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食生活を見直すきっかけになるTEDトークを紹介します。
タイトルは、Unprocessed — how I gave up processed foods (and why it matters) (加工されない – いかにして私は加工食品をやめたか? そしてなぜそれが重要なのか?)
邦題は、「脱」加工食品—やめる理由とその秘訣
講演者は、テキサスに住むジャーナリスト、Megan Kimble(メーガン・キンブル)さんです。
Unprocessed は、メーガンさんの書いた本のタイトルです。
加工食品をやめる:TEDの説明
Megan Kimble was a city-dwelling 26-year-old—busy and broke, living in a small apartment without so much as a garden plot to her name. But she cared about food: where it came from, how it was made, and what it did to her body. So she set herself a challenge: She would go an entire year without eating processed foods. In this talk, she discusses what makes a food processed and how those processes impact our bodies and communities.
メーガン・キンブルは都市に住む26才の忙しい貧乏人でした。庭のない小さなアパート住まい。
しかし、彼女は食べ物にこだわっていました。どこから来たのか、どんなふうに作られたのか、自分の身体にどんな作用をするのか?
彼女はこんなチャレンジをしました。1年間、加工食品を食べずに過ごすチャレンジです。
彼女は、この講演で、加工食品とは何なのか、そうした加工が身体やコミュニティにどんな影響を与えるのかシェアします。
収録は2012年1月。動画の長さは14分です。日本語の字幕もあります。
☆TEDの説明はこちら⇒TEDの記事のまとめ(1)ミニマリスト的生き方の参考に
とてもわかりやすいプレゼンですね。
加工食品を食べるのをやめてみた
あなたは何を食べていますか?
オーガニック? 地元産? 旬のもの?
いま、選択肢がありすぎて、圧倒されてしまいますね。
2年ほど前、私は1年間、加工食品を食べない挑戦をしました。
「どうしてそんなことをするの?」「そもそも加工食品って何さ?」こんな疑問が思い浮かぶことでしょう。
私は食べ物のことを考えるのが仕事です。
ツーソンの食べ物の雑誌の編集者であり、フードライターをしています。
同時に、私は食べ物の選択がとても大事だと信じています。
食料のシステムに影響があります。私たちには、自分が食べるものを、加工させないパワーがあるのです。
加工食品とは?
そもそも、加工食品とは何でしょうか?
もちろん、あらゆる食べ物が加工されています。農業もある種の加工です。調理、発酵、小さく切ること、保存も加工です。
食べ物はみな加工されていて、そうすることによって、よいものになっています。
しかし、近年、悪いものになっていることが増えています。
私たちが何を食べるかより、それをどんなふうにして食べるかのほうが、重要だという研究がどんどん出てきています。
元は同じでも加工の度合いが違う
軸についたとうもろこし、コーンチップス、果糖ぶどう糖溶液(高フルクトースコーンシロップ)の違いって何でしょう?
原材料は同じですが、加工の度合いが違います。私は食品ラベルについている原材料について、しつこく調べています。
私の加工食品の定義は、ロジャーズ氏の、「人が作るものと、作られるものは違う」という言葉をもとにしています。
人が手を使って作るものと、機械が作るものは違います。
コーン・トルティーヤは、手で作れますが、果糖ぶどう糖溶液は、工場と化学の知識なくしては作れません。
食品にまつわる3つのプロセス
加工食品について1年考え、本を書きましたが、今夜は3つの加工プロセスについて話します。
最初のプロセスは、食品(原材料)がどうやって食卓まで運ばれるか。野菜が土から収穫され、地元のスーパーへ届くまでです。
2つ目のプロセスは、食べ物を食べたとき、何が起きるのか。りんご、またはアップルジュースに対して、身体がどんなふうに反応するのか?
3つ目のプロセスは、私たちが買う食品が、どんなふうにコミュニティに影響を与えるか?
このプロセスは、お金が関係している食品経済です。加工食品を減らしたいとき、消費者のお金の使い方がもっとも影響があると思います。
食べ物が食卓にやってくるまで
これはノガレスにあるマリポサ通関地です。冬場、スーパーの棚に並ぶ生鮮食品の70%は、メキシコからやってきますが、その大半はここから入ります。
メキシコ産の食品のエリス島とも呼べる場所です。
たとえばスイカ。エルモシージョの大地から取れたスイカがトゥーサンのセイフエイ(Safeway, スーパー)に並ぶまで。
スタート地点はスイカを栽培している巨大な農場です。
季節労働者が1日で収穫し、梱包し、セミトラックに乗せ、2トン近くの野菜を北の国境まで運びます。
その後、事務手続き、国境警備員、FDA(食品医薬品局)、USDA(米国農務省)のチェックを経て、摂氏2度ほどのノガレスの倉庫に到着します。
こうした倉庫が100ほどあります。倉庫の中を歩いてみましたが、その規模の大きさにびっくりしました。
ある倉庫では、ハイシーズンになると1日に15万個のメロンの出し入れをします。
マンゴーで埋め尽くされた倉庫で感じたのですが、こんなに大量の果物が、ある人のキッチンにある、1つのマンゴーになるなんて、とても考えられませんでした。
いかにも巨大なシステムですが、それは殺虫剤、冷蔵技術、セミトラックにささえられています。
私は地元産の食品を食べる
この食べ物と比べてください。これは、私が利用しているCSA(コミュニティの農業支援プログラム)から届く、1週間分の食品です。
フランクという男性の農園から届きます。
フランクは、2人の従業員を畑にやって、150人分の野菜を収穫し、洗って、トラックに乗せて、ツーソンに送ります。
保管しないし、殺虫剤も使いません。
米国農務省の研究によると、従来の方法で収穫された野菜のうち、60%近くが、洗ったあとでも農薬に汚染されています。これが加工品でないとしたら、いったい何が加工品なのでしょう?
地元産のほうが加工されていない
ここに2つのスイカがあります。1つはメキシコ産、もう1つは地元のツーソン産。どちらがより加工度が高いでしょうか?
まず栽培法が違います。従来の栽培法と有機栽培の違いです。単一栽培か、複合型栽培か。
次に、その食べ物がどんなふうにして自分のところまで来るかも違います。
食品に払う1ドルにつき91セントは、仲介業者に行きます。栽培した人には行きません。
巨大システムを経て届く食品を買うとき、仲介業者をサポートすることになります。
食べ物がいかに身体に作用するか(砂糖の問題)
2つ目のプロセスは、食べ物を食べたあと、どんなことが起こるか、です。
何を食べるかより、どうやってそれを摂取するかが重要ですが、砂糖がそのいい例です。
「加工されていない食品を食べるのって難しいでしょ?」とたくさんの人に聞かれます。
実は難しいのですが、その理由は砂糖にあります。
砂糖は何にでも入っています。
実は私はすごい甘党で、砂糖は好きなんです。子供のとき、1日中食べず、「甘いものは1日に1度だけ」と母に制限されたくらいです。
ですが、砂糖は、そういう明らかに甘いもの以外にも入っています。
ブルーベリーフレイバーのフラックスシードや、朝食に食べるほうれん草のお菓子にも。砂糖、はちみつ、果糖ブドウ糖溶液入りのマスタードもあります。
グレープナッツというシリアルは、ヘルシーな朝ごはんというイメージがありますが、4つの違う種類の砂糖が入っています。
砂糖は、いろいろな形や名前となって配合されるので、避けるのが難しいのです。
りんごとアップルジュースの違い
しかし、身体にとっては、どんな砂糖も砂糖に違いありません。
すべての砂糖も最後にはブドウ糖と果糖となって消化されます。
身体にとって重要なのは、量と消化のスピードです。どれだけ砂糖を食べて、食べた砂糖が、どれぐらい早く、体内で代謝されるか。
りんごとアップルジュースを考えてください。
りんごの糖分を摂取するためには、かみこなして、飲み込まなければなりません。りんごの糖分は、食物繊維とセルロースに結合しているから、ゆっくり体内に入ります。
アップルジュースは、あっと言う間です。すぐに体内に入るため、身体にストレスがかかります。
砂糖に手を焼いているのは私だけではありません。
誰もが砂糖を大好きです。砂糖を摂ると、もっと食べたくなります。食品会社はこのことをよく知っているので、どんな物にも砂糖を混ぜます。
残念なことに、近年の研究では、砂糖は身体によくないという結果が出ています。
ではどうしたらいいのでしょうか?
にせの砂糖の問題
砂糖の摂取を減らす、という方法があります。にせものの砂糖(フェイクシュガー)を食べるという方法もありますね。
ダイエットデザートです。これは、糖分と脂肪分を加工し、化学物質に置き換えたものです。
「身体にいいデザートを食べている」と思わせてくれるものですが、このようなデザートってうまくいきませんよね。
ダイエットブラウニーを食べると1つじゃ満足できなくて、5つぐらい食べないと満腹になりません。
加工食品を食べないチャレンジをしていた年、私は、生ハニーから作った自家製チョコレートや、全粒粉、モラセス、バターで作ったクッキーを食べていました。
こうしたスイーツは、甘いものを食べたい気持ちを満足させてくれたし、満腹にもなったし、実のある食品と混ざっていたので、ゆっくりと身体の中に入りました。
加工されていないものは満腹感がある
「加工食品を食べないって、どんな感じ? 何か変わったことあった?」
たくさんの人に聞かれましたが、私の答えは、「満腹感がある」です。
私は、よくダイエットをして、体重やカロリーのことを気にしていました。
加工食品を食べないのはダイエットではありません。おなかがすいたときに食べ、おなかがいっぱいになったら食べるのをやめました。
チャレンジをしていた時、体重は変わりませんでしたが、おいしいものをたくさん食べましたよ。
もし、甘いものを食べるなら、そのチャンスを大切にしてください。
味わうのです。1日1回だけ食べるスイーツにしてください。
マスタードで、その機会を無駄にしてはいけません。
食品の買い方がコミュニティに与える影響
最後のプロセスに行きましょう。
私たちが買う食品が、地元のコミュニティにどんな影響を与えるか?
健康的で、持続可能な食事をするためには、お金と時間が必要だと思っている人がたくさんいます。
加工品を食べなかった年、私は、とても忙しい大学院生で、年収は、1万8000ドル(200万円ぐらい)でした。
バジルを育てるスペースもない小さなアパートに住んでいました。
食品を買ったレシートを保存し、年末に集計したら、1年間の食品は約4900ドル(約54万円)になりました。
私が1日3食、食べたものは、ほぼオーガニックで、大半は地元産です。
加工されていない食事に使ったお金は、1回の食事あたり4ドル50セント(約495円)ほど。
1食に4ドル50セントかけることができない人がいることはわかっています。
この事実にとても興味があるので、本の最後の章では、フードスタンプの受給者が受け取っている週20ドル(約2200円)で、加工されていないものを食べる話を書いています。
実際のところ、たいていの人は、使い方を変えられる数ドルのお金をもっています。
責任のある肉の食べ方とは?
これは、私が2日かけ屠殺、精肉、加工を手伝った羊の皮です。20センチのナイフだけを使いました。
私の両親はベジタリアンで、私はベジタリアンとして育てられましたが、本当はずっと肉が好きでした。
でも、工業的に食肉を作ることが環境によくないこと、水や土地を汚染していること、動物がひどい扱いを受けていることは、誰もが知っているとおりです。
どうしたら責任のある肉の食べ方ができるのか?
そこで、私は2日間、この羊のすごくそばで過ごしたのです。
驚いたことに、これで肉が食べられなくなったわけではありません。
その代わり、感謝の気持ちがわいてきました。
ファーマーズマーケットに行き、私がやったように敬意をもって肉を用意した地元の牧場主にお金を払って、その肉を買って食べられることに感謝しました。
お金の使い方が社会を変える
加工品を食べなかった1年から学んだことを1つ言うとすれば、使うお金の大切さです。
みなが、自分で肉を切ったり、穀物を挽いたり、作物を自作したりするべきだとは言いません。
ただ、実際に自分でやってみると、自分たちのコミュニティの中で、そういう仕事を上手にしてくれた人にお金を払う価値があることに気づきます。
アリゾナ州のLocal Firstの調べによると、ツーソン規模のコミュニティの全員が支出の10%を地元の企業に使えば、1億4,000万ドル(109億8千万円ぐらい)の収入が市にもたらされます。
地元でお金を使うことには、さまざまな相乗効果があります。
ツーソンの生協で100ドル使うとそのうち73ドルがツーソンに残りますが、セイフエイ(スーパー)で100ドル使うと、43ドルしか残りません。
地元にお金を使えば、多国籍企業にお金を使わずにすみます。
多国籍企業は私たちのお金を使って、政治に影響を与えたり、持続しない食べ物を作ったり、エネルギーを浪費したりしています。
つまり、身体によくない食品を作って売っているのです。
シンプルな食生活
こうしたことを考えなくても、私は加工されていない食品を食べる意味があると思います。そのほうがずっとシンプルだから。
自分の食べているものの出どころがわかっているから、心配しないですむし、身体に対する影響も気遣う必要がありません。
だって、食べると気分がいいのですから。
どこにお金が行くかもわかっています。
1つルールを決めてしまえば、よけいな心配ごとがなくなり、これまで私がずっとしたかった、ただ食べ物を楽しんで食べることができるのです。
食べ物は私たちにストレスを与えるためのものではありません。私たちをつなげてくれるものです。
食品システムを、脱加工(un-process)の状態にする力が私たちにはあります。
皆さんは、帰宅して夕食を作り、私も帰宅して食事を用意します。
それぞれが生活の中で、小さなことを変えようと決めたとき、大きな変化が起こり始めます。
CSAに入ってください。食品のラベルをよく読んでください。ファーマーズマーケットに行きましょう。
食べ物を売っている人や会社に質問をしてみましょう。
あなたは何を食べますか?
それはあなたが決めること。でも、みなさんには、少しでも、加工されていないものを作る力があるのです。
//// 抄訳ここまで ////
食品に関するほかのプレゼン
子供たちに食育をして肥満と戦おう~ジェイミー・オリヴァーに学ぶ(TED)
肉はやめて野菜を食べろ。マーク・ビットマン「我々の食料に関する課題」(TED)
結果的に太っている。なぜダイエットは成功しないのか?(TED)
ダイエットしないで健康になる方法(TED)~生活習慣を変えよう。
食品ロス(捨ててしまう食べ物)を減らすためにできること(TED)
単語の意味など
wrangle ~の番をする、~についてやかましく口論する
particulars 詳細
FDA Food and Drug Administration 食品医薬品局
USDA United States Department of Agriculture 米国農務省
monoculture モノカルチャー、単一栽培、1つの畑で一度に1種類の作物だけを栽培すること。この反対は、polyculture ポリカルチャーで、1つの畑で同時に2種類以上の作物を栽培すること。畜産についても同じです。
ポリカルチャー(複合型)では、それぞれの作物の栽培を有機的に組み合わせるので、化学物質の使用を減らせます。
food stamp アメリカ合衆国で、低所得者対象に行われている食費を補助するプログラム。
キンブルさんの本です。
加工されすぎているものは避けるススメ
畑になっている生の野菜や果物を、そのまま食べるとおなかをこわすことがあります。
いきなり牛にかぶりついても、その肉をうまく消化できません(というより、噛み切るまえに牛に蹴飛ばされるでしょう)。
しかし、加工されすぎている食品を食べると、おなかはこわれないかもしれませんが、長期的に身体にダメージがあります。
そのダメージはかなり深刻なものです。
現在の食品業界では、過度に加工されたものがたくさん出回っています。
健康になりたいとか、自分のためになるお金の使い方をしたいと思っているのなら、この手の加工食品を買って食べないほうがいいと思います。
こうしたことは、過去記事でさんざん書いていますが、
あらためて、同じ主旨のTEDトークを紹介しました。
メーガンさんが、加工食品を避けていたとき、オーガニックの食品を食べていたにもかかわらず、食費はわりと安くすんでいます。
加工されたものは、割高なのでそうなるのでしょう。
今度スーパーやコンビニで食品を買う時、どんな加工がほどこされているか、そして、その加工は何を目的としてなされているのか考えてください。
人間が食べやすくするため、食品を安定して供給するため、おいしくさせるため。
こうしたポジティブな加工もありますが、ただ見かけをきれいにするため、なくてもいい匂いをつけるため、とにかく売れるおうに、食べ始めたら止まらなようにするための加工もあります。
スーパーの棚に並んでいても、食品からかけ離れているものもあるので注意が必要です。