや精神を生かしてください。

たとえば、一人暮らしの人が、大家族だった親が使っていた大きな鍋をそのままもらって料理するのは現実的ではありません。

代わりに、「食事を通じて家族の時間を大事にする」という思いを受け継いで、自分一人でも、食事を丁寧に作るという形で実践できます。

親が毎朝仏壇に手を合わせていたなら、仏壇は残さず、一日の始まりに感謝する心を大事にします。たとえば、朝一番に瞑想をする習慣を作ればいいでしょう。

親が人付き合いを大切にしていたなら、自分もSNSやテキストメッセージで、身近な人にまめに近況報告をすれば、親の価値観を引き継ぐことができます。

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*****

遺品整理をするとき、ものではなく、親の生き方や価値観を残すことをおすすめしました。

親が大事にしていたことを、自分の暮らしの中に残すことができれば、ものはなくても、親とのつながりや、親を大事に思う気持ちは失われません。

大量のものを残すと、管理しきれなくなり、どこかにしまいっぱなしになります。それに、ものはいつかなくなります。

その点、生活様式や価値観は邪魔にならないし、世代を超えて残ります。

実際、私たちが、次に引き継ぎたいのは、親の生き方そのものではないでしょうか?

たくさんのものを背負い込まず、親が大事にしたことを受け継ぐことを考えてみてください。





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