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「片付けたい」と思っているのに行動できないのは、意志が弱いからではありません。
その背景には、私たちの潜在意識があります。
片付けようとするとき、妙な抵抗を感じたり、他のことに気を取られてしまったりすることがあります。
それは意図的なものではなく、心の深い部分──つまり潜在意識が、現状を変えることにストップをかけているからです。
私たちの潜在意識は、変化を恐れたり、過去にしがみついたり、完璧を求めたりする性質を持っています。
これを知らないまま「頑張ればできるはず」と無理に押し切ろうとすると、かえってストレスがたまり、挫折してしまうかもしれません。
今回は、そんな潜在意識とのつきあい方をテーマに、片付けやシンプルライフをスムーズに進めるヒントを紹介します。
潜在意識が片付けを止める仕組み
片付けに取り組むとき、無意識のうちにやりたい行動を止めてしまうのは、潜在意識が「今のまま」を守ろうとするからです。
潜在意識とは、私たちが普段意識していない心の一部のことで、無意識のうちに行動や感情、思考に影響を与えています。いわば心の裏舞台です。
片付けようとするとき、意識の上では「すっきりした空間にしたい」と強く願っているのに、手が止まったり、面倒に感じたりするのは、この潜在意識が抵抗しているからです。
潜在意識には「現状維持を好む」「変化を避けたがる」という性質があり、
大きな変化を起こそうとすると、無意識のうちにブレーキをかけてしまうのです。
つまり、「片付けなきゃ」と意識では思っていても、潜在意識のほうで「今のままが安心」と感じていると、行動に移すのが難しくなります。
この仕組みを理解しておくと、「自分はだらしない」「三日坊主だからだめなんだ」と自分を責めずにすみます。
片付けがうまく進まないときは、意志の問題ではなく、潜在意識が現状を守ろうとしているだけ。
まずはそこに気づくことが、変化への第一歩になります。
片付けをじゃまする潜在意識の4つのクセ
潜在意識には、片付けを妨げる典型的なパターンがあります。
ここでは、特に私たちの行動を止めてしまいやすい4つのクセを紹介します。
1. 安心感を得るためにものをため込む
私たちの脳は、不安を感じると、安全を確保するために『もの』を集めようとする傾向があります。
たとえば、「いつか必要になるかも」と思って、着ない服や使わない道具を手放せないことってよくありますよね?
これらは、実際には必要なくても、「持っていることで安心できる」という心の働きのせいで、捨てられないのです。
ある読者は、使わないタッパーを何十個もキッチンに残していました。
「何かに使えるかもしれない」と思っていたものの、結局使ったのはごく一部だけ。
それでも手放すのが怖かったのは、「備えがないと不安」という気持ちが根底にあったからだと後で気づいたそうです。
2. 過去や思い出に縛られる
もう使っていないものでも、「これは特別な思い出があるから」と手放せないことはよくあります。
家中の古いものはほとんど思い出の品と言えるかもしれません。
潜在意識は、過去の体験を大切に保存しようとします。
しかし、ものに執着しすぎるせいで今の暮らしが圧迫されることはよくあること。
たとえば、学生時代に使っていたノートや、何年も前にもらったお土産。
思い出は心の中にあるのに、「これがないと大切な記憶まで消えてしまう気がする」という不安から、捨てることができません。
3. 完璧を求めすぎて動けない
「一気に全部片付けないと意味がない」と思い込んで、逆に何も手をつけられなくなる──これも潜在意識の罠です。
たとえば、「完璧な収納プランを作ってからじゃないと捨てられない」と思い込み、本や収納術の特集記事ばかりを読んでしまう──そんなことはありませんか?
実際に手を動かすよりも、情報集めにエネルギーを使ってしまい、気づけば片付け自体は何も進んでいない。
これは、完璧主義が無意識のうちにブレーキをかけている典型的な例です。
4. 自己否定の気持ちから「どうせ私には無理」と思う
過去に片付けで失敗した経験があると、「どうせ今回もうまくいかない」と思ってしまうことがあります。
これも潜在意識の自己防衛反応です。
失敗して傷つくくらいなら、最初から行動しないほうがいい、そんな心の動きが、知らず知らずのうちに行動する邪魔をします。
でも、実際には誰でも失敗することはあるし、片付けは一発で成功するものではありません。
過去の経験がどうであれ、未来は変えられます。失敗を引きずらず、再びスタートすることが重要です。
潜在意識を味方にするためにできること
潜在意識の抵抗を乗り越えるには、「行動」を通して少しずつ心に新しいメッセージを送り続けることが効果的です。
意志の力だけで潜在意識をねじ伏せようとするのではなく、小さな行動を積み重ねて、「片付けは怖くない」「私はできる」という感覚を育てていきましょう。
ここでは、すぐに取り入れられるシンプルな方法を紹介します。
1. 片付けを目標ではなく習慣にする
「家をきれいにする」「全部捨てる」といった大きな目標を立てると、潜在意識は一気に警戒モードに入ります。
結果を求めすぎず、毎日の小さな行動に意識を向けましょう。
たとえば、「毎日5分だけ机の上を片付ける」「寝る前に1つだけものを定位置に戻す」といった、今の自分でも簡単にできる習慣を作ってみましょう。
少しでも行動を続けると、「片付け=大変なこと」という思い込みが和らぎ、潜在意識に新しい行動パターンが馴染んでいきます。
2. 小さな達成体験を積み重ねる
小規模な片付けを何度もするようにしましょう。
たとえば、テーブルの上のペンを1本片付けるだけでもOKです。
ほんの小さな成功体験でも、繰り返すことで、自己効力感(自分にはできるという感覚)が育っていきます。
最初は「こんな小さなこと意味があるの?」と思うかもしれませんが、大切なのは行動と成功体験をリンクさせることです。
小さな達成を積み重ねるうちに、「できるかもしれない」という前向きな気持ちが自然に育っていきます。
3. 「できた自分」をきちんと認識する
片付けがうまくいったときは、スルーせず、「私はちゃんとできた」と認めてあげましょう。
口に出して「できた!」と言うのもいいですし、ノートに記録したり、カレンダーに花丸をつけたりするのもおすすめです。
片付けではありませんが、私は毎日、夜寝る前に今日できたことを一言だけメモしています。
これだけでも、片付けに対する自信が少しずつ育っていきます。
4. ネガティブな思い込みを書き換える
「片付けたら不安になる」「捨てたら後悔するかも」といったネガティブな感情をそのままにしておくと、今後も、感じ続けます。
しかも、こうしたマイナス感情は片付けをする邪魔をすることはあっても、助けになることはありません。
そこで、意識を変えるために、思っていることを紙に書いて、自分で反証してください。
「捨てたら後悔するかも」という思いを書き出したら、「でも、今まで後悔したことがそんなにあった?」「スペースが空くメリットのほうが大きいかも」というように、ポジティブなパターンも考えます。
このように、ぼんやりと頭にあることを目に見える形にするだけで、思い込みを客観視できるようになります。
すると、行動するハードルが下がります。
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片付けが進まないのは、意志や性格のせいではありません。
心の深いところにある潜在意識が、変化にブレーキをかけているだけです。
この記事では、潜在意識が引き起こす代表的な4つのクセと、そこから抜け出すための小さな習慣を紹介しました。
大切なのは、潜在意識をコントロールしようとするのではなく(それはたぶんできないと思います)、行動を変えながら、新しいメッセージを心に届けていくことです。
小さな片付けをして、達成感を得て、自分を認めていく。
そんなちょっとした行動が、大きな変化につながります。
潜在意識はとてもパワフルですが、あなたの敵ではなく味方です。
急がず、焦らず、自分を責めずに、今日できることから始めてください。