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幸せホルモンと呼ばれるセロトニンをたくさん分泌して、文字通り幸せになるシリーズ。今回は、セロトニンを増やす食べ物がテーマです。
結論から先に書くと、ある食品にたくさんセロトニンが入っていて、それを毎日食べていれば、セロトニンがたくさん出るのか、というとそういうわけではありません。
最近あまり人気のない炭水化物を食べることが、セロトニンを分泌する秘訣です。
セロトニンとは?
セロトニンはトリプトファンというアミノ酸から作られる「神経伝達物質」です。人の気分や食欲を制御しています。
セロトニンが充分出ていれば、気持ちは落ち着いていますが、足りないとうつ病になる、と考えられています。というのも、実際、うつ病の人はしばしばセロトニンレベルが低いからです。
また食欲を左右し、セロトニンが足りないと、たくさん食べるから太るとも言われています。
よって「幸せホルモン」のほかに「痩せるホルモン」という名前もあります。気分が安定していたら、どか食いなんかしませんよね?
ただし、セロトニンは「痩せるホルモン」というより、「その人にとっての適正体重を保つホルモン」と呼んだほうがいいと思います。
今のところ、セロトニンは、ごきげんな気持ちで暮らすことや、長生きする鍵を握る物質である、と考えられています。
セロトニンについて詳しくは前回の記事をお読みください⇒セロトニンを自然に増やす5つの方法。サプリは使わず幸せになる
体内にあるセロトニンのほとんどは腸で作られていますが、人の気分を決めるセロトニンの大半は脳で分泌される、とされています。
うつ病の人は、実際に医者から、セロトニンが増えるサプリや薬を処方されていると思います。しかし、セロトニンは増えすぎると副作用が出ます。
そこで、特に病気でない人は、自然な方法で、セロトニンを増やす、あるいは足りなくならないような暮らしをするほうがいいと思います。
セロトニンが豊富な食品を食べても意味はない
セロトニンを含む食品はほんの少ししかありません。たとえば、くるみ、パイナップル、バナナ、キーウイ、プラム、トマトなど。
しかし、量はほんの少しだし、食品に入っているセロトニンがうまく脳内に到達することはありません。だから、セロトニン目的で、いくらバナナを食べても、セロトニンレベルは変わりません。
食品からセロトニンを取るなら、セロトニンの材料であるトリプトファンを摂取するべきです。というか、トリプトファンがないとセロトニンはできません。
トリプトファンを作るために有用な栄養はタンパク質、鉄、リボフラビン(ビタミンB2のこと)、ビタミン6です。トリプトファンを摂る方法は、メラトニンの記事に書いています。メラトニンの原材料もトリプトファンだからです⇒メラトニン(睡眠ホルモン)を自然に出し眠りを向上させる方法:サプリより生活改善を
ただし、トリプトファンがいっぱい入っている食品を食べると、ダイレクトにセロトニンが増えるか、というとそうではありません。
というのもトリプトファン(アミノ酸)が脳に到達するとき、ほかのアミノ酸と競争する形になるからです。(トリプトファンのサプリは、セロトニンレベルに直接影響します)。
それではどうしたらいいのでしょうか?
セロトニンレベルをあげるには炭水化物が必要
ストレスが多いと、人は甘いものや、炭水化物をたくさん食べます。
これは単に甘いものを食べるクセがついているからではありません。こういうものを食べると、脳内でセロトニンが分泌され、とりあえず気分は落ち着き、満足するからです。
脳的には「快」を感じています。
英語圏には、コンフォートフード(comfort food)というのがあります。comfort は「ほっとした気持ち」です。
コンフォートフードは、これを食べると、ほっと心がなごみ、子供の頃を思いだすノスタルジックな家庭料理のことです。日本で言えば「おふくろの味」でしょうか。
北米の代表的なコンフォートフードは、マカロニアンドチーズ(マカロニにチーズをあえたようなグラタン)や、風邪のときに食べるといいとされるチキンヌードルスープ、ほかにベイクドポテト、キャセロールなど。ハンバーガーもそうです。
今、ハンバーガーはファーストフード店で買ってる人が多いですが、昔は家庭で作っていたメニューです。ハンバーガーのつけあわせはフライドポテト。パンにポテトという炭水化物の合わせ技です。
このようにコンフォートフードは炭水化物が多いのですが、それは偶然ではありません。炭水化物を食べると、人の脳はほっこりと安心するのです。幸せになるのですね。
コンフォートフードは冬の料理が多いです。
ふつうの人は夏より冬のほうが気分が落ち込みます。日照時間が減るし、寒いからあまり外に出ないせいです。そこで炭水化物を食べてセロトニンレベルをあげます。
トリプトファンがいっぱい入っているタンパク質の摂取だけではセラトニンレベルが上昇しませんが、炭水化物をとると、セラトニンはより分泌されます。
炭水化物(ブドウ糖)を食べるとインスリンが出ます。インスリンは、心臓、筋肉、その他の臓器にアミノ酸が吸収されるのを助けます。
ところが、トリプトファンはアミノ酸なのに、インスリンの影響を受けません。ほかのアミノ酸が心臓や筋肉に行っている間に、トリプトファンはうまく脳に到達するのです。
そこで、食べ物を使ってセロトニンレベルをあげるには、
●トリプトファンがいっぱい入っている食品、つまりタンパク質を食べる。
●トリプトファンがセラトニンに変わるときに必要なミネラル類(特にビタミン6)もとっておく。
●炭水化物も食べておく。
この3つをやればいいわけです。
トリプトファンは、卵、サーモン、豆腐、チーズ、ナッツ、種類(たねるい、シード)などに豊富です。
☆シード類はいろいろ健康にメリットがあります⇒チア、それともヘンプ?健康にいい6つのシード(たね類)とその効用
過度の糖質制限は禁物
ずっと糖質制限ダイエットが流行っています。しかし、炭水化物を制限しすぎてしまうと、セロトニンはできません。
確かに糖質を制限すればやせます。しかし、炭水化物からできるブドウ糖は脳のエネルギー源ですし、セロトニンの分泌も助けるので、適度にとっておく必要があります。
かつて私も糖質制限ダイエットではありませんが、カロリーのない食品ばかり食べるという、今思うと無謀なダイエットを1年ぐらいしたことがあります。20代半ばの話です。それはもう、びっくりするほどやせました。
私はズボラなので、カロリー計算が面倒でした。そこで、もともとカロリーが少ない、豆腐、野菜、きのこ、海藻中心の食事を開始しました。ご飯やパン、お菓子など完全にカットしていたのです。
料理が嫌いなのに、このときは自分で弁当を作って会社に持っていってました。なんと幼稚園のとき使っていた、小さなアルマイトの弁当箱を使用。ふたにはディズニーの白雪姫に出てきた小人がついていました。
この弁当箱に、ほうれん草の胡麻和え、炒り豆腐、プチトマトなどを入れて毎日食べていたら、はからずも私自身が小人になっていきました。
生理もとまりました。この無理なダイエットの結果、何年か後、貧血のせいで、ある会社の就職試験に落ちました。面接では通っていたのに、最後の健康診断で落ちたのです。
ただ、幸いなことに、もともとわりと健康で胃腸が丈夫な私は、1年後ぐらいにダイエットをやめたら、どか食いが始まり体重はどんどん戻り(リバウンド)、あげくに前より太り、生理も始まりました。
弟に、「今度はどこまで太れるか実験しとるの?」と聞かれたほどです。
痩せていた時、私は全然幸せではありませんでした。痩せたのに、なぜかすごく悲しいのです。ある時、声をあげて泣きました。
今思うとセロトニンが全然出ていなかったのでしょう。
よく摂食障害にならなかったなあと思います。
というわけで、セロトニンレベルを上げたいなら、極端な糖質制限ダイエットはやめましょう。
セロトニンダイエット(食餌法)というものもある
セロトニンを研究している人は、戦略的な食べ方をすればセロトニンの上昇が見込めると言っています。
何を食べるか、ではなく「どう食べるか」が肝です。タンパク質と炭水化物を一緒に摂るのではなく、時には炭水化物だけを食べるといい、という説があります。もちろんこの説を唱えている人は、医者で研究者です。
現在、糖質制限が人気なので、これを聞くと、ショックを受ける人が多いでしょう。多くの人は、やっきになって炭水化物を避けているのですから。
セロトニンダイエットのメニューは、朝は炭水化物(トーストやシリアル)に果物。昼は野菜中心、あるいはパスタ、野菜サンドイッチ。おやつは、フルーツやピタパン。夜になってはじめてタンパク質、野菜、そして炭水化物といった具合です。
もちろん炭水化物の量は無制限ではありません。さらに、砂糖や白い小麦粉は避けます。
砂糖や白い小麦粉も炭水化物ですが、血糖値が急上昇し、またすぐに下がるので、セロトニンレベルアップにはあまり貢献しません。
どのみち、この2つは健康によくありません。
砂糖のこと⇒砂糖の害について書いた記事のまとめ
白い小麦粉について⇒白い小麦粉が健康によくない5つの理由
そこで、このような精製された食品ではない炭水化物を選んでください。たとえば、イモ類、根菜、果物、オートミールや米など(穀物ではないものがベター)です。
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ずっと糖質制限している人は、炭水化物が敵のように見えるでしょう。そして、炭水化物を食べることに罪悪感を感じると思います。
ですが、長年人々が食べてきたものを、適度な量食べるのが、結局、人を幸せにするのではないか、と思います。
加工食品や食品添加物がたくさんできてから、人の食生活は完全に基本ルートをはずれてしまったのです。一度基本に戻るのも悪くはないかもしれませんね。
先にも書いたように脳内で分泌されるセロトニンが、気分を左右すると言われています。ということは、食生活も大事ですが、質のいい睡眠をとることもとても重要です。もちろん前回の記事に書いた、お日様にあたったり、運動することも効果的です。