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所持品だけでなく、日々出しているゴミをミニマルにしたい人に参考になるTEDの動画を紹介します。
タイトルは、Two adults, two kids, zero waste(大人2人、子供2人、ゴミはなし)。
プレゼンターはアメリカのカリフォルニア州で、家族4人でゼロ・ウエイストなライフスタイルを実践しているベア・ジョンソン(Bea Johnson)さんです。
大人2人、子ども2人、ゴミはなし
ゼロ・ウエイストとは、waste をゼロにする、つまりゴミを出さないライフスタイルです。
何も買わずに、自給自足すれば実現可能な生活ですが、都会に住んで子供を育てながらゴミを出さないのはかなりチャレンジングなことです。
本気でゼロ・ウエイストをめざす人や、シンプルライフを心がけている人にも得るところがたくさんあるプレゼンです。
ベアさんはきれいな人だし、着ている服も家も素敵なので、「おしゃれなミニマリストになりたい」という人の参考にもなるでしょう。
収録は2016年4月。長さは14分。ベアさんは、フランス人なので、多少アクセントがあります。話している英語は難しくありません。日本語字幕もあります。
動画のあとに抄訳をつけます。
※TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
家から出るゴミは1年間でガラスのジャー1つ分だけ
平均的アメリカ人は1年間にごみを1トン出します。我が家では、2008年から毎年、ガラスのジャー、1個分しかゴミを出していません。
2006年に、本やドキュメンタリーを見て、子供たちに残せる未来について考えました。そのとき、夫と私はとても悲しくなりました。
そこでライフスタイルを変えることを決意。
ゴミゼロを目指しました。
ゴミの出ない方法を探して、さまざまな実験をしました。缶を使ってみたり、リッププランパー(唇をぽっちゃり見せるクリーム)の代わりに、ネトルを使ったり。
ネトルはすごく痛かったからおすすめしません。
トイレットペーパーの代わりにコケ(moss)を使うのもやめたほうがいいです。モスは乾きますから、使い心地がよくありません。
ノー・プーも試してみました。
シャンプーの代わりに、重曹で髪を洗い、アップルサイダービネガーでリンスするやり方です。
半年後、頭皮の脂が、髪の半分ぐらいまでおりてきて、毛先が縮れてしまいました。
ある晩、隣に寝ていた夫が、「ベア、きみの酢漬けのニシンみたいな匂いにうんざりなんだけど」と言いました。
そこでノー・プーはやめました。
こんなふうにいろいろ試して、ちょうどいいバランスを見つけました。
長期的に、ゼロ・ウエイストを続けるには、5つのルールにそって、順番にやるだけでいいのです。
ルール1:Refuse リフューズ ノーと言う
最初のルールは、必要ないものは断ることです。ノーと言うことを学ぶだけです。
ジャンクメール、使い捨てのプラスチック、無料のおまけはみんなノー。
大量消費社会に生きる私たちは、さまざまな消費財を買うことを促されます。けれども、そうしたものを買ったり受け取るたびに、需要を増やしてしまうのです。
カンファレンスで無料のボールペンをもらうことは、「お願いします。もっと石油を掘り出し、代わりの物を作ってください」と頼むようなものです。
ルール2:Reduce リデュース 減らす
ゴミゼロ生活の2番めのルールは、必要とするものを減らすことです。
物を減らすことが肝心
我が家では徹底的に断捨離をしました。断捨離のいいところは、いらない物を他の人に使ってもらえること。中古品マーケットが活発になります。
これはゼロ・ウエイストの未来にとってとても大事なことです。
私は、以前、調理器具をいっぱい入れたジャーを持っていました。木のスプーンを10個も持っていたのです。
でも、手は2本だけだし、何かをかき混ぜる時に使う手は1本だけ。10本もスプーンを持って、どうするというのでしょう。1本で充分です。
これは流しの下の写真です。ここにたくさん洗剤を入れていました。メーカーの言うことを鵜呑みにしていたのです。
場所によって違う商品がいると。
窓には窓用、床には床用。バスルームにはバスルーム用。その結果キャビネットが、毒性のある製品でいっぱいになりました。
でも、そんなもの、いらないのです。
ホワイトビネガー(お酢)とカスティール石けんがあれば、事足ります。
これはうちの浴室、これはメディシンキャビネットです。バスルームにあるのはこれだけ。
歯磨きには、濡らした歯ブラシに重曹をふりかけたものを使います。アイメイクには、焦がしたアーモンド。肌には調理用オイル。チークにはカカオパウダーを使っています。
服は15着
これは主寝室、これは私が夫と使っているクローゼットです。
人は手持ちの服の20%しか使っていません。80%は、「もしもの時」のために取ってあるのです。
もし仕事の面接があったら、もし結婚式に招かれたら、もしやせたら、もし太ったら、その時着よう、と思っています。
我が家では、本当に必要な20%を見極め、80%を処分しました。
私のワードローブはこれだけです。
●ショーツ 1
●スカート 2
●ワンピース 2
●パンツ 2
●トップス 7
●セーター 1
服の数が少ないということは、オプションが少ないというわけではありません。
15着の服で、50種類のコーディネートができます。
子供もミニマリストです。これは下の息子の部屋。ごらんのとおり、服は全部、キャリーオンバッグに収まります。
家族全員のワードローブが、それぞれキャリーオンバッグに入ります。旅行に行きたいと思ったら、ワードローブをそっくりそのままキャリーオンバッグに入れて、出発するだけ。
その後、清掃サービスの人に家を掃除してもらって、人に家を貸します。これで旅行代金ができます。
これはリネンクローゼット。これはガレージ。
3:Reuse リユース 再利用
3番目のルールはリユースです。リユースのやり方は2つあります。
1.使い捨てしていたものをリユースできるものにスイッチ
これまで使い捨てしていたものは皆、再利用できるものに替えました。
ティッシュケースの代わりに、ガラス瓶にハンカチを入れてます。使い捨てのスポンジやペーパータオルの代わりに、布、木のたわし、金属製のたわしを使っています。
捨ててしまうことになる食品保存容器の代わりに、ガラス瓶を使っています。リユースできる袋や器を持って買い物に行くので、使い捨てのビニール袋のゴミが出ません。
スーパーの量り売りで食品を買い、乾物はみなガラスのジャーに入れてます。
これが我が家のパントリーです。冷蔵庫の中はこんな感じ。ワインもバラで購入し、お店で瓶に詰めています。
2.中古品を買う
我が家で使っている服はすべて中古品です。この靴もそう。5ドルです。
スリフトショップ(寄付品を売っている店)で見つからないときは、フリマやeBayで買います。
4:Recycle リサイクル 再利用
ゼロ・ウエイスト生活の4番目のルールは、リサイクルです。断ることも、減らすことも、再利用することもできないものはリサイクルしています。
ゴミゼロ生活は、リサイクルの量が増えるのではなく、むしろ量が減ります。
無駄な物を買わないからです。
プラスチックを排除
こうした暮らしをしているうちに、できるだけプラスチック製品を使わないほうがいいとわかりました。
プラスチックは製造する過程で健康によくない物質が出るし、使用しているときも健康によくありません。
食品のパッケージに使われているプラスチックが、食べものにしみこみます。
リサイクルできるプラスチックも限られています。リサイクル可能なプラスチックも、リサイクルしてしまうと、リサイクルできない製品に変わります。
プラスチック製品はゴミ処理場で山をなすものと考えるべきです。
プラスチック製品を使う代わりに、ガラス、金属、ダンボール、紙、時には木製のものを使っています。うちの歯ブラシは木製です。
木製の歯ブラシは堆肥(たいひ)にできますから。
コンポストにする
コンポストにすることが、ゼロ・ウエイスト生活の最後のルールです。果物や野菜の切れ端を腐敗させるだけでなく、バターの包み紙もコンポストにしています。
バターだけはパッケージに入っているのを買っています。ワックスペーパーに包まれています。ワックスペーパーはコンポストにできるからです。
床を掃いて集めたゴミ、衣料乾燥機から出る糸くず、髪の毛もコンポストにしてます。息子の髪の毛です。自分の髪はリサイクルしています。
ひじの上のところまで伸びたら切ってもらって、ガンの患者用のかつらをつくっている団体に送っています。
ゼロ・ウエイストな生活のメリット
昔の私が、ゼロ・ウエイスト・ファミリーのことを聞いたら、環境保護に熱心で文明を否定している人たちだと思ったはずです。
辺鄙なところに住んで、すね毛も剃らないのだろうと。専業主婦で時間がたっぷりあるから、1日中、ゴミのことを考えていられるのだろう。何でも手作りできるのだろう。
こんなふうに考えたと思うのです。
でも今は違います。
私はフルタイムで働いているし、手作りしているのは化粧品だけ。その化粧品の数もほんの少しです。
ゼロ・ウエイスト・ライフスタイルは環境にいいだけでなく、健康にもいいです。毒性のあるものを排除できるので、以前に比べて、病気にならなくなりました。
しかも、すごく節約できます。家計の40%も減らせました。以前に比べて消費する量が格段に減ったからです。
すでにある物を買い替えるだけだし、しかも中古品を買っています。
さらに食べ物をバラで買っています。食品の価格の15%は包装資材の値段です。昔は捨てていたものを、すべて、使いまわせるものに替えたことも節約につながりました。
もうゴミになるものにお金を使っていないのです。
つまり、お金を捨てていないということです。
代わりに、リユースできるものを買い、長年の節約のおかげで、ソーラーパネルを設置することもできました。それでますます節約できるわけです。
このライフスタイルのもっともいいところは、自然にシンプルに暮らすようになることです。
一番大事なことに時間を使えるようになりました。物ではなく経験に満ちた人生、所有することではなく、生き方を大事にする人生。
ライフスタイルを変えたおかげで、以前は不可能だと思っていたことを、家族でできるようになりました。
スノーケリングやツーリング、アイスクライミング。
息子の笑顔の写真が好きです。ゼロ・ウエイスト生活はこの上ない幸せをもたらしてくれたのです。
ガンジーは、「幸せとは、考えることと、話すことと、することが調和している状態だ」と言いました。
ゼロ・ウエイストな暮らしにしたら、まさしくこの状態になったのです。
18歳で、フランスからオーペアとしてアメリカに来たとき、自分が、こんな世界的なムーブメントを起こすなんて夢にも思っていませんでした。
大勢の人がこのライフスタイルを始めています。私のブログや本がきっかけで。ゼロ・ウエイストの店も広がっています。
人は「もっと早くに始めていたら」と後悔するものです。
皆さんに考えてほしいのです。
ゼロ・ウエイスト生活を始めたら、何か失うものがあるでしょうか?
自分について新しい発見があるかもしれません。この上ない幸せが見つかるかもしれませんよ。
///// 抄訳ここまで /////
語彙の説明
no poo ノー・プー
シャンプーの代わりに重曹とアップルサイダービネガーを使用して洗髪すること。
詳しくはこちら⇒ノー・プー女子になりきれないあなたへ~シャンプーに入っている頭皮によくない成分を知っておこう
white vinegar ホワイトビネガー
透明の醸造酢。いろいろなことに使えます⇒家事も簡単、シンプルに~お酢を使ったエコ掃除と洗濯のアイデア10選
castile soap カスティール石けん
オリーブオイルから作る石けん。ベアさんはリキッドソープを使っています。
burnt almond 焦がして墨にしたアーモンド
アーモンドを焦がしてアイライナーを作る方法(25秒の動画)
au pair オーペア
海外のお金持ちの家に住み、育児(ベビーシッター)や家事の手伝いをする代わりに、寝る所と食事を提供してもらう人、または制度。
合間に学校に行けたりするようです。
ベア・ジョンソンさんの家の様子がわかる動画(8分31秒)
ベアさんはこんなふうに暮らしています。時計や家具もみんなシンプルで、素敵です。カカオパウダーも出てきます。
乾きものは布の袋、肉など湿っているものはガラスのジャーに入れてます。人の目を気にしていたらできない技です。加工食品は買わないようです。
ベアさんは、ゼロ・ウエイストは家の中でやるというより、むしろ家の外でやるもの、と言っています。
ごみゼロにするためには、何を買うか、買わないか、という点がひじょうに重要だからです。通販を使うとゴミが出ますから、自分で店に買いに行かなければなりません。
まとめ:ゼロ・ウエイストを始めるには?
ベアさんのルールをまとめると
1.不用品は断る
ゼロ・ウエイストの初心者がまずすべきことは、必要でない物は家に入れないことを徹底することです。
余計な物は買わない。ジャンクメールは止める、おまけはもらわない、など。
特に無駄な物を買わないことが大事ですね。結局、買うからゴミになるのだし。
食品の15%が包装代というのも恐ろしい話です。使わないものにお金を使っているから、貯金ができないのです。
2.減らす
日常生活で使うものを減らします。
湯シャンにすれば、シャンプーは不用だし、過剰な化粧をやめれば化粧品も少なくなります。
ユニフォームを決めてしまえば、服も少なくてすみますね。
3.再利用
エコバッグを使ってレジ袋はもらわない。ジップロックは捨てて、ガラスの容器を使う、といったことです。
衣料品など生活資材はできるだけ中古品を買います。
4.リサイクル
1~3番でクリアできなかったものは、リサイクルします。
5.コンポスト
野菜くずのみならず、髪の毛までコンポスト。庭がないとできませんが。
詳しいことはベアさんの本に書いてあります。
ブログはこちら⇒Zero Waste Home
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ゼロ・ウエイストにするためにはプラスチックと決別しなければなりません。それはすなわち、加工食品との決別です。
ゴミを出さないことを意識すると、より健康になり、節約できる、というのは本当だと思います。
加工食品は加工されている分、割高ですから。