レス・イズ・モア

ミニマム思考

レス・イズ・モア(Less is more)の真の意味とは?何もない部屋に住むことがミニマリストの目的ではない

ミニマルライフのモットーとしてよく出てくる、レス・イズ・モア(Less is more)の意味と私の解釈を書きます。



レス・イズ・モアはミニマリストのポリシー

多くのミニマリストは、レス・イズ・モアと信じて生きているはずです。Less is more を日本語に訳すと、「より少ないことはより多いことだ」「より少ないことは、より豊かである」「少ないことは豊かなこと」になります。

物が少ないほうが、心や人生は豊かになるよ、という考え方です。

ただ、少なければ少ないほどいいか、というと、決してそうではありません。1番少ないのはゼロですから。所持品がゼロだったら楽しい人生とは言えません。

やはり多少は必要です。

今、ミニマリストの生き方が流行りつつあり、各種メディアに取り上げられるようになりました。流行りものの常で、多分に表層的に捉えられているふしがあります。

たとえば、

●部屋に何もなかったらミニマリスト

●何もかもスマホですませるのがミニマリスト

●財布が小さくて薄っぺらかったらミニマリスト

●いやいや、財布を持たないのがミニマリスト

などなど。

こうしたことは、ミニマルライフを追求した結果起きる1つの現象であり、本質は違うところにあります。

そこを間違えてしまうと、Less is still less (レス・イズ・スティル・レス より少ないことは、やっぱりより少ないことだ)となり、不幸なミニマリストが生まれてしまいます。

ところで、Less is more という言葉は、どこらから来たのでしょうか?まず、その説明をしますね。

レス・イズ・モア(Less is more)は誰が言った言葉か?

Less is moreは19世紀に使われ始めた表現です。

ロバート・ブラウニングの1855年のAndrea der Sarto(アンドレア・デル・サルトウ-無欠点の画家-)という詩の一節にこの表現が使われています。

この詩は、ルネッサンスの画家のアンドレア・デル・サルトが、奥さんのルクレツィアに自分の仕事や、他の有名なルネサンスの画家のことをいろいろ話す長いモノローグです。

ブラウニングは、昔の画家に語らせることで、自分の芸術論を語っているのだと思います。

アンドレア・デル・サルトはフレスコ画の名手でしたが、絵が好きな人以外は、彼の名を知らないように、同時期に活躍したラファエロやミケランジェロに比べると影の薄い存在でした。

Less is more が出てくるのはこの箇所です。

Who strive – you don’t know how the others strive
To paint a little thing like that you smeared
Carelessly passing with your robes afloat,-
Yet do much less, so much less, Someone says,
(I know his name, no matter) – so much less!
Well, less is more, Lucrezia.

がんばっている。他の人がどんなにがんばっているかおまえは知らない
おまえが着物の裾でかすったような、ちょっとした絵を描くために。
たいしたことはしていない、ほんとうに取るにたりない、誰かが言う
(名前は知っているがどうでもいい)、本当にたいしたことない!
いやいや、たいしたことないとは、たいしたことあるってことだ、ルクレツィア

まあ、こんなような意味です。ここで、ブラウニングは特に「ミニマリズム」について語ってはいません。

後になって、20世紀のモダニズム建築家の巨匠、ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ(1886-1969))が、Less is more を自らの作品の標語のように使いましした。

ローエはシンプルなスタイルを推し進めた建築家であり、家具のデザイナーです。よりシンプルに、明確にすることが、よりいいデザインにつながる、という考え方を持っていました。

ローエは他にも「神は細部にやどる(God is in the detail)」という標語を使っています。

現在、多くのミニマリストが、余計なものを削ぎ落とし、大切なものにフォーカスすることが、より豊かな生き方につながると唱えています。





本当のレス・イズ・モアとは?

レス・イズ・モアの意味するところは、できるだけ少ないものに集中すれば、それをより生かすことができる、100%の可能性を引き出せる、ということです。それも、自分にとって大事なものに集中するところがポイントです。

それは決して、「部屋に何もなければないほど、人生の質があがる」という意味ではありません。「物が少なければ少ないほどえらい」というわけでもありません。もちろん、「もう何も新しいものを買ってはいけない」ということでもありません。

ミニマリストの中には徹底的に物を減らす人もいます。たとえば、ピーター・ローレンスのように⇒ミニマリストの部屋公開~最小限のモノで生活して40歳でリタイヤした男

彼の場合、そうすることが自分の人生により多くの意味をもたらしてくれると信じているからです。

そのように考えて極限まで減らす人がいてもいいと思うし、5年ぐらい何も買わない人がいても不思議はありません。

しかし、レス・イズ・モアを信じる人すべてがそういうライフスタイルをとる必要はありません。人の数だけ人生があるように、ミニマリストの数だけ、ミニマルライフがあります。

断捨離もシンプルライフも、物をたくさん捨てますが、すなわちそれは大切なものを選びとることです。物をたくさん持っていると1つ1つを大切にできないですから。「捨てる」という目的達成のために、捨てるわけではないのです。

ここを履き違えると失敗します。
失敗例を書いています⇒あなたは大丈夫?捨てすぎてミニマリストの落とし穴にはまるべからず
水をすくう

レスイズモアの人生ではこんなことが起きる

何を減らすかは人によりますが、多くのミニマリストはこんなものを減らす方向に動いています。

●家や職場の中のガラクタを減らす
家の中のガラクタが少なければ、より心が落ち着き、楽しく暮らせます。職場のガラクタが少ないほうが、ストレスは減りますし、仕事の質があがります。

たとえば、洋服を減らせば、着るものに迷わないし、管理もしなくてすむし、自分の好きな服を大切に着ることができます。

●買い物を減らす
無駄な買い物を減らせば、貯金をするお金が残るし、人によっては投資もできるし、ほかの人に寄付することもできます。

1つ買い物すると次々とお金を失う理由はこちら⇒節約ではお金はたまらない。お金持ちになりたいなら、買わない暮らしが1番いい

●タスクを減らす
自分の仕事やタスクを減らすことで、自分の1番したい仕事や、自分を1番いかせる仕事に集中できます。さらに、ストレスも減り、より健康になれます。友だちや家族と過ごす時間も増えるでしょう。

忙しくてストレスいっぱいな人は、やらなくてもいい仕事をたくさんかかえすぎているのです。
忙しい理由はこちら⇒なぜそんなにいつも忙しいの?~忙しさを生む7つの理由と忙しくなくなる方法

●テレビを見る時間を減らす
個人的に、テレビを見過ぎない方がよりクリエイティブになれると思います。垂れ流されているだけの情報を無意識にインプットし続けると、自分の頭で考える時間の余裕も心の余裕も失います。

特に、ニュースは危険です。世界で起きた暴力的なこと、悲惨な事件のオンパレード。ニュースではなかなかなごめる話は出てきません。つねにセンセーショナルなことばかり。

朝1番にニュースをチェックするのはひじょうに精神衛生に悪いです。

テレビを見る時間を減らすと、無駄に時間をすごすことがないので、自分のやりたいことに集中できるし、睡眠時間も増えます。さらに、目へのダメージも減ります。

ブルーライトが目に与える影響について⇒パソコンのヘビーユーザーは要注意。疲れ目の4つの理由とその対策

私がテレビを見ない理由⇒ミニマルライフを加速する~テレビを断捨離すると手に入るもの

要するに、買う物や仕事、家の中に詰め込む物を減らすと、よりよい結果が得られ、人生が楽に、より実り多いものになるので、レス・イズ・モアなのです。

レス・イズ・モアは1つの理念であり、いつも必ずこうしなければならないとは思いません。

私は、ダブっているものは捨てたほうがいいよ、とよくブログに書いていますが、人によっては、2つ持ってるほうが、便利だし、幸せだという場合もあるでしょう。

それは人それぞれなのです。

*******

「ミニマリストは、何も持たない人か、それで楽しいの?」「人生には無駄も必要だろうが」「何も持たないで、いったい何をしているの?」という疑問を持つ人は多いかもしれません。

しかし、何かやりたいことがあるから、物を減らしているのです。今よりストレスが少ない楽しい時間を持てることを願って、断捨離をするのです。

物がいっぱいある段階では、何が大事なのかわかりにくいものです。しかも、たくさんの物を管理する時間がないので、すべてないがしろになってしまいます。

あえて物を減らすことで、自分にとって最も大事なものにフォーカスしようとすることが、レス・イズ・モアの精神ではないでしょうか?





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