額縁

実家の片付け

遺品を片付ける7つのステップ~いつまでも捨てることができない人へ。

実家の片付けシリーズ、今回は、遺品の片付け方です。

亡くなった祖父母や親の物が実家にたくさんあり、いい加減捨てたほうがいいと思うが、なかなか処理できない。

こんな悩みのある人のために書きます。

遺品の処分はマイペースでやればいいのですが、もし、途方に暮れているなら、以下を読んでみてください。



1.なぜ、いつまでも遺品が残っているのか?

なぜ、あなたの家や実家には、とうの昔に亡くなった人の遺品が、いつまでもあるのでしょうか?

まず、その理由を考えてください。

人により、理由はいろいろでしょう。忙しくて、片付けまで手が回らない、とか。

ただ、遺品が残ってしまうのは、個人の所持品と別れる儀式をしないからだと思います。

人が死ぬと、本人(体)と決別する儀式はきっちり行われます。お通夜、火葬、葬式、法事など。

9月にエリザベス女王が亡くなったとき、棺の行進、礼拝、国葬がかなりの時間をかけて、大々的に執り行われました。

ここまでやらないにしても、人が亡くなれば、時間を取って別れの儀式をするから、故人の体とは別れることができます。

しかし、所持品とは特にお別れをしません。だからいつまでも残っているのではないでしょうか?

自分なりに儀式めいたことをして、「もうお別れをしよう」と決めれば、捨てることができると思います。

儀式といっても、大げさなことをする必要はなく、ただ、「今までありがとう。さようなら」と言うだけでもいいのです。





2.遺品の処遇について方針を決める

お別れをしたら、遺品をどうするか、今後の方針をはっきり決めましょう。

3つ選択肢があります。

1)しばらく保留する

亡くなってまだ日が浅く、気持ちの整理もつかないし、とても片付ける気になれない。

こんなときは、保留を選びましょう。ただ、いつまで保留にするのか、ざっくり心積もりをしておくことをおすすめします。

49日が終わったら、来年の命日まで、三回忌/七回忌/十三回忌が終わったら、息子が就職したら、など、区切りの日を決めて、手帳や日記に書いておくといいですよ。

こうすれば、ただ、なんとなくずるずる持ち続けることがなくなるので、山のようにたまっている遺品を見ても、「ああ、片付けなきゃ」と重たい気分にならずにすみます。

2)すぐに片付ける

亡くなってずいぶん時間が経つ、そろそろ実家を手放さなければならない、もういい加減、決着をつけたい。

そんなときは、すぐに片付けることに決めます。

3)ずっと持ち続ける

私は、遺品を捨てたりしない。生きている限りずっと持ち続ける。

こんな決断をしても、かまいません。

お母さんの遺品を飾って楽しんでいる方もいます⇒私の実家再生ストーリー。ガラクタを片付けたあと、親の残したものをディスプレイ。

ただ、遺品だろうと、なんだろうと、物を持ち続けると管理の手間が発生することは肝に銘じておきましょう。

管理には、時間もお金も手間もかかります。

では、ここからは、片付ける決断をした場合の手順を説明します。

3.罪悪感や後悔を捨てる

故人に対して、罪悪感や後悔を感じていると、遺品は捨てにくくなります。

たとえば、

-もっと親孝行しておけばよかった

-あのとき、あんなこと言わなきゃよかった

-しっかり介護をしておけばよかった

-もっと顔を見せてあげればよかった

こんな気持ちがあると、故人の物を見るのがつらくなります。

そして、多くの人は、親が亡くなると、後悔や罪悪感を持つのです。

先日、病気で愛猫を亡くした読者のメールを紹介しましたが⇒ずっと気になっていた物をとうとう捨てることができて、達成感で一杯。 3通目のメールです。

この方は、「あんなに元気に見えていたのに、大変苦しんだ最期で悔やまれることしきりです」と書いていました。

もっと早く病気を発見してあげることができていれば、猫は苦しまなかったのだろう、と後悔しているわけです。

実はこのメールを読んだ、別の読者からもお便りをいただきました。

この方も、最近病気で愛犬を亡くしたのですが、延命のためにつらい治療を強いてしまったのではないか、かわいそうなことをしてしまったのではないか、とメールに書いていました。

2人とも、すごくペットを可愛がっていて、愛が深かったゆえに、今、後悔しているのだと思います。

ペットですらこうなのですから、自分の祖父母や親が亡くなれば、誰だって、「ああもしておけばよかった、こうもしておけばよかった」という気持ちになるでしょう。

こうしたマイナス感情が強すぎると、「片付けて先に進もう」、という気になれません。

もし、後悔や罪悪感、自己嫌悪が強すぎて、必要以上に落ち込んでいるなら、ぜひ、心のガラクタの整理をしてください。

心のガラクタの整理の仕方は、毎回書いていますが、気持ちを書き出すことです。

よくおすすめするのは以下の2つ。

頭の中のガラクタを断捨離するブレインダンプのやり方

ネガティブ思考改善にモーニングページがいい~今月の30日間チャレンジ

亡くなったペットや故人に対して心残りがあるときは、手紙を書くのもいいと思います。

生前には伝えられなかったことを、今、手紙に書いてみるのです。

マイナス感情を完全に捨てる必要はありません。

人によっては、一生持ち続けると思います。

ただ、先日も相談メールの返答に書きましたが⇒断捨離中ですが、子供の物に対する思いを断ち切る方法を教えてください。

後悔するようなことをしてしまった自分を自分で許さないと、ずっと後悔し続けます。

その状態は、きっと、死んでしまったペットや親の望まないことです。

遺品の整理をしている過程で、気持ちが片付いていくから、片付けも同時にすることをおすすめします。バリバリ断捨離する必要はなく、ゆっくりやればいいのです。

4.大好きな物を先に選ぶ

遺品の整理をするとき、まず、自分が大好きな物、どうしても欲しい物、何があっても持ち続けたい物を、少しだけ選んでください。

断捨離をするとき、捨てない物を先に取っておく要領です。

ふつうの物もそうですが、遺品も、本当に好きな物や、大切な物を持っていれば、ほかの物がたくさんなくても平気になります。

コツは、少しだけ選ぶことです。

数が多すぎると1つひとつの価値がさがります。

この話に納得できないときは、過去記事にある、「小説『二十四の瞳』から学んだ思い出品の扱い方」を読んでください⇒古い手紙を捨てる決心をしたら、今の生活に意識が向いた。

5.形見分けをする

大々的に捨てる前に、家族や親族、故人の友人などに、欲しい物はないか聞いてみて、あれば、形見として手渡してください。

形見分けをするためには、連絡をとる必要があるので、当然、故人の話になるでしょう。

すると、自分の知らなかった親のエピソードを聞いたり、昔話をしたりします。

こういうおしゃべりや、やりとりが、気持ちの整理のきっかけになります。

6.チャリティに寄付する

故人の物が、何らかの形で社会や他の人のためになる処分の仕方をすると、故人の遺志を尊重できます。

たとえば、亡くなったおじいさんの趣味が将棋で、遺品のなかに立派な将棋盤と駒があるなら、近所の子供将棋教室に寄付するとか。

遺品をなんでもかんでも持ち続けるのは、故人の遺志を継ぐことにはなりません。

特殊な遺品は別ですよ。亡くなったお父さんは画家だったから、家にいっぱい素晴らしい絵があるので、いつか、この絵を集めた画廊を作りたい」。こんな気持ちや行為は遺志を継ぐことになると思います。

でも、お父さんが使っていた日用雑貨などは、さっさと捨てたほうがいいんじゃないでしょうか?

自分が死んだあと、自分の物をどうしてほしいか考えてみるといいでしょう。

私は自分が死んだあとに、娘に私の物を持ち続けてもらいたいなんて、露ほども思いません。

7.簡単な物から捨てる

思い出がねっとりからみついている、「ザ・思い出の品」ではなく、あまり思い入れのないニュートラルな物から捨てていきましょう。

まあ、何がニュートラルだと感じるかは、人によって違います。

故人のお薬手帳まで取っておいた人もいますから⇒家族の遺品を処理するタイミングを知りたい←質問の回答。

持ってはいたけど、故人があまり使っていなかった物は、わりと簡単に手放せるのではないでしょうか?

新品のまま、はしが茶色くなっているタオル、未開封のまま、山のようにあるパンストやサランラップ、新品に見えるけど、かびくさいバッグ、何十年も動きがなかったような本。

こんなものは捨てやすいでしょう。

また、元は自分の物だったもの(子供の頃、自分が描いた絵や小学校のときの通知表など)も捨てやすいはずです。

簡単なものをコツコツ捨てているうちに、だんだん捨てる要領がわかってくるので、そのうち、「ザ・思い出の品」も、うまく捨てることができるようになります。

遺品整理に関する過去記事もどうぞ

たくさんありますが、5つだけリンクします。

親の遺品整理中、悲しみや後悔でいっぱいになったらこうする。

家の建て替えのため、大量の親の遺品を処分した話。

親の遺品を片付けなければ…と思うばかりで、全く作業が進まない。どうしたらいい?

3軒の家にぎっしり詰まっていた母の遺品を5年かけて1人で片付けた話。

素材がとてもよい遺品なので、処分できず、困っています←質問の回答。

******

私の父は私が14歳のときに亡くなりましたが、母は父の遺品の大半を10年後に捨てたと言っていました。

「10年も持っとったんかい?」と思いましたが、母は、自分の物では、もっと古い物もたくさん持っているので、母にとっては、早く処分できたほうかもしれません。

父はあまり物を持っていなかったので、遺品の整理はさほど大変ではなかったでしょう。

父の生涯は、昭和4年(1929年)~昭和47年(1973年)で、高度経済成長期を体験していますが、父は、車、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、クーラーみたいなものは買っても、自分のための衣類、雑貨、書籍はめったいに買いませんでした。

父の趣味は、仕事とプロ野球の中継をラジオで聞くかテレビで見ることだったので、お小遣いのほとんどは、貯金(将来、自分で会社をもつ計画があった)、家族のための出費(ギフトやお土産)、たばこ、コーヒーに消えていました。

長生きしても、物は増えなかったかもしれません。





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