傘立て

ミニマルな日常

捨てられない人は、物を大事にするとはどういうことなのか考えてみよう。

断捨離中に、「これは大事だから捨てない」という人がいます。

ですが、「大事な物」と言っているわりには、大切にしていないことが多々あります。たくさんの物を何年も物置きにしまいこんでおくのは、大事にしているとは言えません。

なんでもかんでも、「これは大事だから」と言いながら捨てずにいる、そこのあなた。一度、「物を大事にするとは、具体的に何をすることなのか」考えてみてください。

そして、実際にそれを大事にしてください。

大事な物を大事にする生活ができれば、不用品にまみれて暮らすことはなくなります。

以下に、私が考える「物を大事にする方法」を書きます。



買ったままほったらかしにしない

物をどこかにしまい、そのまま放置するのは大事にすることではありません。

アメリカのミニマリストであるジョシュア・フィールズ・ミルボーンは、母親が亡くなったあと、アパートを整理していて、20年以上、放置されていたらしいダンボール箱を4つ見つけました。

中には、彼が子供のときの通知表や作品、ノートが入っていました。

「お母さんは、ジョシュアの作品を彼の一部として保存していた」というのがジョシュアの解釈です。

詳しくはこちらのプレゼンで語られています⇒捨てる生活が夢を叶える。ミニマリストに学ぶ手放す技術(TED)

きっと大事だと思ってとっておいたのでしょう。ですが、はたして、その大事なものを、お母さんは本当に大事にしていたのでしょうか?

本当に大切なものを20年も放置するでしょうか? 暗くてほこりっぽいベッドの下に押し込んでいるでしょうか?

私は、片付け物をしているとき、「もし私がこの本だったらどう思うか?」「もし私がこの食器だったらどう感じるだろう?」と考えることがあります。

物の立場になってみるわけです。

物には、心はありませんが、誰かや何かを大事にしたいときは、その何かの気持ちになって想像してみるのが一番です。





もし私がノートだったら

私が、ジョシュアの小学校5年生のときのノートだとしたら、どう思うか?

どう扱われたら幸せか?

ノートなら、やはり、ノートとして使われ、持ち主の役に立つのが一番幸せを感じるんじゃないでしょうか? 

ベッドの下に押し込められて、誰にもかえりみられず、ほこりにまみれ、だんだんはしっこが茶色くなっていき、紙魚(シミ、紙を食べる虫)に食われたり、カビ菌にすくわれたりして何年も過ごし、

持ち主が亡くなったあと、「ああ、こんなもん、とっといたんだ」「ばっちい、ばっちい」という声を聞きながら、邪魔者のように扱われるのは、あまり幸せではないような気がします。

放置されることは大切に扱われることではないのです。

たとえ、きれいにしまっておかれたとしても。

もし私がマステだったら

いろいろな物をきれいに整理整とんして収納することが、「物を大事にすること」と勘違いしている人がいます。

私は、きれいな整理ケースに入っているマスキングテープの気持ちになってみます。

確かに、暗い物置の片隅に押し込められているより、透明なケースに、ほかのテープときれいに並べられ、シールで色分けされたほうが多少は気分がいいかもしれません。

居場所はわりにきれいだし、仲間もそばにいっぱいいます。私はピンク色のマステですが、そばには花柄やらドット柄、チェック柄がいてにぎやかです。

そのまま何年かたちます。

私は幸せでしょうか?

ある意味、ダンボール箱に押し込められて忘れられているより残酷な扱いではないでしょうか?

私は、きれいな収納ケースに、形や色など、カテゴリーごとに分けて入れられています。ケースには「マステ、赤系統」のラベルも貼られています。

出番が来たとき、いつでも出られるようスタンバイしているのです。そうです。私は、自分の出番をいまかいまかと待っています。

ところがいつまでたっても出番が来ません。

きれいなピンクだった私は、だんだんベージュっぽい色になり、自慢の粘着力も失っていきます。

私は大切にされているのでしょうか?

マステを捨てたい方はこちらをどうぞ⇒集めすぎたマスキングテープを捨てる3つの考え方。やめる勇気を持て。

物を大事にするとは、実際に使うこと

物は何のために開発、製造されるのでしょうか?

人に使ってもらい、その人の生活の役にたつために生まれます。

それは、日々使う実用品かもしれないし、持ち主の心に潤いをもたらす芸術作品かもしれません。

用途はなんであれ、人の生活をより豊かしたり、楽しくしたり、便利にしたり、といった、ポジティブな要素を生活に加味するために、物は製造されるのです。

まあ、中には、さして必要もないのに、「消費してもらって、利益をあげたい」という販売側の欲のせいで生まれるものもあるかもしれません。

ですが、基本的に、物は私たちを助けるために開発されるのです。物は私たちの味方であり、仲間であり、サポーターなのです。

それならば、物を大事にするには、その物に役立ってもらうことがベストです。

道具などの実用品は実際に使って自分の生活で役立てることが、それを大事にすることになるし、飾り物などは、ちゃんと飾って、愛でたり、鑑賞したりするのが、大切に扱うことになるでしょう。

しまっておいたままでは、物の立つ瀬がありません。

たまには使わないことには、その物を活かすことができません。

持っていてもすぐに取り出せなければ意味がない

「使わなくても、持っているだけで安心する、だから使わないけど、持っている、そのうちいるかもしれないし」という人もいます。

けれども、こういう人は、たいてい自分が何を持っているのかよくわかっていません。

持っていることを忘れているので、実際に使うチャンスが来ても、使うことができません。また新しいのを買ってきたりします。

この記事のトップの写真は実家の傘立てです。

母は一人暮らしなのに、たくさんの傘を所持しています。こんなに傘があるのに、先日雨が降ったとき、母は、「持ってく傘がない、ない」と言って探していました。

目当ての傘は、傘立ての奥のほうにありました。

傘立てはそんなに大きくないし、中身はたいてい傘だけなので、すべてをひっぱり出せば、目当ての傘が見つかるでしょう。多少時間がかかったとしても。

ですが、もし、目当ての物が、引き出しの中に雑多に入れている中の小さな物だったり、大きなクローゼットにびっしり入っている衣類の1枚だったり、山積みになっている書類の中の1枚だったとしたらどうでしょう?

そんなに簡単に目当ての物を引っ張り出せるでしょうか?

たいてい、持っていることを忘れてしまうか、覚えていても、どこにあるのかわからないから、探してもそう簡単には見つかりません。

買ってきたほうが早いので、また買ってしまうのではないでしょうか?

100均に行けばたいていの物は売っていますから。

こうやって、家の中には、だぶっている物が増えていきます。使っていないのに、「持っていると安心だ。いつかいるかもしれないし」と思う物が増えていきます。

同じ物をたくさん持つことが、それを大事にすることなのでしょうか?

使うことがメンテナンスにつながる

物を大事に使うためには、ときどき手入れが必要です。

ちゃんと物を使うことはメンテナンスの1つでもあります。

人が住んでいない家は荒れていくし、乗っていない車はバッテリーがあがります。

ノートは使っていなくても、ノートという形はとどめていますが、先にも書いたように、だんだん茶色く、汚くなっていきます。

日々、使っていれば、不調にも早く気づきます。使わずに放置すると、何も気づきません、というか、その存在をすっかり忘れます。

物を大事にするためには、ふつうのメンテナンスも必要です。

洋服を持ちすぎて、クローゼットにびっしり詰め込んでいるのは、衣類を大事にしていません。びっしり詰め込んでいると、服は痛みます。しわがよるし、デリケートな繊維は痛んでしまうでしょう。

収納場所に物を過度に入れすぎると、入れている場所にも、入れている物にもダメージがあります。

これは、物にも家具にもよくないし、もちろん自分の精神衛生にもよくありません。

結論:物を大事にするとは?

結局、物を大事にするとは、使うことなのです。しまいこむのではなく。

日々の生活に役立てることです。そして時々手入れします。

物をちゃんと使うためには、過不足なく持つことが必要です。多すぎれば、どれも中途半端にしか使えません。必要ない物を持っていても、場所をふさぐだけです。

過不足なく持つためには、不用品は捨てなければなりません。

たとえ、どんなに「もったいない、まだ使える」「持っていればいつか使うときがくる」と思っていても。

持っていても、使うときなんて来ません。だって、多すぎると持っていることを忘れるし、どこにあるのかわからなくなるのですから。

また使えるものでも、自分が使わなかったら、意味はありません。まだ使えるものなら、本当に使ってくれる人の手に渡すべきでしょう。

店には、「使える物」がたくさん並んでいます。すべて新品です。けれども、誰かがそれを使い始めない限り、その物の真価は発揮されないのです。

実は、物を大事にする生活は自分を大事にする生活です。

物を大事にしない暮らしは、不用品をたくさん持って、管理や掃除で疲れ、ストレスをかかえこむ生活です。

物を大事にできない人は、自分自身も大事にできないのです。必要な物を必要な分だけ持ち、大切に使う暮らしは自分を大切にする暮らし。

そんな生活、したいと思いませんか?





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