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怒りや不安にとらわれて衝動的に行動してしまう人へ、感情に振り回されないために待つことをおすすめします。
仕事で大きなミスをしてしまったとき、信頼していた人から裏切られたとき、怒り、焦り、不安といった強烈な感情がわいてきます。
感情の頂点にあるときに決断や行動をしてしまうと、「なぜあんなことを言ってしまったのか」「どうしてこんな決断をしてしまったのか」と、後悔することが多いです。
強烈な感情はずっと続くわけではなく、時間とともに収まります。
感情の波が引くまで少し待つ習慣を身につけると、大きな失敗を減らせるので、余計なストレスを抱えなくてよくなります。
感情の波を理解する
感情は波のようなものです。コントロールしようとするのではなく、まずは観察してみましょう。
感情に振り回されることが多い人は、つい、コントロールしようと考えるかもしれません。
でも、強い感情を力ずくで抑えつけようとすると、反動で爆発したり、不完全燃焼のエネルギーが心の中にたまったりします。
強い感情がわいてきたら、自分の気持ちを少し観察してみてください。
怒りや悲しみも、引いていくのがわかるでしょう。
感情は脳と体の防御反応
怒りや不安など強烈な感情がわいてくるのは、人間として未熟だからというわけではありません。生き残るために、脳と体が自然に発動する防御反応です。
たとえば、誰かにひどいことを言われて、すごく怒っているとき。このとき、「自分の尊厳が傷つけられた」「安全が脅かされた」と脳が判断し、交感神経が活性化して、戦うか逃げるか準備をしています。
強い感情は本能的な反応なので、理性で完全に抑え込むことはできません。
感情をネガティブなものと考えるのではなく、「自分の体が必死で何かを伝えようとしている」サインとして、客観的に捉えるようにしましょう。
感情は波だから必ず引く
感情のピークは、私たちが感じるほど長くは続きません。
怒りや大きな不安を感じたときに、闘うか逃げるか準備をしていると、心臓の鼓動が速くなり、血圧が上昇し、交感神経が優位になります。
この状態は、体にとって大きな負荷がかかるので、そのうち副交感神経が優位になって落ち着きます。
感情の生物学的なピークは、一般的に数十秒から90秒と言われています。
この短い時間をやりすごせば、緊張は収まり、激しい感情が静まります。
感情の波にうまく乗るように意識しましょう。
◆嫌な感情は90秒で引く話⇒いやな気分こそ大事にして、自分の感情とうまくつきあう(TED)
波の頂点で決断すると失敗する
感情のピークで下した決断は、冷静なときの自分ならまずしない決断です。
怒りや極度の不安を感じているとき、脳はサバイバルモードにあります。このとき、生き残ることに関係のない情報や、すぐ行動することを妨げる理性的な思考はすべて遮断されます。
その結果、視野が極端に狭くなり、物事を大局的に捉えることができません。客観的な思考ができないので、極端な結論に飛びつきやすくなります。
よくある失敗パターン
感情の波の頂点で決断すると以下のような失敗をします。
◆メールやSNSでの発信
怒りや不満が頂点に達した瞬間に、批判や絶縁のメッセージを衝動的に送りつけます。
冷静になって読み返すと、大げさすぎたり、事実と異なっていたりして、取り返しがつかなくなります。
スマホでSNSにコメントを入れたり、メッセージを送ったりすると、こういう失敗が多いのではないでしょうか?
私も読者の方から、かなり感情的なメールをいただくことがあります。
◆衝動買い
「欲しい!」「かわいい!」「安い!」という刹那の高揚感(喜びの波)にのまれ、必要性や予算を考えずに高額な商品や大量の不用品を買います。
後になって自己嫌悪に陥りやすいパターンです。
◆人間関係
怒りが爆発し、相手の人格を否定するような言葉を投げつけます。逆に、極端な不安のせいで、過剰にへりくだって謝罪し、かえって相手との関係を不健全なものにしてしまうこともあります。
◆仕事や進路の判断
仕事のプレッシャーや焦りの頂点で、「もう辞めたい」「すべてを捨てて環境を変えたい」と衝動的に決断を下します。
感情の波のピークにいるとき、見えるものや、考えられることがとても少なくなっています。
この状態で意思決定や行動をすることは、霧の中で運転をするようなものです。
大きな感情がわいてきたら、いったん止まることを心がけましょう。
感情の波をやりすごす7つの待つルール
感情の波にのまれそうなときは、波が静まるまで待つのが基本です。うまく待てるように、自分なりに待つルールを用意しておきましょう。
以下に、待ち方を7つ提案します。
ルール①:90まで数える
強烈な怒りや不安を感じたら、90秒間待つために、心の中で90まで数えてください。90が半端だと思うなら、100まで数えましょう。
この時間は、「何も決断しない」「何も発言しない」「何も行動しない」と決めましょう。
ルール②:感情にラベリングする
怒りや悲しみの中にいる自分を外から観察して、その状況を言葉にします。
たとえば、
すっごい頭に来た!⇒私は怒っている
もうだめかも⇒私は絶望している
悲しすぎる⇒私は悲しみの中にいる
ショック⇒こんなはずじゃなかったのに、と思っている
こんなふうに言葉にすると、感情と距離を取ることができます。
ルール③:その場を離れる
感情のもとになった場所や人から、物理的に距離を置きます。
環境が変わると、脳は新しい情報を取り入れようとするので、サバイバルモードから別のモードになります。
トイレに行く、ベランダに出る、給湯室に行くなど、試してください。
ルール④:深呼吸を3回する(長く吐く)
深呼吸は、自律神経を意識的に整える最も簡単な方法です。
吸うことよりも吐くことを意識します。
ゆっくりと時間をかけて、息を完全に吐き切る深呼吸を3回繰り返しましょう。長く吐くと副交感神経が刺激され、乱れた心拍数と呼吸が整っていきます。
ルール⑤:書いて外に出す
その感情を引き起こしたできごとや言葉を頭の中で何度も思い出していると、感情の波がまた高まることがあります。
負のエネルギーが内にこもらないように、気持ちを書きだして外に出しましょう。
ルール⑥:体を動かす
軽いストレッチをする、その場で足踏みを数回するなど、シンプルな動作をして、感情を解放します。
感情が高ぶっているとき、体は緊張してこわばっています。
少し動くと、体にたまったエネルギー(怒り・不安・焦りなど)が外に抜け、冷静になれます。
歩く、背伸びする、手を回すなど、落ち着くための行動を決めておくといいでしょう。
ルール⑦:人に話すのは翌日以降
この件に関する相談は、一晩寝て、波が完全に引いた翌日以降に行います。
感情の波が高い状態で誰かに相談したり、不満を伝えたりするのは、感情に支配されたまま話すことです。
すると、話の本質が伝わらず、誤解が生じたり、新たな問題が生まれます。
すぐに誰かに言いたいと思うかもしれませんが、一晩待ってください。
◆関連記事もどうぞ
⇒感情的な反応から賢明な思考にシフトさせ、最良の決断をうながす方法。
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感情にのまれないために待つことをおすすめしました。
感情の波が来ることは、止められません。でも、感情の波が引くまでどうするかは、自分で選べます。
自分を取り戻すために、何もしないで待つことを心がけてください。
誰かの言葉に反応せず、何かをすぐ決めようとせず、静かに呼吸を整えましょう。
どんなときも、冷静に考えて下した判断がベストの判断です。
感情にのまれていると、目の前の一部しか見えません。
強い怒りや恐怖を感じているときは、「逃げるか、やっつけるか」の2つの選択肢しかありませんが、冷静になれば、もっとたくさんの選択肢があることに気づきます。

  









































