ランニングをする女性

TEDの動画

やらないよりはましだ、と思える小さなことを積み重ねよう(TED)

目標を立ててもすぐに挫折する人におすすめのTEDの動画を紹介します。

タイトルは、Confessions of a Bad Exerciser(運動することが苦手な者の告白)。講演者は、幸せに暮らすことや、習慣づけのコーチングをしている、Christine Carter(クリスティン・カーター)さんです。

習慣を変えたいとき重要なのは、下手にしかできない自分でいいと思うこと、という内容です。



うまく運動できない者の告白:説明

Our ability to follow-through on our resolutions — to get into a new habit — may have a simple and easy solution.

新しい習慣を身につける決意をして、それを続けるために必要なのは、シンプルで簡単なことなのかもしれません。

収録は2020年の9月。12分49秒。英語の字幕あり。動画のあとに抄訳を書きます。

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

クリスティンさんは、講演の仕事もたくさんしているせいか、ゆっくり、はっきりとしゃべっていてわかりやすいです。





ステイホームでだらけた私

2020年の3月にステイホームしなければならなくなったとき、私は、「忙しくない状態を楽しもう、家にいる間に、幸せにつながる新しい習慣を身に着けよう」と書きました。

今になってみると、笑えます。

新型コロナウィルス以前の私の習慣は、いともあっさり消えてしまい、夕食の時間になって、まだシャワーも浴びていない、着替えてもいない、歯も磨いてない、と気づく日もありました。

だらだらしてしまった理由

皆さんは、賢くて、いろいろなことを成し遂げている、TEDトークの視聴者だから、私より上手に、パンデミックに対応しているかもしれません。

私は、もうずいぶん長く、習慣の作り方を人に教えています。効果的で科学に基づいたやり方を。

それなのに、私は、パンデミックに対応するのに苦労しました。

本当のことを言うと、最初の数ヶ月は、ふだん自分が他人にしている最良のアドバイスに、まったく従っていませんでした。

というのも、私は、野心的なゴールを設定するのが大好きだからです。

ささいないい習慣を身につけるのは、あまりエキサイティングじゃない、もっとすごいゴールを達成したいと思ってしまうのです。

ランニングに挫折

運動を例にとりましょう。コロナの問題が起きたとき、私は、以前のようにランニングをしようと思いました。

ハーフマラソンに出られるように、詳細なトレーニングのプランを考え、実践を始めました。

しかし、そういう野心的なトレーニングができたのは、最初の数週間だけ。あんなにがんばって計画をたて、準備したのに、逆に、運動を全くしなくなってしまいました。

運動の大切さはよくわかっていました。

健康によく、心臓病や、がん、糖尿病にかかるリスクを大幅に下げ、うつや不安を解消することについては、処方薬と同じぐらいは効果があると知っていました。

運動が記憶力をよくし、学習を助け、脳をより効果的にパワフルにすることも知っていました。

そのメリットを知っていたのに、なぜ、私は運動をやめてしまったのでしょうか?

下手なことがいやだったから挫折した

実は、新しい習慣を身につけ、行動を変えることができるかどうかは、そうする理由があるからとか、そうすべきだということには関係ありません。

その習慣のメリットを理解しているだけではだめだし、意志のちからも関係ありません。

続けられるかどうかは、下手にやる気があるかどうかにかかっています。

そして、私は、何かをうまくできないことが大嫌いなのです。

うまくできないぐらいなら、何もしないほうがまし、と思ってしまいます。

どんなことも上手にすることが好きなので、下手にしかできない運動をやめてしまったのです。

下手でいることに甘んじる

下手でいることに甘んじたほうがいい理由を説明します。

上手にやるためには、努力やモチベーションが必要です。これからやろうとすることが、難しければ難しいほど、よりたくさんのやる気を要します。

しかし、やる気は、出したいときに出せるものではありません。自分の意志とは関係なく、モチベーションは上がったり、下がったりします。

モチベーションが下がると、人間は一番努力がいらないことをすると、たくさんのリサーチからわかっています。つまり、私たちはもっとも簡単なことをするのです。

変わることは難しい

変わることはとても大変だから、新しい行動をするには、たくさんの努力が必要です。

変わるためには、やる気がたくさんいりますが、そのやる気は、いつもあるわけではありません。

だから、やりたいと思っていることなのに、できないことがよくあるのです。

運動習慣を身につけるために、私は、もう少し手を抜くべきでした。本物のアスリートになろうするのをやめるべきなのです。

1分間だけ走ることにした

運動を再開することにし、今度は1度に1分だけ走るようにしました。

毎朝、歯を磨いたあと、パジャマから着替え、ドアを開けて外に出ました。私のゴールは、1分間、走るだけ。

たいてい、15分から20分、走ることができました。でも、全くやる気が出ないときや、時間はないと思ったときも、1分は走りました。

この最小限の努力は、何もしないよりましでした。

上手にやろうとしない

あなたも、よい方向に変わる試みに失敗したことがあるかもしれません。

プラスチック製品を使うのを減らしたい、もっと瞑想したい、人種差別をやめたい、本を書きたい、もっと野菜を食べたいと思っているかもしれません。

いいニュースがあります。今すぐ、始められます。たった一つ必要なのは、上手にやろうとするのをやめることです。

大それた計画を、少なくとも、一時的に捨てればいいのです。

すごく小さなことでも、何もやらないよりはずっとましだと考えてください。

小さなことをやってみる

さあ、こんな質問を自分にしてください。

ずっとやろうと思っていることを、どうしたら、もっと簡単で、特に考えなくても、毎日やれるようにできるだろうか、と。

それは、ランチのサンドイッチに、レタスを1枚だけ入れて食べることかもしれません。外で1分だけ歩くことかもしれません。

大丈夫です。そのうちもっとやれるようになります。「やらないよりはまし(better than nothing)」という行動は、あなたの究極のゴールではありません。

でも、今、あなたがすべきことは、ばかばかしいほど簡単なことをすることです。何一つ計画通りにいかなかった日でもできる簡単なことを。

最終的には、もっとやりたいと思うかもしれません。

しかし、私たち人間は、本当にやりたいと思っていることをやり、こんな人になりたいと思っている人になるには、疲れすぎて、ストレスがありすぎて、気が散りすぎて、できないということがよくあります。

そういう日にする、私たちのもっとも野心的な行動は、「やらないよりもまし」なことをすることです。

やらないよりもましなことを継続する

瞑想を1分すれば、リラックスできます。

レタス1枚には、0.5グラムのファイバーやほかの栄養があります。

外で1分歩く。私たちの身体に必要なのは、これだけです。

だから、1つだけ、「やらないようりもましなこと」をやってみてください。そしてどんな感じか様子を見ましょう。

ゴールは、繰り返すことであり、すばらしいことを成し遂げることではありません。

何かをやろうとするとき、下手でもいいと思ってください。ただし、下手でも、毎日行います。

ワンステップだけ進みます。しかし、毎日、ステップを踏みましょう。

スタートするのが一番難しい

もし、やらないよりはましなことをするのは、何もやらないより、ましではないと思えるなら、、
何事もスタートする時が、一番大変なのだ、と考えてください。

スタートすると、脳の中で、新しい行動をする神経回路ができます。回路ができれば、後々、もっと野心的なことをできるようになります。

脳の中で、いったん習慣ができあがると、何も考えなくてもできるようになります。意志も努力も、そんなに必要ありません。

「やらないよりはまし」なことを繰り返しているうちに、それは、自動的にできる、すごく簡単な行動になります。

すると、やる気がなくてもできるようになるし、疲れていても、時間がなくても、どんなことがあっても、できます。

いったん、自動的にできるようになると、その習慣は、自然に拡大していきます。

自然にもっと走りたくなった

1分間だけ走るのを数日続けたあと、私は、もっと走りたいと心から思いました。

もっと運動すべきだから、とか、他人にすごいところを見せたいから、という理由からではありません。

立ち止まるより、走り続けることが、ずっと自然だと感じたのです。

すごいことをしたいと思う瞬間に起きること

私をはじめ、多くの人は、「やらないよりまし」なことより、もっとすごいことをやりたいと思うものです。特に、がんばり屋さん(overachiver)は。

だから注意しておきます。

やらないよりましな小さなことを、やらなくなってしまうその瞬間に、すべてをやめてしまう危険があります。

やりたいと思うことをやめて、スマホをチェックする瞬間です。カウチに横になり、Tiktokやネットフリックスを一気見するときです。

「もっとやらなければ」と思うと、難しさが生まれ、力が必要になり、自分を奮い立たせなければなりません。

これは、その行動が、もう、簡単で楽しいことでなくなってしまう瞬間です。

もっとやる気が必要になるから、その時、たまたまやる気がないと、何もやりません。

モチベーション不用の行動

「やらないよりもまし」なことをやるときは、モチベーションに頼らずにすみます。エネルギーもそんなにいりません。

うまくやる必要もありません。

ものすごく簡単なこと、やらないよりほんの少しましなことをする気になればいいのです。

もし何の抵抗もなく、努力がいらないなら、やらないよりましなことより、すごいことをやってもいいでしょう。

でも、抵抗を感じるなら、それ以上のことをやらないでください。

前の自分よりよくなることを目指す

何ヶ月か、下手な自分でもいいと思ってあがいた結果、今や私はランナーです。

とてもアスリートとは言えません。ハーフマラソンを走る予定もなし。でも、継続しています。

ダライ・ラマは、「他人より、よくなることがゴールではなく、前の自分よりよくなることがゴールだ」と言っています。

やらないよりはましな、小さなことをするだけで、成長できます。

大それた計画や、大きな野望を捨てて、最初の1歩を踏み出せば、私たちは変わります。

逆説的ですが、この小さな変化こそが、大きな計画や野望を達成する始まりなのです。

単語の意味など

follow-through  最後まで続ける

half assed  手を抜いた、中途半端な

overachiever  オーバーアチーバー、成功したいという願望がとても強く、一生懸命がんばって大きな成功をおさめる人。ふつう、ネガティブな意味で使われます。

binge watching   ビンジウォッチング、ドラマのエピソードなどを一気に見ること。

smidge = smidgen   ほんの少し

クリスティン・カーターさんの著書です。

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ダイエットしないで健康になる方法(TED)~生活習慣を変えよう。

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いきなりうまくやろうとしない

なぜか、人は、初めてすることでも、いきなり、上手にやりたいと思ってしまいます。

失敗することが許せない、と思うのは、なぜでしょうか?

どんなことでも、失敗すると、自分の人間としての価値がどーんと落ちてしまうと考えているのかもしれません。

このブログの読者の大半は、不用品を捨てたいと思っていますが、断捨離することですら、「失敗は許されない」と無意識に思っている人が多いようです。

だから、うまく捨てられる方法、効率よく捨てる方法、あとで後悔しない捨て方、自分の性格に合った方法など、さまざまなノウハウをえんえんと集めます。

「これなら大丈夫だ!」という保証のあるやり方が見つかるまで(つまりいつになっても)、捨て始めません。

しかし、部屋をきれいにするベストの方法は、情報集めではなく、毎日不用品を捨てることです。

捨てることに苦痛を感じるなら、もっともハードルの低い捨てを、毎日繰り返してください。

しばらくは、ゴミ箱の中身だけを捨てたり、もう賞味期限が切れている薬を捨てたり、床に落ちている真正ゴミだけを捨てればいいのです。

抵抗を感じる物はいっさい捨てなくていいです。

ですが、毎日、捨てることを続けてください。

今は捨てるのが難しいと感じているガラクタを捨てられる日が、必ず来ます。

****

別の記事でも書きましたが、今年、私は、ブログなどを書くことを、少しでもいいから毎日することを目標にしています。

毎月、30日間チャレンジを積み重ねて、1年で大きく成長したい。

5分しか書かない日もありますが、これまでのところ、毎日続いています。

今さらですが、タイマーを使って、時間をはかると、仕事がはかどります。

タイマーについて⇒タイマーを使って仕事や家事に一点集中~ミニマリストのタイマー活用法とは?

書き始めるときに、タイマーをポチっと押し、やる気や時間がない時は、5分しか書けないこともありますが、たいてい15分は書いてしまいます。

1日5分の断捨離、みたいな目標がある人は、タイマーで時間を測って、その時間を記録するといいかもしれません。





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