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今月最後のTEDトークとして選んだのは、長寿に関するものです。
年齢を重ねれば、これからの人生をどのように過ごすか考えることは避けて通れません。
ご紹介するのは、科学者であり起業家でもある Tiffany Vora(ティファニー・ヴォラ)さんの How to prepare for a longer, healthier life(より長く健康な人生の準備をいかにするか?)というトークです。
長寿革命と呼ばれる新たな時代に向けて、私たちはどのような準備をすべきか、長くなった余命をどのように意義あるものにするか語られています。
より長く健康な人生:TEDの説明
Thanks to advances in science, medicine, and technology, we may be able to live radically longer and healthier lives than any other people in history. But what will we do with that time? And how can our businesses, communities, and whole societies be prepared for this longevity revolution? Join Dr. Tiffany Vora for a brief look at longevity science and what it could deliver in the coming years.
科学、医学、技術の進歩のおかげで、私たちは歴史上のどの世代よりも、劇的に長く健康な生活を送ることができるようになるかもしれません。
しかし、その時間をどのように過ごすのでしょうか?
そして、私たちのビジネス、コミュニティ、社会全体は、どうやってこの長寿革命に備えるべきでしょうか?
ティファニー・ヴォラ博士と一緒に、長寿科学とその未来の可能性について簡単に見てみましょう。
収録は2024年3月、動画の長さは11分、動画のあとに抄訳を書きます。
★TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
ヴォラさんの英語はとても聞き取りやすいです。
これからどんどん長寿になる
自分が何歳まで生きるか考えてみてください。真剣に。
自分の健康、教育、食べているもの、家族で一番年長の人、朝起きる意欲などを考えてください。
何歳まで生きるか検討をつけましたか?
140歳まで生きる人がすでに生まれていると聞いたら、どう思いますか?
私たちは長寿革命がもたらす変化に対応する準備ができているでしょうか?
個人としてだけでなく、コミュニティー、ビジネス、社会全体が?
準備できていないと思います。だから私は心配なんです。
長寿革命がものごとをどんなふうに変えていくか、見てみましょう。
分子・細胞レベルで研究されている老化
過去100年で人の平均寿命は倍になりました。
この話はあまり話題にのぼりませんが本当です。乳児の死亡率が落ち、公共衛生のおかげで、私たちはより安全な道、食べもの、水、都市、医療を手に入れました。
人の寿命は現在の70年より長くなります。世界の半分の人が120歳まで生きる世界を想像してください。
ありえないと思いますよね?
人はごく自然に年をとって衰えていくと皆が思っています。でも、科学では、老化に伴って変化する特定の分子や細胞プロセスが存在するとわかっており、老化が私たちの体に現れる12の主要なカテゴリーを認識しています。
これは老化の兆候です。
これらの兆候は老化の結果であるだけでなく、老化の原因の可能性があることもわかりました。
老化が分子レベル、細胞レベルでどのように機能するかわかれば、生物学的に老化を遅らせたり、止めたり、逆転させることができるかもしれないのです。
長寿を実現する方法
世界中の研究所で、科学で使っている種の老化を遅らせることに成功し始めています。まだ人間レベルではそこまでいっていませんが。
でも、世界中の科学者、企業、投資家は、人の老化に働きかけようとさまざまな戦略を考えています。
古くから言われている食事、運動、薬、睡眠は助けになるし、ヨガや瞑想も効果があります。
従来からある薬の長寿効果も研究され、最先端の注入療法や遺伝子治療の研究も進んでいます。
ただ、実験室でうまくいったこれらの方法を、人が使えるようになるまでには、何十年とかかるでしょう。
多くの方法は人間には使えないとわかるかもしれません。でも、これが科学というもの。安全で効果的な健康戦略を見つけようとしています。そして、健康の仕組みは複雑です。
ブレイクスルーはこれから起こる
今お話した方法は、永遠に生きる方法ではありません。そうではなく、老化を遅らせると、がん、神経変性、心臓病、糖尿病など最終的に人を殺す多くのものを遅らせることができます。
人を殺す要因の大部分は、老化による病気だからです。
たとえ、永遠に生きるのはいやだと思っていても、がんや糖尿病の発病を遅くしたいですよね? 今日の科学はそれを可能にしようとしています。
これこそが、生き続けることがとても重要である理由です。大きなブレイクスルーが起きるのはまだこれからだから。
長寿に備えて考え方を変える
さて、私はこのトークを長寿革命がもたらす変化に私たちは準備ができているかどうかを尋ねることから始めました。
私たちには考えなければならないことがたくさんあります。たとえば、120歳まで生きるとしたら、65歳でリタイアできますか?
私のキャリアは80年や100年続くかもしれません。
私は皆さんがどう感じるのか、いろいろなところで聞いています。
長寿が実現する未来では、生涯学習が鍵となるでしょう。
私たちの感じ方は、自分の考え方と環境に依存しています。
私は、尊厳があり意味のある仕事をしなければならないし、好奇心があり、学び続け、貢献したいと思っている皆さんのような人たちに囲まれていなければなりません。
私の息子は12歳ですが、私は彼に100年のキャリアの準備をさせています。
学校はそのほんの一部です。息子には好奇心、献身、思いやり、共感が必要です。
息子は、大きな問題について考え、その問題について自分が何かできると信じなければなりません。
コミュニティや職場はどうなるか?
もう少し俯瞰して考えてみましょう。
どうしたら、コミュニティを多世代が生活するのに適したものにできるでしょうか?
新しい都市計画、家族、結婚のあり方が必要になるかもしれません。
長寿がふつうになる未来では、ビジネスにとって、新しい製品やサービスを提供できるたくさんのチャンスがあります。
とてもわくわくしますね。
でも、どうしたら90代の従業員が20代の同僚と協力して成功できる環境を作れるでしょうか?
皆さんの人事部門にはこうした事態に対する戦略がありますか? 100歳代まで働くCEOのための後継者の計画はどうなるでしょう?
生活のあらゆる部分が長寿革命の影響を受ける可能性があり、考えるべきことがたくさんあります。
長くなった時間をどう使う?
今、私たちが考えるべきことは、この長寿の未来にどんなふうに進んでいくかです。
科学技術と公衆衛生の進歩のおかげで、過去100年にあなたはもう1つの命を得たし、今後20年ほどのあいだに、さらに第3の命を得ることができるかもしれません。
その寿命は健康で生産的である可能性があります。
では、その時間をあなたはどう使いますか? それは、恐ろしい責任を引き受けることにも思えます。
今の私たちの働き方、生き方、愛し方、あり方は、これまで何千年もの間に学んできたものです。
これを社会から個人に至るまで、大きくアップデートすることが必要になるでしょう。
今すぐ、そうした未来に備えるマインドセットについて考えるべきでしょう。
自分がした決定について、長い間、責任を負うことになるでしょうから、決断の仕方も変える必要があります。
皆さんは、曾曾曾曾孫からの質問に答えることになるかもしれません。
ずっとあとの世代の孫に、2010年代に気候変動を知ってはいたが、持続可能の社会にすることはあまりに難しく、お金がかかり、不便に思ったと伝えるのでしょうか?
今日、地球は危機に瀕しています。食料システムは脆弱で、極端な気象は悪化する一方です。
その結果、世界中の社会が大きく揺れるでしょう。私たちはその状況を見るために生きる可能性もあります。
しかも私たちは生き延びたいだけでなく、繁栄したいのです。
だから、より長く、健康的な人生は贈り物でもあります。
長く、健康的な人生は、学び、成長し、協力し、実践し、遺産を残す時間、そして知恵を得る時間を与えてくれるからです。
今から考えておくことが重要
私は科学者なので、未来を見るのは難しいとわかっています。今お伝えした長寿革命全体が、間違っているかもしれません。
でも、今後20年ほどあとに、より長く、健康的な生活をすることになるという予想が間違っていたとしても、今日、長寿の考え方を受け入れることは、自分が意義と目的のある人生を送り、大きな問いかけをし、最大の課題の解決策の一部になる力を与えてくれます。
そうすることで、自分の人生だけでなく世界を変えることができます。だから、あとどれだけ心臓の鼓動が残っていようとも、すべての鼓動を意味のあるものにしましょう。
//// 抄訳ここまで ////
老後に関するほかのプレゼン
悲観するな! 年を取ることを冒険だと思って楽しもう(TED)
60歳以降は可能性に満ちている「人生の第3幕」ジェーン・フォンダ(TED)
長寿社会におけるシンプルライフのメリット
私の年代の人は140歳までは生きないでしょう。
でも、100歳ぐらいまでは生きるかもしれないので、65歳でリタイヤするのはやはり早いと感じます。
今、アーリーリタイアしたいという人が多いですが、リタイアするのが早ければ早いほど、その後の時間をどう使うのか考えなければなりません。
シンプルライフを大切にしている私にとって、この余分な時間は物質的なものではなく、心の豊かさや他者とのつながりの追求に使うことが大事だと感じています。
余計な物を持たず、シンプルに暮らすことで、自分のエネルギーを本当に大切なものに向ける準備ができるのではないでしょうか。
ヴォラさんは、老化のプロセスを遅らせたり逆転させる可能性についても触れていましたが、私自身はそこに執着するより、現在の健康的な生活習慣や心の平穏を大切にしたいです。
ヨガや瞑想は、シンプルライフと相性がよく、日々の暮らしに取り入れやすいので、これが長寿につながるのであれば素晴らしいことです。
長寿時代には「意味のある仕事」と「学び続けること」が大切だと言われていましたが、私もそう思います。
ブログを書いて自分の経験をシェアし、誰かの役に立つことができるのは、人生の長さに関係なく、人生の質そのものを高めてくれます。
書き続けるために、学びこともずっとついてまわります。
というわけで、私は長くなった時間を、今と同じように使うでしょう。
あなたはどうですか?
長く生きるその期間をどんなふうに意義のあるものにするかというヴォラさんの問いかけに、あなたはどう答えますか?