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断捨離していると、何かを捨てようか捨てまいか、すごく迷ってしまうときがあります。
そんなときは、合理的に考えてみると納得できる結論が出せるものです。
今回は、ケーススタディとして読者のN’さんの質問に回答しながら、論理的な考え方を紹介しますね。
捨てていいのか、どうか?
件名:捨てると決めたんですが…
もう捨てると決めている物で、筆子さまも絶対捨てるようにおっしゃると思う物についてです。
わたしが本の自炊をしているとことはちらっと書きました。自炊した裁断した本は、ほとんどを資源ごみに出しました。
ただ、一部だけ取ってあるのです。
それは、本の表紙、裏表紙、奥付けの、1冊につき3枚です。
わたしが自炊を始めた10年ほど前、スキャナーを買うために某ショッピングサイトのレビューを読んでいると、「本を持っていた証拠に、表紙と奥付けを取っておこう」と書いてあったのです。
なるほど、万一、本のデータが不正に入手したものだと疑われた時、本を持っていた証拠があれば、自炊だと証明できます。
わたしは無印のファイルに入れて、全部の本の表紙、裏表紙、奥付けを取っておきました。
何冊自炊したのか数えておりませんが、千冊はしたと思います。
3千枚はあるわけです。
そうなると、結構な量です。
10年前なら自炊する人もあまりいなかったかもしれませんが、今では、スマホでスキャン出来るとか言う話も聞きます。
自炊本を不正に入手したかもしれないなんて、まず疑われるなんてことはあり得ないだろうと思うのです。
捨ててしまってなんの問題もない、ただ、筆子さまのご意見を教えていただきたいと思い、お便り差し上げました。
筆子さまも捨ててしまっていいと思いますよね?
*筆子註:自とは、自分の持っている紙媒体の本や雑誌をスキャナなどを使ってデジタルデータに変えることです。
N’さん、こんにちは。お便りありがとうございます。
メールの最初に、「筆子さまも絶対捨てるようにおっしゃると思う物」と書いていますね。
つまり、私の返信内容はわかっているのに、それでも聞くのは、念のためですか?
「筆子ジャーナル」は持たない暮らしをすすめるブログであり、捨て方がテーマの著書もある私、筆子が、「もう使わない3千枚の紙切れを取っておいたほうがいいですよ。たとえ部屋が狭くて、好きな物を置けないという悩みがあったとしても」とブログに書く可能性があると考えているのですね。
N’さん、実際、そういう悩みをお持ちでしたが、もう解決しましたか?
私がそんな返信をする可能性は、N’さんが、将来、1000冊の本をどこかから盗んですべて自炊した無実の罪(窃盗でしょうか?)に問われる可能性と同じくらい低いのでは?
しかし、捨てるか捨てないかを決めるのはN’さんご自身です。
どうするか自分で決めてこそ、暮らしがよいほうに変わります。
そのために、きのうも決断疲れを回避する方法を紹介しました⇒気持ちに余裕がないときは、決断疲れを防いでみよう。やり方を7つ紹介します。
決断疲れを回避するのは、何を持つか、自分でちゃんと決められるようにするためです。
今回は、捨てるか捨てないか迷ったときに合理的に考えるポイントを7つ紹介しますので、1つずつ検証して決めてください。
1.必要か?
それが自分の人生にとって本当に必要かどうか考えます。
現在使っているか、過去1年~3年(物によって違う)にどのぐらい使ったか考えてみると、必要性がわかるでしょう。
2.使用頻度はどのぐらい?
過去3年の間に使ったことがあるとしたら、その頻度を考えてください。
スペースを確保したいときや、管理の手間を減らしたいときは、頻繁に使わない物は手放したほうが都合がいいことが多々あります。
3.将来使うか?
過去も今もたいして使っていないけど、将来的に必要になると思うものもあるでしょう。
これまで全然使っていなかったけど、未来には事情が変わるだろうから使うよ、と思う物です。
N’さんの持っている本の表紙は、この「将来的に使うかもしれない物」に入るでしょうね。
そのような物は、本当に使う可能性があるのか考えてください。
使いそうにないなら廃棄しますが、誰かの役に立ちそうなら寄付し、リサイクルできるものは、リサイクル用ゴミとして出すといいでしょう。
4.捨てたあとの最悪のシナリオは?
それを捨てることによって、大きなリスクがあるかどうか考えてください。
リスクが小さいときは、それが起こる可能性を恐れる必要はありません。なぜなら、何が起きようと、人間にはその問題を解決したり、障害を乗り越えたりする力があるからです。
大きいリスクがあると思うなら最悪のシナリオを考えましょう。
N’さんの最悪のシナリオは、不正に本を入手したわけではないのに、誰かが、「N’さんは、不正に本を入手しました」と警察に告発し、その罪が実証され、刑罰に処せられることですか?
今調べたら窃盗罪で有罪判決を受けると10年以下の懲役または50万円以下の罰金だそうです。
10年も刑務所に入るのは確かに嫌ですよね。
でも、不正は何もしていないので、検察側は罪を立証できませんよ。
というか、いったい誰が、そんな冤罪をN’さんにふっかけるんでしょう? 出版社、本屋? 本の著者? N’さんに恨みをもっている誰か?
ちなみに、個人が使用するために本を自炊することは、著作権法違反ではないので、この件で罰せられることもありません。
5.利益と損失を比較する
それを捨てることで得られるもの/利点/利益と、失うものを比較してください。
通常不用品を捨てるとこんなものが手に入ります。
・スペース
・時間
・ストレスの少ない暮らし
失うものは、捨てるものによってまちまちです。
N’さんの場合は、「将来、司法当局に不正に本を入手したと疑われたときに、そうではないことを証明するもの」になるでしょうか?
しかし、先にも書きましが、実際は不正をしていないのだから、証明するものなんて、何もいらないんじゃないですか?
そんなこと言ったら、今着ている服も、使っているベッドも、不正に入手したと疑われる可能性がありますが、レシートなどをみな取ってあるんですか?
利益と損失を比較し、利益のほうが大きいなら捨てるべきです。損失は少ないのに、持ち続けたいなら、その理由を考えてください。
6.感情的な要素について考える
全然使っていないし、これからも使わない。取っておくメリットもあまりない。
そんなものでも捨てたくないと思うときがあります。
人間には感情があるからです。
そのものに対して愛着を感じていたり、それが、自分という人間のアイデンティティになっていたり、美しい思い出を象徴しているもののように思えたりすると、捨てたくないと思います。
ほかにも、罪滅ぼしのつもりで持ちたいとか、捨てるとたたりがあるからとか、過去の自分を否定したくないとか、いろいろな感情がまざりあって、捨てない方に振り子が揺れるでしょう。
N’さんが、3000枚の紙切れを捨てないのは、恐怖のせいしょうか?
そんなときは、自分の感情と向き合ってください。
不用品を捨てることに関しては、たとえ愛着や恐怖があっても、その感情を重要視しないほうがいいと私は考えています。
感情は変わりますから。
何もしなくても、感情は移り変わりますが、できごとに対する考え方を変えれば、意識的に感情をシフトすることもできます。
この点については、これまでに書いたTEDの記事などを読んでください。
7.自分のためになる決断はどちらか?
ここまで、できるだけ、論理的・合理的・客観的・現実的に考えて、最終的な結論を出すときは、自分のためになる選択をしてください。
70年、80年と生きる自分の人生にとって、それを捨てることと、捨てないことがどちらが有益か。
不用品を捨てるときは、近視眼的になっていて、失うことがすごくもったいなく思えます。
しかし、大局的に考えると、捨てたほうが自分のためになることが、ひじょうに多いと私は考えています。
それから、N’さんには、以前の質問に私がした返答をもう一度読んでもらいたいです。
これからも、何かを捨てようかどうか迷ったら、この記事に書いたことを、検討して決めてください。
■関連記事もどうぞ⇒論理的かつ批判的に考える7つの方法。ロジカルシンキングはライフスキル。
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以前、この記事で⇒よい方向に行動を変える方法:ダン・アリエリー(TED)
行動経済学の本を紹介しましたが、
この本に書いてあるように、人間はなかなか合理的に考えることができません。
だからといって、合理的に考えることを完全に放棄しないほうがいいと思います。
感情や直感だけで決めないほうがいいときはたくさんあるのです。