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家にいらない物がいっぱいで困っていませんか?物を買わないですむ考え方をシェアします。ミニマリストになれ、という話ではありませんので安心してください。
これまでも、買い物をしないコツは何度か書いてきました。店に行かない、欲しいものができたらノートに書いて30日間待つ、クレジットカードにはさみを入れる、など。
こういうルールを作ることも、ある程度効果がありますが、結局、思考を買えないと、買い物は止まらないと思います。
私は思考を変えたから、もういたずらに買い物しなくなりました。どんなふうに考え方を変えたのかそのお話をします。
使いもしない物をどんどん買ってしまう私たち
買っても読まない本、買っても着ない服、買ってもはかない靴。使ったとしても、1,2回で部屋のすみに追いやられる便利グッズ。すぐにあきてしまうおもちゃ。
なぜ私たちは、こんなに無駄なものにどんどんお金を使ってしまうのでしょうか?別にお金があまっているわけではありません。
日本は裕福な先進国ですが、個人レベルで見ると、「お金がない」「生活が苦しい」と考えている人のほうが圧倒的に多いです。
なのに、その大切なお金を使って、すぐにゴミになるようなものを衝動買いしてしまいます。
この問題をかかえているのは1人や2人ではありません。多くの人が、「自分の家には物がありすぎる」と思い、「このままではまずい」と薄々気づいています。
だからやましたひでこさんの「断捨離」や近藤麻理恵さんの「人生がときめく片付けの魔法」といった片づけ本がベストセラーになり、類書もたくさん出版されているのです。
そして、収納家具や収納雑貨といった「物を片付ける」ための家具や雑貨が人気を集めています。
モノ余りはどんどん深刻になり、自分の物だけで大変なのに、親が病気になったり亡くなったあと、親が持っていた大量の物の処理に途方にくれている人も珍しくありません。
なぜ、みんな自分で自分の首をしめるようなことをしているのでしょうか?
この現象は日本だけではなく、アメリカやイギリスといったいわゆる西側の先進国に顕著です。こんまり先生の本はヨーロッパでも発売されています。
文明の発達に人の進化が追いつかない
物余りの社会で人が苦しんでいる理由を、進化心理学(evolutionary psychology)の観点から説明することができます。
進化心理学では、人の行動の理由を、人が何百万年もかかって、進化する過程で身につけたからだ、と考えます。
人類は長い間かかって、環境やその場の状況に合わせて行動を変えてきました。進化、つまり生き残るために、行動を選択してきた結果、今私たちは、こんなふうに物ごとに反応し、行動するのだ、と考えるのが進化心理学のアプローチです。
たとえば、私たちは甘いものや脂っこいものが好きで、食べ始めたら止まらない人が多いのですが、これは本能的な行動です。
長い進化のあいだに、こういう食べ物を見つけたら、できるだけたくさん食べるようにプログラミングされてしまっているのです。
人類の長い長い歴史を通じて、ずっと食べ物が足りなかったからです。
この点については「ダイエットは効果がない」というTEDの動画で説明されていました⇒結果的に太っている。なぜダイエットは成功しないのか?(TED)
砂糖は栄養などなく、カロリーのみ。脂質は三大栄養素の1つですが、カロリーがものすごく高いです。
今、こういうものをおなかいっぱい食べることは、肥満その他の生活習慣病を引き起こすだけですから、馬鹿げているのですが、昔は理にかなっていたのです。
大昔は飢饉がたくさんあり、食物の供給が安定しなかったからです。
現代は、農薬があり、遺伝子組み換え作物があり、食品添加物があり加工食品があります。たとえまともな食べ物が豊作にならなくても、スーパーに並べる食品をいくらでも作ることができます。
特に富がある先進国では、食べものは充分というより、ありすぎて余っています
食べ物があまっている話⇒食品ロス(捨ててしまう食べ物)を減らすためにできること(TED)
現代人は食べ過ぎているから、ケーキやハンバーガーやフライドポテトなんて実は食べなくていいのです。
けれども、私たちの脳は大昔のままで、進化が環境に追いつかないのです。一説によると、私たちの心身は1万年前とほとんど変わらないそうです。
進化にはとてつもなく長い時間がかかるので、たとえ21世紀に生まれても、その心と体は1万年前の環境に適応したままなのです。
自然の脅威と戦いながら狩猟や採集をしていたころのままなので、文明によってたくさん食べ物がもたらされても、どんどん食べてしまうのです。
なぜいらない物をどんどん買ってしまうのか?
物余りも同じように説明することができます。
生きるのにもう充分すぎる物を持っているのに、もっと、もっとと買い続けてしまうのも、思考が1万年前のままだからです。
産業革命より前は、物は高く、また数もありませんでした。王侯貴族はいろいろな物を持っていましたが、庶民が生涯に持てた物の数なんてほんの少しだったと思います。
物が多すぎて収納しきれないなんて、お蔵をたくさん持っていた大地主やお殿様は別として、庶民には全く無縁の悩みであり、想像することすらできなかったでしょう。
昔は衣類を手に入れるのが難しかったので、世代から世代へ古着を渡して着ていました。産業革命以前、18世紀の半ばより前は、服はとてつもなく高価だったそうです。イギリスでは服1着が、30万円以上したとか。
ところが今は、服はものすごく安いです。特にファストファッションが生まれてからは使い捨ても惜しくない値段です。
ファストファッションとは?⇒「真の代償」The True Costはファストファッションの真実を暴く映画 ~これでもあなたは安い服を買い続けますか?
安いのは服だけではありません。バッグ、靴、文房具、雑貨、おもちゃ、その他のふつうの商品は昔に比べたらとてつもなく安いです。テレビは家に何台もあり、パソコンもデスクトップ、ノートパソコン、タブレット、スマホといくつも持っています。
ところが、私たちの行動は大昔のままなので、物があると、どんどん手に入れて、家の中にためこんでいくのです。
誰かに「そんな使っていないもの、もう捨てたら?」と言われても、「もったいない。いつか使えるかもしれないし」と言って捨てないのです。そして物でいっぱいの家で苦しんでいます。
どうしたら買い過ぎる行動を変えられるか?
大昔から、進化しておらず、本能的に買ってしまうとしたら、この行動はもう変えられないのでしょうか?
そんなことはありません。人間には理性がありますから、本能を抑制することができます。本能は否定するべきではありませんが、コントロールすることは充分可能です。
本能を抑制できなかったら、物を山のようにためこんだゴミ屋敷に住んでいた肥満の人が、物に押しつぶされて命を断たれたという事故が後を絶たないでしょう。
こんなふうに理性を働かせてはどうでしょうか?
まず、今の時代、物をこんなに買ってためこむ必要なんて全然ない、ということに気づくべきです。
それから、人の幸せは物に拠っているのではない、ということを知ることです。
人の幸せは、人がすること、つまり行動や体験に依っています。
彼もそう言っていました⇒物にお金を使わず体験に使おう:ショーン・ボナー(TED)
別にショーン・ボナーのようにスキューバダイビングとか、長い海外旅行をする必要はありません。
物を1つ買いそうなところをぐっとこらえて、そのお金や時間を何か別の体験に使うのです。ちょっとしたことでいいです。
いつもなら楽天市場のお買い物マラソンに参加していたところだけど、がまんして、ちょっと部屋の掃除をしてみる、とか。
以前、買い物が止まらない、と相談メールを送ってくださった読者のメールを紹介し、私のアドバイスを記事にしました。
こちら⇒どうしても買い物が止まらない。買い物依存症を自分で治す方法
その後、同じ方からメールをいただき、「買い物が少し落ち着いてきた」と報告してくださいました。
私のすすめに従って、ブログを書き始め、日常のことや、今まで買って増えてしまったもの、捨てた物をつらつら文章に書き始めたら、心の中のもやもやがちょっとすっきりしてきたそうです。
さらに、「もっと良くなりたい」という気持ちにもなってきたとか。
この方の場合、これまでなら買い物をしてしまうところを、ブログを書く、という行動に置き換えました。そして、自分の気持ちを文章に書いたら、ちょっと気分がよくなったのです。
このように、ほんの小さなアクションでいいのです。自分のリソースを物ではなく、体験に使うこと、これが買い物をしないコツです。
私はミニマリストになったこと、また、「買わない挑戦」という行動を起こしたことで、買い物をしなくなりました。
「これほしい」「買わなきゃ」と思ったら、「いやいや、体験だ、体験」と唱え、時間やお金を「何かすること」に使ってみてください。きっといい結果が得られると思います。