考える人

ミニマム思考

今すぐ捨てたい根拠のない思い込み:10の認知のゆがみ、その1

考え方が暗い人は、さまざまな思い込みのせいで、ますます暗い気持ちになります。

この思い込みは、難しい言葉で言うと、「認知のゆがみ」です。数回に分けて、代表的な認知のゆがみを10個紹介します。

ソースは、先日記事にしたデビッド・D・バーンズ(David D. Burns)先生がパターン化した10個のゆがんだ思考です。

その1では

1.オール・オア・ナッシング
2.極端な一般化
3.フィルタリング(心のフィルター)

この3つをとりあげます。

汚部屋に悩んでいる人は、ネガティブな人が多いです。思い込みのパターンを知って、自分の考えを見直してみてください。



1.オール・オア・ナッシングの思考 All-or-Nothing Thinking

物ごとを二極化して考えることです。

たとえば、ダイエットをしている人が、うっかりアイスクリームを一口食べてしまい、「ああ、自分のダイエット計画は完全に失敗した」と思い込み、自暴自棄になってそのへんにあるチョコレートや菓子パンもむしゃむしゃ食べて気持ち悪くなる、なんてことです。

節約をがんばっている主婦がたった1度の衝動買いで、「ああ、私には節約なんてムリムリ」と、電卓と家計簿を放り投げ、もとの、無計画な買い物生活に戻ってしまうのもこの考え方のせいです。

テストの結果が100点じゃなかったら、99点も82点も18点も0点もみんな同じだ、と考えるのもオール・オア・ナッシング的思考のせいです。100点ならOKで、それ以外は全部ダメ、というふうに、中間のグレーゾーンが見えません。

完璧主義すぎる人はこの思考にふりまわされています。

詳しくは⇒なんでも白黒つける考え方をやめるススメ。思い込みを手放して可能性を広げるには?

完璧主義とは?⇒完璧主義すぎるといつまでたっても部屋が片付かない理由

汚部屋悩み相談のメールを拝見していると、オール・オア・ナッシングに陥っている人がたくさんいます。

片付けを始める最適なタイミング、片付けるベストの順番、物を置く最適な場所、その他あらゆることに、「最適な〇〇」「完璧な△△」を求めて、肝心の片付けがまったく進みません。

ゴミの分別の仕方にこだわって片付けが進まなかった、という方もいました⇒汚部屋ばかりでどの部屋から片付けたらいいのかわからない←質問の回答

なかなか物を捨てられない優柔不断な人ももしかしたら、この思考に陥っているかもしれません。完璧を探し求めているから決められないのです。

「黒と白の間にはいろいろなグレーがあるよ」「ほどほどのところで手を打とう」「6割できればそれでいいや」という、いい意味でのいい加減さを持てば、もっと前向きになれます。





2.極端な一般化(Overgeneralization)

1つか2つの事例をもとに、ものごとを一般化(普遍化)してしまうことです。

ある日、テストで落第点をとった⇒もうこの科目でよい成績は絶対取れない、自分は勉強ができない子だ、負け犬だ。

ある日、上司に叱られた⇒この上司は私が嫌いなんだ、この上司とはもう絶対うまくいかない、これから毎回怒られる。

最近、隣の奥さんの態度がよそよそしい⇒ご近所さんはみんな私のことを嫌っている。

こんなふうな決めつけるのが、極端な一般化です。

ネガティブ思考の人は、たった1つか2つのデータだけをもとにして、物ごとのあり方や、法則を導き出してしまいます。それも悪いほうに考えてしまうのです。

こういう考え方がくせになっている人は、「絶対~」「決して~」「毎回~」「必ず~」という頻度を表す副詞の使い方に気をつけたほうがいいです。

こういう副詞は、強調の意味で使われます。「私は絶対片付けられないんです」と言われれば、「ああ、片付けることが苦手なことを強調しているんだな」と受け取られるでしょう。

けれども、本当に、「1度断捨離に失敗したから、私は絶対片付けられないし、それは今後一生変わらない」と思っているとしたら、問題です。

自分について決めつけてしまうのも問題ですが、他人のことも決めつけてしまいます。近所の猫のことすらも。

1回か2回のできごとで、他人のことを判断してしまうのは不幸とトラブルのもとです。

決めつけたあと、「そう思う根拠は何?」とふりかえってみるといいでしょう。

3.フィルタリングする(mental filter)

たった1つの悪いできごとだけにフォーカスして、たくさんあるよいできごとにはまったく目がいかないことです。

例をあげます。

YouTubeに動画を投稿したら、好意的なコメントがたくさん入りました。ところが、たった1つだけ、ちょっぴり苦言を呈したものがありました。

べつに、ぼろぼろにけなしているネガティブコメントではありません。ちょっとだけ、いさめる感じの言葉です。

ネガティブなものだけをすくって、他を捨てるフィルターを持っている人は、何日も、このネガティブコメントにこだわって、他のコメントの存在は無視してしまいます。

その結果、客観的に見たら、この動画は成功したと言えるのに、本人にとっては、この動画は大失敗だった、となります。

要するに、物ごとの悪い面ばかり見る心的態度です。

それはあたかも、あたかも透明な水を入れたビーカーに、たった1滴、黒いインクを入れたら、すべてが真っ黒に染まるようなもの。

こうしたフィルターを持っていたら、明るい気分になどなれるわけがありません。

自分が「ネガティブな物ごとをすくうのが得意なあみ」を持っているから、いろいろいやなことが起こる(ように感じる)のですが、ネガティブな人は、それを自分のせいだとは思っていません。

思考のクセに気づくには?

こうした認知のゆがみに気づいて、考え方を修正するのにもっとも手軽でコストのかからない方法は、自分が考えていることを紙に書き出して、自分で検証することです。

自分の考えていることについて、客観的に考えてみるのです(これをメタ認知といいます)。

モーニングページを書くのもおすすめです⇒モーニングページの書き方、やり方を教えてほしいという質問の回答。

モーニングページをおすすめすると、完璧ちゃん(完璧主義的な人)たちから、「朝はそんなこと書いている時間ないです」「どんなノートに書けばいいんですか?」「3ページ書かなきゃだめなんですか?」「何をどんなふうに書けばいいんですか?」といった質問がとどきます。

この場合、ノートを書く目的は、自分の思考のクセを発見することですから、べつに朝書かなくてもOKだとわかります。

このように考え方のクセは、何をやるときにもついてまわります。そんなに簡単には変わりません。

粘り強く、謙虚に、自分の考え方と向きあうのが思い込みをはずすコツです。

☆この続きはこちら⇒ネガティブな人が陥りやすい思考のワナ:10の認知のゆがみ、その2

認知のゆがみ関連記事もどうぞ

いやな気分よ、さようなら(認知行動療法入門):TED デビッド・D・バーンズ(David D. Burns)先生のTEDの講演を紹介。

認知行動療法(CBT)を使って片付けられない思考を手放す方法。 ゆがんだ思考ができる理由など紹介。

心配性は自分で克服できる。恐怖と向き合うことを学ぶ(TED)

ポジティブ思考は学習できる。前向きになる4つのポイント教えます。

**********

わりとバランスのとれた物の見方をしている人も、何か事件があったり、悲しいできごとに遭遇したりすると、視野が狭くなって、思考がゆがみがちです。

ふだんから、自分の考えについて考えるクセをつけておくと、ピンチになったときも、そこまで心が乱れることはないと思います。

モーニングページを書くのは手が疲れる、というメールをもらったのですが、すべりのよい筆記具や芯のやわらかい筆記具(3Bの鉛筆とか)を使えばべつに疲れません。

私はすごく筆圧が強いのですが、毎日ばりばり書いており、特に疲れも感じません。

心が疲れたままでいるより、手が疲れるほうが(そんなに疲れませんけど)いいと思うのですが、どうでしょうか?





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