ウインドウショッピングをしている女性

TEDの動画

物を買うのをやめた私の、買わないための戦略とシンプルなルール(TED)

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シンプルな暮らしをめざしている人におすすめのTEDトークを紹介します。

タイトルは、Stop Buying Stuff (物を買うのをやめなさい)

ライターの、Niko Stoifberg(ニコ・ストイフベルグ)さんのプレゼンです。



物を買わない・TEDの説明

How much stuff do we really need? Author Niko Stoifberg didn’t buy anything for a year. The experience was surprisingly rewarding: for himself, for the environment, and even for the local economy. In this talk, he shares his strategies – and a simple rule for buying less.

いったいどれだけの品物が本当に必要なのでしょうか? ニコ・ストイフベルグは、1年間、何も買いませんでした。

この体験は意外にも豊かなものでした。彼にとっても、環境にとっても、地域の経済にとっても。

このトークで、彼は買い物を減らすための戦略とシンプルなルールをシェアします。

収録は2021年の5月、長さは13分46秒。英語の字幕あり。動画のあとに抄訳を書きます。

スイスのBibliothek Zugという図書館で行われたイベントです。シンプルでわかりやすく、内容もおもしろいですね。





1年間、物を買わないことにした

2015年の大晦日に、ちょっと変わった新年の誓いを思いつきました。

物を買うことをやめることにしたのです。

お金がなかったわけじゃないし、1年間、洞窟の中で瞑想して過ごそうと思ったわけでもありません。何かを自分の物だと呼ぶことに問題を感じていたわけでもありません。

ではなぜこんなことを思いついたのか?

実は、休暇でバリ島に行って戻ってきたところだったのです。

バリ島の惨状

バリ島は、楽園だと宣伝されています。常夏の自然、どこまでも続く海、青い空。

でも私が実際見たのは、ゴミを燃やしているところでした。火と煙。そして、プラスチックの山。

海岸がゴミでおおわれていて、どこが浜辺で、どこから海なのか、わからない。

浜辺も海も、工業製品のゴミでおおわれていて、まるで何千もの色で織られた果てしない毛布のようでした。

新品のピンク色のビーチサンダル、蛍光色の子供のおもちゃ、緑や茶色のペットボトル。

そこは、広大なプラスチックの荒れ地。

しかも、私が見たのは、海の表面だけです。

この荒れ地を歩きながら、ショックを受け、嫌悪感を感じました。

ゴミの量の多さにショックを受け、この状況を作り出しているライフスタイルにうんざりしたのです。

そのライフスタイルは私自身のものでもありました。

実際、パリの海岸に流れ着くゴミの大半は、バリ島で生まれたものではありません。

世界中から流れ着くのです。

このバリでの休暇がきっかけで、物を買うのをやめたいと思いました。

私は、禁欲主義者ではないし、運動家でもありません。市場経済に反対しているわけでもありません。

でも、この惨状を見て見ないふりをして、自分には関係ないかのようにふるまうことはできませんでした。

私にも責任はあります。私たち全員の責任です。

どんどん物を買うライフスタイル

地元のスイスでのできごとですが、友人の1人が、靴を3足もってやってきたことがあります。

買ったけれど、一度も履いていない靴を。

友人は、私の恋人が履くのにどうかと思って持ってきたのです。

同じころ、別の友人が、新しいiPhoneを2回も買いました。

画面サイズを決めかねていたからです。

さらに別の友人は、3年のあいだに、3回、車を買い替えました。ばかげています。

でも、私も似たようなものでした。

同じコートを2回買ったところでしたから。1着目はオリーブグリーン、2着めは、スレートグレーのもの。オリーブグリーンとたいして変わらない色です。

買ってもいいもの

だから、考えざるを得なかったのです。「私たちは、みな、完全に狂ってしまったのだろうか? この狂気を止める方法はないだろうか? これを止めたらどうなるだろう?」と。

やってみることにしました。

1年間、何も買わないと決めました。2つの例外をのぞいて。

1つ目の例外は、死なないために必要なものは買うこと。

ルール1:死なないこと。

2つ目の例外は、臭くならないためのものは買うこと。

ルール2:悪臭を放たない。

別の言い方をすると、食べ物、石鹸、シャンプー、歯磨きなどは買ってもいいことにしました。

その他のものは、買いません。

こうすることは、難しかったか?

答えは驚くべきことに「ノー」です。

すぐに2つの戦略を思いつき、どんなに魅力的な物でも買わずにすみました。

買わない戦略1:誘いは攻撃だと思う

1つめの戦略は、売り手側のオファーをお誘いと考えるのではなく、攻撃だと思うようにしました。私に対する個人的な攻撃だと。

だから、「へ~、これ、すごくいいじゃない。手に入れなければ」と思うのではなく、状況を再構築して、こう考えました。

「ちょっと待てよ。やつらは、私をだまそうとしている。本当はいらないものを売りつけようとしている」と。

オファーはすべて、実際は罠なんです。そして、私は、いちいち、「ノー」と言いました。

これが1つ目の戦略です。

この戦略の有効性を確かめるために、私は、チューリッヒに行き、バーンホフ通り(Bahnhofstrasse、世界でも有名なショッピングアベニュー)を歩いてみました。

ここは消費主義の権化みたいな通りです。

スキー板の誘惑

通りを歩き始めて最初に目についたのが、スポーツ用品店のウインドウにあったスキーです。

私はスキーが何よりも好きなんです。スキー板を見て、「最高だね」と感じました。

でも、そのスキー板は、家にあるのと全く同じだと気づきました。少しデザインが違うだけ。

このメーカーは、毎年、同じ板をデザインを変えて発売するのです。

だから、「ノー・サンキュー」と言って、通り過ぎました。

ジーンズの誘惑

次に目についたのが、ディーゼル(Diesel)の店にあったジーンズです。

当時、このブランドが大好きでしたから、店に入って、ジーンズを見ました。

でも、こう思いました。

「ラッキー・ルーク(Lucky Luke フランスのマンガのタイトルで、主人公の名前。フランス語読みは、ラキ・ルク)はジーンズを2本以上持っていただろうか、と。

ラッキー・ルークは子供のころの私のヒーローでした。

「ラッキー・ルークはジーンズを2本も持っていない」と思ったので、ここでも、「ノー・サンキュー」と言いました。

iPhoneの誘惑

次に立ち寄ったのはアップル・ストアです。

友人が2回も買った新しいiPhoneを売っていました。知人の半分ぐらいは、すでにこの最新のiPhoneを手に入れていました。

でも、こう自問したのです。「この新しいiPhoneは、私の古いiPhoneにできないとても重要なことが本当にできるのだろうか?」と。

もちろん答えはノーですから、また、「ノー・サンキュー」と言って立ち去りました。

こんな考え方をすれば、ノーを連発できます。

ノーと言うたびに勝利感にひたる

ノーと言うたびに、「勝った」と感じました。

「これを私に売りたいの? いいえ、いりません(やった!)」

何度も、「やった!」と思いながら、この通りを歩いているうちに、とても気分がよくなってきました。

しかも、ずいぶんお金が残っていることに気づいたのです。

そこで2つ目の戦略です。

買わない戦略2:物ではなくサービスを買う

自分の英雄のような行動にごほうびをあげたくなったとき、と言うより、お金を使いたい気持ちにかられたときは、物ではなくサービスを買うことにしました。

新しいTシャツを買う代わりに、ヘアカットに行きました。

新しいCDを買う代わりに、コンサートに行きました。

流行りのものを買う代わりに、外出するようにしました。

この戦略は、あまり安上がりじゃないよね? と思うかもしれません。

確かに、私は、お金を使うのを減らしていたわけではなく、違う形で使っていました。

サービスを買うメリット

地元のサービスをサポートするのは、とても気分がいいものですが、この戦略には、哲学的な効果もありました。

サービスを提供する経済活動は、余計な物を生産することより、ずっとサステナブル(持続可能)です。

ほとんどのサービスは、たいしてゴミを出しません。

しかも、サービスを買うことは、私たち全員が望んでいる経済の繁栄と、資源の消費の拡大を切り離すために、皆で支えなければならない経済活動です。

サービスにお金を使うと、コミュニケーションもえます。

自宅のPCの前で新しい靴を買うのと、近所の靴屋に行って、古いブーツを修理していもらいながら、言葉を交わすのとは、大きな違いがあります。

体験からより幸せを得られる

最後に、サービスは、物よりも私たちを幸せにします。

あいまいに聞こえるかもしれませんが、科学的に裏付けされた事実です。

体験から得られる幸せ、たとえば、山歩きや、ケーブルカーを利用した喜びは、余分なハイキングブーツを買うよりも、ずっと長く続きます。

物を買うのは甘いものを食べるようなものですが、体験は魂を豊かにさせます。

買わない暮らしのよさ

1年間、ほとんど物を買わない暮らしをして、シンプルで驚くべき結論に達しました。

あまり物を買わない生活には、メリットがあります。自分にとっても、環境にとっても、地元の経済にとっても。

さて、私はまた物を買う生活に戻ったのでしょうか?

答えはイエスです。

穴の開いてない靴下がなくなって不便だったから、靴下を買いました。

でも、ここでも新しいルールを作り、ずっと守っています。

そして、皆さんにもこのルールをおすすめしたいのです。

何か買うことがあるとしたら、それは、古い物の買い替えであること。その古い物を使い切ってしまったか、壊れたときに買うことです。

このルールに従って買ったのが、今履いている赤い靴下です。

この靴下からも、学びがありました。

たぶん、もっとも重要な学びです。

いい物は、長持ちしますよ。

//// 抄訳ここまで ////

単語の意味など

decouple 切り離す

wishy-washy あいまいな、はっきりしない、煮え切らない

バリ島の海岸に打ち上げられるプラごみ

40秒

海中にもたくさんあります。

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買わない挑戦のすすめ

私も買わない挑戦をずっとしていますが、1年間ぐらいなら、買わないでいるのは難しくありません。

それまでに買ったものがたくさん家にありますから。

いきなりシビアな買わない挑戦をするのはちょっと、と思う人も、1ヶ月や3ヶ月の短い期間にやってみると、いろいろな気付きがありますよ。

誰でもできる『買わない挑戦』の始め方。自分ルールで楽しく実践。

買い物はするけれど、こわれた物や使い切った物の買い替えのみ、というルールを取り入れるのもいいですね。

そうすれば、いたずらに物が増えることはないので、シンプルに暮らせます。





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