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All about のシンプルライフのガイド、金子由紀子さんのたぶん1番新しい本、「引き算する暮らし」より、持たない暮らしをする人の買い物の仕方をお伝えします。
「引き算する暮らし」は、持ちすぎている物を減らし、物に頼りすぎないで、少ない物で暮らすライフスタイルです。
とはいえ、「買い物を全くしない暮らし」ではありません。
著者は、「物」は私たちの暮らしを豊かにしてくれる大切な要素だとしています。生きるため、人生を楽しむために、「物」は必要なのです。
しかし、今までと同じように買い物をしていると、引き算ではなく足し算です。
引き算する暮らしをしながら、買い物をするときは、「いかに買わないか」を意識するのが最重要ポイントです。
現代人は毎日買い物をする習慣がついていますから、ここで考え方を変える必要がありますね。
そのために、金子さんが提案している買い物術を3つ紹介します。
1.物を「子犬」だと考え、家に招き入れる
「買う行為」はその物と「縁を結ぶ」ことだと、金子さんは書いています。
さらに、物は買ったら、最後まで面倒をみなければならない「子犬」だと思え、とも。
物に餌をやったり、散歩に連れて行く必要はありませんが、ひとたび物を買ったら、最後まで面倒を見なければならないからです。
この考え方、おもしろいですね。
意外と「買いっぱなし」の人が多いので、買い物をするときは、それと結婚するぐらいの気持ちで買ったほうがいいかもしれません。
物を買うとき、私は以下の点を考えてから購入することにしています。
●これは私の人生を大きく変えてくれるのか?
●これを置く場所はあるのか?
●これは何かで代用できないだろうか?
●これがいらなくなったとき、捨てるのは簡単か?
私、物はなるべく買わないようにしています。年間新しく買う物の数は食品をのぞけば、20個前後です(2014年の場合)。去年は、名古屋に里帰りしたので、例年より買い物が増えました。
今年はまだ、10個も買ってないと思います。ほとんどが歯のお手入れグッズです。
毎日使っているものの買い替えは別ですが、新規に自分の生活に取り入れるものは「はたしてこれは私の生活をプラスの方向に変えるのか?」と自問自答してから買っています。
買っても暮らしが変わらないようなものは、買わないのです。
たとえば、去年買って私の暮らしを変えたものはiPhoneです。それまで携帯電話を持ったことがなかったので、これはある意味革新的でした。
それと「捨てるのが簡単かどうか」ということにもこだわっています。自分が持てないような大きな家具は買いたくないのです。
新しく買うものを子犬や子猫だと思ってもいいし、私のように、買い物にGoサインを出せる条件を決めておけば、無駄遣いが減るのではないでしょうか?
自分なりの、「買うルール」を決めて、買い物のハードルをあげることで、「引き算する暮らし」や「持たない暮らし」に近づくことができます。
こちらも参考にしてください⇒5つの思考で「買わない」を習慣化~お金をためる生活にシフトする
2.買う前にそれがいらなくなったときのことを考える
金子さんも、物を買う前に、将来それを使わなくなってしまったときのことまで考えるように、としています。
家の中のガラクタの正体は、買ったり、もらったりしても「使わない物」や「使わなくなってしまった物」です。だから、不用になったときを想定するのは理にかなっていますね。
私は物を使わなくなったら、即捨てすることに決めています。寄付かゴミ箱行きかのどちらかです。衣料品だけはウエスにしています。
参考⇒断捨離初心者のための上手な不用品の処分の方法、モノの捨て方
即捨てができない人のために、金子さんのチェックポイントを紹介しておきます。
□ これを買うのはいいけど、飽きたり、イヤになったりしたら、これをどうする?
□ 使わないモノの場所を確保できるか?
□ 他の目的に転用できるか?
□ 誰かもらってくれる人のあてはあるのか?
□ 売れるか?売れるとして、どのぐらいの値段で売れるのか?
□ その値段に納得いくか?
□ 捨てるとしても、どうやって捨てればいいか?
□ 捨てるのにお金がかかったりしないか? いくらかかるか?
「買う前にこんなこと考えるなんてうざい」、と思うかもしれません。
確かにこんなことをいちいち考えながら買っていると、買い物の楽しみがなくなります。買い物って、「あ、かわいい、すてき、買おう」と思って、さくっと買うところが楽しいのだと思います。
しかし、そういう「快感優先」の買い物の合間に、たまには「計画的な買い物」もまぜてはどうでしょうか?
買い物が楽しくなくなるので、買う頻度は確実に減ります。
3.祭りとしての買い物のススメ
片付けコンサルタントの近藤麻理恵さんは、片付けは毎日やるものではなく、ある日、一気に徹底的にやる「祭りである」と書いています。片付けは非日常なのです。
金子由紀子さんは「買い物こそが祭りだ」と書いています。「祭り」という言葉は使っておらず、「スペシャルなイベント」としていますが。
半世紀前の日本人の買い物がそうでしたね。
私が子供の頃は、母は毎日、食品の買い物に行きこそすれ、雑貨や洋服、家電などは、1人では買っていませんでした。
我が家では、数ヶ月に1度、日曜日にデパートに行くのが一大イベントでした。
デパートに行って、お昼はデパートの食堂でいただきます。私はお子さまランチを食べていましたが、これがものすごいごちそうだったのです。午後はデパートの屋上の遊園地で遊びました。
何か新しい電化製品を買うときに、父と母はデパートに行ったのだと思います。昭和30年代~40年代始め頃までは、父も母もめったに買い物しませんでした。
特に父は、仕事と貯蓄が趣味でしたから、モノは買いません。
母が自分の普段着を自分で買うようになったのは、衣料品を扱うスーパーができてからです。
このように昔は、買い物は特別行事でしたが、今はそんなことないです。何しろ24時間、インターネットで、ワンクリックでモノが変えます。
街に足をふみだせば、100円均一ショップ、コンビニ、量販店とよりどりみどり。あまりに買い物が「日常のこと」になりすぎました。
「引き算する暮らし」では、昔の人みたいに買うことをすすめています。
買う前に、時間をかけて準備をし、候補を検討し、実物もチェック。とことん悩み、そして一大決心をしてお金を払うのです。
金子さんは、「それを売っている人や作っている人と必ず会話をしろ」とまで書いてます。
考えてみると、昔はこういうことはごく当たり前のことだったのです。もしかしたら、私たちは「正しい買い物の仕方」を忘れてしまったのかもしれません。
金子さんによれば、
買ったモノを大切にするかどうかは、買うためにかけた時間に正比例する
そうです。
これは、買い物が好きな人にはあてはまると思います。石黒智子さんなんてこのタイプですね。
私は、買うときはけっこう即決です。それでたまに失敗しますが。買い物に時間をかけるのが嫌いなので、いつも「簡単に買う方法」をとるのです。
「お買い物大好き」という方は、金子さんの言うように、買い物を祭りにすることを検討するといいかもしれません。時間と手間がかかるので、だんだん買い物が減るはずです。
「引き算する暮らし」の概要はこちらを読んでください⇒金子由紀子「引き算する暮らし」の感想
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この本の冒頭で、著者は、私たちは物を持ちすぎて、昔の日本人ならみんな持っていた「生活技術」を失ってしまったと訴えています。
万能蒸し器を所持している人が、中華まんじゅうを蒸すために、蒸籠(せいろ)を買って、1回使っただけでしまいこむ例が書かれていました。
食べものを蒸すことなんて、鍋があればできる。鍋に水を入れて、その水より背の高い茶碗か何かを真ん中に置いて、その上に皿かザルを置いて蒸せばいい、というわけです。
蒸し器を持っている人が別のタイプの蒸し器を買うのと同じことが、程度の差こそあれ、毎日起きていますね。
みんな、必要なものはすでに持っているのに、次々と便利そうな物を買ってしまうのです。
そういう便利グッズは、確かに「あると便利」なのでしょう。しかし、「あると便利」な物は、なくても平気な物です。
「あると便利」な物が増えすぎると、かえって邪魔で、全体としては「不便な生活」を強いられます。
シンプルライフを送るコツは、1つ1つの物にばかりフォーカスするのではなく、それが自分の生活や人生にどんな違いを生み出すのか、一歩下がって考えることだと信じています。