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「捨てたらもう返ってこない」「捨てたらもう2度と手に入らない」「捨てたら取り返しがつかない」。
こんなふうに思って、いらない物なのに、捨てられないことがあります。
今回は、先の心配をすることに忙しく、汚部屋(または片付いていない実家)を現状のまま放置しがちな人に、前に進む考え方を紹介します。
心配していることはたいてい起きない
もともと心配性だったり、ふだんから、心配することに時間やエネルギーを注いでいる人には、「心配していることはほとんど起きない」という言葉を送ります。
以前、心配していることのほとんどは現実には起きない、という統計を紹介しています⇒メンタルを強くする7つの方法。ピンチに陥っても負けない自分になる。 6.心配ごとの8割は起こらない、の箇所です。
これを読んでも納得できないときは、自分の日々の心配ごとが、どのぐらいの確率で実際に起きているか、調べてみるといいでしょう。
日々の心配ごとを箇条書きしてください。
短期的なことに関する心配は、1~3ヶ月、長期的なことに関する心配は半年~1年ぐらいたってから、実際に自分の心配していたことが起きたかどうかチェックします。
たいてい起きていません。
子供のときに好きだった「赤ずきんと3匹の子豚ちゃん」という絵本があり、もう何年も読んでいないし、けっこうかさばるから、もう断捨離しようかな、と思ったとします。
けれども、捨てるとあとで読みたくなったときに困る、ネットで検索しても、同じ絵の絵本が出てこないし、図書館にもないらしい(実際、こうメールに書いてきた方がいます)、捨てたらもう2度と手に入らない。
こんなふうに思ったら、その心配をノートに書きます。
1ヶ月後にそのノートをチェックすると、たぶんその絵本のことはすっかり忘れています。「ああ、そういうえばこういう本あったな」と思うんじゃないでしょうか?
その漠然とした不安は単なる妄想
これ捨てちゃうと、あとで困るんじゃないかなあ、どういうふうに困るか聞かれても困るんだけど、と漠然とした不安にとらわれることがあります。
こんなときは、いったい、何がどうして、どういう理由で、自分は困るのか、そしてその困った状態が、どんなふうに未来の自分の生活に影響を与えるのか、具体的に考えてください。
先の絵本を例にとりましょう。
捨てたら、あとで困るという、その状況は具体的にはどういう状況なのか?
いまから30年ぐらいたって、私が還暦をすぎたころ、きゅうに昔が懐かしくなって、「赤ずきんと3匹の子豚ちゃん」を読みたくなる。
でも手元にないから、読めなくてさびしい。さびしくて涙が出て、「生きていても何もいいことがない」と思ってしまう。
どんより落ちこんで食欲がなくなり、体重が減って、ただでさえしわの多い顔がさらにしわくちゃになってしまう。
こんな状況でしょうか?
捨てた物のことはたいていあっさり忘れてしまうので、将来、ここまでの渇望感を持って、その絵本を読みたいと思うことはないと思います。
おまけに、好きだった本が手元になくても、人間いくらでも生きられます。
さらには、30年後には、本という媒体がずいぶん変わっていて、昔読んでいた本がいともあっさり、また読める可能性があります。それも全く違うメディアを使って。
いま、YouTubeで昔のドラマのテーマソングやその一部を無料で見られます。30年前には考えられなかったことです。
遠い遠い先の心配をしている人は、「自分も社会も、確実に変わっていく」という点を無視しています。
これだけをとってみても、「捨てると2度と手に入らないから、この先、困る」という心配は、ずいぶん非現実的な心配だとわかるでしょう。
それは、妄想と言ってもいいぐらいです。
先の心配より、きょうという日を生きる
記念品や思い出の品、古い物がたくさんあって、押入れがいっぱいなのに、何1つ手放そうとせず、「老後の楽しみにとっておきたい」「あとで見ると、心が慰められると思う」と言っている人は、たいてい今日という日を大事にしていません。
いまが、あんまり幸せじゃないから、「将来、癒やしになるものがないと困る」なんて思うのです。
いま、そこそこ楽しかったら、もう過ぎてしまったことを悔やんだり、うらんだりすることはないし、先のことを心配して、「何か、心を慰めてくれるものを残しておこう」なんて発想はしません。
過去のできごとをうじうじ考え、先の心配で心を痛めることが多い人は、いまを大事にすることを意識してください。
いまを大事にする方法⇒マインドフルネスで実現する。今この瞬間を生きて幸せになる4つの方法。
人間は、なんでも先延ばしする傾向がありますが、先延ばしもいまを大事にしていない状態です。
何かやりたいことがあっても、いまはこんな事情でできないから、これが終わってからやろう、と思います。
しかし、「これ」が終わったら終わったで、今度は、「あれ」が終わってからにしよう、とまた先延ばしします。
受験で忙しいから、受験が終わってからにしよう。大学に入ったら、アルバイトで忙しいし、お金もないから就職してからにしょう。
就職すると、たいていもっと忙しくなるので、結婚して落ち着いてからにしよう、と思います。
結婚すると、子供が生まれて、育児が大変なので、子供が巣立ってからにしよう、と思います。
私のように、出産が遅いと、子供が巣立ったときはもう老後です。
老後になると、たいていの人は、「ああ、もっと若いときにこれをしておけばよかった」と後悔します。
こうした先延ばしループから抜け出す方法は、いまを大事にすることです。
いまの生活の充実を優先しようとすると、大量の思い出の品は、足かせにしかならないと気づきます。
すでにあるものに目を向ける
捨てたら、もう戻ってこないんだ、と考える前に、いますでに、自分がもっているものに目を向けてください。
たくさんの物に執着している人は、端的に書くと、欲張りな人です。
なんでもかんでも自分の手元に置いておきたいのですから。
たとえ、それを使っていなくても、何年もそこにあるのを忘れていても、好きというわけじゃなくても、とにかく手放すのはいや、ずっと持っていたい!
すでに自分がもっているものや状況にしっかり目を向けると、「ああ、もうこんなにいっぱいあるし、これ以上はいらないよ」という気になるものです。
実際、私たちは、ずいぶんたくさんのものを持っています。手持ちの品を数え上げる必要はありませんが、自分がどんなものを持っているのか、たまには調べてみるといいでしょう。
自分がどんな物をどのぐらい持っているか、わかっていますか?
朝、「着るものがない!」と悩む人のタンスやクローゼットには、いっぱい服が入っています。
逆に少ししか服がない人は、着るものに迷いようがありません。
数が少ないほうが、それぞれを大事に使うことができます。数が多すぎるから、すべてがガラクタになってしまい、「もっとちゃんとした物がほしい」と思うのです。
どんな物も過不足なく持てば、気持ちよく暮らせます。欲張ると自分がしんどいだけです。
不用品を捨てることができる境遇に感謝する
何かを捨てると、確かに返ってきませんし、2度と手に入りません。
ですが、これは、とてもありがたいことです。
捨てたのに、1週間後には戻ってきた、なんてことが起きたら、ホラーです。「何1つ捨ててはいけない、捨てずにずっと持っていろ」と強制されたら、人生真っ暗になります。
ちゃんと捨てることができるからこそ、いまとは違う新しい生活が始まるのです。
先日、脳がどんなふうに老廃物を捨てているか説明している動画を紹介しました⇒しっかり眠ることが大切なもう一つの理由(TED)
このプレゼンでも語られていたように、どんな臓器にとっても、エネルギーの元になるものを取り入れることと、それを使ったあとにできた老廃物を捨てることは、欠かすことのできない、ごく基本的な活動です。
人間の生活も、日々暮らすために、必要なものを入れたあと、活動したあとに出たゴミを捨てるのは避けて通れません。
ゴミを捨てることがスムーズに行われないと、機能不全に陥ります。
不用品がありすぎて、ゴミ屋敷になってしまった家は、老廃物がたまりすぎた脳と同じです。
その家を、家として使い、快適に暮らすことがとても難しくなります。
部屋を片付けているとき、「ああ、これを捨てるともう戻ってこないんだ」と思うのではなく、「これを捨てて、新しい生活を始めるチャンスのある自分は、なんて幸せなんだろう」と考えてください。
幸い、今のところ、ゴミを出せば、自治体が収集して処理してくれます。寄付品として海外に送ってくれる団体もあります。
ゴミの処理をしてくれる人は、その人がどんなふうにしてゴミを作ってしまったか、なんてことは、チェックしません。
ファストファッションを買いすぎて、新品同様のままゴミにしたときも、1着を大事に着てとうとうゴミになったときも、同じように収集して、同じように燃やしてくれます。
これって、ありがたいことではないでしょうか?
買い物に失敗しても、出直すチャンスがあるのです。
自由にゴミを捨てることができる自分はとても恵まれている。
こう考えれば、非現実的な心配のせいで、たくさんのガラクタにしがみつくこともないでしょう。
もう戻らない、という心配をする人におすすめの過去記事
捨てたら2度と手に入らない、と思うと捨てられない←質問の回答
あとで必要になったときに買うお金がもったいなくて捨てられない、という質問の回答。
これを捨てるとあとで困るかも?そんな不安を克服する4つの方法。
いろいろ考えすぎて不安がいっぱいの人へ。心配性を治す7つの習慣。
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捨てたら、もう取り返しがつかない、そんな心配のせいで、捨てたくても捨てられない状況にある人におすすめの考え方を書きました。
たくさんある記念品の1つを捨てたからって、そんなに大変なことは起きません。
むしろ、心が軽くなります。安心して捨ててください。