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いらない物をぼんぼん捨てていたら、家族に「物を大切にしていない」と言われた。
「そういえば、そうなのかな?」と迷いが生じている。どうしたらいいんですかね?
このお便りに回答します。
まずメールをシェアしますね。Tさんからいただきました。
私は物を大切にしていないのかしら?
件名:「すぐに捨てる」と「ものを大切にする」
毎日のブログ、仕事の合間や終わってから読ませていただき、勉強させていただいています。
私は3人の子供をもつ、フルで働く主婦です。
コロナ禍のおり、滅多に休みの取れない中で在宅や有給が取れるようになり、断捨離を決意しました。
今まで忙しくて手もつけられなかったところをかなり片付けることができました。
まだまだ物は多いですが、時間を見つけて少しずつ継続しています。
YouTubeを見る時間ができ、多くの方の啓発動画を見て、思考が変わってきたのを感じます。
筆子さんのブログも、こんなときに出会いました。
必要ないと思ったものが入ってきたら、すぐに捨てるかリサイクルショップに持っていくかをして、物が増えないようにしています。
子供たちにも、必要なものかを聞いて、要らなければ捨てています。
先日、小学生6年生の子が、図工の作品を持って帰りました。
気に入らない上に使わないと判断して、「母さん、使わないから捨てていい?」と聞かれたので、「いいよ」と答え、子供はすぐに捨てました。
それを見ていた主人と長女が、口を揃えて「持って帰ったものをすぐに捨てるなんて、ものを大切にしていない」と言いました。
確かにせっかく作ったものをと思います。
しかし本人も置いていても使わないし、気に入っていません。
それはただ置いておいて時間が経過するだけだと思うのです。
このことがあって、私の考え方やすぐ捨ててしまうことは物を大切にしていないのか、気に入った物を残すと言われますが、そもそも私には気に入ったものがあるのか、などとぐるぐる考えるようになりました。
教育上も良くないのかなと。
まだ始めたばかりで思考がついていっていません。試行錯誤しながらではありますが、お力添えをいただければ幸いです。
Tさん、はじめまして。メールありがとうございます。
いつも、ブログを読んでいただき、うれしいです。
力になれるかどうかわかりませんが、メールを拝見して思ったことを書きますね。
1.物の扱い方は人それぞれ
人によって価値観が違うので、自分は大切にしているつもりでも、他人から見ると、粗末に扱っていると見えるときはあると思います。
その他人が、ふだんほとんど交渉のない人ならば、「みんな違って、みんないい」と思っておけばいいのですが、家族である場合は、少しつっこんで話し合うといいかもしれません。
話し合いのすすめ
息子さんが作品を捨てたときに、ご主人とお嬢さんが、「物を大切にしていない」と言ったそうですが、どうしてそう思うのか、その理由を聞くとよかったですね。
「あなたは、そう言うけれど、では、どういうふうにしたら、大切にしていることになるの?」と質問するのもいいでしょう(けんか腰で言わず、あくまで穏やかに)。
そして、Tさんも、「私はこんな理由から捨てることを許可した、そしてその行動は、結局、こんなこと(ここはTさんが、断捨離をして得たいものを入れてください)とにつながると思うからだ」と説明すべきでした。
今からでも遅くないので、ご家族で話し合ってください。
ご主人や娘さんを説得する必要はありません。考え方は人それぞれですから。ただ、自分はこういうふうに思っているんだよ、と伝えておくのは重要だと思います。
話し合ったうえで、ご主人が、「でも、やっぱりすぐに捨てるなんてよくないと思う」とおっしゃったら、今後は、お子さんが作品を持ち帰ったら、どんなにできそこないでも、1ヶ月ぐらいは、ディスプレイコーナーに飾って、みんなで愛で、その後捨てる、というふうにすればいいでしょう。
すぐに捨てることに抵抗がある理由
「すぐに捨てちゃだめ」という人は、その作品にまだ何らかの価値があると信じており、その価値を引き出したいのだと思います。
使わなくても、それを見て、息子さんのセンスを認めてあげたい、手先の器用さをほめたい、よくがんばったと言いたい、あんなに小さかった赤ちゃんがこんな物を作るまでになったんだ、と感動したい、など。
ご主人や娘さん本人に聞かないと実際のところはわかりませんが、作品を見て、いろいろ思いにふけりたいから、すぐに捨てるなと言ったのではないでしょうか。
その作品は、息子さんが、それを作ることに注いだ時間やエネルギーの結晶だから、大事な物なのでしょう。
つまり、その作品は、Tさんや、息子さんにはもう何の価値もない代物だったけれど、ご主人とお嬢さんには価値がある物だったのです。
これは考え方の違いなので、「みな、違うんだ」と納得しておけばいいと思います。
息子さんには、なぜTさんが、いらない物を即捨てするのか、それによって、何を得たいと思っているのか、その行動の背後にある理由、事情、哲学、思想を伝えておくといいですね。
そうすれば、教育上よくないとか、そういうことはありません。
捨てる理由を考えておこう
Mさんが、なぜ断捨離をしているのか、その理由は私にはわかりません。
私は、自分が大事にしたいものを大事にするために、不用品は捨てて、リソースに余裕をもたせることをおすすめしています。
リソースの説明はこちら⇒私たちが持っているいろいろなリソース~たっぷりあるから、そんなに買わなくても大丈夫。
私がミニマルに暮らす理由⇒レス・イズ・モア(Less is more)の真の意味とは?何もない部屋に住むことがミニマリストの目的ではない
家に入ってきた物や、たまたま自分の人生に巡ってきたもののすべてを100パーセント、大事にすることはできません。
リソースに限界があるからです。
だから、大事でない、重要でないと思うものは手放して、重要なものにリソースを注ぎ込みます。
2.物を大切にするとは?
私は、物を大切にしていないのか? 私には大事なものはないのか? とぐるぐる考えているそうですが、自分なりに、どうすると物を大切にできるのか考えてみるといいですよ。
Tさんには、ちゃんと大事なものがあるはずです。
たとえば、ご主人、お子さん、いまの仕事は大事ですよね?
そうした大事なものに、自分はどうかかわっているか考えてください。
人を大事にする方法はいろいろありますが、いくつか例をあげると、
1)その人の考えや思いを尊重する
2)その人といっしょに時間をすごす
3)その人を大事に思っている自分の気持ちを相手に伝える
4)その人がいることに感謝する
5)その人に愛情をそそぐ
こんな感じになると思います。
もっとも大切にしない方法は、その存在を無視することでしょう。
上に書いた5つは、物に対してもあてはまるのではないでしょうか?
物は意思を持たないから、1番は適用できませんが、それでも、私が、洋服だったら、どう思うか、と考えることはできます。
自分が洋服だったら、やはりたくさん着てもらいたいと思うんじゃないか、とか。
洋服の思いは、その洋服がこの世に誕生した理由を考えれば想像がつきます。
誰かが着るものとして生まれたのだから、やはり、しっかり着ることが、洋服を大事にすることではないでしょうか?
繰り返しますが、無視して、死蔵品にするのは、それを大切にしているとは言えません。
3.バランスを取る
物を大切にすると決めても、状況に応じて、バランスを取りながら、柔軟に対応していくと、頭の中でぐるぐる考えが回ることはありません。
自分は動物を愛護したいから、動物の肉は食べない、と決めた東京在住のOLがいたとしましょう。
この人は、エコロジーにも興味があって、ゴミを出したくない、ゼロ・ウエイストにしたいとも思っています。
ベア・ジョンソンに学ぶゼロ・ウェイスト・ホームを作る5つのルール(TED)
しかし、動物を大事にするために、革製品(靴、バッグ、ベルトなど)を使うのをやめると、石油由来のプラスチック製品を使うしかありません。
まあ、バッグは布製の何か(キャンバス製のトートバッグや風呂敷など)、靴はわらで編んだ草履、ベルトは腰ひもを使うという方法もありますが、東京でOLをしていたら、草履で出勤するのは不都合でしょう。
そこで、この人は、バッグは合成皮革のものを使うのはやむを得ない、その代わり、むやみやたらとゴミにしないように、数は抑えて、1つを徹底的に使おう、と決めます。
さらに、プラゴミを減らすために、生活のほかの部分で脱プラスチックをめざそうとか、ときどき、ゴミ拾いのボランティアに行こう、とも考えます。
このように、何かを大事にしようとしているとき、ほかの大事にしたいもの大事にすると利害が衝突することがよくあります。
そこで、自分なりに、優先順位を決めて、バランスを取りながら、もっとも大事にしたいものを大事にしていくことになります。
いらない物をすぐに捨てることは大事だけれど、家族と楽しく、円満に暮らすことも大事だから、ある程度、ほかの家族の意向も尊重しよう、という選択をするのもバランスをとることです。
そもそも、いらない物が入ってこないように、できるだけ計画的に買おう、とか、もらい物は極力ことわろう、不用な贈答品の交換はやめよう、と考えて、バランスを取っていくのもいいでしょう。
人間が活動する限り、ゴミや不用品は必ず出ます。
私の趣味の1つは塗り絵ですが、塗り絵を始めたときに、色鉛筆がなかったから買ったし、マーカーも買ったし、塗り絵本も買いました。
物の量だけを見れば、ここでかなり増えているわけです。
ゴミを出したくないから、何もせずじっとしていればいいのか、と言ったら、それは違いますよね?
人間はゴミを出さないために生まれるわけではないですから。
そこで、多少物が増えても、生活を楽しむことを優先しよう、色鉛筆が増えた分、本は捨てよう、などと考えて、持たない暮らしをするわけです。
Tさんも、バランスを取りながら、持たない生活をするようにすると、頭の中のぐるぐるがおさまると思います。
さらに、いつも書いていますが、自分が考えていることや感じていることを紙に書き出すと、気持ちの整理がつきますよ。
こんな本を書いていますから⇒筆子の新刊『書いて、捨てる! 』3月11日発売。著者による内容紹介。
読んで、書き出すことを始めてください。
買っていただくとうれしいけれど、図書館にあると思います。
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物を大切にすることに関する相談に回答しました。
短期間のうちに、買って、捨てて、買って、捨ててを繰り返すのは、物を大切にしていません。
購入したあと、とことん使う、というプロセスが抜けているからです。
単に、捨てるだけではなく、なぜ、捨てるのか、捨てたあと、どんなことが起きているのか、そんなことを時々考えながら、生活をシンプルにしていってください。
それでは、あなたも、感想、質問などありましたらお気軽にお寄せください。
お待ちしています。