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お母さんの遺品整理で悩んでいる読者の質問に回答します。
思い出が詰まったものばかりなので、とても手放しにくいそうです。
遺品はただのものではなく、大事な人が生きていた証(あかし)。それは大切な記憶の扉を開ける鍵のような存在です。
たまりすぎた自分の服を片付けるのとはわけが違います。
感情が深く結びついているので、何をどう処分するか迷ってしまうのは当然です。
しかし、だからといって何も手をつけずにいると、残された家族の負担になります。どこかで折り合いをつけなければなりません。この記事では、あまり重荷にならない形で、遺品を整理するコツを紹介します。
まずお便りを紹介します。サニーさんからいただきました。
遠方の実家にある母の遺品
件名:母の遺品整理について悩んでいます
いつもブログを拝読しています。片付けに関する記事にいつも励まされています。
私は40代後半で、夫と子どもと暮らしています。実家からは飛行機で数時間ほど離れた場所に住んでいます。
数年前、母が亡くなりました。父は現在80歳で、ひとり暮らしをしていますが、今後いつまでひとり暮らしを続けられるかはわかりません。
実家には母のものがそのまま残っています。洋服、着物、手芸道具、趣味の本、写真、雑貨など。母はシンプルライフとはほど遠い、ものをたくさん持つタイプの人でした。とくに洋服と着物がたくさんあります。
父は自分では手をつけられないと言い、私に整理してほしいと言っています。
でも、いざ片付けようとすると、手が止まってしまいます。
母が使っていたものを見ると涙が出てきて、なかなか前に進めません。なにを残して、なにを手放せばいいのかも判断つかず、毎回どっと疲れるだけで、時間切れになりいっこうに整理できません。
こんなとき、どうすればいいのでしょうか?
前に進む方法があれば教えてください。
よろしくお願いいたします。
サニーさん、はじめまして。お便りありがとうございます。
いつもブログを読んでいただきとてもうれしいです。
お母さんの残したものの整理で悩んでおられるのですね。
事情が許すなら、まだ無理に片付けなくてもいいと思います。
残されたお父さんの生活がしにくくなっているとかそういう事情がない限り。
それでも、少し片付けたいなら、無理のない形で進めてください。今回はできるだけ思い出を残したまま片付ける方法を紹介するので参考にしてください。
思い出を残しつつ手放す5つの方法
思い出がつまった遺品を手放すのはつらい作業です。けれど、物理的なものを減らすことと、大切な記憶を守ることは両立できると私は考えています。
以下に思い出を残したまま処分する方法を5つ紹介します。すべて実行しなくてもかまいませんし、アイテムによって合う方法、合わない方法があります。
「これならできそう」と思うものがあれば試してください。
1. 写真やデジタルデータにする
形として残したいけれど保管が難しいものは、写真に撮って保存しましょう。衣類や雑貨、作品なども、撮影しておけば後で見返すことができます。アプリでアルバムにまとめたり、クラウドに保管したりすれば、スペースを取らずに思い出を手元に置いておけますよ。
2. メモリーボックスを作る
どうしても捨てられないものは、ひとつの箱にまとめるといいでしょう。大きな段ボールや衣装ケースではなく、手ごろなサイズの箱に限定すると、遺品が増えすぎません。私の娘は靴箱ぐらいのちょっと上等の箱に思い出の品を入れています。「この箱に入る分だけ」と枠を決めて厳選しましょう。
3. 誰かに譲る
自分には使い道がなくても、他の人には役立つものもあるかもしれません。親戚や知人に声をかけて、欲しいかどうか聞いてください。自分の持ち物が誰かの生活の中で活かされればお母さんも本望でしょう。
4. アップサイクルする
着物や洋服、布小物などは、そのままでは使えなくても、新しい形にリメイクすれば使えることがあります。バッグやクッションカバーに仕立て直したり、一部をコラージュしてアート作品にするのも一案です。形を変えて、思い出を生活の中に残してください。
5. 思い出を文章にして残す
ものそのものではなく、そのアイテムにまつわるエピソードや感情を、ノートや日記に書き残します。文章にする段階で、さまざまな記憶がよみがえり、自分の中で手放す準備が整うこともあります。書き出すことは、記憶を残す場所をものから心に移す作業だと思います。
遠方の実家での遺品整理をスムーズに進める4つの工夫
遠く離れた実家に通って遺品整理をするのは、時間も体力もかかるため、計画的に進める必要があります。少しでも負担を軽くするために、以下の4つの工夫を取り入れてみてください。
1. テーマを決めて整理する
時間に限りがあるので、1回の訪問でやるべき範囲を明確にしましょう。「今回は洋服だけ」「今日は洋服ダンスの引き出し3つまで」など、テーマを決めておき、実家に帰ったらすぐに作業できる体制を整えてください。
すべてを一度に片付けようとしないこと。私なら、遺品整理をひとつのプロジェクトにして、すべてのタスクを細分化します(Googleのキープやデジタルのノートにタスクや進捗状況を書き出します)。
このような計画は気持ちの整理ができていないと立てられないかもしれませんが、何をするときも事前に心づもりをすることを忘れないでください。
2. 迷ったものは記録して持ち帰る
その場で決断できないものに出会ったら、無理に結論を出す必要はありません。どうしていいかわからないものはスマホで写真を撮っておきましょう。
自宅に帰ってからこの写真を見ながら、どうするか考えてください。そうすれば、限られた時間内に効率的に整理を進めることができるし、冷静に判断できます。
3. 家族と相談しながら進める
「これは捨てていいのかな」「誰かが欲しがるかもしれない」など、判断に迷う場面はたくさんあります。そんなときは、自分ひとりで結論を出そうとせず、他の家族に相談しましょう。お父さんに聞いてみたり、遠くにいる親戚にLINEで写真を送って「どうする?」と聞いたりしてください。
兄弟や親戚と話し合っているうちに、ものの行き先が自然に決まることもあります。
ひとりで考えていると、知らず知らずのうちに同じ回路ばかりぐるぐる回ってしまうので、ほかの人に積極的に意見を求めてください。
4. 外注も視野に入れる
実家が遠方にある場合、自分で何度も通って分別や運搬を行うのはとても大変ですよね。
中には数ヶ月泊まり込んで実家の片付けをする人もいますが、その場合は、自宅に残した家族のことも考えなければなりません。
そこで、重い家具や大量の衣類の運び出しは、地元の不用品回収業者や片付け代行サービスに任せることを検討しましょう。
作業を外注することに罪悪感を持つ必要はありません。判断は自分たちで行い、手を動かす部分だけプロに任せればいいのです。
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おわりに:思い出は心の中に生き続ける
遺品の整理で重要なのは、無理をしないこと。
気持ちの整理ができていないなら、処分は少し待ってください。
ものを整理しながら気持ちを整理していくという方法もありますが、遠方の実家にある遺品の片付けは悠長にはやっていられないので、ある程度気持ちを整理してから取りかかったほうがいいと思います。
それと、遺品を捨てても、故人とのつながりは消えないし、大切な思い出もなくならないことを意識してください。
残すものを取捨選択するときは、今の自分の生活がよりよくなる方向で選びましょう。
遺品を前にすると、「全部取っておかなきゃいけないんじゃないか」「捨てるなんて申し訳ない」という気持ちになるかもしれません。でも、ものを持つということは、その分だけ自分の暮らし・空間・心の余裕を費やすことになると私は考えています。
今とこれからを生きる自分への配慮も忘れずに、遺品を片付けてください。
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