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昔の私は、紙がないと不安な人でした。自分では気づいていませんでしたが、今思うと確実にそう。ノートや書類、プリントアウトをたくさん持ち、残すべきだと思い込んでいたのです。
今は、どうしても紙で持たなければならないもの以外はデジタル化し、ペーパーレス中心の暮らしになりました。不安はなく、むしろ気持ちはずっとラクです。
「紙があるから安心」と感じていたのに、捨ててみたら、それは単なる思い込みだったことに気づきました。
紙があるから安心なのではなく、使える情報が必要なときに取り出せることが重要だったのです。
今回は、紙への執着を手放すまでの、私の気持ちの変化を振り返ります。そして現在の紙との付き合い方も紹介しますね。
1. 紙に執着していた頃の私
紙のノート、日記、プリントアウトしたレシピ、カタログ、手紙。以前の私は、そういった紙を「記録として残しておけば安心」「あとで読み返したい」と感じていて、どんどんためこむ暮らしをしていました。
紙そのものが好きだったと思います。
手書きのノートが好きで、趣味の語学用ノートや日記、雑記帳など、何冊も書いていました。
でもそうやってたくさん書いて残しておいても、まず見返しませんでした。
というのも、字が汚くて自分でも読めず、とても見る気になれなかったからです。
「買いっぱなしだった買い物」と同じで、書いた段階で満足して、あとで書いたものを活用することは何も考えていませんでした。
それなのに、「あとで使うかも」と思って、なかなか捨てませんでした。
いえ、断捨離をがんばっていたころ、何冊か捨てたこともあります。でも、残したものもけっこうありました。
30年前、日本で英会話学校に通っていたころ、先生に添削してもらった英語日記(ルーズリーフで一山あった)もそのひとつ。
勉強になると思って保管していましたが、結局一度も見直さずじまい。5年ぐらいたってから捨てました。
カナダの短大に通っていたときに書いたレポートの一部も、がんばった記念として持っていましたが、こちらも10年後に、「もういいか」と思って捨てました。
こうした紙の山は、当時の私にとっては、不安を埋めるためのセーフティネットだったと思います。
ぼんやりとした安心感のために、たくさん紙を持っていましたが、管理の手間や片付けのストレスが増えていました。
2. 執着を手放せたきっかけ
私は一気に、紙と決別したわけではありません。いくつかの出来事を通して、だんだんと紙との距離感が変わっていきました。
ペーパーバックがたまりはじめた
最初に「これはまずい」と感じたのは、街の本屋で買っていたペーパーバックがどんどんたまってきたときです。
本が好きで、読んだ本、読みかけの本、未読の本があちこちに積まれていました。すでに読んだ本も、「いつか読むかも」と思ってなかなか手放しませんでした。
このとき、紙の本は場所を取るという当たり前の事実に、あらためて気づきました。
紙のノート生活に疲れてきた
次に感じたのは、「紙のノートって、ミニマムじゃないな」という違和感でした。
私は書くことが好きで、語学や日記、食事の記録、雑記など、さまざまな用途にノートを使っていました。モーニングページは一冊書き終わったらすぐに捨てましたが、書いている途中のノートが何冊もあるので、「ノート多すぎ問題」を感じるようになったのです。
日記類は、見返すことは少なく、ただ「書いたから残しておこう」とためこんでいただけ。かさばるし、あとで情報を探すのも大変です。非効率だと思い始めました。
朝のルーティン、50代ミニマリスト主婦の場合。書くことに時間を使っています。
インク代の高さにうんざり
最後に決定打となったのは、数年前、プリンターのインク代がとても高く感じるようになったことです(実際、高い)。
印刷したいものはいろいろありましたが、インク代を気にしてためらうように。とくに数年後には捨ててしまう書類(たとえば確定申告の根拠となる紙)にコストをかけることが、だんだんばかばかしく思えてきました。
そこで、もう印刷はやめよう。紙をなるべく使わない方向に切り替えよう。こう、心に決めたのです。
このように、紙に対する価値観は少しずつ変化していきました。日常の中に「紙って本当に必要?」と考え直すきっかけが、いくつもあったのです。
3. 紙を手放して変わったこと
紙を減らし、デジタルに移行する中で、暮らしの中にいくつものいい変化がありました。全体的に本や書類の管理がラクになりました。
検索できる情報に変わった
一番ラクになったのは、情報の整理です。以前は書類を複数のフォルダーに入れ、ノートも用途別に何冊か使い分けていました。この状態だと目当ての情報に行き着くのが大変です。
大事な書類は、「大事な書類」という名前のフォルダーに入れていましたが、それでも、1枚の紙を見つけるために、フォルダーの中をひとつひとつ見ていきました。
今は、ほとんどの書類はデジタル化し、クラウドストーレージに入れているから、検索すればすぐに見つかります。
ノート類も、タブレットの中を見れば、どこに何があるのかわかります。
情報を残したままにするのではなく、取り出して使うことができるようになりました。
書くハードルが下がった
ノートだと、手書きしか方法がありませんが、デジタルだと、入力方法は3つあります。
私はタブレットでノートアプリを使っているので、手書きをしたいときは手書き、キーボードを使いたいときはキーボード、最近は音声入力も使っています。
前より書くハードルが下がり、覚えておきたいことを、気軽に記録できるようになりました。
私は手書きが好きですが、書いた自分の文字を見るのが嫌いなので、それがハードルになって書けないこともあったのです。
紙に書くときは、「どのノートに書くか」をいつも考えていました。ノートの選択肢がたくさんあるから、使うノートを決めるのによく迷いました。
デジタルだとそうした考え事は不要です。使うノートアプリをひとつ決めてしまえば、書くスペースは無限にあるし、あとから修正や追記も簡単にできます。
複数のデバイスで共有できるから、書くのはタブレット、確認はスマホ、という使い方もよくしています。
紙類の管理がラクになった
アナログの紙を減らしたら、当然、紙類の整理・保管・処分にかかる手間が少なくなりました。
紙をフォルダー分けするのも、いらなくなった紙を削除するのも一瞬でできます。
残したアナログの紙は、数冊のバインダーにまとめていて、あとはすべてクラウドストーレージの中。
しまい場所をたくさん確保する必要がなくなりました。
紙のせいでかなり手間やストレスが増えていたと気づいたのは、紙を減らしたあとです。
「残すのがあたりまえ」と思って従来のやり方を続けていたら、今も紙を探したり、処分したりと、あれこれ頭を悩ませていたかもしれません。
ペーパーレスを意識する~ガラクタを増やすライフスタイルをやめる(その6)
おわりに:今もアナログの紙が好きだけど
私は今でもアナログの紙が好きです。
紙の手触りや、インクや鉛筆の筆圧で変わる質感、手を動かす感覚は、デジタルでは得られません。充電も特殊なペンも必要なく、思いついたらすぐに書けるのも、紙のいいところです。
だから、完全に紙をやめたわけではありません。
確定申告の保存期限を過ぎた紙は、メモ紙として毎日使っています。塗り絵用に買いすぎたマーカーで書きなぐっていると、「やっぱり紙が一番書きやすいよね」と感じます。
ただし、紙に書くことは、それだけで完結しません。
あとで見返したり活用したりするには、やはりデジタルに軍配があがります。
これからも、デジタルの紙とアナログの紙、それぞれの良さを活かしながら、シンプルに暮らしていきたいと思います。