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生活評論家の阿部絢子さんの『家事名人の生活整理術』という本を読みました。感想をお伝えします。
この本を読んだ経緯
以前読んだ『モノ・人・お金 自分整理のすすめ』がなかなかよかったので、もっと阿部さんの本を読んでみたいと思い購入。
筆子の場合、キンドルじゃないとすぐに読めないので、選択肢は少なかったです。阿部さんの著書でキンドルになっているのは全部で4冊。そのうち1冊はもう読みましたから、残り3冊から選びました。
初版は2001年、文庫本になる2006年に大幅に書き換えたそうです。
私が読んだのは文庫本をもとにしたキンドル版です。
値段は594円でした。
阿部さんは1945年生まれで、私より一回りほど上。
2001年の阿部さんは今の筆子と同じぐらいの年頃にあたります。
『モノ・人・お金 自分整理のすすめ』の感想はこちら⇒阿部絢子の「モノ・人・お金 自分整理のすすめ」の感想~50歳からはお金にシビアになるべし
内容
目次はこうなっています:
パート1:生活を整理するとこんなに楽
パート2:自分流が光るおしゃれの「減量」作戦
パート3:片づけ・掃除はスピーディに手を抜く
パート4:食べることはシンプルがおいしい
パート5:心を整理してスッキリした生活
付録として、「家事名人のお役立ちの53品」というのがあり、いろいろな物の本来の使い方以外の使い方を紹介しているいわゆる「裏ワザ集」がついています。
といっても、わりとよく知られた方法が多いです。
たとえば、お茶は脱臭剤になり、紅茶で染め物ができる、といったようなことです。
本のタイトルにある生活整理とは、物を減らして、家も心もスッキリさせること。そうすることが、結局は、効率的に家事をするのに1番いいのだ、という主張です。
阿部さんは1990年にドイツの家庭で過ごす機会があり、自然とふれあいながらゆったりと暮らす生活を体験しました。
そのとき、忙しく働き、お金を稼ぎ、大量の物やつきあいを抱え込んだ暮しをリセットしたいと思ったそうです。
これまで物や時間、気持ち、考え方にずいぶんたくさんの無駄があったことに気づいたのです。
その後、10年以上かけて、この無駄をなくすために生活を整理をし、シンプルライフにしたら、時間にも心にもゆとりが感じられるようになったとのこと。
ゆとりある暮しをめざして行ったその整理法、つまり気持ちの切り替え方をまとめたのがこの本です。
パート1,パート2で出てくる、物や洋服の適量は、ミニマリスト的には、「まだまだ多い」です。
スーツを減らして20着にしたとあったのに驚愕。
働く女性ってそんなにたくさんスーツを持っているのでしょうか。
バッグも30個から15個に減らしたとあります。
ただ、アクセサリーは10個、靴は5足までに絞れとあるから、これは一般より少ないでしょうね。
このように、1つ1つの物をどこまで減らすべきか具体的なアドバイスが書かれています。
食に関してもそこまでシンプルだとは思いませんでした。
『モノ・人・お金 自分整理のすすめ』を読んだときも思ったのですが、阿部さんは美味しいものが好きで、食にこだわっているので、「シンプルな食事」とあっても、私にはものすごくぜいたくな食事なのです。
むしろ文中にある阿部さんが滞在したオランダの家庭の食生活のほうが私の暮しには近いです。
それは、
朝:パンとコーヒー
昼:パンとコーヒー
夜:アスパラガス、ゆで卵、サラダ、パン
朝と昼は毎日同じで、夜だけ日替わりで温かいメニュー。
私はコーヒーは飲まないし、パンも基本的に食べませんが、メニューのワンパターンさ加減と、質素なところが似ているのです。
阿部さんはこの後、年齢があがるにつれて、さらに物を減らしています。物の量に関しては、もっと最近の著書である『モノ・人・お金 自分整理のすすめ』のほうが、違和感は少なかったです。
便利な物をたくさん持てば家事がシンプルになるわけではない
この本で1番共感を覚えたのは前書きで阿部さんが書いていること。
つまり、物が多いと生活は快適になるどころか、かえって暮しにくくなるという点です。
若いころの阿部さんは、1日24時間のうち4時間しか自由時間がないことに悩んでいました。
睡眠に8時間、仕事に8時間、残りの8時間が自分の時間で、さらにこのうち4時間は、食事の支度や身支度や後始末、つまり家事の時間という計算です。
4時間も完全に自由な時間があるのはいいほうではないでしょうか?
しかし、これが不満だった阿部さんは、20代後半から、家事や後始末を合理化して、もっと自由時間を増やしたいと時短家事を追求。
家事を短縮するために、便利な道具や物が必要だと考え、どんどん物を利用するほうに向かいました。
ところが物をたくさん導入したら、かえって家事が複雑になり、時間がかかるようになったのです。
阿部さんは家電製品、調理器具、調理便利グッズ、掃除道具、洗濯小物、洗剤などをどっさり購入。
さらに欲望はどんどんふくらみ、家事には関係ない洋服やバッグ、靴などもたくさん買ってしまいます。
一見、物をうまく使えば、家事の時間は短縮されます。
たとえばお掃除ルンバとか、私は持っていませんが、いかにも便利そうです。
しかし、阿部さんは便利であるはずの物をたくさん買ったら、かえって家事がしにくくなってしまったのです。というのも家中に物があふれてしまったから。
結局、物が少ないほうが家事も楽だし、暮らしやすいのですね。
あるとき、炊飯器と冷蔵庫がこわれて、阿部さんはパニックになったそう。道具がなければ何もできない自分に腹がたったとか。
確かに、いつも便利に使っているものが突然こわれるとものすごく精神的なダメージがあります。
私も本日、急にワイファイに接続できなくなったキンドルファイヤを修理するために、検索したり、キンドルの電源を何度も入れ直したり、設定をかまうことに、1時間以上失いました。
結局直せなくて、「今日のところはここまでにしておこう」と思ったものの、気持ちを切り替えるのにさらに時間がかかってしまいました。
物は、調子よく動いているときはいいけれど、こわれるとすごいストレスです。
これまで「物を持つと管理に時間がとられるから大変だ」とブログに書いていましたが、物が壊れた時のショックやイライラも計算に入れなければなりませんね。
形あるものはいつかは壊れますから。
まとめ
家事の本だけあって、整理の仕方や掃除のやり方がきわめて具体的に書かれています。
ただ、整理のやリ方は、そもそもミニマリストの私にはものが多すぎるし、掃除の仕方も、私的にはそこまでやらなくてもいいんじゃないか、と思いました。
さすがに生活評論家だけあって、時短家事と言いながら掃除はそこまで手を抜いていないのです。私がズボラすぎるのかもしれませんが。
私はクリーニングは利用しないし、アイロンも持っていませんからね。
それと阿部さんはずっと独身の一人暮らしのせいか、子供や育児にかかる手間についてはいっさい出てきません。
もちろん上にも書いたように阿部さんの基本的な考えには賛成です。家事が苦手な人ほど、物を減らしたほうがストレスが少なくなると思います。
当時の阿部さんよりもっと物持ちの人、これまでごく普通の生活をしていてこれからシンプルにしたいという人には参考になる本です。