忙しい人

TEDの動画

最終更新日: 2018.07.23

ただ忙しいのと生産的であることの違い(TED)

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忙しいだけの状態と、生産的であることは違う、とよく言われます。

では、この2つはどう違うのでしょうか? 忙しさや生産性を話題にしたTED動画を紹介します。

タイトルは The Difference Between Being Busy and Productive (忙しい状態と生産的であることの違い)。プレゼンターは Oliver O’Bryan(オリヴァー・オブライエン)さんです。



忙しいのと生産的であることの違い:TEDの説明

People have been gifted with life, regardless of what they do with it, or how they shape it.

However, along the way, everyone finds themselves with situations where their plate is too full.

The natural instinct is to say: “How do I stop the plate from overflowing?”. Yet, it takes a particular mind-set to ask oneself “What is actually causing the plate to overflow? And how did it get to this?”.

From here, you will find that there are two types of people, those who are being productive, and those who are simply being busy.

人は「人生」という贈り物をもらいます。そこで何をするか、どんなふうに生を形づくるかにかかわらず。

ところが生きていくうちに、みな、お皿がいっぱいの状態に陥ります。

こんなときの自然な反応は「どうしたらお皿からあふれなくなるだろう?」です。ですが、「なぜお皿があふれそうなんだろう? どうしてこんなことになったのだろう?」と自問するためには特別な考え方を要します。

この点で、生産的な人とただ忙しいだけの人という2つの種類の人に分かれます。

動画は16分58秒。字幕はありませんので抄訳を参考にしてください。

☆TEDの説明⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に

私はただ忙しいだけの人だった

私は20歳の学生であり起業家です。

これまで皆さんが考えたこともなかったようなこと、皆さんに思いもよらない影響を与えるかもしれないことをこれからお話します。

1年前、私はラフバラー大学にやってきました。とてもやる気があったので、どんな機会も逃さないようにしました。

9つのスポーツチームや5つのソサイエティに所属し、コミュニティ活動もし、自分の会社も起こしました。ご想像どおり、3~4週間後にいっぱいいっぱいになりました。

7時に家を出て大学へ行き、授業を受けたり、仕事をしたり。食事もせず夜の11時半に帰宅。自由時間は全くありませんでした。

ルームメイトに、その日何をしていたのか聞くと、「ハードドライブを掃除して、シットコムでまだ見てなかったエピソードをみんな見て、次はどんな話か考えていた」という返事です。

次の日、彼の宿題の提出日だと知っていたので、これを聞いてとまどいました。

自分と彼の違いはなんだろうと考えました。busy procrastination (ビジー・プロクラスティネーション 忙しさを理由に先延ばしすること)するかどうかの違いではないかと思いました。





忙しい人と生産的な人がいる

その人の性格の特徴と、タスクの取り組み方には、重なる部分があると思います。人は忙しい人でありつつも、生産的であるわけです。

100パーセントいつも忙しい人とか、100パーセントいつも生産的である人はいませんし、半々ずつ忙しくて生産的だ、ともならないでしょう。

必ずどちらかが優位に立っていると思います。どちらかというと生産的だ、どちらかというと忙しい、という具合です。

1年前、自分はいつも忙しいだけの人だと感じました。そして、その状態を改善する方法を探ったのです。私より忙しそうなのに生産的な人がまわりにいましたが、自分は単に忙しいだけだったからです。

こんなことから、きょう、忙しい状態と生産的な状態の本質的な違いをお話することになりました。

たいした話じゃないと思うかもしれませんが、今後タスクに取り組むとき、何をするか決めるとき、人生に対するアプローチに多少なりとも影響があると思います。

この分析は、特定の年齢層にだけあてはまります。生まれてから14、15歳までは、そんなにいろいろやることがないし、与えられた機会について、あまり考えることもありません。

この時期にやることが人生全般に大きな影響を与えるということもないかもしれません。

同様に60歳から65歳をすぎれば、人生はよりゆっくりしたものになり、もっと自分自身のために時間を使うようになるでしょう。

このプレゼンを聞くと、自分がどちらの方かわかると思いますが、どちら側の人間でもかまいません。

自分がどちらの方か知り、それが自分の人生にどんな影響を与えているのか考えたり、これから望む生き方ができるように、意識的な意思決定をして、未来を変えることが重要なのです。

忙しい人と生産的な人の違い

(箇条書きにします)

忙しいだけの人とは?

・まぼろしのミッションを持っている

・すばやく答えを出す(レスポンスが早い)

・複数のゴールを持っている(いろいろなタスクが集まって房のようになっている)

・人生のバランスを取るのに苦労している(外的なことに気を散らされがち)

・上司のために仕事をしている

・ノーと言えない

・複数の優先事項がある

・早く、本能的に行動する

・すべてのドアが空いている

・マルチタスクをする

生産的な人とは?

・人生のミッションを持っている。

・よく考えてから答えを出す

・優先事項を設定する(タスクはピラミッド状になっていて、トップの一番大事なことをする)

・時間と大事なタスクのバランスをとっている

・顧客のために仕事をしている

・戦略的にタスクを引き受ける

・少数の優先事項を持つ(核となる価値観に従ってプライオリティを決める)

・まず考えてから行動する

・ドアは閉じられている

・一点に集中する

このように見ていくと、忙しい人と生産的な人の違いを作っているのに3つのものがある、と言えます。

・すべての人にイエスと言うかどうか

・完璧主義(すべてをそうあるべき状態にしようとがんばる)かどうか

・同じことを繰り返すか、自動化するか

忙しい従業員と生産的な従業員の違い

顧客や企業は、「従業員は忙しさのワナにはまっている」と言います。いくつかの企業の基本的な価値観は、「従業員は忙しく働くべきである」というものです。

そのような環境にいるので、従業員は「忙しさ」と「生産性」の2つに分離してしまいます。

例を見てみましょう。

忙しい従業員

・すぐにEメールの返事を出す

・いかに時間がないか話す

・ハードワーカー

・ミクロワーカー(一番最初についた人がもらえるんだ、という考え方)

・1人で働くのがベスト

生産的な従業員

・Eメールの返事が遅い

・持っている時間に意識を向けている

・戦略的なワーカー

・マクロメンタリティ(副次的、全体的な影響に目を向ける)

・チーム全員のちからをうまく使う

何に時間を取られているのか?

リサーチから以下のことがわかっています。

・女性は男性よりずっと忙しい

・30歳~60歳が人生でもっとも一番忙しい時期

ジョン・レノンは 

Life is what happens while you are busy making other plans.

(人生とは、ほかの計画をたてるのに忙しくしている間に起きているもの)

と言いましたが、人は、何に忙しいのか、リサーチの結果を見てみましょう。

30歳から60歳の人は、

・趣味で忙しい(51%)

・レクリエーションで忙しい(52%)

・睡眠で忙しい (56%)

・友達のことで忙しい(44%)

・家族のことで忙しい(30%)

と答えています。

1987年当時は、家族で一緒に食事をとることが大事だと考えられていました。50パーセントの人が、毎日、1度は家族全員で食事をすると答えていました。

時の経過とともに、さまざまな要素やリソースが変わりました。そのせいで、昔は、「忙しさ」対「生産性」理論は、問題にならなかったかもしれません。

2016年に、毎日1度は家族全員で食事をする、と答えた人は30パーセントです。

時代が変わって、リソースや優先順位が変わったわけです。だから、多くの人にとって、忙しさと生産性について考えることは、意義のあることです。

生産性のある人になるには?

ただ忙しいより、生産性のある人になったほうがいいですよね。

全般的には忙しくて、1つの面だけでは生産性をあげたい、と思う人もいるでしょう。

そうなる方法(メカニズム)があります。

1)もっとも重要なことにフォーカスする

自分の人生の軌道を持つこと、自分が向かっているものを持つこと。

2)~すべき(should )という言葉を使わない

そうすべきだ、そうすべきだった、と~すべきと言い続けていると、やるべき以上のことをやってしまう結果になります。

3)邪魔するもの、気を散らすものを断つ

この3つの中でもっとも重要なことです。

頭の中にあることを紙に書いたり、スポーツしたり、1分間、時計を見つめたり、といったことをして、気を散らすものを断ちます。

すると、自然に、もっと生産的に、優先順位が見えてきます。

グレース・マーシャルの言葉を紹介します。

True productivity is satisfaction in a world where the work never ends. Excitement without exhaustion. Opportunity without overwhelm. It’s the ability to give our best in any situation and to keep giving our best. Grace Marshall

(真に生産性が高いとは、仕事が終わることがない世界の中で満足することです。疲れのないワクワク感。圧倒されることのない機会。どんなときにもベストをつくし、そうし続ける能力です)。

生産性の高い人のデメリット

生産性の高い人の悪い面もチェックしないと、公平とは言えませんね。

以下のようなデメリットがあります。

・一般にタスクの完了までに時間がかかる

・長期的な視野にたって考えるので、現場の混乱をもたらす恐れあり

・柔軟性に欠ける

・すぐに結果がほしいときに一緒に働くのが難しい

忙しさから生産性の高い状態に向かうには?

忙しい状態から、もっと生産性のある状態に変わる4つの行動を紹介します。

・人に仕事をまかせる

自分よりその仕事をうまくできる人がいたら、その人にまかせましょう。

・心の中のゴミを捨てる

頭の中でうずまいている考えを紙に書き出してみると、それはべつに重要でないとかわかり、もっと生産性をあげることができます。

・リラックスする時間をスケジュールに入れる

瞑想やスポーツなど、リフレッシュできることをやります。

・忙しい(busy)という言葉を使わない

忙しいというと、ネガティブな気分になるし、みなさんに近づいてくる人を心理的にブロックしてしまいます。

ソクラテスの言葉がうまく表しています。

Beware of the barrenness of a busy life. Socrates

(忙しい人生の不毛さに気づきなさい)。

1日の最後に、mindset (マインドセット、考え方)、decision (意思決定)、future (未来)について考えてみると思います。

その時まさに、忙しさVS生産性のあることに関する理論が生きます。

タスクの前、タスクをやっている時、タスクを終えたあと、自分がやっていることを振り返ってみてください。

どうしてこのタスクをやることにしたのか、どんなふうにやったのか、このタスクは自分の未来にどんな利益をもたらすのか。

そうすれば、自分が忙しさのワナにはまっているか、そのタスクを続けるべきかどうかわかるでしょう。

次に仕事を頼まれたり、仕事のチャンスがまわってきたら、10秒でいいから、立ち止まって、自問してください。

・誰のためにこのタスクをやるのか?

・なぜこのタスクをやるのか?

・このタスクをする時間があるのか?

・自分の未来にどんな利益があるのか?

ほんの少し考えれば、もっと思慮深く、建設的にタスクを選べるでしょう。

きょうお話したことをまとめます。

1年前、大学で自分の身に起きたことをお話しました。それが、私の理論にどんなふうにつながったのか。

この理論が、みなさんの仕事やプライベートに与える影響。例を交えて忙しい人と生産的な人のパターンをお話しました。

心理的な面や、どうやったら変われるのか、ということも。

このプレゼンの本質は単純さです。どこまでもシンプルを追求すること。

たとえ、ご自身には関係ないと思っても、ダビンチのこの言葉を思い出してください。

Learning never exhausts the mind. Leonardo Da Vinci

(学ぶことは、決して心を疲れさせたりしない。レオナルド・ダ・ヴィンチ)

ですが、みなさんが、いますぐ、変わるための行動に出てくださればいいな、と思います。

行動できないのなら、私の好きな人の言葉を贈ります。

The way to get started is to quit talking and begin doing. Walt Disney

(始める方法は、おしゃべりをやめて、実際にやり始めること。ウォルト・ディズニー)

//// 抄訳ここまで ////

単語の意味など

quintessential 本質的な

fluff つまらない話、くず、ごみのようなもの

trajectory 軌道

Grace Marshall グレース・マーシャル
生産性を高めるためのコーチングをしたり、本を書いているイギリス人。

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「家事や仕事が忙しくて、片付けができません」というメールをもらうことがあります。

このような人は、オリヴァーの言うように、「忙しい」という言葉をしばらく使うのをやめてみるといいかもしれませんね。

なんでもかんでも、「忙しいから」「お金がないから」というのを理由にしていると問題の本質に気づくことができないし、問題に気づけないと、その状況を改善することもできません。

「忙しいから片付けられない」というかわりに、

・スケジュールがびっしり入っている人のほうが、人間としてえらいと思っているので、仕事を入れすぎてしまった。だから片付ける時間がなくなった

・フリーランスなのでお声がかかった仕事は全部引き受けないとそのうち仕事がなくなると恐れている。だからすべて引き受けた。そうしたら、片付ける時間も体力もなくなった

・時間はたっぷりあったけど、なんとなくYouTubeの動画を見ていたら、片付けに回す時間がなくなった

・やりたくなかった仕事を、やせ我慢して引き受けたら残業になった。だから片付ける時間がなくなった

こんなふうに、何か起きているのか、もっと具体的に特定するようにすれば、忙しさから抜け出すヒントが得られます。

「忙しいほうがいい人生」という価値観がベースにあるなら、なぜ、そう思うのか、考えてみるといいでしょう。

忙しい人は、自分で忙しい状態を選んでいることが多いですから。

プレゼンに出てきた、人を忙しくさせる要因の

・ノーと言わない(やらなくていい仕事までする)

・完璧主義すぎる(すべての仕事を完璧にしようとする)

は特に重要なポイントです。この2つ、自分でいくらでも変えられますね。

******
オリヴァーさんのプレゼン、私なら構成や使う言葉を変えるだろう、と思う箇所がいくつかあります。

けれども、忙しさについて考えさせられる、という点ではよいと思います。

テクノロジーが発展して、24時間、仕事や仕事関係の人とつながれるようになったので、自分自身でうまくバランスを取ることが大事ですね。

とくに日本は、仕事のやりすぎて死んでしまう人が出る社会なので、忙しいまま突っ走らないほうがいいのではないでしょうか?





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