サルディーニャ島

TEDの動画

長寿の秘訣は周囲の人との交流かもしれない(TED)

他人と直接交流することが長生きの秘訣だと伝えるTEDの動画を紹介します。

タイトルは、The secret to living longer may be your social life (長生きする秘訣は、社会生活にあるかもしれません)。

発達心理学者のSusan Pinker(スーザン・ピンカー)さんの講演です。

邦題は、「長寿の秘訣は周囲の人との交流かも」



長寿の秘訣:TEDの説明

The Italian island of Sardinia has more than six times as many centenarians as the mainland and ten times as many as North America. Why? According to psychologist Susan Pinker, it’s not a sunny disposition or a low-fat, gluten-free diet that keeps the islanders healthy — it’s their emphasis on close personal relationships and face-to-face interactions. Learn more about super longevity as Pinker explains what it takes to live to 100 and beyond.

イタリアのサルディーニャ島は、100歳を越えて生きる人が、イタリア本土の6倍、北米の10倍います。

なぜでしょう?

心理学者のスーザン・ピンカーによれば、楽天的だとか、低脂肪のグルテンフリーの食事をしているとかは関係ありません。濃い人間関係をもち、対面でよく交流しているのが長生きの理由です。

ピンカーが説明する、100歳以上まで生きる方法を学びましょう。

収録は2017年の4月。動画の長さは16分ですが、プレゼンそのものは15分。最後の1分は質疑応答です。日本語字幕あり。動画のあとに抄訳を書きます。

☆トランスクリプトはこちら⇒Susan Pinker: The secret to living longer may be your social life | TED Talk

☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

英語はわかりやすいと思います。

男女とも長生きする場所

先進国では、女性は男性に比べて、平均6年~8年長生きします。

大きな開きです。

2015年に、ランセット(定評のある医学雑誌)で発表された記事によると、豊かな国の男性は、女性に比べて、死亡率が2倍高いそうです。

しかし、1箇所だけ、男女の寿命が同じ場所があります。

地中海の島、イタリアのサルディーニャ島です。辺ぴな山あいの地方で、男女とも長生きする人が多いブルーゾーンの1つです。

イタリア本土とは、200マイル(およそ321キロ)ほど離れた場所ですが、100歳以上生きる人が、本土の6倍、北米に比べると10倍もいます。

男女で寿命に差がないのはここだけです。

そのろ理由を知りたくなった私は、背後にある科学や長寿の人の習慣をリサーチすることにし、まず遺伝子プロファイル(遺伝子に関する情報)を調べました。

遺伝的要素はあまり関係ない

すぐにわかったのは、遺伝子は、長寿の25%の理由にしかならないことです。

75%はライフスタイルが決めます。

空からヴィルグランデ(サルディーニャ島にあるコミューン)を見てみると、住宅が密集しているとわかります。家と家の間がくっついていて、通りや路地も入り組んでいます。

この村の人は、いつも誰かと交流しているのです。

村の中を歩くと、扉やカーテンの陰から、何百という目が私を見ていることに気づきました。

古い村はどこでもそうですが、ヴィルグランデも、防壁、大聖堂、広場がある構造でなければ、生き延びられなかったでしょう。

昔は、その場所を守るものや、社会の結びつきが、村の構造を決めていました。産業革命前に、伝染病のリスクがあがって、優先順位が変わるまでは。

今はどうでしょうか?

社会的に孤立することこそが、公衆衛生のリスクです。

3分の1の人が、頼れる人は、2人かそれ以下だと答えています。

ヴィルグランデは、全く状況が違います。

とても明るいお年寄り

102歳のジュゼッペ・ムリノは、生まれてからずっとヴィルグランデに住んでいます。とても社交的な人です。

話好きで、2度も体験した世界大戦中、森の中で命をつないだことや、100歳を超えるまで生きた奥さんと6人の子供を育てた話をしてくれました。

一緒に写真に写っている2人の息子は、ともに70代で、父親(ジュゼッペ)の世話をしています。

息子さんの方は、私や、私に同行した娘に対して警戒していました。

社会的つながりが強い時、知らない人や、外部の人に対する警戒心が生まれます。

でもジュゼッペはそんなことは全然なくて、楽天的で、とても外交的な人です。

だから、「ポジティブシンキングが長寿の秘訣なの?」と思いましたが、実際は違います。

気難しい人もいる

101歳のジョバンニ・コリアスは、ものすごく気難しい人でした。

長生きの秘訣を尋ねたら、不機嫌そうに、「私の秘密を知る必要なんて誰にもない」と答えました。

そんな人なのに、同居して彼の世話をしている姪は、彼を「私の宝物」と呼んでいました。

彼女は、ジョバンニを尊敬し、愛しています。「介護ばかりで自由がなくて大変ですよね?」と彼女に尋ねると、「わかってませんね。彼の世話をするのは喜びなんです。私の特権ですよ」と答えたのです。

いつも人に囲まれている

100歳以上の人に話を聞きにいくと、よくキッチンでパーティをしていました。

この写真はジョバンニと2人の姪です。姪の一人は、彼に野菜を届けに来たのです。

ブルーゾーンに住む人たちは、生涯をとおして、ずっと人々に取り囲まれて暮らすのだとわかりました。

いつも、家族、友人、隣人、司祭、飲み屋や食料品店の人がいます。

誰かがそばにいたり、立ち寄ったりするので、1人で寂しく暮らす人はいません。

先進国の生活はこうではありません。ジョージ・バーンズ(アメリカのコメディアン)は、こんなふうに言いました。「幸せとは、愛情深く気遣ってくれる大家族が、別の街にいることだ」と。

料理してふるまうお年寄り

長寿の女性にも会いました。

ツィア・テレーザは100歳を越えていますが、クルルジョネスという郷土料理を教えてくれました。

ラビオリに似た大きなパスタに、高脂肪のリコッタチーズとミントを詰め、トマトソースをかけた料理です。

彼女は日曜になると、娘たちとクルルジョネスを作り、近所の人や友人に配ります。

その様子を見て、100歳まで生きる秘訣は、低脂肪でグルテンフリーの食事ではないとわかりました。

死を遅らせる要因を調べた研究

100歳以上の人たちの話を聞き、科学的なリサーチをしていくうちに、自分はいつ死ぬのか、その死を遅らせる方法はあるのかという、疑問がわきました。

ブリガム・ヤング大学の研究者 ジュリアン・ホルト=ランスタッド(心理学の教授)が、この疑問に答える研究をしています。

何万という中年の人たちを対象とした研究です。

彼女はライフスタイルのあらゆる要素をチェックしました。食事、運動、婚姻状況、医者に行く頻度、喫煙や飲酒など。

これらの要素を全部記録し、対象者が7年後に生きているかどうか調べ、元気でいる人について、死ぬのをもっとも減らした要因(長生きできる兆候)を突き止めたのです。

彼女の出したデータを見てみましょう。

長生きに貢献するライフスタイルとは?

長生きに対する影響力の低いものから、高いものへと見ていきます。

まず、きれいな空気は、長生きとはあまり関係ありません。

高血圧の治療もいいことですが、これまたあまり関係ありません。

やせているか太っているかもそんなに関係ないですね。下から3番目ですから。

その次は運動量ですが、これもそこまで大きな要因ではありません。

心臓に問題があったか、その後リハビリや運動をしているか。だんだん順位があがってきましたね。

次は、インフルエンザの予防接種をしたか。

運動よりも、インフルエンザのワクチンのほうが命を守ってくれます。

第3位は、飲酒と喫煙です。飲酒をするか、飲んでいたけど、やめたか、ほどほどに飲む人か、たばこを吸わないか、吸っていたとしてもやめたか。

上位2つは、ともに社会生活に関係のあるものです。

まず、親しい人がいるかどうか。

突然お金が必要になったとき、借りられる人がいるか、体調が悪くなったとき、医者を呼んでくれたり、病院につれていってくれる人がいるか、絶望しているとき、そばにいてくれる人がいるか。

頼れる人がいると、長生きできる可能性があがります。

私が驚いたのは一番大きな要因。社会的統合です。

社会的統合は、日常生活において、どれだけ他の人と交流があるかを示すものです。

何人の人と話すのか?

話し相手は結びつきの強い人でも弱い人でもかまいません。店でコーヒーを出してくれる人、郵便屋さん、毎朝、犬の散歩で家の前を歩く女性と話すかどうか?

ブリッジやポーカーをしたり、読書クラブに入ったりしているか?

このような交流があるかどうかが、どれほど長く生きられるかどうかをもっとも強力に示します。

直接会うか、間接的に会うか?

この結果から、別の疑問が浮かびました。

現在、ほかのどんな活動、たとえば睡眠よりも、オンラインで過ごす時間が増えています。今、私たちは1日11時間もオンラインで過ごしていますが、これはなにかに影響があるでしょうか?

直接、人とする交流と、ソーシャルメディアでの交流を、なぜ区別するのか?

子供と一緒に時間を過ごすのと、いつも、テキストのやりとりをしてつながっているのは同じでしょうか?

簡単に言えば、その答えはノーとなります。同じではありません。

顔を向き合わせていると、神経伝達物質がたくさん分泌され、ワクチンと同じように、現在も、将来もあなたを守ってくれます。

誰かと目を合わせたり、握手したり、ハイファイブをしたりするだけで、オキシトシンが分泌されます。すると、信頼感が高まり、コルチゾールのレベルが下がり、ストレスが軽減されます。

さらにドーパミンも出て、気分があがり、痛みが和らぎます。

しかし、こうしたことは、意識できないので、人は、オンラインでの活動をリアルの交流を同じに考えてしまいます。

しかし、両者は違うというエビデンスがあります。

直接交流するほうがいい

メリーランド大学の神経学者であるエリザベス・レドケィの研究を見てみましょう。

レドケィは、自分やリサーチャーとじかに会話をするグループと、同じ内容をYouTubeのような形の決まったビデオを通して見るグループに分け、脳の動きを調べました。

じかに人と会っているときは、注意を向けることや、社会的な知性(他人が、何を考え、感じ、しようとしているか予測する能力)、ポジティブな気分になること(感情的な報酬)に関係のある部分が、ずっと活性化されます。

企業の採用担当者が、志望者から、直接、自己アピールを聞いたときのほうが、メールや文書で読んだときよりも、相手は頭がいいと感じるのもこのせいかもしれません。

私たちの声やボディランゲージには、とてもたくさんの信号が含まれています。

私たちはただのアルゴリズム(ある問題を解決するための計算手順)ではなく、考えたり、感じたりする人間なのです。

シカゴ大学のニコラス・エプリーの研究からは、声を聞いてもらったほうが、より頭がいいと思ってもらえる事実がわかりました。

女性のほうが長生きする理由

さて、最初の質問に戻りましょう。

なぜ、女性は男性より長生きなのでしょうか?

1つの大きな理由は、女性のほうが、生涯にわたって、対面で交流する関係を大事にし、維持することです。

最近の研究によれば、このような直接ふれあう友人関係は、病気や衰弱に対抗する生物的なバリアを作ります。

これは人間だけでなく、哺乳類の動物すべてに言えることです。

人類学者のジョーン・シルクのヒヒの研究では、ヒヒのメスに、核となるメスの友達がいると、コルチゾールの分泌が減り、ストレスも減り、より長生きする子供を生みます。

少なくとも3つの安定した関係がある場合は。

皆さんにも3人いるといいですね。

社会的な交流のパワー

社会的に交流している人たちの間で、認知症の発生率が一番低いのは、直接交流するパワーによるものです。

乳がんにかかった女性も、孤独な女性より、生存率が4倍高くなります。

脳梗塞をわずらった男性も、友人と会ってポーカーをしたり、コーヒーを飲んだりして、社会的に接触をするほうが、薬を飲むより効果的です。

直接顔を合わせて付き合うことは、すばらしい恩恵をもたらしますが、今や人口の4分の1に、話し相手がいません。

この問題を何とかしなければなりません。

サルディーニャ島の人のように、自分がどこかに所属しているという感覚が、生物である人間には必要です。

都市や職場に直接交流できる場を作り、交流するよう努力すれば、免疫系があがり、幸福感を感じるホルモンが血液や脳に届き、長生きする助けとなります。

これを私は、「村を作ること(building your village)」と呼んでいます。

村を作ってそれを維持することが、生死を分けるのです。

//// 抄訳ここまで ////

単語の意味、補足

sourpuss  不機嫌な人、むっつり屋

social integration  社会的統合、その人がどの程度、社会とつながっているかを示す概念。

emotional rewards  感情的な報酬。そうなれるとうれしい感情。たとえば、楽しい、幸せだ、ワクワクする、など。

primate   霊長類(哺乳類の総称)の動物

baboon  ヒヒ

ピンカーさんの本です。

この人は、男女の差の違いを研究しているらしく、こんな本もあります。

長生きに関するほかのプレゼン

100歳まで生きるには? 長生きする9つの秘訣(TED)

リタイアメント(退職後の生活)を再定義しよう(TED)

情熱的に生きる方法、年齢は関係ありません(TED)

エイジズム(高齢者差別)を終わらせよう。(TED)

アルツハイマー病を予防するためにできること(TED)

年をとるほど幸せになる理由とは?:ローラ・カーステンセン(TED)

気軽に話してみる

人間は社会的動物なので、直接交流したほうがいいのは、実験をしなくてもわかりますね。

今は、機械化が進んで、ATMはもちろん、セルフレジや、セルフの給油、飲食店でのセルフの給仕など、さまざまなサービスのセルフ化が増えています。

セルフでやっていると、早く終わりますが、人と全く話さないので、たまには、生身の人間と話すサービスを利用したほうがいいですよ。

特にお年寄りや、プレゼンでもでてきましたが、病気から回復しようとしている人は。

いつも、セルフでやっていると、「これは人間としてあたりまえの生活なんだ」と思ってしまいますが、実は違うんです。

むしろ、不自然な形です。

先日、職場で自己表現する理由がわからないという方のお便りに返信しました⇒断っているのに、相手がしつこいときはどうしたらいいか?

この方は人見知りで人付き合いを面倒に感じることがあるとメールに書いていました。

私もそうなので、その気持ちはよくわかります。

ですが、ある程度、自分を出してコミュニケーションしないとますます体調が悪くなりますよ。

まあ、この方は、まだ20代だから、心臓が弱ってしまうとかそういうことはないと思いますが、脳がフルに機能しなくなるんです。

職場には長い時間いるわけですから、いろいろな人と気軽に話をしたほうが、健康にいいので、気候もようなってきたし、ぜひ実践してください。

お客さんが来たときに、積極的に出ていくとか、意識してみれば、チャンスはいろいろあると思います。





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