洋服の店にいる女性

TEDの動画

最終更新日: 2020.02.24

すぐに買わないで、買う前にしっかり考えなさい(TED)

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買い物しすぎる暮らしを変えたい人の参考になるTEDの動画を紹介します。

タイトルは、Think Twice Before Buying(買う前によく考えなさい)。講演者は、高級な服の古着を販売する仕事をしている、Lucía González Schuett(ルシア・ゴンザレス・シュミット)さんです。

ルシアさんは、以前はファストファッションのブランドで働いていて、その仕事をやめたあと、1年間、食べ物以外は買わない生活をしました。

私たちは、「あまりに不要なものを買いすぎているから、もっと意識的に買い物をすべきだ、買う前によく考えろ」という内容です。



買う前によく考えよう、TEDの説明

Should we change the way we consume goods? Lucia Gonzales Schuett spent one year without buying any goods, besides food, and shares the journey she went through.

ものを消費するやり方を変えるべきでしょうか?

ルシア・ゴンザレス・シュミットは、1年間、食べ物以外のものを買わない暮らしをしました。それがどんな生活だったのか、シェアします。

収録は2019年の6月。動画の長さは10分。字幕はありません。動画のあとに抄訳を書きます。

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に





買わない生活のきっかけ

数ヶ月前、私は、HEC Parisで行われたTECXのイベントで講演する機会に恵まれました。

そのとき、自分の「何でも入れる引き出し」(junk drawer 直訳:ガラクタを入れる引き出し)に関する話をしました。

たいていの人の家にある引き出しで、どこに入れていいかわからないものをつっこむ場所です。

この画像を紹介しました。

ジャンクを入れる引き出し

この引き出しこそが、私の個人的な旅路の始まりでしたから。

引き出しの中身の1ひとつについてじっくり考えてみたのです。

「これ、必要なの?」「これ、私の人生に何か価値を追加しているの?」「スペースや管理の手間に値するものなの?」

不用品を捨てて、所持品をダウンサイジングし、2018年は、食べ物以外の物を買うのをやめました。

このときは、物を買わないことが、多くの人の共感を呼ぶとは想像していませんでした。

パリでTEDトークをしてから、世界中の人々から、自分も物を買わないようにしているとか、笑っちゃうようなガラクタとの戦いの話、買わないコツなどを聞きました。

気違いじみた消費のサイクルと戦っているのが、自分1人だけではないと知ってなぐさめられました。

そして、この話は、もっとたくさんの人としていかなければならない、とも思いました。

ファストファッション業界での体験

かつて私は、ファストファッション業界で働いていました。

コミッション制だったので、人々に、本当は必要のないものを売れば売るほど、お金を稼ぐことができました。

私は、商品をローテーションする責任者でした。

毎週、店内の様子を変えて、店に来たお客さんが、「いいなと思う服」、「いま買わないと永遠に手にはいらないと思う服」を見つけてくれるように仕向けていました。

2018年、この仕事をちょっと休むことにして、フランスのビジネススクールに入り、1年間の買わない生活を始めたのです。

学校に入ったことも、買わない生活をしたことも、私にとっては、画期的なことでした。

世界の見方、ビジネスに対する考え方、消費への考え方が180度変わったのです。

何よりスピードが大事だった

消費財(ファストファッション)を売っていたとき、スピードが重要だと教えられていました。競争相手より少しでも早く行動できれば、商売上、優位なのです(competitive advantage)。

消費者も、喜んで、このやり方に賛同しています。

しかし、立ち止まって状況をよく見てみると、ゆがんだ現状に気づきます。

いま、郊外で収納庫を貸すビジネスを展開されています。

人々は、まるで、自宅にかけるお金だけでは、使い足りないかのように、よそに収納スペースを借りて、家に入り切らない物をしまいこむのです。

そうやって収納したものは、たぶんこれから数ヶ月、もしかしたら、何年も使わない物です。

すぐに使わないのに、何か新しい物を買う時、私たちは、それが、90分以内に届いてほしいと思うのです。

正直なところ、企業は、あなたが、その電動ソース泡立て器(sauce stirrer)今すぐ必要としているから、90分以内に配達するわけではありません。

早く配達しないと、消費者の気が変わるからです。

次々と買うようにうながされる

いま、私がとても心配しているのは、その泡立て器を買ったあと、パンケーキペンをおすすめされることです。

私が受け取ったメールにあった「これまであなたが聞いたことのないキッチンガジェットベスト10」の中に、パンケーキペンがありました。

これまで聞いたことがないのなら、それが必要な確率だってとても低いです。

ジョギングするときパフォーマンスを測定するのに使っているアプリは、私に、「いま使っているスニーカーは、もう買い替えどきだ」と言ってきました。

最近、気づいたのですが、寝る時使っている枕には、使用期限が書いてあります。

靴も枕も、自分で考えるよりずっと早く、買い替え時だと言われるのです。

みな、ここで考えてみるべきです。

「私たちは、自分のニーズを自分で決めるという、ごく簡単なことすらできなくなってしまったのか? その決断を、他人に決めさせているのか(outsourcing)?」と。

日々の消費を見直そう

消費するとき、ほしいという気持ち(want)をがまんして、本当に必要なのか考える練習をすると、たくさんの気づきを得られます。

人の生活環境はそれぞれ違うから、誰もが、買い物をやめてしまうことはできません。

けれども、日々の消費という行動を見直すことは、誰でもできます。

どんな人でも、持っている物をありがたく使い、安易に買ってしまうことをやめ、あるのがあたりまえだと思うことをやめる練習はできます。

買わない生活をしていたとき、私は、「今すぐ買うボタン」を押す前に、よく考えると、消費をもっとコントロールできると気づきました。

環境や、未来の世代のサステナビリティ(持続可能なこと)について考えたり、自分の経済状態を思い浮かべたりするのです。

買わないほうが、穏やかな気持でいられるから、と納得してもいいでしょう。

すぐに買う代わりにやれること

物がなくなりそうになったときに注文するのではなく、使い終わってから買ってください。

それがなくなったら、そのまま暮らしてみます。

わざと、「ない状態」(missing)にすると、いろいろなことを学べます。それに、次に手に入れたとき、買ったときの短期的な幸福感がより強くなります。

時間をおいてください。

それが必要な理由を書いてみてはどうでしょうか。

オンラインの買い物かご(ショッピングカード)に入れたままにして、数日様子を見ます。

なくても大丈夫な物がたくさんあることに驚くでしょう。

かごに何を入れたか忘れてしまうことすらあります。あとで、もっといい物が見つかって、買ったことを後悔することも減らせます。

すでにある物を修理してください。

「修理するより買ったほうが安いから」という考え方はとても無責任です。

リペアカフェや、靴屋さんに持っていってはどうでしょうか? 縫い方を学んで、自分でシャツのボタンをつけましょう。

中古品を買いましょう。お金を節約できる、もっともサステイナブルな方法です。

本当にソファが必要なら、べつに新品を買ってもいいのです。

けれども、人間は、私たち全員が1度に座わっても、まだ余るほどソファを作っています。

私たちはずっと座ってはいませんから、新品同様の中古のソファも多いのです。

ファッションについても、買う前によく考えれば、良し悪しを判断できます。

量より質を優先し、耐久性のあるものを選ぶことができます。

製品は、その寿命を全うするために作られています。たとえ、持ち主は変わっても。

私たちは物の管理人

自分はその物の持ち主(owner)ではなく、管理人(custodian)だと考えるようにしてください。

図書館から借りてこなくても、本を読めるラッキーな人だと思えばいいのです。

現在の状況を考えれば、みな、消費をちょっと一休みするべきだとわかっています。

そのかわり、シェアリングエコノミーが台頭してきています。

持っている物に感謝して、できるだけ所有しないようにし、貸し借りしたり、頼んだり、失ったりすることをいとわないようにします。

スクリュードライバーや自転車のタイヤの空気入れが必要になったら、隣の人から借りてください。隣人を知るチャンスです。

私たちを幸せにしてくれるのは、引き出しに入っているガラクタではありません。大事なものに使うリソース、スペースや時間があるほうが、幸せなのです。

//// 抄訳ここまで ////

単語の説明など

HEC Paris  パリにあるビジネススクール。フランズのビジネス系グランゼコールの1つ

think twice  よく考えてみる、考え直す

pamper  欲望などを満たす

sauce stirrer  ソーススターラー

液体をかきまぜてソースを作るときに使うツール。泡立て器としましたが、ソースは泡だてないので、かき混ぜ器とよんだほうがいいかもしれません。

中に乾電池が入っていて、ソースを入れた鍋の上に立たせると、勝手に動いて、ちょうどいい具合にソースができるらしいです。

自動でソースをかきまぜるもの

pancake pen  パンケーキペン

パンケーキ(ホットケーキ)の生地を入れて、鉄板やフライパンの上に好きな形にしぼりだす筒状のもの、ボトル。

パンケーキペン

peace of mind  心の平和、安心感

exponentially( 増加の仕方が)急激に

repair cafe  リペアカフェ 

こわれた物を持っていくと、ボランティアの人が、無料で直してくれるカフェ。コミュニティ活動。

アメリカのリペアカフェの様子です.

How Repair Cafes Can Mend More Than Just Possessions(いかにリペアカフェが、物以上のものを修理するか?)

英語、3分25秒。

日本にもあるようです。ただし、電子機器だけみたいですね。

日本に広がる「リペアカフェ」、電子機器の修理を自分の手で

日本語、5分

sharing economy  シェアリングエコノミー 使っていないもの、スペース、スキルなどを貸し借りする経済。

詳しくはこちら⇒シェアリングエコノミーがシンプルライフにもたらすもの(前編)

買わない人や買わないすすめ

お金を使わずに1年暮らしてわかったこと:キャロライン・ホーグランド(TED)

1年間、買い物せずに暮らしてみたらこんなにお金が貯まった(TED)

もう充分ある、と考える経済(TED)

どうしたら、エシカルファッションを実践できるのか?(TED)

クローゼットにしまいこんでいる物をちゃんと使って人生を変える(TED)

タオルは何枚必要か? : ミニマリズムのすすめ(TED)

服を使い捨ててはいけない。着ているものがあなたの生き方を表している(TED)

今すぐ必要なのか?

人々が、スピード(早いこと)にこだわって買い物している話、おもしろいですね。

流行のものや目新しいものを、次々と早く買いたいし、注文したら早く届けてほしい、という消費者感情があるようです。

しかし、次々と買うのは、出番のない物が増え、ガラクタを量産するようなものです。

前に買った物は、まだきれいで使えるから(ろくに使っていないから当然です)、手放す気にもならず、結局、お金を出して、レンタル収納スペースを借り、物がたまりにたまったら、お金を出して片付けるのです。

「今すぐ、どうしても必要なのか、あとじゃだめなのか?」と考えるくせをつけたり、ちょっと待ってみたりすると、次々と、まるで強迫観念にかられたように買ってしまうくせがなおります。

私は物の管理人

もう1つ、興味深かったのは、自分はその物の所有者ではなく、管理人だと考える、というところです。

人生も、この世にあるものも、すべて借り物だ、という考え方と似ています。

お金や物質的な物は、どんなにたくさん集めても、死んだら手放さなければなりません。

だから「借りている」と考えたほうが、へたに執着せずにすみます。

借りているときは、よき管理人として、物を大事にし、そこから、最大限の喜びを得る(つまり使う)ほうを選んだほうが、暮らしは充実すると思います。

そうすれば、「あれもこれも集めたい」とやっきになることもないでしょう。

実際、物を集めすぎると、手間ひまかかりすぎて、人生を楽しめなくなります。

*****

パンケーキペンに似た商品、私も持っていました。

昔、よくお菓子を作っていたとき買った、クッキーにアイシングを塗る専用のボトルです。

パンケーキペンと似た形態でした。ノズルはもっと細いと思いますが。

確か、雑誌でマーサ・スチュアートが使っているのを見て、特別な調理グッズを売っているネットショップに注文しました。

思ったより大ぶりの透明なプラスチックのボトルが3本1セット。今、ネットで調べたら、squeeze bottle (スクイーズボトル)という名前でした。

アイシングを入れるボトル

私、これ、1度も使いませんでした

そんなに大量のアイシングを作らないし(そんなことしたらアイシングが余る)、アイシングをボトルに入れるのも、使ったあとボトルを洗うのも面倒だと思ったからです。

そして、いつものパターンで、使わないのに、長々と物入れにしまっていて、見るたびに、「何かに使えないかなあ」と思っていました。

数年後、新品のまま断捨離しました(寄付センターに持ち込み)。

こういう失敗、数え切れないほどしています。





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