津波

ミニマリストへの道

東日本大震災のショックで断捨離がストップ:ミニマリストへの道(56)

それまでバリバリと断捨離していた私でしたが、2011年の春、ガラクタを捨てる手がパタっと止まりました。

東日本大震災があったからです。

カナダに住む私は、もちろん被災しておりません。ですが、この地震が私に与えた精神的ショックは、とてつもなく大きなものでした。

今回は、東日本大震災の頃、私が何をしていたのかお伝えします。



震災で時間が止まった

私は2009年、50歳になるのをきっかけに、熱心に断捨離を始めました。

カレン・キングストンの本や、フライレディのメール、レオ・バボータのブログなどを参考に、毎日、不用品を捨てていました。

2011年3月11日、朝起きたら、夫に「日本ですごく大きな地震があったよ」と言われました。

「え、また、神戸大地震みたいなのがあったのかな?」頭の中に火災の様子が浮かびました。

すぐにインターネットでニュースを調べました。私の実家は名古屋。もう何年も前から、東海大地震が起きると言われているところです。

ところが、みなさんご存知のように、地震が起きたのは東北でした。テレビの画面でもインターネットのサイトでも、何度も何度も大きな津波が街を飲み込む様子を写していました。

最初は、自分の目が信じられませんでした。こんな大きな地震や津波は想像していませんでした。

しかも、この災害、地震だけではありません。原発事故も発生していました。この日から私は、暇さえあれば、インターネットでNHKやBBCのニュースを見ていました。

もう断捨離どころではありませんでした。

悪夢を見ているようだった

初めてニュースを知った日の夜、ふとんに入るとき、「ああ、これは何か悪い夢で、明日の朝起きたら夢がさめていてほしい。何もかも元通りになっていてほしい」と本気で願いました。

しかし、これは夢ではなかったのです。

翌日もその翌日も余震が続き、被災地の惨状や、福島の原子力発電所のニュースが報道されました。合間に、もう何度見たかわからない、津波が街を飲み込む恐ろしい映像が流れました。

被災地や避難所の状況を見るだけでも、ものすごくショックでつらいのに、連日報道される、福島第一、第二の原子力発電所の数々のトラブルには、胸がつぶれそうになりました。

いったい、いつになったら安定するのか?

原発はクリーンエネルギーと言われていますが、実は違ったのです。原子炉を停止してもずっと冷却し続けなければなりません。何十年も何百年も。そして冷却するには電気が必要なのです。

実家の母にメールしたら、震源地から遠いこともあり、わりと普通に暮らしている雰囲気でした。東京に住む友だちにメールしたら、「ありがとう、私は無事です。大丈夫だよ」という返事が来ました。

え、こんなすごいことになっているのに、本当にみんな大丈夫なの?

被災地や避難所の様子、原発事故の経過をニュースで見るたびに、胸が張り裂けそうで、涙が流れました。



原発事故が心配で何も手につかない

地震が起きて以来、毎晩「ああ、寝ている間に何かものすごく大変なことが起きるんじゃないだろうか?大きな地震とか」と不安になりました。

心配で心配でたまらず、悪いことを考え、涙目になって寝ていました。

地震が起きて5日ぐらいたった日のことです。やはりその前の晩も「ああ、寝ている間に、まさか核爆発なんて起こらないよね?どうかこれ以上ひどいことが起きませんように」と祈りながら眠りにつきました。

母にメールをすると、わりとのんきな返事が返ってきていたのですが、外から見ていた私は、本当に心配でした。

地震と津波はもう起こってしまいました。今さらどうすることもできません。

その時私が一番恐れていたのは原発事故です。メルトダウンが起きてしまったら、日本はまるごと廃虚になってしまうかもしれません。

翌朝、起きたら、夫がすでに起きていてテレビを見ていました。ふだんは私が一番最初に起きるのですが。

ちらっとテレビを見ると、ローカルニュースのようでした。

その後テレビ画面に、How much radiation is too much (どのぐらいの放射能だと多すぎるのか)というテロップが流れ、放射能の安全性などを説明し始めました。

日本で核爆発が起きたら、テレビはそのニュースで持ち切りになるはずです。「まだ最悪の事態にはなっていないようだ」とちょっと安心しました。

そんなふうに、地震が起きてから、毎日、津波と原発のことで頭がいっぱいでした。インターネットで震災の報道ばかり見て、他のことは、ないがしろにしていました。

しかし、家族は自分たちの生活をちゃくちゃくと送っていました。

この頃、娘が学校からパスポートを持ち帰りました。パスポートとは旅券のことではなく、来年度(9月が新学期)どの学校へ行くのか、どんな科目を取るのか書いて学校に提出する紙です。

娘は当時中学1年でした。中学に入ってから、学校のことはほとんど本人に任せていました。9月からも同じ学校に行くので、選択科目をどうするか決めるだけでいいようでした。

娘が何かしゃべっているのを、上の空で聞きました。そのほか、この時期に考えておいたほうがいいこともいくつかありましたが、別に考えなくてもさほど支障はないようにも思えました。

震災のことで頭がいっぱいで、ほかのことにしっかり意識を向けることができない状態でした。

その日もネットで、NHKとBBCの中継を見たり、ほかのサイトで震災のニュースを読んでいたら、あっという間に1日が終わりました。

福島の原発では自衛隊による放水が始まっていました。原子炉に海水を入れたとき、「ああ、これは最後の手段じゃないの?」と思いました。外から放水なんて、もっと最後の最後の手段ではないか、と不安になりました。

「何とかして、これがうまく行き、状況が好転してくれるといい」。その日の夜も「寝ている間にもしかしたら…」と考えながら眠りにつきました。

☆このシリーズを最初から読む方はこちらから⇒何度も失敗したけど、今も前を見て進んでいます~「ミニマリストへの道」のまとめ(1)

☆次のミニマリストへの道はこちら⇒震災のショックから気持ちを立て直すためにやったこと:ミニマリストへの道(57)

震災を境に自然について考えるようになった

3月の終わりが来ました。

事故から3週間ほどたっていましたが、相変わらず、毎日ニュースを見ていました。私は被災していないのに、3月11日に時間が止まったかのようでした。

2011年の3月11日を、誰も忘れることはないでしょう。この日を境に世界が変わりました。

ニュースでは被災地でも梅が咲いたと報じていました。

この頃私が考えていたのは自然のことです。自然と共存するにはどうしたらいいのだろうか、と思案しました。

原子力発電所の危険性の問題が取り沙汰されたとき、自分はそれを全く他人事として、どこか別の世界で生きていたことを悔みました。

どうしてこんなことになってしまったのか?

何もかも人まかせにしていたから、こんな罰を受けたのか。

私は無力でした。私にできたのはほんの少しの募金だけ。貧乏だったので、たいした金額は出せませんでした。

そんな自分にも腹を立てていました。

自分は地球に生きる1人の人間として、もっと責任を持たなければならないのではないかと感じていました。

この頃、私が住んでいる場所も、春らしくなってきました。雪はまだ積もっていましたが、日一日と日差しが明るくなりました。

あんな恐ろしい地震と津波を起こす自然。その同じ自然が、毎年同じ時期に春の暖かい日差しを運んでくれるのです。

人が自然に勝てるわけがない。文明の進歩は本当にいいことなのだろうか?今の流れを変えるべきなんじゃないか。

日差しの中で考えました。

では、自分に何ができるのか?

もっと義援金を出せるように金持ちになればいいのか?

とにかく、このまま悲しみにくれていてもしょうがないと思いました。相変わらず、震災の様子は、ニュースで見ていましたが、少しずつ、日常に戻りました。

4月9日に久しぶりに断捨離をして、寄付箱を4つ作りました。私はまだまだ余分な物をたくさん持っていました。





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